You can not select more than 25 topics Topics must start with a letter or number, can include dashes ('-') and can be up to 35 characters long.

521 lines
12 KiB

養蜂家の青年は、親友と立ち話をする
2 years ago
养蜂青年和亲友站着聊天
今日も、ミハルが馬車でイェゼロ家が注文した品物を持ってくる。
今天,米哈尔也会用马车带来耶泽罗家订购的物品。
「おーい、イヴァン!」
2 years ago
“喂,伊凡!”
「ミハル、また、酒?」
2 years ago
“米哈尔,又喝酒了?”
「いいや、今日は食料品だ」
2 years ago
“不,今天是食品。”
2 years ago
イェゼロ家は三十八人家族である。買い物はすべて大量に注文し、配達してもらっているのだ。
2 years ago
耶泽罗家族有三十八口人。所有的购物都是大量订购和配送的。
2 years ago
今日もまた、ミハルは「おまけだ」と言って、オリーブオイルに魚を浸けた瓶詰めを譲ってくれた。
今天,米哈尔又说“这是赠品”,让我把橄榄油里浸着鱼的瓶子。
「これ、いいの? いい品なのでは?」
“这个好吗?是不是好东西?”
「それ、一年前のなんだよ。なるべく早く食え」
2 years ago
“那是一年前的事了,尽量早点吃。”
「そうなんだ。ありがとう」
2 years ago
“是的,谢谢。”
ミハルがくれる食料で、なんとか食いつないでいるところもある。イヴァンは手と手を合わせて、感謝の気持ちを示した。
用米哈尔给的食物,也有勉强咬住的地方。伊凡双手合十,表示感谢。
「そういや、お前のところに、にゃんにゃんおじさんは来たか?」
2 years ago
“对了,猫咪叔叔来你这里了吗?”
「は? 今、なんて言った?」
“什么?你刚才说什么?”
「にゃんにゃんおじさん」
2 years ago
“喵喵叔叔”
「何、その化け物」
2 years ago
「什么,那个怪物。」
「なんでも、にゃんにゃん言いながら、結婚してくれと叫んでいるらしい」
2 years ago
“不管怎么说,好像是一边喵喵地说着,一边喊着让我结婚。”
「怖っ!」
2 years ago
“好可怕!”
朝からすでに噂になっていたらしい。市場辺りで「にゃんにゃん!」と叫んでいたのだとか。
从早上开始就已经成为了传闻。在市场附近喊着“喵喵!”。
「その化け物って、どんな外見なの?」
2 years ago
“那个怪物是什么样的外表?”
「髭が生えた強面の中年男で、筋骨隆々。ボロボロの服を着ていて、古めかしい喋りをしているらしい。俺は直接見ていなくて、祖父ちゃんが聞いた噂話だけれど」
2 years ago
“他是一个长着胡子、脸很硬的中年男子,肌肉很发达。他穿着破破烂烂的衣服,说着古色古香的话。我并没有亲自看他,只是祖父听到的闲话。”
「ちょっと待って」
2 years ago
“等一下。”
ミハルが特徴を挙げた男に、イヴァンは見覚えがありすぎた。
对于米哈尔列举特征的男人,伊凡太眼熟了。
2 years ago
眉間の皺を解しながら、深いため息を吐く。
一边解开眉间的皱纹,一边深深地叹气。
「なあ、イヴァン。にゃんにゃん叫びながら、結婚を迫るとか、怖くねえか?」
2 years ago
“喂,伊凡。喵喵叫着逼着结婚,你不害怕吗?”
「たぶんそれ、にゃんにゃんじゃなくて、自分の名前はマクシミリニャンで、娘の名前はアニャ。娘の結婚相手を探しにやってきた、的な内容じゃないのかな?」
2 years ago
“大概那个,不是喵喵,自己的名字是马克西米莉娜,女儿的名字是阿尼亚。不是来找女儿结婚对象的内容吗?”
2 years ago
「マクシミリニャンに、アニャ? たしかに、二人を合わせたらにゃんにゃんだな」
“马克西米利尼亚,阿尼亚?确实,两个人合在一起的话就是猫咪了。”
噂が巡り巡って、おかしな方向に転がっているようだ。もう二度と関わり合いになることはないと思っていたので、なんともいえない気持ちになる。
传闻围绕着,似乎转向了奇怪的方向。因为觉得再也不会有关系了,所以有一种说不出的心情。
「イヴァン、にゃんにゃんおじさんと、知り合いなのか?」
2 years ago
“伊凡,你和喵喵大叔认识吗?”
「知り合いっていうか、昨日、行き倒れになりかけていたところを、助けたんだ」
2 years ago
“说是认识的人吧,昨天差点晕倒的时候,我救了他。”
「もしかして、お前にも結婚してくれにゃんにゃんって言ってきたの?」
2 years ago
“难道你也跟我说要和我结婚吗?”
「まあ」
2 years ago
“嗯。”
「そのあと、街に行ったってことは、きっぱり断ったんだな」
2 years ago
“那之后,你就断然拒绝去街上啦。”
「そうだね」
2 years ago
“是啊。”
昨晩あったことについて話すと、ミハルは「結婚、すればよかったのに」と呟いた。
说起昨晚发生的事情,米哈尔嘟囔着“结婚就好了”。
「にゃんにゃん男の娘と?」
2 years ago
“和喵喵男的女儿?”
「ああ。だって、お前を気に入って、申し出てくれたんだろう? それに、家業が養蜂だし。財がなくとも、身一つで結婚してくれるなんて、滅多にない話だからな」
“啊,因为我喜欢你,所以才向我提出申请的吧?而且,家业就是养蜂。就算没有钱,也很少有一个人结婚的。”
「そうだけれど、婿だよ? ここから、出て行かなければならないし」
“是啊,是我女婿啊?我得从这里出去。”
「いや、出て行くべきなんだよ。一刻も早く」
2 years ago
“不,我们应该出去,尽快。”
「どうして?」
2 years ago
“为什么?”
「それは――お前が、ダメになってしまうからだよ」
2 years ago
“那是因为——你会变得不行的。”
「ダメになっていないけれど?」
2 years ago
“虽然没有变得不行?”
思わず、ムッとしてしまう。言葉尻も、刺々しくなってしまった。ミハルも、目をつり上げて喧嘩腰になる。
不由得生气了。话尾也变得刺痛了。米哈尔也抬起眼睛,气势汹汹。
2 years ago
「今はな! でも、そのうちダメになる。現状、健康で元気かもしれない。けれど、一人の人間が働ける量は、限りがあるんだよ。お前は、他の男衆の代わりに、力仕事を担って、率先して働いて、実家に多大の益をもたらしている。けれど、人の体は風車の羽根車と同じだ。ずっと、ずーっと回っていたら、いつかは劣化して、壊れてしまうだろうが」
2 years ago
“现在啊!但是,不久就会变得不行。现状,也许是健康又有精神。但是,一个人能工作的量是有限的。你代替其他男人,担负着力气工作,率先工作,给老家带来了很大的好处。但是,人的身体和风车的叶轮一样。一直,不停地转动。”这样的话,总有一天会劣化,坏掉的吧。“
2 years ago
ミハルの言葉を聞いて、ハッとなる。ダメになるというのは、俺自身が落ちぶれるという意味ではなかった。
听了米哈尔的话,吓了一跳。失败并不意味着我自己会堕落。
体を心配して、言ってくれていたのだ。気付かずに、怒ってしまった。一言「ごめん」と謝る。
因为担心身体,所以说了。没注意到就生气了。道歉一句“对不起”。
「祖父ちゃんがさ、イヴァンが養蜂がしたいのならば、土地と道具を用意してやるって、言っていたんだ」
2 years ago
“爷爷说,如果伊凡想养蜂的话,就给他准备土地和工具。”
養子にならなくてもいい。諸々の費用は、働いて返してくれと話していたようだ。
不领养也可以。各种费用好像都说要工作还给我。
「イヴァンが蜜蜂を大事にする想いも、家族が大事なのも、よく理解しているつもりだ。けれど、このままでは、お前はあまり長くは生きられない。休みなくがむしゃらに働いて死んだ人を、何人も見ていると、祖父ちゃんが言っていたから」
2 years ago
“伊凡珍惜蜜蜂的想法和家人的重要,我都很理解。但是,这样下去的话,你活不了太长时间。祖父说,他会看到好几个不休息地拼命工作而死的人。”
「うん、そうだね。その通りだ。俺は、一心不乱に働くばかりで、何も見えていなかった」
2 years ago
“嗯,是啊。没错。我只是专心工作,什么都看不见。”
「だろう? だから、真剣に独立を考えてくれよ」
“是吧?所以,请认真考虑独立吧。”
「独立……!」
2 years ago
“独立……!”
「人生は、家族のためにあるものではない。自分のためのものなんだよ」
2 years ago
“人生不是为了家人,而是为了自己。”
ミハルの言葉は、胸に深く響いた。
2 years ago
米哈尔的话深深地打动了我的心。
もしも、俺がいなくなったら、本当に危機となるのは家族だろう。
如果我不在的话,真正陷入危机的是家人吧。
「みんな、俺に、頼り切っているんだ」
2 years ago
「大家都完全依赖我啦。」
「そうなんだよ! わかったか?」
“是啊!明白了吗?”
「わかった。ミハル、ありがとう。独立の件、前向きに考えておく」
2 years ago
“好的。米哈尔,谢谢。我会积极考虑独立的事情。”
「イヴァン!」
2 years ago
“伊凡!”
ミハルは叫び、抱きついてきた。大型犬のようにじゃれつくので、引き剥がすのに苦労してしまった。
米哈尔尖叫着,抱了过来。因为像大型狗一样捣乱,所以剥下来很辛苦。
「まあ、なんだ。サシャの嫁にとっても、イヴァンが家を出るのはいいことだと思う」
2 years ago
「哎呀,怎么了?我觉得即使对萨沙的媳妇来说,伊凡离家出走也是件好事。」
「ロマナね……」
2 years ago
“罗曼娜啊……”
困ったことに、ロマナは結婚しても以前のように接したがる。サシャは面白くないだろう。
令人困扰的是,罗曼娜即使结婚了也想像以前那样对待她。萨沙应该不好玩吧。
「あいつ、なんでイヴァンが好きなのに、サシャと結婚したんだろうな」
2 years ago
“那家伙为什么喜欢伊凡,却和萨沙结婚了呢?”
「は!?」
2 years ago
“哈!?”
「は?」
2 years ago
“什么?”
ミハルと見つめ合い、しばし言葉を失う。パチパチと瞬いていたが、ミハルがすかさず指摘してきた。
和米哈尔互相凝视,一时失去了语言。虽然眨巴眨巴地眨眼,但米哈尔马上指出了这一点。
「いや、ロマナは、イヴァンのことが前から好きだったろ!!」
2 years ago
“不,罗曼娜从以前就喜欢伊凡了吧!!”
「そうだったの?」
2 years ago
“是吗?”
「そうだったんだよ!!」
2 years ago
“原来是这样啊!!”
「じゃあなんで、サシャと結婚したの?」
2 years ago
“那你为什么和萨沙结婚?”
そういえば結婚する前、サシャに言い寄られて困っているとか話していたのを思い出す。そのまま母に報告したら、「放っておきなさい」と言っていたので放置していたのだが。
这么说来,我想起了结婚前被萨沙说了很为难之类的话。就这样向母亲报告后,因为说了“别管我”,所以就放任不管了。
2 years ago
それから半年も経たずに、ロマナとサシャの結婚が決まった。
之后不到半年,罗曼娜和萨沙就结婚了。
「ロマナはサシャが苦手だって言っていたのに、不思議だよね」
2 years ago
“罗曼娜说她不喜欢萨沙,真是不可思议。”
「それは、ロマナがお前に好意を示しているのに、いつまで経っても素っ気なくするからじゃないか?」
2 years ago
“那是因为罗曼娜对你表示好感,但不管过多久都会冷淡的吧?”
「いや、俺、昔からこんなだし」
2 years ago
“不,我从以前开始就是这样的。”
「まあ……だな」
2 years ago
“嗯……是啊。”
2 years ago
ひとまずロマナがサシャではなく、俺が好きだったという話は聞かなかったことにした。
2 years ago
暂且不听罗曼娜不是萨沙,而是喜欢我这样的话。