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養蜂家の青年は、中年親父と対峙する
2 years ago
养蜂青年与中年父亲对峙
男は、火で炙られたほどよい焼き加減の魚と、俺を交互に見ている。
男人用火把烤得恰到好处的鱼和我交替着看。
瞳が、潤んでいた。
眼睛湿润了。
仕方がないとため息を吐き、一本の魚を手に取った。脂が焚き火に滴り落ち、ジュッと音を立てている。
他无奈地叹了口气,拿起一条鱼。脂肪滴到篝火上,发出吱吱的声音。
「食べたら?」
2 years ago
“吃吧?”
「よ、よいのか?」
2 years ago
“哦,可以吗?”
「いいよ。小骨があるから、気を付けて」
2 years ago
“好啊,我有小骨头,小心点。”
「助かった。恩に着る!!」
2 years ago
“得救了。感恩!!”
2 years ago
男はそう言い、魚の串を受け取った。豪快に、頭からかぶりつく。
男子这样说着,接过了鱼串。豪爽地从头上套上。
バリバリと音を立てながら、魚を食べている。骨も皮も、すべて食べていた。最後はきれいな串だけが残る。
一边发出咯吱咯吱的声音,一边吃着鱼。骨头和皮都吃了。最后只剩下漂亮的串。
あまりの気持ちいい食べっぷりに、思わず二本目の串を差し出した。
吃得太舒服了,不由得拿出了第二根串。
「かたじけない」
2 years ago
“太天真了。”
2 years ago
そう言って、再びバリボリと食べ始めた。
这样说着,又开始吃了。
結局、男は五本の魚の串を平らげた。野草を乾燥させて作った茶も、三杯も飲み干す。
结果,男人把五根鱼串弄平了。把野草干燥后制成的茶,三杯都喝干了。
「本当に、助かった。これは、ほんの礼である」
2 years ago
“真是帮了大忙,这只是一点小礼。”
差し出されたのは、蜂蜜が入った瓶であった。思わず、ランタンを持ち上げて蜂蜜を見る。普段、見かける蜂蜜よりも、色合いが異なっていた。褐色と言えばいいのか、全体が赤みがかかっている。
拿出来的是装着蜂蜜的瓶子。不由得拿起灯笼看蜂蜜。比起平时看到的蜂蜜,颜色更不一样。说起褐色就好了,整体都是红色的。
「これは?」
2 years ago
“这是?”
「樅(もみ)の木の、蜂蜜である」
2 years ago
“这是枞树的蜂蜜。”
「え、樅って、蜜が豊富な花なんか咲いていたっけ?」
2 years ago
“咦,冷杉开着蜜丰富的花吗?”
「正確に言えば、樹液を吸ったアブラムシが出した甘い蜜を、蜜蜂が集めて作るものである」
2 years ago
“准确地说,是蜜蜂收集吸收树液的蚜虫发出的甜蜜制作而成的。”
「アブラムシから採れた、蜂蜜!?」
2 years ago
“采自蚜虫的蜂蜜!?”
初めて見て、聞いた蜂蜜を前に、俄然興味がそそられる。
第一次看到,在听到的蜂蜜面前,突然产生了兴趣。
「これ、味見をしてもいい?」
2 years ago
“这个,可以尝尝吗?”
「それは、そなたにあげた品だ。好きなように、食すとよい」
2 years ago
「那是我送给你的东西,你可以随便吃。」
「ありがとう」
2 years ago
“谢谢。”
きつく閉めてあった蓋を開き、先端の樹皮を削いだ木の枝で蜂蜜を掬う。
打开紧闭的盖子,用削掉尖端树皮的树枝舀蜂蜜。
バターかと思うほどねっとりしていて、ほのかに森の中にいるような香りを感じる。口に含むと、熱した砂糖のような香ばしさと品のある甘みを感じた。
2 years ago
粘稠得让人以为是黄油,隐约感受到森林中的香味。含在嘴里,感觉到了热砂糖般的香味和有品位的甜味。
2 years ago
「すごい……! こんな蜂蜜があるなんて」
“好厉害……!竟然有这样的蜂蜜。”
「うまいであろう? 我が家、自慢の蜂蜜だ」
“很好吃吧?我们家是引以为豪的蜂蜜。”
「おじさん、養蜂家なんだ」
2 years ago
“叔叔,我是养蜂人。”
「ああ。我らは、森の木々から採れる蜂蜜で、生計を立てているのだ」
2 years ago
“啊,我们靠从森林里的树木中采摘的蜂蜜维持生计。”
「そうなんだ」
2 years ago
“是啊。”
花を育て蜂蜜を採るイェゼロ家の養蜂とは異なり、男の養蜂は森にある木々から採る養蜂をしているようだ。
与养花采蜂蜜的耶泽罗家的养蜂不同,男人的养蜂好像是从森林里的树木中采集的养蜂。
同じ養蜂でも、まったく異なる。いったい、どういう作業を経て蜂蜜を得ているのか、興味がそそられる。
即使是同样的养蜂,也完全不同。到底是经过怎样的工作得到蜂蜜的,令人感兴趣。
2 years ago
ここで、男性が名乗った。
在这里,男性自称了。
「我は、ボーヒン湖周辺の山で暮らす、マクシミリニャン・フリバエである」
2 years ago
“我是生活在波欣湖周边的山上的马克西米利尼安·弗里瓦耶。”
「マクシミリニャン……」
2 years ago
“马克西米莉娜……”
なかなか、聞き慣れない珍しい名前だ。思わず復唱してしまった。
这是一个很难耳熟能详的罕见名字。不由得复述了一遍。
2 years ago
ボーヒン湖というのは、ここから馬車で数時間ほど離れている、のどかで美しい秘境と呼ばれている。ボーヒン湖はブレッド湖より三倍も大きな湖で、周辺よりも豊かな自然が広がっている土地だ。
2 years ago
博欣湖被称为一个悠闲而美丽的秘境,距离这里有几个小时的马车。波欣湖是一个比布莱德湖大三倍的湖泊,是一片比周边更丰富的自然景观。
2 years ago
マクシミリニャンと名乗った男は、どこか古めかしい喋りで、浮き世離れをしているように見えた。秘境育ちなのも、頷ける。
自称是马克西米利尼亚的男人,总觉得有一种古色古香的说话方式,显得脱离了尘世。秘境长大也是可以理解的。
「俺は、イェゼロ家のイヴァン。すぐ近くにある、花畑養蜂園で蜂蜜を作っている」
2 years ago
“我是耶泽罗家的伊凡。就在附近的花圃养蜂园做蜂蜜。”
「ぬ! そうであったか!」
“没有!原来是这样!”
2 years ago
なんとなく、野草茶に入れようとしていた蜂蜜を、マクシミリニャンに差し出した。
无意中,把想泡在野草茶里的蜂蜜递给了马克西米利尼亚。
「これ、蕎麦(アイダ)の花の蜂蜜」
2 years ago
“这是荞麦花蜂蜜”
花畑養蜂園の端のほうに、畑もある。そこで家族で消費するそばを育てつつ、蜜蜂に蜂蜜を作ってもらっているのだ。
花圃养蜂园的尽头还有田地。在那里,一边培育着家人一起消费的荞麦面,一边让蜜蜂做蜂蜜。
マクシミリニャンはくんくんと瓶の蜂蜜をかぎ、匙で掬ったものを口に含んだ。
2 years ago
马克西米莉娜嗅着小君和瓶子里的蜂蜜,嘴里含着用勺子舀出来的东西。
「こ、これは、なんて“濃い”のか!」
2 years ago
“这个,这个,多么‘浓’啊!”
「ちょっと、クセがあるけれど」
2 years ago
“虽然有点癖好。”
「いいや、我は気にならぬ。非常に美味なる蜂蜜よ」
2 years ago
“不,我不介意。蜂蜜非常美味。”
そばは俺の提案で作った蜂蜜である。そばが採れる上に、蜂蜜までもたらされるなんて一石二鳥だろう。
荞麦面是我提议做的蜂蜜。不仅能采荞麦面,还能带来蜂蜜,真是一举两得啊。
だがしかし、そばの蜂蜜は家族からは不評だった。市場でも売れないので、自分で手売りしてこいと押しつけられている。
但是,旁边的蜂蜜被家人评价不好。因为在市场上也卖不出去,所以被强迫自己卖。
ミハルがいくつか買ってくれたが、肉や魚を使った味が濃い料理の味付けにいいと教えてくれた。
米哈尔给我买了一些,告诉我用肉和鱼做的味道很浓的料理调味很好。
それから街へ魚を売りに行くときに一緒に販売し、そこそこ売れている。
2 years ago
然后去街上卖鱼的时候一起卖,卖得还不错。
2 years ago
たくさん売れても、収入は懐に入らないところが空しさを覚えるが。
即使卖了很多,收入也存不下的地方让人感到空虚。
「イヴァン殿は、このような蜂蜜を作っているのだな」
2 years ago
“伊凡大人是做这样的蜂蜜的。”
「普段は、花蜜メインだけれど」
2 years ago
“平时主要是花蜜。”
急に、マクシミリニャンは居住まいを正した。すっと背筋を伸ばした状態で、ジッと俺を見つめていた。
突然,马克西米利尼亚纠正了自己的居住方式。在挺直腰杆的状态下,紧紧地盯着我。
2 years ago
何を言い出すのか。少し構えてしまう。
2 years ago
你要说什么。稍微准备一下。
そんな状況で、マクシミリニャンはとんでもない願いを口にした。
在这种情况下,马克西米利尼亚说出了一个荒唐的愿望。
「イヴァン殿、どうか、我が娘アニャと、結婚してほしい」
2 years ago
“伊凡大人,请你和我的女儿阿尼亚结婚。”
「はい!?」
2 years ago
“是!?”
2 years ago
突然の懇願に、目が点となった。
2 years ago
突然的恳求使我目瞪口呆。