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養蜂家の青年は、おやつの時間を堪能する
养蜂家的青年,享受零食的时间
薪を背負い、家まで戻る。
背着柴火回家。
汗を掻いたからか、傷口が痛痒い。湧き水で顔を洗う。
也许是因为出汗了,伤口很痛很痒。用泉水洗脸。
清涼な水が、汗と汚れをきれいにしてくれた。
清凉的水把汗水和污渍都清理干净了。
すっきりして気が緩んだのだろう。うっかり布でガシガシ顔を拭いて絶叫してしまった。
心情舒畅而放松了吧。不小心用布擦了擦脸,尖叫了起来。
家からアニャが出てきて、地面に膝をつく俺の顔を覗き込む。
阿尼亚从家里出来,窥视着跪在地上的我的脸。
「ちょっと、何事なの?」
“喂,这是怎么回事?”
「思いっきり、布で顔を拭いてしまった」
“狠狠地用布擦了擦脸。”
「せっかく治りかけているのに、どうしてそんなことをするのよ」
“好不容易治好了,为什么要做那样的事呢?”
アニャに腕を握られ、家の中に連行されてしまう。再び、蜂蜜を直接顔に塗られてしまった。
被阿尼亚握住手臂,被带到家里。再次把蜂蜜直接涂在脸上。
「傷は刺激させないで。濡れたときは、自然乾燥させるのよ」
“不要刺激伤口。湿了的时候,要自然干燥。”
「はい」
“是的。”
治療が終わったようなので外に行こうとしたら、アニャに首根っこを掴まれた。
因为治疗好像结束了,所以想去外面的时候,被阿尼亚抓住了脖子。
「そろそろ休憩にしましょう。今日はお菓子を作ったから」
“差不多该休息了,今天做了点心。”
「わかった。マクシミリニャンのおじさんを呼んでくる」
“好的,我去叫马克西米莉娜的叔叔。”
「お願いね」
“拜托了。”
マクシミリニャンは屋根で覆っただけの薪小屋の前にいて、黙々と取ってきた木を積んでいた。
马克西米利尼亚在一个只被屋顶覆盖的柴棚前,默默地堆着取来的树。
よくよく見たら、薪と薪の間に木の枝のように細かくカットした角材を挟んでいる。
仔细一看,柴火和柴火之间夹着像树枝一样切细的角材。
「ああ、そうすれば、乾くのが早いんだ」
“啊,这样的话,干得快。”
マクシミリニャンはくるりと振り返り、コクリと頷いた。
马克西米利尼亚转头一看,点了点头。
「こうすれば、薪と薪の間に風が通り、乾きやすくなるのだ」
“这样一来,柴火和柴火之间就会通风,容易干燥。”
「俺、何も考えずに、薪だけをどんどん積んでいた」
“我什么都没想,只把柴火堆得满满的。”
これまで取ってきた薪も、同じように角材を挟んである。
至今为止拿来的柴火也同样夹着角材。
「薪の乾燥は、何よりも大事だからな」
“柴火的干燥比什么都重要。”
きちんと乾燥していないと、火保ちが悪くなる。弱い火のまま薪を消費し、どんどん追加しなければならない事態になるのだろう。
如果不好好干燥的话,保火就会变差。在弱火的情况下消耗柴火,会变成必须不断追加的事态吧。
「地上よりも、ここの冬は冷える。少しでも、薪が長保ちするよう、工夫をせねばならないのだ」
“比起地上,这里的冬天更冷。为了尽可能地保持柴火的长度,必须下功夫。”
「なるほどな」
“原来如此。”
薪小屋の全体を見ると、芸術的なまでに積み上がっていた。
从柴棚的整体来看,已经堆到了艺术性的程度。
最低でも二年以上乾燥が必要だというので、大変だ。
至少需要两年以上的干燥,所以很辛苦。
「飾り棚(キャビネット)を自作するときは、二年どころではないぞ。八年以上もしっかり乾かしてから、作っている」
“自制装饰架(橱柜)的时候,根本谈不上两年的时间,都是在晾干八年以上之后才做的。”
「八年も!?」
“八年了!?”
「木材に水分が含んでいると、歪みの原因になる。そのため、何年も乾かす必要があるのだ」
「如果木材中含有水分,就会造成变形,因此必须要晾干好几年。」
「そうなんだ」
“是啊。”
門や柵、ちょっとした小屋を作る場合は、そこまで乾燥させなくてもいいようだ。
在建造门、栅栏、小屋的时候,好像不用干燥到那种程度。
精巧な品を作るときのみ、数年にわたっての乾燥が必要になると。
只有在制作精巧的产品时,才需要经过数年的干燥。
角材を並べ、その上に薪を置く。きれいに並べると、見目もいい。その辺を気にしつつ、どんどん積んでいった。
摆上角材,在上面放上柴火。摆得漂亮,眼光也很好。我一边在意那一带,一边不断地堆积起来。
最後の薪を積んだ瞬間、アニャの声が聞こえた。
在最后堆柴火的瞬间,我听到了阿尼亚的声音。
「ちょっとイヴァン!! お父様を呼びに行くって、どこまで行っているのよ!!」
“喂,伊凡!!你要去叫你父亲,你到哪里去了!!”
「あ、ごめん」
“啊,对不起。”
姿は見えない。きっと、窓から外を覗き込んで叫んでいるのだろう。すばらしい声量だ。
看不见身影。一定是从窗户窥视外面喊着吧。好大的声量。
今はおやつの時間で、マクシミリニャンを呼びに行く目的で外に出たのをすっかり忘れていた。
现在是吃零食的时间,我完全忘了我是为了去叫马克西米利尼亚而出去的。
マクシミリニャンと共に小走りで家まで戻った。
和马克西米利尼一起小跑回家了。
アニャは機嫌を悪くしているのではと思ったが、笑顔で迎えてくれる。
我以为阿尼亚不高兴,但他会笑着迎接我。
怒っていないようなので、ホッとした。
我好像没有生气,所以松了一口气。
手を洗ったあと、席に着く。
洗完手后就座。
家の中は、ふんわりと甘い香りで包まれていた。いったい、何を作ってくれたのか。
家里弥漫着淡淡的甜香。到底给我做了什么。
マクシミリニャンが真面目な顔で、アニャに問いかける。
马克西米利尼亚一脸认真地问阿尼亚。
「アニャよ、何を作ったのだ?」
“阿尼亚,你做了什么?”
「蜂蜜の蒸しケーキよ。たくさん食べてね」
“蜂蜜蒸蛋糕,多吃点。”
「ありがとう」
“谢谢。”
アニャは蒸しケーキを切り分け、拳より大きな塊を皿に置いてくれた。
阿尼亚把蒸蛋糕切开,把比拳头还大的块放在盘子里。
そのまま食べるのではなく、さらに蜂蜜をかけるらしい。
不是直接吃,而是再浇蜂蜜。
「あれ、蜂蜜かと思ったけれど、違う?」
“咦,我还以为是蜂蜜呢,不是吗?”
「これはケーキシロップよ」
“这是蛋糕糖浆。”
砂糖と蜂蜜、ナッツパウダー、メープルシロップにウォッカを効かせて煮詰めたものらしい。
据说是在砂糖、蜂蜜、坚果粉、枫糖浆中加入伏特加煮成的。
甘い菓子に蜂蜜をかけると甘ったるくなるので、作ったものだとか。
在甜点心上浇蜂蜜的话会变得甜,所以是做的。
いったい、どんな味がするのか。楽しみだ。
到底有什么味道呢。我很期待。
アニャはケーキシロップを匙で掬って、たらーりとたっぷり垂らしてくれた。
阿尼亚用勺子舀起蛋糕糖浆,滴了很多。
テーブルにはナイフとフォークは置いていない。
桌子上没有刀叉。
ちらりと、マクシミリニャンを見てみる。
我看了一眼马克西米利尼亚。
ケーキシロップでひたひたになるほどの蒸しケーキをがしっと掴み、豪快にかぶりついていた。膝に広げたナプキンにケーキシロップが垂れるが、気にしている様子はない。
紧紧地抓住用蛋糕糖浆泡在一起的蒸蛋糕,豪爽地盖上了。摊开在膝盖上的餐巾上滴着蛋糕糖浆,但没有在意的样子。
その後、砂糖や蜂蜜を入れていない野草茶をごくごく飲んでいた。
之后,他喝了很多没有加糖和蜂蜜的野草茶。
マクシミリニャンは一人、コクコクと頷いている。おいしかったのだろう。
马克西米利尼亚独自点头。很好吃吧。
手掴みで食べるのがマナーのようなので、彼に倣って食べる。
用手抓着吃好像是礼仪,所以模仿他吃。
蒸しケーキはふわっふわで、力を少し入れただけで崩壊してしまいそうだ。
蒸制的蛋糕软软的,稍微用力一点就要崩溃了。
優しく掴み、ケーキシロップを垂れるのを気にせず頬張った。
温柔地抓住,不介意滴下蛋糕糖浆,大口大口地吃。
「んん!!」
“嗯!!”
蒸しケーキは夢みたいにふかふかで、しっとりしている。ケーキシロップの香ばしいような甘さが、蒸しケーキを優しく包み込む。
蒸蛋糕像做梦一样松软,湿润。蛋糕糖浆的香甜,温柔地包裹着蒸蛋糕。
「おいしい!!」
“好吃!!”
そう言うと、アニャは笑顔で「よかった」と返した。
这样说着,阿尼亚笑着回答说:“太好了。”。
穏やかな昼下がりを、アニャやマクシミリニャンと共にのんびり過ごした。
平静的午后,和阿尼亚和马克西米利尼一起悠闲地度过了。