養蜂家の青年は、義父と猟にでかける 养蜂青年和岳父出去打猎 日々、食卓に上がる肉は狩猟で得ている。 每天餐桌上的肉都是通过狩猎获得的。 街のほうでは狩猟できる期間が定められていて、秋から春先までと決まっている。春から子育てのシーズンとなるからだ。個体数の調整のためらしい。 街上规定了可以狩猎的时间,从秋天到初春。因为从春天开始是养育孩子的季节。好像是为了调整个体数。 一方で、山暮らしの家族には、禁猟なんてない。街に住む人達のように、皆がこぞって狩猟にでかけるわけではないからだ。 另一方面,对于住在山里的家人来说,没有什么禁猎的。因为并不是像住在街上的人们那样,大家都去狩猎。 むしろ進んで狩らないと、畑を荒らされたり、蜜蜂の巣箱を壊されたりする。人間と人間の扱う物は脅威であると、知らしめておく必要があるようだ。 倒不如说不主动狩猎的话,田地会被糟蹋,蜜蜂的蜂箱也会被破坏。人类和人类所处理的东西似乎是一种威胁,有必要让大家知道。 ここでの狩猟は、娯楽ではない。生きるために必要なものなのだろう。 在这里狩猎,不是娱乐。是为了生存而必要的东西吧。 なんとなく、マクシミリニャンが猟銃を片手に狩猟に出かける様子を想像していた。 总觉得,我想象着马克西米利尼亚一只手拿着猎枪外出狩猎的样子。 実際は異なる。獲物はすべて、罠で捕まえているらしい。 实际上不同。猎物好像都是用陷阱捕捉的。 今日はウサギを捕まえる罠を見せてもらうことにした。 今天我决定让他们看看捉兔子的陷阱。 ウサギの通り道に、仕掛けているようだ。 好像是在兔子的街道上设置的。 「罠猟の基本は、獲物を長い間苦しませないことだ」 “陷阱狩猎的基本是长时间不让猎物痛苦。” 罠をしかけたときは、毎日様子を見に行くようにするという。 据说设置陷阱的时候,每天都要去看情况。 長時間苦痛を与えるくくり罠や、鉄製のトラバサミなどは絶対に使わないと決めているらしい。 据说决定绝对不使用长时间带来痛苦的陷阱和铁制的虎钳等。 「かかっているといいのだが」 “挂着就好了。” マクシミリニャンが仕掛けた罠は、古きよき落とし穴。 马克西米利尼亚设置的陷阱是古老而美好的陷阱。 ウサギが脱出できないほど深く掘った穴に、木の棒や枯れ草を乗せたら完成。その上をウサギが通ったら、落下するというシンプルなもの。穴の底には、藁を敷いている親切設定らしい。 在兔子无法逃脱的深坑里,放上木棒和枯草就完成了。兔子从上面通过的话,就会掉下来,这是一种简单的东西。洞的底部好像是铺着稻草的亲切设定。 落とし穴を仕掛けた木には、赤く染めたリボンを結んでいるという。そうすれば、どこに罠を仕掛けたか一目瞭然なわけだ。 据说在设置陷阱的树上系着染成红色的丝带。这样的话,在哪里设置了陷阱就一目了然了。 たしかに、緑だらけの森の中で、リボンの赤はよく目立つ。すぐに発見できた。 确实,在满是绿色的森林中,丝带的红色很显眼。很快就发现了。 「おお、地上の仕掛けがなくなっておるな」 “哦,地上的装置不见了。” 「ウサギが落ちているってこと?」 “你是说兔子掉下来了?” 「まあ、そうだな。罠だけ落下して、中は空っぽという場合もある」 “嗯,是啊。也有只落下陷阱,里面空空如也的情况。” 「なるほど」 “原来如此。” 今のシーズンは子ウサギも歩き回っている。獲るのは成獣のみで、子どもは逃がしてやるらしい。 这个季节小兔子也在到处走动。捕获的只有成兽,孩子好像会逃跑。 穴を覗き込むと、ウサギが――いた。 窥视着洞,兔子——在。 ウルウルとした瞳を、覗き込む俺とマクシミリニャンに向けている。まるで、「助けてください」と訴えているように見える。 看着乌尔的眼睛,朝着窥视的我和马克西米利尼亚。看起来就像是在呼吁“请帮帮我”。 「お義父様、これ、成獣?」 “公公,这是成兽吗?” 「成獣だな」 「你真是成兽啊。」 マクシミリニャンは手にしていた網で、ウサギを掬った。ジタバタを暴れるウサギの手足を、素早く紐で結ぶ。 马克西米利尼用手里的网舀起兔子。用绳子快速地系上闹腾的兔子的手脚。 腰から太いナイフを取り出し、首筋を切り裂いた。 从腰上掏出一把粗刀,把脖颈切开。 ウサギは「キー!」と大きくもない声を上げ、すぐに息絶えた。ウサギは声帯がないので、そこまで大きな声を上げることはないらしい。 兔子大声喊着“钥匙!”,很快就断气了。兔子因为没有声带,所以好像不会发出那么大的声音。 だったらさっきの「キー!」はなんだったのか。マクシミリニャンに聞いたら「ウサギの神秘だ」と答えていた。ポカンとしていたら、「鼻孔の近くにある器官が変形して、そのような音が出るのだ」と解説してくれた。 那么刚才的“键!”是什么呢。我问了马克西米利尼亚,他回答说:“这是兔子的神秘。”。他解释说:“鼻孔附近的器官变形后会发出这样的声音。”。 どうやらウサギの神秘云々は、笑いところだったらしい。真面目に聞いてしまい、反省の意を示した。 看来兔子的神秘之类的,是笑的地方。认真地听了,表示了反省的意思。 血抜きをするために木にぶら下げておく。その間に、穴を埋める。 为了抽血把它挂在树上。在这期间填补漏洞。 「これ、使い回すわけじゃないんだ」 “这个,不是到处用的。” 「ああ。毎回、新しい穴を掘っておる。山の命をいただく以上、変に効率化させたくないだけなのだが」 “啊,每次都在挖新的洞。既然要山的命,我只是不想让它效率化。” 「そっか」 “是吗?” 街の禁猟に従うわけではないが、春先はどんどん狩猟するというわけではないようだ。 虽然不是遵从街道的禁猎,但初春似乎并不是不断地狩猎。 他にも落とし穴を掘っていたようで、本日は三羽のウサギを得た。 好像还挖了其他陷阱,今天得到了三只兔子。 三羽目のウサギを仕留めたのだが、ナイフを入れる位置を間違えて苦しませてしまった。 虽然找到了第三只兔子,但是放错了刀的位置,让它很痛苦。 落ち込んでいたら、マクシミリニャンは最初から上手くできる者はいないと、優しく励ましてくれる。 如果情绪低落的话,马克西米利尼亚会温柔地鼓励我说,从一开始就没有人能做得很好。 「命を奪う行為が上手くても、自慢にはならぬ」 “即使夺取生命的行为很好,也不能骄傲。” かといって、きれいごとだけでは生きてはいけないと、マクシミリニャンは言葉を続けた。 话虽如此,马克西米利尼亚继续说,不能只靠漂亮的事情生存。 本当に、その通りだと思う。 真的,我觉得是这样。 家に戻ると、マクシミリニャンはウサギの捌き方を教えてくれた。 回到家里,马克西米利尼亚教我如何处理兔子。 ウサギを持ち上げると、まだ温かかった。ウルウルとした瞳で見上げていた様子を思い出し、ウッとなる。 把兔子举起来,还很暖和。想起用乌尔的眼睛仰望的样子,很受欢迎。 「なんか、おかしいね。魚がウルウルとした目で見つめていても、なんとも思わずにナイフで命を絶つのに。ウサギは、可哀想に思ってしまうなんて」 “真奇怪,鱼用乌鲁鲁鲁的眼睛盯着看,却不由得用小刀结束了生命。兔子竟然觉得可怜。” 「その辺は、人間の愚かな部分なのだろう」 “这大概是人类愚蠢的部分吧。” 「間違いない」 “没错。” そんな話をしながら、再びウサギにナイフを入れる。 一边说着那样的话,一边再次把刀放进兔子里。 まず、椅子に座って膝に布を広げ、その上にウサギを乗せる。この状態で、捌くらしい。 首先,坐在椅子上,把布铺在膝盖上,然后把兔子放在上面。在这种状态下,好像很畅销。 「まずは腹から。穴を開けて、指先で裂いていく」 “首先从腹部开始。打开洞,用指尖撕开。” 腿でしっかりウサギを挟んで固定させ、ナイフを腹に滑らせる。そこに指先を入れて、内臓の全体が見えるまで裂いていくようだ。胃や腸などを丁寧に取り出したあと、ウサギを布に包んで膝の上から台に移す。 用腿紧紧地夹着兔子固定,把刀滑到肚子上。在那里放入指尖,直到能看到内脏的整体为止。仔细取出胃、肠等后,用布包好兔子,从膝盖上移到台上。 「四肢を切り落とし、腹のほうから皮を剥ぐのだ」 “把四肢切掉,从腹部剥皮。” ここでようやく、皮を剥ぐ。マクシミリニャンは簡単にするすると剥いていくが、これがけっこう難しい。 终于在这里剥皮了。马克西米利尼亚简单地做的话就会剥掉,但是这个很难。 下肢から後肢の皮を剥いでいって、尻尾は切り落とす。 从下肢剥下后肢的皮,尾巴剪掉。 「あとは、後肢を掴んで上半身のように引っ張る」 “然后,抓住后肢像上半身一样拉。” 少し力を加えたくらいで、皮は破れてしまいそうで恐ろしい。ゆっくり、ゆっくりと剥いでいった。 稍微加了点力,皮就要破了,很可怕。慢慢地,慢慢地剥掉了。 最後に、腱を切ったら、完全に皮と身は分離する。首もここで切り落とすようだ。 最后,切断肌腱后,皮和身体完全分离。脖子好像也在这里砍掉了。 「最後に、肛門付近の処理をする。ここで失敗したら、肉が台無しになるから、慎重にするように」 “最后处理肛门附近。如果这里失败,肉就会糟蹋,所以要慎重。” 「了解」 “确定” 再び腹から後肢まで刃を滑らせていき、肛門を切り取る。 再次从腹部到后肢滑动刀刃,切下肛门。 最後に胸からナイフを入れ、心臓や肝臓を取り除く。 最后从胸部放入小刀,去除心脏和肝脏。 やっと、ウサギは市場でよく見かける姿となった。 终于,兔子成了市场上常见的样子。 「あとは、アニャに調理を頼もう。よく、頑張った」 “还有,拜托阿尼亚做饭吧。好好努力了。” マクシミリニャンは血まみれの手を洗ってから、頭をガシガシと撫でてくれた。 马克西米利尼亚洗了沾满鲜血的手,然后咯吱咯吱地抚摸着我的头。 子どものような褒め方だったが、なんだか嬉しかった。 虽然是像孩子一样的表扬方法,但总觉得很开心。 夕食に、ウサギ料理が並んだ。 晚饭上摆了兔子料理。 ウサギの串焼きに、ウサギのシチュー、ウサギのソーセージと、ごちそうである。 烤兔子串、炖兔子、香肠,真是美味佳肴。 どれもおいしかったけれど、落とし穴に落ちたウサギのウルウルとした目は忘れられそうにない。 虽然哪个都很好吃,但是掉进陷阱的兔子乌尔的眼睛好像忘不了。 なんというか、生きるって大変なんだなと、改めて思ってしまった。 怎么说呢,我再次想到了生存是很辛苦的。