養蜂家の青年は、ボーヒン湖の近くの村にたどり着く 养蜂青年到达博欣湖附近的村庄 マクシミリニャン親子が生活するボーヒン湖の近くには、“リブチェフ・ラズ”という名の小さな村がある。そこまで、馬車が一日一本行き来しているのだ。 在马克西米利尼亚父子生活的波欣湖附近,有一个名为“利布切夫·拉兹”的小村庄。马车一天一辆地来往于那里。 一度も止まらずに馬車を飛ばしたら一時間。乗客を降ろしつつゆっくりだと二時間程度の道のりである。秘境と言われているが、ブレッド湖からさほど離れていない。 一次也不停地开马车就一个小时。一边让乘客下车一边慢慢走的话是两个小时左右的路程。虽说是秘境,但离布莱德湖不远。 しかし家から遠出したことのない俺にとっては、大冒険である。 但是对于没有出过远门的我来说,这是一次大冒险。 馬車に乗り、生まれ故郷をあとにした。 坐上马车,离开了出生的故乡。 窓の外に、雄大なブレッド湖が見えた。馬車が走り出すと、だんだん遠ざかっていく。 窗外,我看到了雄伟的布莱德湖。马车一开走,就渐渐远去了。 俺の人生は、物心ついたころからブレッド湖と共に在った。 我的人生,从懂事的时候开始就和布莱德湖在一起。 春は湖畔で走り回り、夏は泳ぎ、冬はボートを漕いで遊んだ。関わりはそれだけではない。養蜂園の花々は、湖からくんだ水で育てられている。日々口にしていた蜂蜜は、ブレッド湖の豊富な水が作り出したと言っても過言ではないだろう。 春天在湖畔跑来跑去,夏天游泳,冬天划船游玩。关系不仅如此。养蜂园的花朵是用湖水培育的。每天吃的蜂蜜,可以说是布莱德湖丰富的水创造出来的。 気分が沈んだ日は、決まってブレッド湖を眺めにいっていた。 心情低落的日子,一定要去眺望布莱德湖。 美しい孤島の教会や、水面で跳ねる魚、のんびり泳ぐ白鳥を眺めていると、不思議と気分が穏やかになるのだ。 看着美丽的孤岛教堂、水面上跳跃的鱼、悠闲地游泳的白鸟,心情就会变得不可思议地平静。 時に遊び場となり、時に生活を助け、時に励ましてくれる。 时而成为游乐场,时而帮助生活,时而鼓励。 これまで、ブレッド湖との関わりは切っても切れないものであった。 到目前为止,与布莱德湖的关系是无法割舍的。 そのブレッド湖が、遠ざかっていく。 那个布莱德湖渐渐远去。 いいや、ブレッド湖のほうが遠ざかっているのではなく、俺が離れていっているのだ。 不,不是布莱德湖离得远,而是我离得远。 なんだか寂しいような、悲しいような。切ない気分になり、瞼が熱くなる。 总觉得寂寞,悲伤。心情变得悲伤,眼睑发热。 すると、昨日サシャから受けた目元の傷がズキズキと痛んだ。 于是,昨天从萨沙那里受到的眼角的伤咯吱咯吱地痛了。 どうやら、今の俺は感傷的になることすら許されていないらしい。 看来,现在的我连伤感的事情都不被允许。 強く生きろというわけか。 你要坚强地活下去吗。 太陽の光を浴びたブレッド湖の水面は、キラキラと輝いていた。 沐浴在阳光下的布莱德湖水面,闪闪发光。 まるで、人生に幸あれと、祝福してくれているようにも見える。 简直就像是在祝福我人生幸福一样。 ガタン! と馬車が揺れたのと同時に、ブレッド湖は見えなくなった。 加坦!马车摇晃的同时,布莱德湖看不见了。 これからは、強く生きなければならない。 从现在开始,必须坚强地活下去。 守ってくれる家族はいない。俺が、守る側に立たなければならないのだ。 没有守护我的家人。我必须站在守护的一方。 果たして、財もない甲斐性なし野郎が結婚なんてできるのか。 到底,没有财产的没有甲斐性的家伙能结婚吗。 俺を選んだマクシミリニャンの目が、節穴でないことを祈るばかりである。 我只祈祷选择我的马克西米利尼亚的眼睛不是节孔。 馬車は三人掛けであるが、大柄のマクシミリニャンがどっかり腰掛けると、大人は二人しか座れなくなる。 马车是三人座的,但是大个子的马克西米利尼亚坐在一起的话,大人只能坐两个人。 マクシミリニャンの腕は、太ももかと思うほどがっしりしていた。 马克西米利尼亚的手臂结实得让人以为是大腿。 山での暮らしが、彼の体を筋肉質にしているのか。 难道在山上的生活,使他的身体变得有肌肉吗。 自分の腕と比べてみる。毎日朝から晩まで働いても、マクシミリニャンのようにムキムキにはならない。 和自己的本事比一比。即使每天从早到晚地工作,也不会像马克西米利尼那样变成木屐。 しばらく山で暮らしたら、筋肉質な体になるのだろうか。 如果在山上生活一段时间,身体会变得肌肉发达吗。 気になるところだ。 我很在意。 もしかしたら、同じ山暮らしのアニャも、筋骨隆々なのかもしれない。マクシミリニャンの娘である。間違いないだろう。 也许,同样生活在山上的阿尼亚也是筋骨隆隆的。这是马克西米莉娜的女儿。应该没错吧。 俺とは生まれも育ちも異なる娘である。しかし、マクシミリニャンのように気の良い人物であれば、上手くやっていけるだろう。 她是一个和我出生和成长都不一样的女儿。但是,如果是像马克西米利尼亚那样脾气好的人的话,会做得很好吧。 初めての馬車旅である。早速、馬車の振動で尻がこっそり悲鳴をあげていた。 这是第一次马车旅行。立刻,马车的振动屁股偷偷地发出了悲鸣。 マクシミリニャンを横目で見てみたが、腕を組んで微動だにしていない。彼はきっと、尻にも厚い筋肉がついているのだろう。羨ましいものだ。 我从侧面看了看马克西米利尼亚,他挽着胳膊一动不动。他一定是臀部也有很厚的肌肉吧。真羡慕。 乗り合いの馬車は定員六名で、商人らしき中年男性や旅装束の若者がいる。彼らもボーヒン湖の近くにあるリブチェフ・ラズまで行くものだと思っていたのに、途中で降りてしまった。 乘坐的马车定员6名,有像商人一样的中年男性和穿着旅行服装的年轻人。我以为他们也要去博欣湖附近的里布切夫·拉兹,结果中途下车了。 リブチェフ・ラズまで行くのは、俺とマクシミリニャンだけのようだ。 去里布切夫·拉兹的好像只有我和马克西米利尼。 「母君から預かった弁当は、この辺りで食べたほうがよいな」 “从母亲那里寄存的便当,最好在这附近吃。” 口数が少ないマクシミリニャンは、それだけしか言わない。よくわからなかったが、ひとまず弁当を食べる。 沉默寡言的马克西米利尼亚只会说这些。虽然不太清楚,但先吃便当。 その三十分後に、早く食べたほうがいい理由に気付いた。 在那三十分钟后,我意识到了早点吃比较好的理由。 村に近づくにつれて、道がガタガタになる。馬車が大いに揺れるので、気分が悪くなってしまった。 越靠近村子,道路越崎岖。马车颠簸得很厉害,我感到不舒服。 そんな状況でも、マクシミリニャンは表情や姿勢を崩さなかった。さすが、山暮らしの男である。 即使在这种情况下,马克西米利尼亚也没有破坏表情和姿势。不愧是住在山里的男人。 このように揺れては、食事もままならなかっただろう。早めに食べておいてよかったと、心から思った。 这样摇晃的话,连饭都吃不下了吧。我从心底觉得早点吃真是太好了。 あとは、食べたものが外に出ないよう、耐えるばかりである。 之后,为了不让吃的东西出去,只能忍耐。 「イヴァン殿、あと少しの辛抱だ」 “伊凡大人,还有一点耐心。” 「……了解」 “……明白。” ぼんやりと窓の外を眺める。森の中をひたすら進んでいた。鬱蒼とした森で、気分まで滅入りそうになる。 呆呆地望着窗外。在森林里一个劲儿地前进。在郁郁葱葱的森林里,连心情都快要消失了。 しかし、森を抜けると、景色がガラリと変わった。雄大な山々に囲まれる湖が見える。 但是,穿过森林,景色完全变了。可以看到被雄伟群山包围的湖泊。 「あれが、ボーヒン湖?」 “那就是波欣湖?” 「しかり」 “批评” 湖の水は驚くほど澄んでいる。湖面はエメラルドグリーンに見えるところもあれば、スカイブルーに見えるところもある。見る角度によって、さまざまな色を見せてくれるようだ。 湖水清澈得惊人。湖面既有看起来是翡翠绿的地方,也有看起来是天蓝色的地方。根据看的角度,可以看到各种各样的颜色。 ただただ、ボーヒン湖の美しさに見とれてしまった。人間がほとんど手をつけていない、そのままの大自然がここにはある。 只是,被波欣湖的美丽所吸引。这里有人类几乎没有动手的大自然。 いい大人なのに、心が震えて少し涙ぐんでしまったのは内緒だ。 虽然是个很好的大人,但内心却发抖,有点流泪,这是秘密。 ブレッド湖から馬車でゆっくり走ること二時間。ボーヒン湖の近くにある村、リブチェフ・ラズにたどり着いた。 从布莱德湖坐马车慢慢跑两个小时。我们到达了位于博欣湖附近的村庄里布切夫·拉兹。 「山羊の飼料を買って帰ろうぞ」 “买山羊饲料回去吧。” 「山羊……」 “山羊……” いまだ信じられないが、マクシミリニャンとアニャは、大きな山羊に跨がって崖を上り下りしているらしい。背中に鞍を乗せ、弓のように反った大きな角を持って移動しているようだ。山羊といったら、中型犬ほどの大きさという認識でいる。 虽然到现在还不能相信,但是马克西米利尼亚和阿尼亚好像是跨着大山羊从悬崖上爬下来的。背上放着马鞍,像弓一样拿着弯曲的大角移动着。山羊有中型犬那么大的认识。 けれど、彼らが乗り回す山羊は、雌はロバくらいの寸法で、雄はロバより一回り大きいらしい。どんな姿形をしているのかでさえ、まったく想像できないでいた。 但是,他们骑的山羊,雌性的尺寸和驴子差不多,雄性的尺寸好像比驴子大一圈。连它是什么样子都无法想象。 リブチェフ・ラズは石造りの家が並ぶ、田舎の農村といった感じだ。雄大な山々に囲まれた地の、唯一の村である。 里布切夫·拉兹是一座石造的房子鳞次栉比,给人一种乡村的感觉。这是唯一一个被雄伟群山包围的村庄。 ボーヒン湖で採れる黄金マスが名物で、それを目当てに各地から訪れる者もいるという。 据说在波欣湖采集的黄金鳟鱼是有名的,也有为了这个而从各地来访的人。 「この辺りのマス料理店は、かつてここに保養に来ていた貴族に向けて出店されたものである。それゆえに、ぼったくり価格なのだ」 “这附近的鳟鱼料理店是面向曾经来这里疗养的贵族开店的。因此,价格是很高的。” 「今でも?」 “即使是现在?” 「今でも、だな」 “现在也是。” 現在は各国で苛烈な革命活動が起こり、昔ながらの貴族は減少している。けれど、富裕層がふらりとやってきて、しっかり散財してくれるようだ。 现在各国都发生了激烈的革命活动,以前的贵族在减少。但是,富裕阶层突然来了,好像会好好地挥霍。 「山の蜂蜜も、そういう者達が好んで買っていくのだ」 “山上的蜂蜜也是这些人喜欢买的。” 「なるほど」 “原来如此。” 貴族に成り代わる存在が、経済を支えてくれている。さぞかしありがたいことだろう。 代替贵族的存在支撑着经济。想必很难得吧。 「ブレッド湖も、昔は貴族が多く行き来していただろう?」 “布莱德湖以前也有很多贵族来往吧?” 「俺が生まれたころには、ほとんどいなかったな」 “我出生的时候,几乎没有。” 「そうであったか」 “是吗?” 街には、貴族に向けた店が多く並んでいた。ブレッド湖の街の経済を、貴族が支えていた時代の話である。 街上排列着很多面向贵族的店铺。这是一个贵族支撑着布莱德湖街道经济的时代的故事。 印象的だったのは、貴族御用達の人形店で、ずっと売れ残っていた金髪碧眼の少女人形。 令人印象深刻的是,在贵族御用的人偶店,一直卖不出去的金发碧眼少女人偶。 ずっと、店のショーウィンドウに飾られていたが、俺が八歳か九歳になる頃には、忽然と姿を消した。 一直被装饰在商店的橱窗里,到我八岁或九岁的时候,突然消失了。 ミハルに話を聞いたら、少女の瞳がサファイアだったので、店主が解体し宝石商へ売り払ったのだという。瞳をくり抜かれた人形は、処分されたのだろう。それを考えると、気の毒な話である。 听了米哈尔的话,因为少女的眼睛是蓝宝石,所以店主解体卖给了珠宝商。被挖出眼睛的人偶被处理了吧。想到这一点,真是可怜。 金髪碧眼の少女人形が店頭からなくなってすぐに、人形店は閉店となった。 金发碧眼的少女人偶从店里消失后,人偶店马上关门了。 その昔は、瞳に宝石を使った人形が、飛ぶように売れていたらしい。それほど、貴族は多くの財を有していたのだろう。 从前,瞳孔中使用宝石的人偶卖得飞快。贵族拥有那么多的财产吧。 ただ、貴族が優遇される時代は終わった。 但是,贵族受到优待的时代已经结束了。 時代の移り変わりについて行けず、廃業となった店は多いという。 据说很多店铺因无法跟上时代的变迁而停业。 先日、マクシミリニャン親子が皇家御用達の養蜂家と聞いて、心配していた。だが、マクシミリニャンの営む養蜂はその煽りを受けておらず、堅実な生活をしているようだ。その一点だけは、よかったと思う。 前几天,听说马克西米利尼亚父子是皇家御用的养蜂家,我很担心。但是,麦克西米利尼亚经营的养蜂并没有受到其煽动,过着坚实的生活。只有那一点,我觉得很好。 村は田舎の農村、といった感じか。 感觉村子是乡下的农村。 ブレッド湖のように観光地ではないので、若干寂れているような場所もある。 因为不像布莱德湖那样是观光地,所以也有一些寂寞的地方。 周囲には放牧した家畜と、のどかな田畑が広がっていた。 周围有放牧的家畜和悠闲的田地。 収穫期には、安価で小麦粉や蕎麦粉が買えるという。 据说在收获期,可以便宜地买到小麦粉和荞麦粉。 すれ違う人々は、顔面包帯男である俺を見てギョッとしていた。最大限に警戒されていたが、マクシミリニャンが一緒なのに気付くと、途端に警戒が解かれる。 擦肩而过的人们,看着作为脸部绷带男人的我,吓了一跳。虽然被最大限度地警戒着,但是一注意到马克西米莉娜在一起,警戒就被解除了。 「マクシミリニャンさん、そちらの方は?」 “马克西米莉娜小姐,您那边呢?” 「アニャの――」 “阿尼亚的——” 「ああ、なるほど」 “啊,原来如此。” 仲がいいのか、マクシミリニャンの言葉足らずな説明でも理解してくれたようだ。 关系好吗,即使是马克西米利尼亚的语言不清楚的说明也能理解。 「アニャさんがきたときには、また頼みますね」 “阿尼亚来的时候,我会再拜托你的。” 「ああ、伝えておこう」 “啊,我来告诉你吧。” 村人は会釈し、去って行った。 村民点头致意,离开了。 マクシミリニャンは、村人とも良好な関係を築いているのだろう。 马克西米利尼亚和村民也建立了良好的关系吧。 「ああ、そうであった。納品先である、商店を紹介しよう」 “啊,是的。我来介绍一下交货地--商店。” 村のなんでも屋で、野菜から鍋までありとあらゆる品物が揃っているらしい。 村里什么都有,从蔬菜到火锅应有尽有。 蜂蜜のシーズンになると、山を下りて買い取りしてもらっているようだ。 到了蜂蜜的季节,好像是下山买来的。 「ここなのだが――むっ!?」 “就是这里——嗯!?” 平屋建ての大きな店で、ブロンズ製の皇室御用達の看板がぶら下がっている。 在平房的大商店里,悬挂着青铜制的皇室御用招牌。 入ろうとしたところ、店休日という札がドアノブにかけられているのに気付いた。 正要进去的时候,发现店休息日的牌子挂在门把手上。 マクシミリニャンはわかりやすく、しょんぼりと肩を落とす。 马克西米利尼亚很容易理解,垂头丧气地耸了耸肩。 「イヴァン殿、どうやら店は、休みだったようだ」 “伊凡大人,店里好像休息了。” 今日のところは、店主に会わなくてもよかったのかもしれない。顔面包帯男を紹介されても、先ほどの村人のように困惑するだけだろう。 也许今天不见店主也可以。即使介绍了面部绷带男,也只是像刚才的村民一样困惑吧。 店は猫騎士亭という名で、初老の男性が独りで切り盛りしているらしい。 店名为猫骑士亭,据说是初老男性独自打理的。 また次回に、という話になった。 又到了下次。 「あとは、アニャに帰宅を知らせておくか」 “之后,我会通知阿尼亚回家吗?” 「え?」 “诶?” 「急に帰ったら、驚くからな」 “突然回去的话,会很吃惊的。” いったいどういうことなのか。まさか、麓から「これから帰るぞ!」と叫ぶのか。それとも、早馬のように山の上まで至急手紙を届けることができるのか。 到底是怎么回事。难道是从山脚下喊着“现在要回去了!”吗。还是说,能像快马一样把信送到山上呢。 予想は、どちらとも外れだった。 预想都落空了。 「鳩を使って、知らせるのだ」 “用鸽子通知你。” 「ああ」 “啊。” かつて、貴族の間で鳩レースが流行っていたらしい。しかし、時代の移り変わりで貴族は鳩レース場に訪れなくなった。困った事業主は、鳩に別の活用法を見いだす。それが、伝書鳩だったという。 以前,在贵族之间流行鸽子比赛。但是,随着时代的变迁,贵族不再去鸽子竞技场啦。困难的事业主在鸽子身上发现了另一种活用方法。据说那就是信鸽。 鳩は賢く、最長でブレット湖の街にまで手紙を届けてくれるようだ。 鸽子很聪明,最长会把信送到布莱特湖的街道上。 赤い屋根の事務局の隣に、鳩小屋がある。覗き込むと、美しい白鳩だった。 在红色屋顶的事务局旁边,有一间鸽子小屋。窥视的话,是美丽的白鸽。 マクシミリニャンは伝書鳩専用の小さな便せんに、実に簡潔な『アニャへ 今晩戻る』という内容を書いていた。それを、鳩に託す。 马克西米利尼亚在信鸽专用的小信纸上写了一篇非常简洁的《今晚回到阿尼亚》。把那个托付给鸽子。 「これでよし、と」 “这样就好了。” すぐに手紙を持たせた鳩は、大空へと放たれた。 马上让他拿着信的鸽子被放飞到了天空。 続けて、本来の目的を果たす。 继续,完成本来的目的。 「さて、山羊の飼料を買うか」 “那么,买山羊饲料吗?” 飼料店は営業していたので、ホッと胸をなで下ろした。 饲料店在营业,松了一口气。 ここでも、包帯だらけの顔を見てギョッとされる。しかし商人だからか、すぐに笑顔で接客をしてくれた。 在这里,看到满是绷带的脸也会被吓一跳。但是也许是因为是商人,所以马上笑着接待了我。 「ありがとうございました」 “谢谢。” 「また、来るぞ」 “又来了。” 「お待ちしております」 “恭候您的光临。” これにて、村での用事は終わる。あとは、山を登ってマクシミリニャンの家を目指すばかりだ。 这样,村里的事情就结束了。之后,只登上山,以马克西米利尼亚的家为目标。 店で買った飼料を、しっかり背負う。 把在店里买的饲料背好。 乾燥させた牧草でも買うものだと思いきや、最初に購入したのは青々とした細麦の束だった。 原以为即使是干燥的牧草也会买,没想到最初买的是一捆青翠的细麦。 他に小麦の外皮や、乾燥させた藁も購入した。 另外还购买了小麦的外皮和干燥的稻草。 これらの飼料は、背負子(しょいこ)に積んで運ぶ。 这些饲料装在背上搬运。 力仕事は得意だ。家から持ってきた鞄と外皮の大袋を三袋、細麦の束をこれでもかと積んでしっかり紐で縛る。 擅长力气活。把从家里带来的包和外皮的大袋装上三袋,把细麦束装上,用绳子绑好。 「そのようにたくさん持って、大丈夫なのか?」 “拿那么多,没关系吗?” 「平気。力と体力だけはあるから」 “没关系,只有力量和体力。” 「そうか。ならば、頼むぞ」 “是吗?那就拜托你了。” 買い物は以上らしい。基本的には、自給自足で頑張っているようだ。 购物到此结束。基本上,他似乎在自给自足地努力。 そのため、よほどのことがない限り、食材を買い込まないという。 因此,据说只要没有特别的事情,就不会购买食材。 「何か、必要な品はあるか?」 “有什么需要的东西吗?” 「いや、特にないけれど」 “不,没什么特别的。” 「そうか。ならば、我が家へ行くぞ」 “是吗?那就去我家吧。” 「了解」 “确定” マクシミリニャンと共に村を出て、山の中腹にあるという家を目指す。 和马克西米利尼一起离开村子,以位于半山腰的房子为目标。 「麓から家まで、どのくらいかかるの?」 “从山脚到家要多久?” 軽い気持ちで問いかけた質問に、マクシミリニャンは思いがけない答えを返した。 对于以轻松的心情提问,马克西米利尼亚回答了意想不到的回答。 「早かったら八時間くらいか。暗くならないうちに、帰れたらいいな」 “快的话八个小时左右。趁天还没黑回去就好了。” 「は、八時間以上!?」 “是,8小时以上!?” 秘境を、甘く見ていた。長くても、登山は二時間くらいだと思っていたのだ。 把秘境看得很甜。我以为即使很长,登山也要两个小时左右。 背負子の飼料が、急に重くなったように感じる。 背孩子的饲料突然感觉变重了。 果たして、無事山の家にたどり着けるものなのか。 到底能平安到达山之家吗。 もはや、不安しかなかった。 已经只有不安了。