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養蜂家の青年は、薪を作る
养蜂青年做柴火
二人がかりで、川まで大木を運ぶ。と言うよりは、緩やかな斜面を転がすと表現したほうが正しいのか。
两个人把大树运到河里。与其说是这样,不如说是在缓慢的斜坡上滚动才是正确的吗。
大木は俺たちを置いて、どんどん下っていく。そのまま川に落とすのかと思いきや、せき止めるように川縁に経つ木の前で止まっていた。
大树丢下我们,不断往下走。原以为会就这样掉到河里,没想到在河边的树前停了下来。
マクシミリニャンは川辺の木杭に結んである紐をたぐり寄せる。川から上げられたのは、紐が巻かれたくさびを打ち込んだ、丸太である。それは赤子ほどの大きさだった。さすがに、そのまま川に沈めるということはしないようだ。
马克西米利尼亚把系在河边木桩上的绳子拉过来。从河里抬起来的是把缠着绳子的楔子打进的原木。它有婴儿那么大。真不愧是,好像不会就这样沉入河里。
同じような紐がいくつかあった。すべて、川に樹液を洗い流す目的で沈めた丸太なのだろう。
有几个一样的绳子。全部都是为了在河里冲洗树液而沉没的原木吧。
「ここにある紐、全部引き上げるの?」
“这里的绳子,全部拉上来吗?”
「ああ、そうだ」
“啊,对了。”
マクシミリニャンと二人がかりで、川に沈めた丸太をどんどん引き上げていく。
和马克西米利尼亚两个人一起,把沉入河里的原木不断地拉上来。
赤子ほどの丸太は十個くらいあった。
像婴儿一样的原木有十个左右。
今度は先ほど運んできた大木を、川に沈めるらしい。
这次好像把刚才运来的大树沉入河里。
マクシミリニャンはのこぎりを手に取り、まるでパンをカットするかのごとくサクサクと大木を切り分ける。
马克西米利尼拿着锯,就像切面包一样,松脆地切开大树。
「その木、堅い?」
“那棵树硬吗?”
「そこまで堅くはない」
“没有那么硬。”
トネリコという、弓や槍など、武器に使われる木材らしい。煙が少なく、火力が強いことから、真冬の薪として重宝しているようだ。
据说是被称为托内利科的弓和枪等武器使用的木材。因为烟少,火力强,所以作为隆冬的柴火很方便。
「イヴァン殿も、やってみるか?」
“伊凡大人也要试试吗?”
「うん」
“嗯。”
足で木を踏んで固定させ、のこぎりの歯を当てる。
用脚踩着木头固定,用锯齿抵住。
実家では、よく養蜂箱作りをしていた。のこぎりの扱いは慣れている。
在老家经常做养蜂箱。我习惯用锯。
このトネリコの木は、よほどやわらかいのか。信じられないくらい、切りやすそうに見えた。
这棵树相当柔软吗。看起来很容易剪到难以置信的程度。
だが――。
但是——。
「うぐっ!!」
“哇!!”
トネリコの木は、マクシミリニャンがしていたようにサクサク切れない。全力でのこぎりを押しては引きを繰り返したのちに、やっと切れた。
托涅里科的树不能像马克西米利尼亚做的那样松脆。全力推着锯反复拉,终于断了。
トネリコの木がやわらかいわけではなく、マクシミリニャンの筋力がとんでもないのだ。 同じように切れると思った十分前の自分を、叱り飛ばしたい気分になる。
托涅里科的树并不是柔软的,麦克西米利尼亚的肌力是意想不到的。想斥责同样认为断的十分前的自己的心情。
「しだいに、慣れる」
“渐渐习惯了。”
本当にそうなのだろうか? 怪しく思ってしまった。
真的是这样吗?我觉得很奇怪。
切り分けた丸太に紐を結んだくさびを打ち込み、川へ沈める。流されないよう、木杭に結んだらしばらく放置して樹液を洗い流すのだ。
在切开的原木上打上系着绳子的楔子,沉入河中。为了不被冲走,系在木桩上后放置一段时间,冲洗树液。
先ほど川から上げた丸太は、切り分けてから運ぶらしい。マクシミリニャンは丸太から薪を作る方法を教えてくれる。
刚才从河里举起的原木,好像是切开后再搬运。马克西米利尼亚会教你如何用圆木做柴火。
「まず、この丸太の切り口に打ち込んだくさびを、石のハンマーで叩くのだ。さすれば、丸太が割れる」
“首先,用石头锤子敲打打进原木切口的楔子。这样的话,原木就会裂开。”
マクシミリニャンがハンマーでトントントンと叩くと、丸太に裂け目ができた。今度は、くさびを表面の裂け目に差し込み、ハンマーで叩いていく。くさびを使って裂け目をどんどん広げていくと、丸太は真っ二つに割れるのだ。
马克西米利尼亚用锤子咚咚地敲了一下,圆木上出现了裂缝。这次,把楔子插入表面的裂缝,用锤子敲。如果用楔子不断地扩大裂缝,原木就会裂成两半。
実に簡単にやってくれたが、初めてやる俺にとっては重労働であった。汗だくになった末に、なんとか丸太を割ることに成功した。
其实做得很简单,但对第一次做的我来说是重劳动。汗流浃背地,总算把原木打碎了。
もちろん、これで終わりではない。真っ二つにした木を、おのと木づちを使って四分割から八分割ほどに割るのだ。
当然,这不是结束。把切成两半的树,用斧头和木槌从四分割分成八分割。
「へー、木づちを使うんだ」
“啊,用木槌。”
「おのだけならば、腕が疲れてしまうからな」
“如果只是自己的话,胳膊会累的。”
マクシミリニャンは木の切り口におのを当て、柄を木づちで叩く。
马克西米利尼亚用斧头抵住树的切口,用锤子敲柄。
一発で、木を真っ二つにした。
一枪,把树劈成两半。
「この通り」
“就是这样。”
「おお」
“哦。”
薪割りも実家でやっていた。だが、木づちを使う方法は初めてである。
劈柴也是在老家做的。但是,使用木锤的方法还是第一次。
マクシミリニャンがやっていたようにおのの刃を木に当てて、柄を木づちで叩いた。
就像马克西米利尼亚做的那样,把斧头放在树上,用锤子敲了一下花纹。
すると、そこまで力を入れずとも、木が切れていく。あっという間に、パッカリと二つに分かれた。
于是,即使不用力,树也会断。一眨眼就分成了两个。
「これ、すごい。やりやすい!」
“这个很厉害,很容易做!”
「だろう?」
“是吧?”
これまで、薪割りは重労働であった。しかしこのやり方であれば、それほど体力を消費せずにできただろう。
到目前为止,劈柴是一项繁重的劳动。但是如果是这样的话,就不会消耗那么多体力了吧。
簡単に割れるのが面白くて、どんどん薪を作っていく。
简单地裂开很有趣,不断地做柴火。
その様子を、マクシミリニャンが涙目で見ているのに気づいてギョッとした。
我注意到马克西米莉娜用眼泪看着那个样子,吓了一跳。
「え、何? どうしたの?」
“啊,什么?怎么了?”
「いや、娘婿に、こうして技術を継承できることに対し、感激を覚えてしまい……」
“不,对女婿能这样继承技术,我感到很感激……”
「いや、まだ結婚していないから」
“不,我还没结婚。”
話しているうちに、マクシミリニャンはだーっと涙が零れ始めた。
说着说着,马克西米莉娜开始流眼泪了。
マクシミリニャンといい、アニャといい、涙もろい親子である。
无论是马克西米莉娜还是阿尼亚,都是脆弱的亲子。
ハンカチを差し出したら涙を拭い、鼻までかんで返してくれた。戻ったら、洗わなければならないだろう。
拿出手帕擦干眼泪,擤鼻涕还给了我。回来的话,必须要洗吧。
背負子に薪を積み、下ってきた坂を上がっていく。これが、地味に辛い。
背上堆着柴火,爬上了下来的坡。这个很朴素很辛苦。
「明日はきっと、筋肉痛かも」
“明天一定会肌肉痛。”
「それも、じきに慣れる」
“那也很快就习惯了。”
慣れたころには、マクシミリニャンのように筋骨隆々になっているのか。
习惯了的时候,像马克西米利尼亚一样筋骨隆起吗。
それも悪くはないけれど、俺の貧相な顔つきに筋肉は似合いそうにないなと思ってしまった。
虽然这也不坏,但我觉得肌肉不适合我贫穷的表情。