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# 303 崖を下る (2)
303崖下(2)
最初に俺たちの後に続いたのは、ユキだった。
最先跟在我们后面的是雪。
これは、事前に決めていたとおり。
这正如事先决定的那样。
時間を空けると、再度飛んでこないかという確認のためと、万が一飛んできても、ユキなら防げるという判断。
为了确认空出时间后是否会再次飞行,即使万一飞来,雪也可以防止。
だがその懸念は無用だったようで、ユキは襲撃を受ける事もなく俺たちの隣へ降り立つ。
但是那种担心似乎是无用的,雪没有受到袭击就来到了我们身边。
「ふぅ、少し緊張した」
“呼,有点紧张。”
「お疲れ。っても、ユキも『隔離領域アイソレーション・フィールド』が使えるんだから、もし飛んできても大丈夫だろ?」
“辛苦了。但是,雪也可以使用“隔离领域隔离领域隔离领域”,所以如果能飞过来也没关系吧?”
「あたしので防げるか判らないもん! ナオのは堅いけどさ」
“我不知道能不能防御!那是很硬的”
「……まぁ、消費魔力に比例するしな、強度は」
“……嘛,和消费魔力成比例的,强度是”
俺もフライング・ガーを防ぐ時、どれくらい魔力を使うか悩んだし。
我在防御飞行器的时候也烦恼了要使用多少魔力。
不要になって解除したところで、消費した魔力が戻ってくるわけではないのだから、不必要に強固な障壁を作っても、魔力の無駄使いである。
即使解除了不必要的魔力,消耗的魔力也不会恢复,所以即使形成了不必要的坚固屏障,也是魔力的浪费。
「けど、同じ場所に飛んで来ないのは間違いないみたいだな。……どのぐらいの間かは不明だが」
“但是,好像肯定不会飞到同一个地方。……虽然不知道要多久”
「そうだね。これも、ダンジョンの罠みたいな物なのかな? 一度発動すれば、復活まではしばらく時間が掛かるタイプの」
“是啊。这也是迷宫的陷阱吗?一旦发动,到复活为止需要一段时间的类型”
「お魚、もう飛んでこないの?」
“鱼已经不飞了吗?”
少し残念そうなミーティアに、俺とユキは苦笑する。
面对稍微有些遗憾的美蒂亚,我和小雪苦笑着。
吻の凶悪さにさえ対処できれば、ある意味、待っているだけでお魚食べ放題である。
只要能应对吻的凶恶,某种意义上,只要等待就可以随便吃鱼。
「ボスが復活するみたいに、こちらもしばらくすれば復活すると思うぞ?」
“就像老板复活一样,你觉得过一会儿我们也会复活的?”
「だよね。ボスと同じなら数週間ぐらいかな? でも、罠だったら数日ぐらい?」
“是啊。和老板一样的话大概几周左右吧?但是,如果是陷阱的话大概要几天?”
「良かったの!」
“太好了!”
そう言って嬉しそうに笑うミーティアを見て、俺たちは再び苦笑。
看到这样开心地笑着的Media,我们再次苦笑。
トーヤはこの魚で結構危険な目に遭ったのだが、それはそれとして魚が得られる事を喜べるあたり、ミーティアは相当に逞しく、かなり冒険者に向いている性格かもしれない。
虽然Toya在这条鱼中遭遇了相当危险的事情,但是它在高兴能得到鱼的时候,Media是相当坚强的,可能是相当适合冒险者的性格。
ユキに続いて降りてきたのはメアリで、その後からナツキ、ハルカ、最後はトーヤ。
紧接着雪而下的是玛丽,之后是枣树、春树,最后是托亚。
ただしトーヤは、縄梯子を回収して、ロープのみの懸垂下降。
但是,托亚回收了绳梯,只悬垂下了绳子。
トーヤの使ったロープはこのまま置いておく予定である。
火炬使用的绳子打算就这样放着。
「無事に着いたわね。えっと、ここは……」
“平安地穿上了呢。嗯,这里是……”
二〇メートルあまり降りてきたわけだが、あまり景色に変化は無かった。
虽然下了20多米,但是景色没有太大变化。
相変わらず谷の底は見えないし、滝も規模が大きすぎて、この程度の高低差では見え方も変わらない。
依旧看不到谷底,瀑布的规模也太大了,这种程度的高低差看不到的样子也没有改变。
岩棚の奥からは岩壁をえぐるような形で細い道が続いているが、ここは岩が庇になっているために、上からは見えなかった部分。
从岩架的深处,像挖洞岩壁一样的细道一直延续着,但是因为这里的岩石是屋檐,所以从上面看不到的部分。
雨が降っても濡れる心配が無い点は良い通路と言えるかもしれないが――いや、そもそも雨って降るのか? ダンジョン内で。
下雨了也不用担心会被弄湿,这也许可以说是一条很好的通道?在地牢里。
普通なら『あり得ない』と言うところだが、上を見れば雲のような物も見えるだけに、ないとも言い切れない。
一般来说是“不可能”的地方,但是看上面的话也能看到像云一样的东西,也不能说没有。
「あの通路を進んで、先があるのか、また行き止まりで、崖を降りる事になるのか……」
“沿着那条路走,是有前方,还是在尽头,是要下山……”
「あたしは、また崖を降りる方だと思うかな? パターン的に」
“你觉得我又是从悬崖上下来的人吗?模式化”
「同じタイプの罠? が一回で終わりというのは無さそうに思えますね」
“同类型的陷阱?我觉得没有一次就结束的感觉”
ユキの言葉にナツキが頷き、トーヤも滝の上部を指さして口を開く。
夏树对雪的话点头,托亚也指着瀑布的上部张开嘴。
「せっかく、ロケーションが良いわけだしな」
“难得有这么好的位置啊。”
フライング・ガーが飛んでくるのは、トーヤの指さした滝の上部、水が落ち始める場所。
飞蛾飞过来的地方是火炬指的瀑布的上部,水开始掉落的地方。
そこから真っ直ぐに射線が通っているからこそ、高速で突っ込んでこられるわけで、あれがゆっくり飛んできたら、脅威でも何でもない。
正因为射线从那里笔直地通过,所以才能够高速地冲过来。
「あんまり嬉しくもねぇけどな」
“我也不怎么高兴。”
肩をすくめて苦笑したトーヤだったが、それに異を唱える声が。
是缩肩苦笑了的toya,不过,对那个念异的声音。
「でも、お魚はたくさんなの!」
“但是,有很多鱼啊!”
たくさんの魚が詰まった袋を覗き込み、ニコニコ顔でそう言ったのはミーティアである。
窥视着装满了很多鱼的袋子,微笑着这么说的是米蒂亚。
そんなミーティアの後ろから、そっと覗き込み、やはり嬉しそうなのはメアリ。
从米蒂亚的背后偷偷窥视,果然还是很开心的。
俺たちと来るまでは、魚を食べた記憶が無いという二人だったが、たまに食卓に上る魚は凄く気に入っている様子で、それと同じ物をこの魚にも期待しているのだろう。
在和我们来之前,两个人都没有吃过鱼的记忆,但是偶尔在饭桌上看到的鱼很喜欢,所以也很期待这种鱼吧。
まだこの魚が美味いと決まったわけじゃないのだが……ま、楽しめるのは良い事か。
虽然这条鱼还没决定好吃……不过,能享受是好事吗。
「これならきっと、毎日食べられますね!」
“这样的话,每天一定能吃到呢!”
「うん! 二匹ずつ食べても、当分は食べられるの!」
“嗯!就算各吃两只,也能暂时吃掉!”
そんな二人の様子に、俺たちは顔を見合わせて笑った。
看到两个人的样子,我们相视而笑。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
幸か不幸か、トーヤの予想は的中した。
是幸还是不幸,托亚的预想中了。
しばらく歩くと、通路はやはり行き止まりとなっていて、崖下を観察すれば、岩棚が何カ所か。
走了一会儿,通道还是停了下来,观察崖下,有几处岩架。
先ほどと同様の方法で下に降りれば、革袋の魚が増える。
用和刚才一样的方法下楼的话,皮袋里的鱼就会增加。
ミーティアたちの笑顔も眩しい。
米蒂亚他们的笑容也很耀眼。
なので、彼女たちにとっては幸運なのだろう。
所以,对她们来说是幸运的吧。
もちろん俺たちも、あごだしに期待していないわけでは無いのだが。
当然我们也不是不期待下巴。
そんな事を更に三度ほど繰り返して、下に降り続けた俺たちだったが、谷底が見えないのは相変わらず。
那样的事再重复三次,我们一直下到下面,但是谷底看不见还是老样子。
一体どんだけ高いのかと。
到底有多贵啊。
少しずつ、霧が深くなっているように感じるので、底に近づいているのは間違いないのだろうが、一カ所ごとにロープが減っていくのが、気になると言えば気になる。
因为感觉雾渐渐变深了,所以一定是接近底部了吧,但是如果说在意的话,还是会在意每个地方绳子的减少。
今回、ここを訪れるにあたって、銘木を売ったお金で十分な準備は整えて来ているし、ロープもかなりの数を揃えてはいるのだが、当然ながら無限にあるわけではない。
这次访问这里,卖了名牌的钱已经准备好了,绳子也准备了很多,当然也不是无限的。
丈夫なロープは高価だし、ラファンで売られている数にも限りはあるのだ。
结实的绳子很贵,拉风机卖的数量也有限。
命を預けるのに、安物を買うわけにもいかないからな。
因为就算是寄存生命,也不能买便宜的东西。
「そろそろどうするか、考えるべきかもしれないわね。だんだん暗くなっているし」
“也许该考虑一下该怎么办了。天渐渐黑了”
何故か見える太陽っぽい物が傾き、夕暮れの気配がしてきたところで、ハルカがため息をつきつつ、そんな提案をした。
不知为何,一种太阳般的东西开始倾斜,在黄昏的气息中,春香一边叹气,一边提出了这样的建议。
何か区切りとなる物があれば、俺も言おうとは思っていたのだが、変化が無いだけに機を逸していたところ。
如果有什么告一段落的话,我也想说,但正因为没有变化,所以才错过了机会。
「そうですね。ここで野宿というのは、少し厳しいですから」
“是啊。在这里露宿有点严格”
「ますます水気が強くなっているからな」
“因为水气越来越强了。”
最初の岩棚は、風に吹かれて細かな水しぶきが飛んできている、という感じであったが、この辺りになると、周囲はもう完全に霧に沈んでいた。
最初的岩架,感觉被风吹得细小的水花飞溅而来,到了这附近,周围已经完全沉浸在雾里了。
濃霧と言うほどではないのだが、それでも視界が悪くなっている事は間違いなく、【索敵】で感知して、避ければ良いだけのフライング・ガーに対し、アローヘッド・イーグルを撃ち落とす事には、少し苦労するようになっていた。
虽然不算浓雾,但即便如此,视线还是会变差,用【索敌】感知,避开就可以了的飞行器,击落Arroheade Eagle也有点辛苦。
もっとも、フライング・ガーの数がほぼ一定なのに比べると、アローヘッド・イーグルは、崖を下りる度にその数を減らしていた。
不过,与飞行机的数量几乎是固定的相比,Arroheade Eagle每次下山都会减少飞行机的数量。
先ほど崖を降りた時には、一度に一羽、二羽しか飛んでこなかったので、さほど問題にはなっていないのだが。
刚才从悬崖上下来的时候,一次只飞了一两只,所以没什么问题。
それよりも問題なのは、身体が濡れる事。
比起这个问题,身体会被弄湿。
時々、ハルカが『浄化ピュリフィケイト』で乾かしているのだが、乾いた状態なのは僅かな時間。
时常,Haruka用『净化Pricato』弄干着,不过,干燥的状态是一点点的时间。
またすぐに、全身ずぶ濡れ、雨に降られたような状態になってしまう。
而且马上全身湿透,就像被雨淋了一样。
暑ければ『これもまた良し』なのかもしれないが、今の気温は過ごしやすい気温。
如果热的话也许是“这个也不错”,但是现在的气温是很容易度过的气温。
逆に言うなら、濡れ鼠になってしまうと、普通に寒い。
反过来说,如果变成了落汤鸡的话,就很冷了。
これが地味に体力を奪うし、濡れた状態では足下も手も滑りやすくなる。
这样会剥夺体力,在湿了的状态下脚下和手都容易滑。
特に毎回ロープで懸垂下降する事になるトーヤは、苦労していた。
特别是每次都要用绳子悬垂下来的火炬,很辛苦。
途中からは全員外套を着込んで、内側まで濡れないようにしているのだが、霧というのは案外厄介な物で、完全には防げないのだ。
从中途开始全体人员都穿上外套,尽量不让里面都淋湿,但雾其实是很麻烦的东西,完全无法防御。
しかも、外套を着込んでいる事で、行動も阻害される。
而且,穿着外套的话,行动也会受到阻碍。
当然ながら、こんな状態で野営などしてしまうと、体力を回復するどころの話じゃなく、下手をすれば体調を崩して、風邪をひく。
当然,在这种状态下露营的话,根本谈不上恢复体力,搞不好会搞坏身体,感冒。
「……ねぇ、これって、この長い崖を含めての罠なのかな? 温かく休めるところが無い上に、戻るのにも体力が必要。かなりキツくない?」
“……呐,这是包括这个长崖在内的陷阱吗?既没有温暖可以休息的地方,回去也需要体力。不是很难受吗?”
ユキが少しうんざりしたようにそう言うと、降りてきた崖の高さを見上げ、更に下を見下ろして底が見えない事に、ため息をつく。
雪好像有点厌倦了似的,抬头看了下来的悬崖的高度,再往下看,看不见底,叹了一口气。
「そうね。私たちの場合、魔道具の快適テントがあるから、まだマシだけど……」
“是啊。我们有魔道具的舒适帐篷,还好……”
「だからこそ、あそこで出たんじゃねぇの? 快適テント」
“所以才在那里出来的吧?”?舒适帐篷”
「先に進むのに必要なアイテムだから、か。ありがちではあるな。ゲームでは」
“因为是前进所需要的道具,所以呢。这是常有的事。在游戏中”
「この状態では、火を熾すのにも苦労しそうですよね。……私たちはともかくとして」
“在这种状态下,生火似乎也很辛苦呢。……我们姑且不论”
普通に薪を持っていれば濡れてしまうだろうし、火口も湿りそうなこの状況では、普通の火打ち石で火を熾す事も難しい。
一般来说,如果拿着柴火的话,可能会被淋湿,而在火口也会湿润的情况下,用普通的火石来烧火也是很难的。
つまり、焚き火で身体を温める事も難しいわけで。
也就是说,用篝火温暖身体也很难。
俺たちは薪をマジックバッグに入れてあるため、乾燥したままだし、魔法を使えば火起こしも可能。大分恵まれている。
我们把柴火放在魔术包里,所以一直很干燥,使用魔法的话也可以生火。非常幸运。
「薪はたくさんあるの!」
“有很多柴火!”
「お魚、焼きますか?」
“鱼要烤吗?”
救いなのは、ミーティアたちが元気いっぱいな事か。
拯救我们的,是美蒂亚他们充满活力的事情吗。
お魚たっぷりなのが嬉しいのか、獣人故に基礎体力が違うのか、体格的には同じぐらいなのに、俺たちの中で一番グロッキー状態のユキと比べると……。
是因为有很多鱼而高兴呢,还是因为是兽人所以基础体力不同呢,虽然体格上差不多,但是和我们中最棘手的雪相比……。
まぁ、ユキの方は魔法を使っているだけに、体力面よりも精神的な疲労感の方が強いのかもしれないが。
嘛,因为雪使用魔法,比起体力方面精神上的疲劳感可能更强烈。
「それは、二〇層に戻ってからにしましょ。その方が安心して食べられるし」
“那就等回到二十层再说吧。这样可以放心吃”
「もう戻るのか?」
“你要回去了吗?”
「あと一回ぐらいは降りられそうですが……」
“好像还能再下一次……”
ハルカの提案にそう言ったのは、トーヤとナツキ。
在Haruka的提案中这样说的是,toya和枣。
対してユキは、小さく息を吐くのみ。
与此相对,雪只会微微吐出一口气。
「ユキは大丈夫か?」
“小雪没事吧?”
「んー、あと一回ぐらいなら? ただ、戻る時はナオの転移に便乗させてね?」
“嗯,还有一次的话?只是,回来的时候让他搭上娜奥的转移?”
「了解。距離もさほど遠くないし、大丈夫だろ」
“明白。距离也不远,没关系吧”
魔力の消費量は俺も多いのだが、エルフと人間の違いか、ユキよりは余裕がある。
我也有很多魔力的消费量,但可能是精灵和人类的区别吧,比雪有更多的余地。
「それじゃ、もう一回降りてから、二〇層に戻って野営にしましょ。お魚も焼いて、ね」
「那么,再下一次之后,再回到20层野营吧。鱼也烤一下吧”
「やったー、なの!」
“太好了!”
素直に喜びを表すミーティアと、控えめながら笑みを浮かべて嬉しそうなメアリ。
米蒂亚坦率地表达了喜悦,玛丽一边控制着一边微笑着,看起来很开心。
そんな二人に和みつつ、下の岩棚を確認して降りる。
一边和着这样的两个人,一边确认下面的岩石架后下车。
既に数度繰り返し、慣れた作業。
已经反复几次,习惯了的工作。
ルーチン化し、各自の役割もおおよそ固定されてスムーズに事が進む。
程序化,各自的作用也大致固定,顺利进行。
だが、それがマズかったのか。
但是,那是不是太糟糕了。
異変が起きたのは、ナツキが降りている時だった。
发生异变是在枣落下的时候。
「――えっ?」
“——诶?”
縄梯子を固定している上部の岩壁が、突如崩れた。
固定着绳梯的上部的岩壁突然崩塌了。
宙に浮くナツキの身体。
飘浮在空中的枣的身体。
岩棚からの高さは一〇メートルあまりだろうか。
从岩石架的高度大概有十米多高吧。
現在の身体能力であれば、怪我はしても死ぬ事は無いだろうが、問題はそこでは無い。
如果是现在的身体能力的话,即使受伤也不会死,但是没有问题。
ナツキの上から落下してくる、崩落した岩の塊。
从枣树上掉下来的、崩塌的岩石块。
それの下敷きになっても大丈夫、なんて事はあり得ないだろう。
即使被它压在下面也没关系,这种事是不可能有的吧。
彼女が悩んだのは一瞬。
她烦恼的是一瞬间。
薙刀を岩壁に叩きつけ、岩の落下地点から身体をずらす。
将剃刀敲打在岩壁上,身体从岩石落下的地方移动。
それによって岩の脅威からは逃れられたが、その代償は、岩棚の上から外れるという事。
因此从岩石的威胁中逃出来了,但是代价是从岩架上掉下来了。
そのまま落下すれば、崖下へ一直線。
如果就这样下落的话,就会向悬崖下一条直线。
俺はハルカやユキに視線を走らせ、その位置を確認。
我将视线投向了遥和雪,确认了那个位置。
うん、無理。
嗯,不行。
俺は即座に、横を落下していくナツキに向かって跳んだ。
我立刻朝着从旁边掉下来的大枣跳去。
タイミング的にはギリギリ。
时间上很紧。
かなりの加速度が付いたナツキの腕を掴み、引き寄せる。
抓住有相当加速度的枣的手臂,将其拉到身边。
「ナツキ! しがみつけ!」
「海枣!紧紧抱住!”
「はい!」
“是的!”
ナツキの両手が俺の背中に回ったのを確認し、俺はナツキのハーネスをしっかりと両手で掴む。
确认了枣的双手在我背上转动,我用双手紧紧抓住了枣的线束。
だが俺も、命綱を付けていたわけでは無い。
但是我也没有系上救生索。
ミスと言えばミス。
说到错误就是错误。
だが、命綱を付けていたらいたで、ナツキを掴む事もまたできなかっただろう。
但是,因为系上了救生索,所以又没能抓住枣吧。
「ナオーーー!!」
「ナオーーース33.」
ハルカの叫び声が響く中、俺はナツキを抱き締めたまま、深い霧の中へと落ちて行った。
在Haruka的叫声中,我抱住了枣,掉进了浓雾中。