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# 279 二〇層のボスに挑む (2)
挑战2792层的BOSS(2)
ボスが吐き出した息。
恶霸吐出的气息。
それは当然の様に炎を纏っていた。
那个理所当然地缠绕着火焰。
ターゲットはトーヤ。
目标是火炬。
俺たちの方にも多少は影響があったが、十分に避けられる範囲。
虽然对我们多少也有影响,但是是可以充分避免的范围。
それに対して、中心にいたトーヤの方は――。
与之相对,在中心的火炬手是——。
「ぬわっっっと!」
“哇!”
炎に巻かれないようにか、尻尾を丸めて前に飛び込み、その流れでボスの足に向かって剣を振るう。
为了不被火焰卷住,蜷着尾巴向前跳水,然后顺势向BOSS的脚挥舞剑。
しかし――。
但是——。
ガツーン!
哇!
響いたのは、なんとも硬質な音。
回响的是硬质的声音。
だがまったく効果が無かったわけではないようで、ボスは「ブモモモモッ!」と、苛立たしげな声を上げて、ガンガンと足を踏み鳴らす。
但是并不是完全没有效果,BOSS说发出如此令人着急的声音,使劲地跺着脚。
そしてそれを避けるように距離を取るトーヤ。
然后为了避免那个而保持距离的火炬。
「無理! ヘルプ!」
“不行!帮助!”
一撃を入れてみて、そう判断したのか、トーヤは即座に俺たちに対して助けを求めた。
也许是一击后,TOYA做出了这样的判断,他立刻向我们求助。
「でしょうね。急所が高すぎるもの。素直に遠距離攻撃で斃しましょ」
“是吧。要害太高的东西。坦率地在远距离攻击中死去吧”
「だな。ナツキ、トーヤと一緒に牽制を頼む」
“是啊。夏树,和火炬一起请求牵制”
「はい」
“是的。”
「ユキは、ブレスの牽制な」
“雪是手镯的牵制。”
「りょーかい」
“旅行”
ボスの背後を窺っていたナツキもボスの前方へと移動し、トーヤと共に左右に分かれてボスの注意を惹く。
窥探BOSS背后的枣也向BOSS的前方移动,和TOYA一起向左右分开吸引BOSS的注意。
トーヤの方へ向かおうとすればナツキが薙刀で切りつけ、ナツキの方に顔を向ければ、トーヤが踏み込んで足を攻撃。
朝着火炬方向的话,夏树用剃刀砍开,朝着枣的方向看的话,火炬就会踩进去攻击脚。
ブレスを吐こうとすれば、ユキが速度を優先した、低威力の魔法でチマチマと邪魔をする。
如果打算吐出呼吸,雪以速度优先,用低威力的魔法和奇玛进行干扰。
そうやって時間を稼いでいる間に、俺とハルカが十分に魔力を込めた威力のある魔法を頭へと叩き込む。
在这样挣时间的期间,我和Haruka向头里灌输了充分注入了魔力的有威力的魔法。
だが、頭蓋骨の防御力はなかなかに高いようで、傷を与える事はできるものの、致命傷までには至らない。
但是,头盖骨的防御力似乎很高,虽然可以给予伤害,但还不至于致命伤。
そして当然、顔面に攻撃を続ける俺とハルカに対するヘイトは大きいようで、トーヤやナツキの挑発を振り切って、俺たちの方へ突進してくる事も何度かあったのだが、迫力と速度はあっても、途中で方向転換ができないのであれば、ある程度の距離を保った俺たちであれば容易に避けられる。
当然,我和Haruka的脸上持续攻击的黑伊德好像很大,也有好几次甩开toya和枣的挑衅,向我们突进,但是即使有魄力和速度,中途也不能转换方向的话保持一定距离的我们很容易避免。
そんな状況で、あまり派手さの無い、じわじわと削り続けることしばらく。
在这种情况下,不要太过花哨,一点一点地持续削短时间。
転換点は、俺の魔法がボスの鼻の穴に吸い込まれた事だった。
转折点是,我的魔法被老板的鼻孔吸入了。
さすがに鼻の穴を閉じる事はできなかったようで、ボスは悲痛な叫びを上げて大きく動きが乱れた。
到底是不能关上鼻孔,boss发出了悲痛的叫声,大幅度的动作混乱了。
それにより、ユキも牽制に留まらない攻撃が行えるようになり、やがてボスは膝を折り、地響きを立てて地面へと横たわったのだった。
因此,雪也可以进行不受牵制的攻击,不久老板膝盖弯曲,发出地声躺在了地上。
「ふぅ……地味に魔力を使った」
“呼……朴素地使用了魔力”
「場所が悪いわよね」
“地方不好啊。”
俺が深く息をつくと、ハルカもまた同意するようにホッと息を吐いた。
我深深地叹了一口气,Haruka也好像同意似的舒了一口气。
デカブツを相手にする時、俺たちの基本戦略としては目や口を狙うのだが、今回のボスはとにかく頭の位置が高い。
在面对大块头的时候,我们的基本战略是以眼睛和嘴巴为目标,但是这次的BOSS的头部位置很高。
頭を上げている状態では目なんてまともに見えず、頭を下げている時には角が邪魔をしてなかなかに難しい。
抬起头的状态下眼睛是看不清的,低头的时候角会妨碍到人,很难做到。
たまに上手く狙えた時も、単純に距離がある為、速度が足りなければ目に直撃なんてしないし、速度優先だと瞼まぶたを閉じられただけでも、案外威力が殺される。
偶尔瞄得好的时候,也只是单纯的有距离,速度不够的话不会直击眼睛,速度优先的话只要闭上眼皮,威力就会意外地被杀。
この牛の皮、地味に防御力、高かったらしい。
这张牛的皮防御力似乎很高。
結果、ちょっとずつ削る事になり、ボスの頭はなかなかに酷い状態である。
结果,一点一点地削,老板的头是相当厉害的状态。
「全員怪我もせずに斃せたが……なんとも、見所の無い戦いだったな」
“全员都没有受伤就死了……真是一场没有看头的战斗啊。”
トーヤは全員が無事だった事にホッと息をつきつつも、少々不満げな表情を浮かべる。
Toya对全员都平安无事的事情松了一口气,脸上浮现出不满的表情。
「別にトーヤが首を切り落としてくれても良かったのよ?」
“另外托雅可以砍下他的头吗?”
「無理に決まってるだろ。むしろ可能性があるのはナツキだろうが……」
“这肯定不行吧。倒不如说有可能的是枣树……”
「私も無理です。首の骨を両断できるような筋力は無いですし、頸椎の隙間を通せるほどの技量は無いですから」
“我也不行。因为没有能将脖子骨两断的肌肉力量,也没有能通过颈椎缝隙的技术”
トーヤに視線を向けられたナツキもまた、首を振る。
被火炬盯上的枣也摇了摇头。
実際、普通サイズのストライク・オックスですら首の両断なんて厳しいのに、このサイズになったレッド・ストライク・オックスの首を切り落とすなど、少なくとも現状の武器を使っている限り、不可能だろう。
实际上,即使是普通大小的好球·牛克斯,也很难做到脖子的两断,但只要能切掉变成这个尺寸的红·好球·牛克斯的头等,至少使用现状的武器,就不可能。
「でも凄いの! こんなに大きいの、斃しちゃったの! お肉たっぷりなの!」
“但是很厉害!这么大的,居然死了!肉很足!”
倒れたボスに恐る恐る近づき、ツンツンしても動かない事を確認したミーティアが、嬉しそうにパシパシと叩きながら笑顔を浮かべる。
米蒂亚战战兢兢地接近倒下的老板,确认了即使摆架子也不会动,高兴地拍着脸露出笑容。
「まぁ、一頭だったからね」
“嘛,因为是一头呢。”
「俺たちからすれば、普通サイズが一〇頭来る方が危ないな」
“在我们看来,普通尺寸来十头比较危险。”
純粋に手数の問題で。
纯粹是由于手续的问题。
逆にいくら巨大でも相手が一頭なら、遠距離攻撃さえあれば、チマチマとダメージを与えられる。
相反,无论多么巨大,只要对手只有一头,只要有远距离攻击,就会受到奇玛和伤害。
後はどちらの体力・魔力が先に尽きるか、である。
之后是哪一方的体力·魔力先尽。
「でも私だと、とても斃せるイメージが浮かびません」
“但是如果是我的话,很难想象死的印象。”
メアリもまたボスの死体へと近づき、自分の持つ武器とボスの巨大さを見比べて、困ったような表情を浮かべている。
玛丽也再次接近老板的尸体,对比自己的武器和老板的巨大,脸上露出为难的表情。
「それはオレも同じだなぁ……。無理して跳び上がるのも……いや、危ないな」
“那个我也一样啊……。勉强跳上去也……不,危险啊”
フィクションなら、巨大な身体に飛び乗って、上からグッサリとかありがちだが、実際にやるとメチャメチャ危険だろう。
如果是虚构的话,跳上巨大的身体,很容易从上面一下子跳出来,但实际做起来却是非常危险的。
少なくとも今の俺たちの身体能力でそんな事をすれば、簡単に足を踏み外して転落、踏み潰される事になったはずだ。
至少以我们现在的身体能力做那样的事的话,应该会很容易失足跌落,被踩垮的。
トーヤも似たような事を思ったのだろう。
想必Toya也有类似的想法吧。
自分の身長と倒れてもなお高いボスの胴体を見上げ、大きく首を振る。
抬头看自己的身高和倒下后仍高的BOSS的身体,用力摇头。
「しっかし、このサイズの敵、魔法が無い冒険者ってどうやって斃してるんだ? オレもそれなりに強くなったつもりだったんだがなぁ……」
“话说,这个尺寸的敌人,没有魔法的冒险者是怎么死的?我也觉得自己也相应地变强了啊……”
少し悔しそうなトーヤは、自分の持つ剣と、先ほど攻撃して跳ね返された箇所を見比べ、ため息をついた。
看起来有点后悔的TOYA对比着自己拿着的剑和刚才攻击被弹回的地方,叹了一口气。
一応、ダメージは与えて、血も流れてはいるのだが、どちらかと言えば表皮一枚切っただけ。
大体上,给予了伤害,流着血,不过,要说起来只是切了一张表皮而已。
脚の骨を砕くには程遠く、並の攻撃で足を崩す事が難しいのは明白である。
要粉碎脚的骨头还差得很远,很明显很难用普通的攻击搞垮脚。
「それは、順当に足から削っているんでしょ。弓とかで牽制しつつ」
“那个是按照顺序从脚开始削的吧。用弓牵引着”
「そうですね。倒してしまえば、問題無さそうですし」
“是啊。如果打倒了的话,就没问题了”
「オレがそれなりに力を入れて、あの状態なのに?」
“我就那么用力,明明是那种状态?”
「でもあの時、トーヤは転がりながら切りつけてたよね? ちゃんと腰を入れて切ってたら、もっとダメージを与えてたんじゃないかな?」
“但是那个时候,火炬是一边滚一边切的吧?如果好好地腰部切伤的话,会不会给对方更大的伤害呢?”
「う~ん、そうかも?」
“嗯,可能是吧?”
その時の事を思い出したのか、少し考えてからトーヤは頷く。
大概是想起了那时候的事情吧,稍微考虑了一下,TOYA点了点头。
「というか、ハルカたちが頭じゃなくて脚を狙えば、もっと早く片が付いたんじゃねぇの?」
“这么说来,如果春香他们不是用头而是用脚来瞄准的话,不是更早就有碎片了吗?”
確かに、俺とハルカが硬い頭にこだわらず、一本の足の関節、そこを集中して攻撃してれば、もう少し早く崩れたかもしれないが――。
确实,如果我和Haruka不拘泥于坚硬的头,集中一根脚的关节,集中攻击那里的话,也许会更早地崩溃——。
「え? 脚を攻撃したら、モモの肉が取れなくなるかもしれないし?」
“啊?攻击脚的话,可能会掉不到桃子的肉?”
「そうそう。頭は食べる所、無いからな」
“对了对了。因为头没有吃的地方”
子牛の脳みそを食べる、みたいな話は聞いた事あるが、少なくとも俺たちの中にはそれを食べようと言う奴はいないし、ゲテモノ好きでも無ければ、敢えて頭の肉を食べようとも思わないだろう。
我听说过吃小牛的脑浆之类的话,但至少我们当中没有人想吃它,如果不喜欢吃东西的话,也不会特意去吃头上的肉吧。
食事中の絵面がかなりよろしくないし。
吃饭时的画面也不太好。
そもそもこの牛の頭はでかすぎる。
这头牛本来就太大了。
対して、牛のモモ肉は結構美味い。
相对的,牛的大腿肉非常好吃。
たくさん取れる機会を逃すのは勿体ない。
错过能取得很多的机会是很可惜的。
モモ肉を使ったローストビーフとか、良いよね?
用了桃子肉的烤牛肉之类的,不错吧?
「かぁーー、この二人は、妙なところで息が合うな!?」
“啊,这两个人,别在奇怪的地方合得来啊。”
「えー、私とナオがお似合いだなんて。褒めても何も出ないわよ?」
“嗯,我和娜娜很相配。就算表扬也不会有任何收获吧?”
「そんな事言ってねぇー! ――いや、似たようなもんか? んん?」
“我没说那种话!——不,是相似的东西吗?嗯?”
茶化すように言ったハルカに対し、トーヤは叫んだ後、首を捻って考え込む。
面对说要嘲弄的春香,托亚喊了之后,绞尽脑汁沉思。
そんなトーヤを宥めるようにナツキが割って入る。
枣劈开进入,仿佛是在安慰那样的火炬。
「まぁまぁ、斃せたんだから良いじゃありませんか」
“嘛,既然死了不是挺好的吗?”
「そうそう。メアリとミーティアも、モモ肉、食べたいよな?」
“对了对了。玛丽和米蒂亚也想吃桃子肉吧?”
「えっと……は、はい」
“呃……是的。”
「牛のモモ肉、美味しいの!」
“牛的桃子肉很好吃!”
トーヤの事を窺いつつも頷いたメアリに、そんな事関係ないとばかりに素直な気持ちを口にするミーティア。
梅阿里一边观察着托雅一边点了点头,米蒂亚似乎在说这件事和她没有关系。
うん、正直なのは良い事だぞ?
嗯,说实话是件好事哦?
ステーキで食べるなら、霜降りのピッカウが美味しいのだが、薄切りにするローストビーフ、ミンチにするハンバーグ、燻製にするビーフジャーキーなんかは、赤身の多いストライク・オックスが美味いのだから。
如果用牛排来吃的话,霜降的牛肉很好吃,但是切成薄片的烤牛肉、肉末的汉堡、熏制的牛肉干等,因为瘦肉多的好球·牛克斯很好吃。
「それじゃ、さっさと片付けましょ。……ダールズ・ベアーを入れた袋に入るかしら? 無理そうなら、ある程度切り分けないとダメだけど……」
“那么,赶紧收拾吧。……能装进装了戴尔兹·贝勒的袋子里吗?如果不行的话,一定程度上不切开是不行的……”
「とりあえず血抜きをしている間に準備しましょう」
“总之先趁着抽血的时候准备吧。”
「だよね。これだけのサイズだと、血の量もバカにならないし……」
“是啊。这么大的尺寸的话,血的量也不能小看……”
正確なところは判らないが、少なく見積もっても、軽く一〇〇リットルは超えるだろう。
虽然不知道准确的地方,但即使估计得少,也会轻超过100升吧。
俺たちは協力して血抜きに取りかかり、その間にマジックバッグを準備。
我们协助抽血,在这期间准备了魔术包。
血が止まったところで、その巨体を何とかマジックバッグの中に押し込んだのだった。
血刚停下来,就想办法把那个巨大的身体塞进了魔术包里。
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