# 322 副業は必要? (1) 322需要副业吗?(1) 「お疲れ様でした。ナオくん、ユキ」 “辛苦了。娜奥君,小雪” 「あぁ、少し疲れたな」 “啊,有点累了。” 俺たちが関わる酒蔵作りは、昼頃には一旦終わりとなった。 和我们有关的酿酒厂的制作,在中午左右就结束了。 地下室部分の壁を作り、建物の土台を固めた後は、シモンさんに『後は儂らでやるから問題ねぇ』と言われ、お役御免になったのだ。 在建造地下室部分的墙壁,巩固了建筑物的基础之后,西蒙先生对我说:“之后由你们来做,没问题。”。 なので、今も外からはトンテンカンと、工事の音が聞こえている。 因此,现在也能从外面听到工程的声音。 「けど、やっぱりこっちの大工さんは凄いよね。作業が凄く早いもん」 “但是,这位木匠果然很厉害啊。工作非常快” 「この家ができる時も思いましたが、やはりそうですよね」 “我也想过要建这个房子,果然是这样啊。” 「ナツキたちの味噌は終わったんだよな?」 “大枣们的大酱结束了吧?” 「はい、仕込み自体は。できあがりにはしばらく掛かりますが、楽しみにしていてください」 “是的,训练本身是。完成需要一段时间,请期待” 「あぁ。ところで、酒の方はどうにかなりそうなのか? あれ、どう見てもかなり力が入ってるが……」 “啊。话说回来,喝酒的人怎么这么多呢?咦,怎么看都很用力……” そう言いながら俺が指さすのは、窓の外の工事現場。 一边这样说着,我一边指的是窗外的施工现场。 シモンさんが還元云々を言ったところで、あれだけのコストを掛けて何もできませんでした、では少々マズい気がする。 西蒙先生说了还原之类的话,花了那么多的成本什么也做不了,那么感觉有点不好。 「そのあたりは、トミーたちが頑張るでしょ。麹菌と米、場所の提供はしたんだから」 “在这一点上,汤姆他们会努力的吧。因为提供了曲霉菌和大米的场所” 「成功はして欲しいですけどね。米が入手しやすくなるかもしれないですし」 “我希望你能成功。说不定大米很容易入手” ナツキたちの興味はそこか。 夏树他们的兴趣在那里吗。 もちろん俺も、米が欲しいのは同じなのだが。 当然我也同样想要大米。 「ってことは、後はお任せ、放置ってことで良いのか?」 “这么说来,之后就交给你了,放任不管可以吗?” 「いえ、実は少し関わってみようかと思ってるのよ、副業的に」 “不,其实我想和你有点关系,就副业来说。” 話の流れ的に、後は酵母の抽出に力を貸すぐらいかと思ったら、ハルカから意外な言葉が返ってきた。 故事的流程是,之后还以为可以帮助酵母的提取,没想到Haruka却说出了意外的话。 「何でまた?」 “为什么又来了?” 副業なんかしなくても、十分に稼げているし、生活にも困ってない。 即使不做副业,也能挣很多钱,生活也不困难。 あえて酒の製造に関わる必要は無いように思うのだが……。 我觉得没有必要刻意去制造酒……。 「だって、副業って流行ってるし?」 “因为副业在流行吗?” 「……いや、流行ってはないだろう、少なくともこの世界では」 “……不,应该不流行吧,至少在这个世界上。” 日本では最近、副業OKな会社も増えている、みたいな報道もあったが、少なくともこっちで副業をしている人なんて聞いた事がない。 在日本,最近允许副业的公司也增加了,虽然有这样的报道,但至少没听说过在这里做副业的人。 それこそ、まともな休日すらないのが普通の事なのだから。 这才是正常的事,连像样的休息日都没有。 「副業って言えば、ハルカはバックパックの収入もあっただろ。あれは?」 “说到副业,Haruka应该也有背包的收入吧。那是?” 「微々たるものね、あれは。生活費で簡単に消える程度だから、全然足りないわよ。それに、ずっともらえるものじゃないから……」 「那真是微不足道啊。只是因为生活费很容易消失的程度,所以完全不够啊。而且,不是一直能得到的东西……” 「……何か、金が必要なのか? ある程度なら、俺も出せるが」 “……需要什么钱吗?在某种程度上,我也能拿出来” まさかトーヤじゃあるまいし、娼館に嵌まって金がない、なんて事は無いだろう。 不会是图雅吧,也不会是镶在娼馆里没钱吧。 必要な事なら、俺の分配の中から払う事も厭わない、そんなつもりで言った俺だったが、ハルカは少し困ったような表情、そしてナツキは俺とハルカを見比べると、苦笑を浮かべて口を開いた。 如果有必要的话,我会毫不吝惜地从我的分配中支付,虽然我是这么说的,但Haruka露出了有些为难的表情,而夏树和Haruka相比,露出苦笑开口。 「ナオくん。ハルカは冒険者を引退した時の事や、冒険者として働けない時の事を考えているんですよ。ほら、ライフステージによっては、働けない期間、ありますよね」 “娜奥君。Haruka考虑着从冒险者引退时的事情,以及不能作为冒险者工作时的事情。看,根据生活舞台的不同,有不能工作的期间吧” 「ライフステージ……あ」 “生命舞台……啊” なるほど、シモンさんにも言われたが、そういう事か。 原来如此,西蒙先生也这么说了,原来是这样啊。 場合によっては、一年、二年働けないような事も考えるべきなのか? 根据情况,也应该考虑不能工作一年、二年的事情吗? 「そ、そういう事なら、反対する理由は無いな。うん」 “是的,如果是这样的话,就没有反对的理由了。嗯” 「あたしたちには回復魔法があるとは言っても、やっぱり不安はあるしね」 “虽然我们有恢复魔法,但还是有不安。” そうだよな。 是啊。 最初の頃は、怪我や病気で働けなくなれば、即座に路頭に迷うと戦々恐々だった。 最开始的时候,如果因为受伤或生病不能工作的话,马上就会迷路,战战兢兢。 幸いな事に、【頑強】さんが仕事をしてくれているのか、今のところ病気らしい病気もせずに済んでいるのだが、今後ずっと安心とは断言できるはずもない。 幸运的是,也许是【顽强】先生在工作,现在已经没有什么像样的病了,但是今后也不能断言会一直安心。 いざとなれば、それこそシモンさんのところで働かせてもらうのも手だが、この町で行われる土木工事の件数を考えれば、それこそたまのバイトぐらいがちょうど良い感じだろう。 如果有什么情况的话,请让我在西蒙先生那里工作也是一种方法,但是考虑到在这个城市里进行的土木工程的件数,偶尔的打工正好是好的感觉吧。 「トーヤはどうだ?」 “Toya怎么样?” 「もちろん、反対する理由は無い! むしろがっぽり稼いでくれ!」 “当然,没有反对的理由!不如多挣点钱!” 「あぁ、そうか。だよな」 “啊,这样啊。是吧” こいつ、手元資金が減ってるもんな。 这家伙手头资金减少了。 まぁ、町にいる日数がそこまででもないので、本気で全財産をつぎ込むほどにはなっていないと思うが……まだ若いからなぁ。 嘛,因为在镇上的天数还没到那种程度,所以我觉得还没到认真投入全部财产的程度……因为还很年轻啊。 「しかし、関わると言っても、何をするんだ? 酵母の抽出に協力するだけじゃないんだよな?」 “但是,说是关系到你,你要做什么?”?不只是协助酵母的提取吗?” 「それだけなら、あえて言うことじゃないわね」 “如果只是这样的话,就不必说了。” 「私たちとしては、お米以外、そしてこの辺りで一般的に造られているお酒の原料以外で、何かしらのお酒が造れたら、と思っているのですが……」 “对于我们来说,除了米以外,还有在这附近一般制作的酒的原料以外,如果能生产出什么酒来就好了……” 「いや、それって、かなり難しくないか?」 “不,那个不是很难吗?” 俺もあまり詳しくは無いが、この周辺で手に入る酒と言えば、麦を原料としたエール、ブドウを原料としたワインが一般的。 我也不太清楚,但说起在这附近能买到的酒,一般都是以小麦为原料的啤酒、以葡萄为原料的葡萄酒。 高級品として、リンゴの様な果物を原料とした果実酒もあるようだが、産地でもないここで、これらを作るのは論外だろう。 作为高级品,也有以苹果那样的水果为原料的果酒,但在不是产地的这里,制作这些酒是不可取的吧。 あえて言うなら、ディンドルの産地ではあるが、ただでさえ高いディンドルなのだ。それを大量に使う酒など、どんな値段になるのかと。 硬要说的话,虽然它是丁元的产地,但它本来就是很贵的丁元。大量使用这种酒的话,会是什么价格呢。 「価格競争力があるのか? こんな場所で造って」 “有价格竞争力吗?在这样的地方建造” 果物に関しては言うまでも無いが、ラファンの町は決して穀倉地帯というわけでもない。 水果就不用说了,拉斐尔的城镇绝对不是谷仓地带。 ピニング周辺では麦が多く作られているのでエールの産地になっているようだが、ここラファンに原料を輸入するのであれば、よほどの酒を造らなければ、売れはしないだろう。 因为在平宁周边种了很多小麦,所以好像是淡色啤酒的产地,但是如果向拉斐尔进口原料的话,如果不酿很多酒的话,是卖不出去的吧。 ……いや、もしかして、本当にディンドルを? ……不,难道真的要买丁元? 超高級酒なら、ワンチャンある? 超高级酒的话,有小碗吗? 「うん。だから目標は、利用されていない植物、もしくは安い植物を使ってお酒を造る事ね」 “嗯。所以目标是使用没有被利用的植物或者便宜的植物制造酒” 違った。その上――。 不一样。而且——。 「更に難易度アップだし」 “难度更高了” 「難しいとは思うけど、あたしたちもまだ一〇年ぐらいは十分に冒険者ができるじゃない? それぐらいを目処に何か見つかれば良いかなって」 “虽然觉得很难,但是我们不也能在十年左右就足够成为冒险者了吗?”?以这些为目标找到什么就好了” 「地球のお酒を考えると、予想外な物から造られていたりしますから、可能性がゼロとは言えないかと。この世界の一般的な人よりも、知識面では私たちに分がありますから」 “一想到地球上的酒,就会想到是由意想不到的东西制成的,所以说可能性是零。比起这个世界上普通的人,在知识方面我们更了解” 「まぁ、そこはなぁ……」 “嘛,那是……” 地球の酒に関する知識、デンプンが糖になる仕組みやアルコール発酵の知識、酵母の知識など。新たに発見するのは難しいが、真似をするのはよほど簡単。 关于地球酒的知识,淀粉变成糖的结构,酒精发酵的知识,酵母的知识等。虽然很难重新发现,但是模仿起来相当简单。 そう考えれば、不可能ではないのかもしれない。 那样想的话,可能不是不可能的。 「一応、トーヤには森で何か探してきて、とは言ってるんだけど」 “我说先去森林里找点什么。” 「そうなのか?」 “是吗?” トーヤの方に顔を向けると、トーヤは軽くうなずく。 面对着火炬,火炬轻轻点头。 「おう、明日にでも行ってみるつもりだぜ? ナオも一緒にどうだ?」 “哦,我打算明天去看看?娜奥也一起怎么样?” 「そりゃ、つきあうのは別にかまわないが……」 “那倒是,交往倒没什么关系……” そう簡単に見つかるか? 酒の材料になるようなものが。 那么简单就能找到吗?像酒的材料一样的东西。 「蜂蜜や果物の様な糖分がある物が一番だけど、それらはそれ自体に十分な価値があるからね。狙い目はデンプンを蓄えていそうな、芋とか、球根とか、茎とかそんな感じの植物かしら」 “像蜂蜜和水果那样有糖分的东西是最好的,但是那些本身就有足够的价值。目标是储存淀粉的芋头、球根、茎之类的植物吧” 「了解。探してみる」 “明白。找找看” ヨウ素液がないので、実験はできないが、なんか粉っぽい物を探せば良いか。 因为没有碘液,所以不能做实验,但是找些粉的东西好吗。 ジャガイモみたいに。 像土豆一样。 「ミーも一緒に行くの!」 “我也一起去!” 「お、そうか? じゃあ、行くか。遊びがてらに」 “哦,是吗?那么,去吗。玩的同时” 「ミーが行くなら、私もおつきあいします」 “如果我去的话,我也陪你。” メアリも参加を表明し、これで四人。 玛丽也表明要参加,这就是四人。 森に気軽に遊びに行けるようになるとは、思えば俺たちも成長したものである。 想到能轻松地去森林里玩,我们也成长了。 「メアリには、私たちの方にもアイデアをもらいたいんだけど……」 “玛丽,我们也想要个主意……” 「私にできる事なら……。ですが、私なんて、ハルカさんたちに比べると頭悪いですし……」 “如果是我能做的事的话……。但是,我和Haruka他们比起来脑子不好……” 「気にしなくても、メアリちゃんは十分に賢いですよ?」 “就算不在意,小玛丽也十分聪明吧?” 「そうですか? ありがとうございます」 “是吗?谢谢” 自分を卑下するような事を言ったメアリを、ナツキが率直に褒めると、メアリは少し嬉しそうにはにかんだ。 枣坦率地赞美了说了贬低自己的话的玛丽,玛丽有点高兴地腼腆了。 「それに、訊きたいのは、ある意味メアリの得意分野? だからね。味は気にしないから、とにかく安い食べ物って、何か知らない?」 “还有,我想问的是,在某种意义上是玛丽的擅长领域?所以呢。我不在乎味道,总之你不知道什么便宜的食物吗?” 「安い食べ物、ですか? お金が無い時に私たちが食べていたのは、エゴイモですね。凄く安いので」 “便宜的食物吗?没有钱的时候我们吃的是自私的红薯。因为非常便宜” 考える事も無く即答したメアリの言葉に、そばにいたミーティアが眉を寄せて、口をへの字に曲げる。 面对面无所思即答的玛丽的话,旁边的米蒂亚皱起眉头,将嘴弯成“へ”字。 「あれ、美味しくないの! 食べたら、いーってなるの。そしてイガイガってなるの」 “咦,不好吃吗?”!吃了之后,会变成“いー”。然后就变成IGO了” 「ははは……。かなりえぐみの強い芋なので、食べるためには磨り潰して、水に晒して――と手間のかかる食べ物なんですが、それでもやっぱり……。ミーティアじゃないですけど、いーってなります」 “哈哈……。因为芋头的口感非常好,所以要吃的话就磨碎,放在水里晒——虽然是很费事的食物,但还是……。虽然不是Metier,但是会很开心” なかなかに解りやすいミーティアの表現に、俺たちはそろって苦笑を浮かべる。 对于非常容易理解的Metier的表现,我们一起苦笑。 ミーティアが子供舌という事を差し引いても、決して美味しくない芋なのだろう。 就算去掉肉蒂是孩子的舌头,也绝对不好吃的芋头吧。 「それって、普通に売っている芋なの?」 “那个是普通卖的芋头吗?” 「ケルグだと市場で買えましたが、こちらだと……すみません、ハルカさんたちに拾ってもらってからは、ありがたい事に、食べる機会も無かったので」 “虽然在市场上买到了凯尔格,但是在这里……不好意思,自从被Haruka他们捡回来后,真是太好了,连吃的机会都没有。” 「あぁ、かまわないわよ。探してみるから」 “啊,没关系。我去找找看” 申し訳なさそうなメアリに、ハルカは軽く手を振って応える。 面对抱歉的玛丽,Haruka轻轻挥手回应。 しかし、エゴイモか。 但是,是自私的吗。 探してみれば、結構いろんなものが売ってるのかもな、この町でも。 如果试着找,相当各种各样的东西卖着,这个城市也。