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278 二〇層のボスに挑む (1)

挑战278 20层的BOSS(1)

孤児院を訪問した翌日、俺たちはしっかりと準備を整え、再びダンジョンを訪れていた。

访问孤儿院的第二天,我们做好了充分的准备,再次访问了迷宫。

お肉は十分に確保したので、その階層はスキップして、果物やナッツ、ミルクをメインに回収。わずかな日数で、以前引き返したボス部屋っぽい扉の前まで到達していた。

因为肉是充分确保的,所以那个阶层跳过,主要回收水果、坚果和牛奶。仅仅几天,就到达了以前返回的BOSS房间的门前。

ちなみに、レッド・ストライク・オックスのミルクは回収していない。

顺便说一下,红、好球、牛克斯的牛奶没有回收。

今の俺たちには、必要性が無いので。

因为现在的我们没有必要。

他意は無いが、俺は元気なので。そして、たぶんトーヤもな。

没有别的意思,但是我很好。而且,大概也有toya。

これは販売先ができた時、具体的にはディオラさんに依頼された時にでも回収すれば良いだろう。

这个在有了销售方的时候,具体来说在被迪奥拉先生委托的时候也可以回收吧。

このダンジョンが私有地になったおかげで、競争相手の心配も無いしな。

多亏这个地牢变成了私有地,不用担心竞争对手。

「さて、ここのボス、トーヤの予想だと……なんだっけ?」

“那么,这里的老板,根据Toya的预测……是什么来着?”

「オレ? オレはこれまでの傾向からして、デカい牛かな、とは思ってるけど」

“我?从至今为止的倾向来看,我觉得可能是一头很大的牛”

「これまでの傾向……やや例外的なスケルトンを除けば、最初がタイラント・ピッカウだったよな」

“至今为止的倾向……除了稍微有点例外的滑板外,最开始的时候是泰兰特·皮可尔。”

「次がゴブリン・ジェネラルね。キャプテンが二匹付いた」

“接下来是妖精・杰内尔。有两个队长”

「八層はタイラント・フレイムボアーでした」

“八层是泰兰特•弗雷姆博尔”

「一〇層がリザートゾンビで、十五層がミノタウロスもどきだね」

“十层是僵尸,十五层是米诺托也是时候。”

「マードタウロスな。だが、牛だとマードタウロスと被ってないか?」

“马多托罗斯啊。但是,牛有没有戴着马多洛伊?”

これまでの傾向というなら、別種の敵が出てきそうな気がする。

如果说是到现在为止的倾向的话,感觉会出现其他种类的敌人。

この階層の印象と言えば、ストライク・オックスのイメージが強いが、今までのボスはバラバラだったし……この階層に出てきた、他の種類の魔物をベースにしたボスになるんじゃないだろうか?

要说这个阶层的印象的话,给人的印象是好球·牛克斯,但是至今为止的老板都是七零八落的……要成为这个阶层里出现的以其他种类的魔物为基础的BOSS不是吗?

だが、そんな俺の予想に、ハルカは嫌そうに顔をしかめた。

但是,对于这样的我的预想,Haruka讨厌地皱起了眉头。

「それじゃ、狼系か昆虫系? ……昆虫系はやめて欲しいわね、私としては」

“那么,是狼系还是昆虫系……希望你不要再做昆虫系了,作为我来说”

「巨大な狼はちょっと……斃しにくいかも? 可愛いかは判らないけど……」

“巨大的狼有点……可能很难死?虽然不知道可爱不可爱……”

ユキは小首を傾げ、そんな事を言いつつ、その視線はトーヤの方へ。

小雪微微歪着头,一边说着这样的话,一边将视线投向了火炬。

「いや、一緒にするなよっ!?」

“不,不要一起吃啊。”

「えー、でもトーヤとしては、巨大なモフモフは斃し辛いんじゃないの?」

“嗯,但是作为火炬,巨大的莫夫是不是会死的很痛苦呢?”

「さすがに敵は斃すぞ!? ダールズ・ベアーも斃しただろうが!」

“敌人终究会死的!?戴尔兹·贝勒也死了吧!”

「あぁ、アレは巨大なモフモフだったな。……いや、ゴワゴワか。あんま、手触り良くなかったし」

“啊,那个是巨大的莫夫莫夫啊。……不,是软绵绵的。不,手感不好”

あれで毛皮がフワフワだったりしたら、是非にもペットにしたかったところ。

如果皮毛毛茸茸的话,一定要养宠物。

――凶暴な魔物だけに、無理だろうが。

——正因为是凶暴的魔物,所以可能不行。

「ミーは牛が良いの! お肉たくさん!」

“我喜欢牛!肉很多!”

「ミーったら。お肉、好きなだけ食べてるでしょ?」

“我是米。肉,你想吃多少就吃多少吧?”

「お肉はいくらあってもステキなの。特に、牛は美味しいの!」

“不管有多少肉都很好吃。特别是牛很好吃!”

ミーティアは両手をギュッと握り、鼻息も荒く主張する。

米蒂亚紧紧握着双手,气喘吁吁地主张着。

狩っているのが雄のストライク・オックスだからか、取れる肉はやや硬い赤身肉なのだが、ミーティア的には――いや、トーヤも好きみたいだから、獣人的には?――かなりお気に入りらしい。

也许是因为狩猎的是雄性好球·牛克斯吧,能捕到的肉是稍微硬一点的瘦肉,但从美蒂亚的角度来说——不,因为好像也喜欢TOYA,所以兽人性呢?——好像相当喜欢。

俺なんかは、もう少し柔らかい肉、具体的にはピッカウあたりが好みなんだが。

像我这样的人,比较喜欢嫩一点的肉,具体来说,像小飞鱼之类的。

ピッカウの霜降りじゃない部分あたりが、がっつりと食べるステーキとしてはちょうど良い感じ。

不是生鱼片的部分,作为能吃得很饱的牛排来说正好。

そしてその傾向は、獣人以外の全員、同じである。

而且这种倾向除了兽人以外的人都是一样的。

「ま、何が出てきたところで斃すだけなんだけどな!」

“嘛,只是在出现什么的时候就死了而已!”

「それはそうだが……」

“那倒是……”

「間違っては無いけどねー。それじゃトーヤ、開けちゃって!」

“虽然没有错。那就把火炬打开吧!”

「おうともさ!」

“哦!”

ユキの軽い言葉に、トーヤも軽く応じ、気軽に扉を開け……たりはせず、慎重に開ける。

面对雪的轻松的话语,托亚也轻轻地回应了,轻松地打开了门……不要这样做,要慎重地打开。

ミーティアとメアリは一番後ろに庇い、俺たちもまた武器を構え、トーヤの動きを注視する。

米蒂亚和玛丽在最后一个地方庇护着,我们也再次拿起武器,注视着火炬的动向。

「――っ! オレが当たり! 牛だ!」

“——!我猜对了!是牛!”

部屋の中にいたのは、象よりも巨大な牛。

在房间里的是比大象还巨大的牛。

このエリアに生息しているストライク・オックスと比べ、一回りどころではなく巨大である。

与生活在这个区域的好球·牛克斯相比,不是一圈而是巨大的。

近い大きさの魔物を挙げるならば、俺たちがなかなかに苦戦したダールズ・ベアーだろうか。

如果要举出近距离大小的魔物的话,应该是我们相当苦战的戴尔兹·贝利吧。

どちらが凶悪そうに見えるかは人それぞれだろうが、その頭に付いた巨大な角は、十分に攻撃力が高そうである。

虽然每个人都会觉得哪一个看起来更凶,但是头上的巨大角攻击力似乎非常高。

「レッド・タイラント・ストライク・オックスよ。『レッド』が付いているのは厄介ね」

“莱德・泰兰・好球・奥克斯啊带红色很麻烦”

「名前、長っ!」

“名字好长!”

ハルカの口にした名前に、ユキが思わずとばかりに言葉を漏らす。

对Haruka说的名字,yuki意外地说出了话。

俺もまったく同意ではあるが、その苦情は神様に言うべきだろう。

我也完全同意,不过,那个抱怨应该对神说吧。

だが、属性が増える度に名前が追加されるのであれば、名前を聞くだけでどんな魔物か予想がつく分、ある意味で便利とも言える。

但是,属性增加的时候如果名字被追加的话,光听名字就能预想到是怎样的魔物,从某种意义上来说也可以说是很方便的。

「ユキ、今はそんな事どうでも良いでしょ! トーヤ、ブレスに気を付けて」

“小雪,现在那种事怎么样都无所谓吧!火炬,小心呼吸”

「おう!」

“哦!”

レッド・ストライク・オックスがブレスを吐いたのだ。

是红好球·牛克斯吐了呼吸。

こいつがブレスを使ってこないとは、ちょっと考えにくい。

很难想象这家伙不戴手镯。

ハルカが注意を促し、トーヤも盾を強く握りしめて、部屋の中に飛び込む。

小遥催促小遥注意,托亚也紧紧握住了盾,跳进了房间。

ストライク・オックスの強さが『レッド』の有無でかなり違った事を考えると、『タイラント』+『レッド』というのは……実は結構危なかったり?

如果考虑到好球·牛克斯的强度有无“红”的话,“泰兰特”+“红”……实际上是相当危险的?

あの巨体から吐き出されるブレスとか、『ちょっと毛が焦げた』程度では済まないだろう。

从那个巨大的身体里吐出来的手镯,‘毛发有点焦了’这种程度是不行的吧。

「私も行きます!」

“我也去!”

トーヤに続き、ナツキもまた薙刀を構えて部屋の中へ。

继TOYA之后,夏树也拿着剃刀进入房间。

ボスのいる部屋は、その巨体が十分に動き回れるだけの広さがあり、薙刀を振るうのにもまったく問題は無いのだが、逆に言えばボスが突進するだけのスペースもあるわけで。

有BOSS的房间,其巨大的身躯足以转动,挥舞剃刀也完全没有问题,反过来说也有BOSS突进的空间。

「! ヤバい! 行ったぞ!」

「! 糟糕!去了!”

「げっ!」

“木屐!”

扉の位置とボスのいる場所とが少し離れていたのがマズかった。

门的位置和老板所在的地方稍微分开一点很不好。

トーヤがボスに向かって駆け寄っている途中で態勢を整えたボスは、こちらに向かって突進を開始。

在TOYA向BOSS跑去的途中,BOSS做好了准备,开始向这边突进。

トーヤはすぐさま横に飛んで、この突進を避けたのだが、ボスが突っ込んできているのは俺たちがいる場所。

火炬马上飞到了旁边,避开了这个突进,但是老板冲进了我们所在的地方。

さすがにあの巨体を、トーヤに受け止めろとは言えないが――。

虽然不能说让Toya接受那个巨大的身体——。

「ユキ! メアリを!」

“小雪!看玛丽!”

「オッケー!」

“OK!”

これまでで最も迫力のある敵の姿に、動きを止めてしまったメアリとミーティア。

面对至今为止最有魄力的敌人,玛丽和米蒂亚停止了行动。

俺はそんなミーティアの腕を掴むと、扉の前から大きく退避。

我抓住米蒂亚的手臂,从门前大大地退避。

ユキもまた同様にメアリを引っ張って退避すると、そこに頭を下げて突っ込んできたボスが、足を止める事もなく壁に激突。

雪也同样拉着玛丽退避,这时低着头冲了进去的老板,没有停下脚步,激烈地撞到了墙上。

ズガンッッ!

加油!

広い部屋に響き渡る音と振動。

响彻云霄的声音和振动。

「……おぉ、メッチャめり込んでる」

“……哇,真是被她迷住了。”

ミーティアの身長ぐらいはありそうな巨大な角。

米蒂亚的身高大概有一个巨大的角。

それが壁面へと突き刺さり、半ばまで見えなくなっている。

那个刺进了墙面,半途看不见了。

そのまま抜けなくなるとか間抜けな事は当然無く、ボスが頭を振るようにしてそこから角を引き抜くと、あっさりと壁面が崩れ、一抱えはありそうな岩がガラガラと床に転がった。

当然不会就那样脱不掉或者是愚蠢的事情,老板摇着头从那里拔出角来,墙面很快就崩塌了,一抱可能有的岩石哗啦地滚到了地板上。

「……あれに当たると、さすがに死ぬわね」

“……碰上那个的话,果然会死的。”

「レベルアップによる身体強化があっても?」

“就算提高水平来强化身体也没关系吗?”

「浮気相手が突き刺す包丁とはレベルが違うわよ。――試してみる?」

“和出轨对象刺穿的菜刀的等级不同。——要试试吗?”

包丁の鋭さもなかなかだとは思うが――。

我觉得菜刀的锋利度也很厉害——。

「それはトーヤに任せよう」

“那就交给托亚吧。”

「任せるな! ――オラ! こっちだ!」

“不要交给我!——我!在这里!”

俺の言葉に抗議を入れつつも、トーヤは剣を構えてやや大げさに動き、俺たちを見回しているボスを挑発。意識を惹きつけようとしている。

虽然对我的话提出了抗议,但是TOYA还是举起剑稍微夸张地行动,向环视着我们的BOSS发起了挑衅。想要吸引意识。

それに対し、俺たちはゆっくりと動いて、少しずつ距離を取る。

与之相对,我们慢慢地移动,一点点地保持距离。

「す、すみません。咄嗟に動けませんでした」

“对,对不起。我一下子就动不了了”

「ごめんなさいなの」

“对不起。”

俺たちに庇われた形になったメアリたちが謝罪するが、俺とユキは軽く首を振る。

被我们庇护着的玛丽们谢罪,我和小雪轻轻摇头。

「気にするな。そのうち慣れる」

“别在意。过几天就习惯了”

「うん。今回は攻撃は考えず、逃げる事だけ考えてね。危なければ、扉から出て良いから」

“嗯。这次不要考虑攻击,只考虑逃跑。危险的话,可以从门里出来”

幸いな事に、ボス部屋から出られないなんて制限は無いのだから、その方が安全。

幸运的是,没有不能从BOSS房间出来的限制,这样比较安全。

もちろん、それはボスも含めてなのだが、目の前にいる俺たちを無視して、扉から出たメアリたちを追いかけるなんて事は無いだろう。

当然,包括BOSS在内,也不会无视眼前的我们,去追赶从门出来的玛丽们吧。

「い、いえ! 頑張ります!」

“不,不!我会加油的!”

「うん!」

“嗯!”

「そうか。ナツキ、どうだ?」

「这样啊。枣,怎么样?”

「思ったよりも速いですね。タイミングが難しいです」

“比想象的还要快呢。时机很难”

トーヤより少し後ろの位置にいたナツキは、先ほどの突進に合わせて足に攻撃を加えようとしていたのだが、手を出しあぐね、その試みは失敗していた。

在比火炬稍微靠后一点的位置上的枣,为了配合刚才的突进,打算对脚进行攻击,但是出手了,那个尝试失败了。

だがそれも仕方ないだろう。

但是那也没办法吧。

あの蹄が高速で踏み鳴らされているのだ。

那只蹄子在高速上被踩响了。

あの巨体で踏まれれば、恐らく即死。

如果被那个巨大的身躯踩到的话,恐怕会当场死亡。

引っかけられただけでも大怪我だろう。

只是被挂上了也会受重伤吧。

現状、ボスはトーヤの方が気になるようで、そちらに意識を向けているのだが、ナツキが背後から近づこうとすると、牽制するように後ろ足を跳ね上げている。

现状是,老板好像比较在意TOYA,把意识转向那边,但是枣从背后接近的话,就会像牵制一样把后腿弹起。

牛の視界って、案外広いよなぁ。

牛的视野,意外地宽广啊。

死角から攻撃というのも、簡単ではなさそうである。

从死角开始攻击似乎也不简单。

「――あ、マズいわ!」

“——啊,不好意思!”

何かに気づいたハルカが声を上げ、その言葉が終わるか終わらないか。

注意到了什么的Haruka提高了声音,那个言词是不是结束。

ボスは少し首を上げて喉を晒したかと思うと、頭を左右に振りながら一気に息を吐きだした。

老板刚抬起头来晒嗓子,就左右摇头一口气吐了出来。