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226 依頼と国際情勢 (1)
226委托和国际形势(1)
「お待ちしておりました! 皆さん」
“久等了!各位”
その日、久しぶりにギルドを訪れた俺たちを迎えたのは、いつも以上に笑顔の眩しいディオラさんだった。
那一天,迎来了久违地访问行会的我们的,是比平时更耀眼笑容的迪奥拉。
そんなディオラさんの様子に、ハルカが少し訝しげな表情を浮かべたのも仕方のないことだろう。
对于迪奥拉的样子,Haruka露出一点惊讶的表情也是没办法的事吧。
「えぇ、こんにちは。……特に約束はしてなかったわよね? 何か用事?」
“呃,你好。……没有特别约定吧?有什么事吗?”
「はい、いくつか。まずは、牛乳瓶ですね。あそこの部屋に置いてありますので、お帰りになるとき、回収をお願いします」
“好的,几岁了?”。首先是牛奶瓶。因为放在那边的房间里,回去的时候请回收”
「解ったわ。それに詰めて持ってくれば良いのね?」
“我明白了。装在那个里拿就好了吧?”
「はい。次は、以前依頼されていた錫杖と宝珠の鑑定結果が出ましたので、お知らせしますね」
“是的。接下来,之前委托的锡杖和宝珠的鉴定结果已经出来了,特此通知”
そう言って少し席を外したディオラさんは、以前預けていた錫杖と宝珠を持ってきて、カウンターの上に並べた。
说着就离开了座位的迪奥拉先生拿来了以前寄存的锡杖和宝珠,摆在了柜台上。
「まずはこちらの錫杖。これは、『カリスマの錫杖』と分類されている物です。これを持って話すと、カリスマ性が微妙に上がる、という魔道具です」
“首先是这个锡杖。这是被分类为“领袖人物的锡杖”的东西。”
「……微妙に?」
“……微妙地?”
「はい、微妙に。例えるならば、庶民の服を着た人が話すのと、神官の服を着た人が話すのぐらいには違いがあります」
“是的,微妙的。如果比喻的话,穿着平民服装的人说话和穿着神官衣服的人说话是有区别的”
解りづらい例えだが、言わんとすることは解る。
虽然是很难理解的比喻,但我明白你想说的话。
ウェ~~ィとか言ってる若者が、「コレ、マジ安全。ヤバいぐらいに安全でイイクスリだから!」と言っているのと、ビシリとスーツを着こなした紳士が「コレはきちんとした臨床試験を経た、科学的に安全性が確認された薬です」と言うのでは、説得力が全く違う。
“这个真的很安全。安全到危险的程度,非常好!”和穿着西装的绅士说“这是经过了好好的临床试验,科学地确认了安全性的药”,说服力完全不同。
どちらも根拠は示していなくても。
哪边都没有显示根据。
「ちなみに、神殿で需要がある魔道具ですね。それなりに尤もらしい説法ができ――ている様に見えますから」
“顺便说一下,是神殿里需要的魔道道具。可以做出相应的正确说法——因为看起来是这样的”
「実際は下手でも?」
“实际上是不擅长吗?”
「下手でもです。そんな劇的な効果でもないですけど」
“即使不擅长。虽然不是那种戏剧性的效果”
『誰もが従ってしまう』的な効果が無いあたり、とても現実的で夢の無い魔道具である。
没有“谁都会跟随”的效果,是非常现实、没有梦想的魔道道具。
いや、実際にそんな効果のある魔道具が、ホイホイ手に入っても困るのだが。
不,实际上有这种效果的魔道具,拿到了就麻烦了。
「……どうする? 私たちには、あまり使い道が無さそうだけど」
“……怎么办?我们好像没什么用处”
「まぁ、貯金代わりに持っていれば良いんじゃないですか? 現金ばかり持っていても仕方ないですし」
“嘛,拿着代替存款不就好了吗?光带现金也没办法”
「だな。俺たちの場合、現金でもあまり困らないが、逆に現金である必要性も無いからなぁ」
“是啊。我们的话,现金也没什么问题,相反也没有必要用现金”
あちこち移動する冒険者の場合、持ち運びの利便性から宝石などに変えて貯蓄するようだが、この場合、上手くやらなければ宝石と現金との相互交換で目減りが発生する。
在到处移动的冒险者的情况下,从搬运的便利性变成宝石等来储蓄,但是在这种情况下,如果不好好做的话,宝石和现金之间的交换就会发生损耗。
俺たちの場合はマジックバッグがあるので、大量の金貨も難なく持ち運べるのだが、逆に言えば多少嵩張る物でも同じように持ち運べるわけで、無理に現金に換える必要も無かったりする。
因为我们有魔术包,所以可以携带大量的金币,反过来说,体积大一些的东西也可以携带,所以也没有必要勉强换成现金。
今回の錫杖のように。
像这次的锡杖一样。
「解りました。でしたらこちらは、このままお持ち帰りになるという事で。もう1つの宝珠、こちらは『恩恵ギフトの宝珠』と呼ばれる物です」
“我明白了。那么这个就这样打包带走。还有一个宝珠,这是被称为“恩惠礼物宝珠”的东西”
そう言って説明された『恩恵ギフトの宝珠』の効果は、これまでに手に入れた魔道具などと比べても、特に不思議な物であった。
这样说明的“恩惠礼物的宝珠”的效果,和至今为止得到的魔道道具相比,是特别不可思议的东西。
この宝珠を手に持ち、魔力を込めることで何らかの恩恵ギフトを得られる。それがこの宝珠の効果。
手上拿着这个宝珠,注入魔力就能得到某种恩惠的礼物。那就是这个宝珠的效果。
その恩恵ギフトは、何らかの武器を扱う能力だったり、料理や鍛冶などの技術だったり、もしくは身長や筋力など、外見的変化を伴う物だったり。
那个恩惠礼物,是处理某种武器的能力,是料理和锻造等的技术,或者是身长和肌肉力量等,伴随外表的变化的东西。
中でも極めつきは、性別すら変化させる宝珠があったらしい。
其中最为极端的,似乎是连性别都能变化的宝珠。
俺たちが神から与えられたスキルのように、正に恩恵ギフトと呼ぶにふさわしい物。
就像我们从神那里得到的技能一样,正是适合称为恩惠礼物的东西。
びみょーに現実的なこの世界に於いて、俺たちの知るこれまでの魔道具とは、一線を画す不思議さである。
在现实的这个世界里,我们所知道的魔道具,是划清界限的不可思议。
「それで、これで得られる恩恵は?」
“那么,这样能得到的恩惠是?”
「申し訳ありません。我々にはそこまで調べることができません」
“对不起。我们调查不了那么多”
「え?」
“诶?”
詳しく聞いてみると、冒険者ギルドでの鑑定で確実に調べてもらえるのは、基本的な部分までで、詳細な解説などに関しては、『調べてもらえたらラッキー』という感じらしい。
详细询问后,在冒险者行会上的鉴定中确实能得到调查的,只是基本的部分,关于详细的解说等,感觉是“如果能调查的话就太幸运了”。
さすがに金貨1枚の鑑定料金でそこまでコストを掛けてしまうと、ギルドとしてもやっていけない、ということなのだろう。
如果用一枚金币的鉴定费用花了那么多的成本的话,就算是行会也不行吧。
ちなみに、追加料金を払えば詳細な鑑定を依頼することもできるようだが、必要な期間とコストは大幅アップ、下手をすれば売却してもあまり利益が無いような料金が必要になるとか。正に、ボッタクルな感じの道具屋みたいである。
顺便说一下,如果支付追加费用的话,也可以委托进行详细的鉴定,但是必要的期间和成本会大幅度提高,如果做得不好的话,即使卖掉也需要不太有利益的费用。的确,就像是一家给人感觉很破破烂烂的道具店。
とは言え、ギルドとしても外部の専門家を頼ったりして調べることになるため、本当にぼったくっているわけではないようだが。
话虽如此,行会也会依靠外部的专家进行调查,所以并不是真的是敲诈。
「恩恵ギフトの宝珠であれば、どんな恩恵が得られるかを調べられるのは、高位の神官のみなのです。依頼すれば調べてもらえますが……」
“如果是恩惠礼物的宝珠的话,能调查得到怎样的恩惠的,只有高位的神官。如果委托的话可以帮我查一下……”
「お布施が必要ですか」
“需要布施吗?”
「はい。それもなかなかに高額な。ご希望でしたらご紹介致しますが?」
“是的。那个也相当昂贵。如果您希望的话,我来介绍一下。”
「いえ、取りあえずは持ち帰って、心当たりを当たるわ」
“不,先带回去,我会猜到的。”
「解りました。ただ、アドバイスとしてですが、調べずに使うのは控えることをお勧めします。恩恵ギフトのすべてが、必ずしもすべての人にとってありがたいとは限りませんので」
“我明白了。只是,作为建议,不过,推荐不调查使用控制。恩惠礼物的全部,不一定对所有人都很感谢”
「そうでしょうね」
“是吧。”
地雷スキルの怖さについては、俺たちも良く知っている――いや、俺たちこそ・・良く知っていると言うべきか。
关于地雷技能的恐怖,我们也很清楚——不,应该说我们才是・・・很了解。
俺たちが好き勝手なことを言ったから、という面はあるのだろうが、アドヴァストリス様がなかなかに凶悪な地雷スキルをたくさん見せてくれたから。
可能是因为我们说了自己喜欢的话,所以才会有这样的一面吧,因为爱德瓦斯特里斯大人给我们展示了很多凶恶的地雷技能。
まぁ、初っぱなから『邪神』と名乗っている人から、都合の良い力をもらったら、碌な事にならないのは当然と言えば当然。
嘛,如果从一开始就自称“邪神”的人那里得到了方便的力量,当然不会变成什么好事。
怪しげな声に誘われて力を求めれば、最後に破滅が待っているのがテンプレである。
如果被怪异的声音吸引去寻求力量,最终会有毁灭在等着你。
この宝珠を作った存在が神かどうかは判らないが、神官しか効果を調べられないという事を考えれば、その可能性は決して低くは無いと思われる。
虽然不知道制作这个宝珠的存在是否是神,但是考虑到只有神官才能调查效果,这种可能性绝对不低。
今度は【ヘルプ】で回避もできないので、そんなギャンブルをする様なヤツは、俺たちの中には居ないだろう。
这次因为【帮助】而无法回避,所以像这样赌博的家伙在我们之中是不存在的吧。
さすがに【強奪】スキルは無いと思いたいが、【魅力的な外見】ですら、俺やハルカが得てしまったら面倒なことになるのだから。
虽然我想我没有什么“强夺”的技能,但是就算是“有魅力的外表”,我和Haruka得到了的话也会很麻烦。
「さて、次は皆さんに2つほどお願いしたいことが。1つは、レッド・ストライク・オックスのミルクの採取依頼です」
“那么,接下来有两件事想拜托大家。一个是红·好球·牛克斯的牛奶采集委托”
「採取依頼……そういえば私たち、ギルドの依頼ってあんまり受けていないわよね」
“采集委托……这么说来我们也没怎么接受行会的委托吧。”
俺たちのランクに見合う依頼がラファンに無いことは、ディオラさんも解っているため、特に何も言われることは無いのだが、俺たちのギルドの利用方法は、自由に狩ってきた物を買い取ってもらうだけ。
因为拉斐尔也知道与我们的等级相符合的委托是不存在的,所以没什么特别要说的,但是我们行会的利用方法,只是让拉斐尔自由地买来狩猎的东西而已。
1年ほど経つのに、実際に熟した依頼の数は数えられるほどでしかない。
过了1年左右,实际熟练的委托数量却只有屈指可数。
そっち方面での貢献に関しては、殆どできていないわけで、協力出来るときに協力しない理由は無い。
关于在那边方面的贡献,因为几乎没能做,所以在能合作的时候没有不合作的理由。
「解ったわ。ちょうど在庫もあるし――」
“我明白了。正好还有库存——”
「あ、いえ。少し量が多いのです。今回お渡しする瓶で、100本少々と」
「啊,不。量有点多。这次给您的瓶子,100瓶左右”
「ひゃく!? それは……集めるのも大変だけど、買い取る方は大丈夫なの?」
“我的愿望是……”!?那个……虽然收集起来很麻烦,但是买的话没问题吗?”
作ってもらった瓶のサイズは、俺が作った瓶と近いサイズなので、100本であれば、40頭も搾れば十分に集められるだろう。少し大変そうでも、それ自体は不可能では無い。
给我做的瓶子的尺寸和我做的瓶子差不多,100瓶的话,榨40头就足够了。虽然有点辛苦,但这本身并不是不可能的。
問題は買い取り金額。
问题是收购金额。
普通のストライク・オックスのミルクが、1瓶で金貨10枚ほど。レッドになると『それの10倍は堅い』のだから、100本も納品すれば、実に金貨1万枚。
普通的好球·牛克斯的牛奶,1瓶金币10枚左右。红的话是“比那个硬10倍”,所以如果交付100个的话,实际上是1万枚金币。
俺たちの家が千枚あまりなのだから、1万枚もあれば豪邸が建つ。
因为我们家有一千多张,所以有一万张的话就建豪宅。
そもそも金貨10枚の価格自体、俺たちが納品するミルクの品質を考えれば安いのだから、適正価格であればそれ以上になるだろう。
原本10枚金币的价格本身,考虑到我们交付的牛奶的品质的话就很便宜,如果是合适的价格的话就要比这个更便宜了吧。
「支払いの方は問題ありません。購入先も決まっていますし、相手は貴族ですから」
“支付没问题。购买者也已经决定好了,因为对方是贵族”
訊いてみると、買うのはネーナス子爵で、お隣のダイアス男爵へのご祝儀として贈る物だとか。
问了一下,买的是纳纳斯子爵,是作为给旁边的戴斯男爵的贺礼而赠送的东西。
さすが貴族。ご祝儀の額が桁違いである。
不愧是贵族。礼金的金额相差一位数。
1億円相当のご祝儀とか……貴族ならその程度はするのか?
相当于1亿日元的礼金什么的……贵族的话会这样吗?
いや、するんだろうなぁ。
不,应该会吧。
庶民との価値観の違いとしか言いようがないが。
只能说是和平民的价值观不同。
「でも、いくら何でも100本は多くない? 夫婦で毎日一杯ずつ飲んでも、2年分ぐらいはありそうなんだけど?」
“但是,不管怎么说100瓶不多吗?夫妻每天喝一杯,好像也有2年左右?”
「ハルカさん、こういう時にギリギリの量しか贈らないというのは、貴族のメンツ的にあり得ないんですよ。自分たちで飲むなら別ですが、人に贈る場合は無駄なほどの量を揃えるのです。ほら、ハルカさんだって、誰かの家にお呼ばれしたとき、テーブルの上にワインが1本しか無かったら飲みにくいでしょう?」
“Haruka先生,这种时候只送限量的礼物,在贵族的面子上是不可能有的。如果是自己喝的话另当别论,但是送人的时候要把多余的量凑齐。你看,Haruka先生在别人家叫我的时候,如果桌子上只有一瓶葡萄酒的话,也很难喝吧?”
「……ワインは飲まないけど、何となく解るわね。お菓子なんかでも、数が少ないと手を伸ばしにくいし」
“……虽然不喝葡萄酒,但总觉得能理解。就算是点心,数量少的话也很难伸手”
なるほど。確かに大量に盛ってあるポテチには手が伸びても、残りが少なくなったら、何となく遠慮するよな。
原来如此。确实,大量装着的薯片,即使把手伸向了那里,剩下的也变少了,总觉得有点客气。
唐揚げの最後の1個なんかも、残りがち。
最后一个炸鸡块也容易剩下。
ディオラさんの例えはともかく、貴族の見栄や力関係を考えれば、十分以上の物を用意できる力がある、と示すのも必要な事なのかも知れない。
先不说迪奥拉先生的例子,考虑到贵族的虚荣和力量关系,也许有必要表明他有足够的准备能力。
「ですが、ネーナス子爵ってお金、無かったのでは?」
“但是,纳纳斯子爵不是没有钱吗?”
「無くても、出さないといけない場合には出すのが貴族なのです。仮に借金をしてでも。庶民には解りづらいかもしれませんが」
“没有也必须拿出来的情况下,拿出来的是贵族。即使借钱也。也许平民很难理解”
俺の疑問に、ディオラさんはため息をつきつつ、首を振る。
对于我的疑问,迪奥拉一边叹气一边摇头。
1円でも安いお店を探してしまうような心境だろうか? 明らかに時間の方が無駄なのに。
你有种即使1日元也要找便宜的店的心情吗?明明时间是浪费的。
……いや、違うか。
……不,不是吗。
う~ん、日本の防衛費と、近所の道路の修繕費を同列に並べるような物、か?
嗯,日本的防卫费和附近道路的修缮费是一样的吗?
何千億円もする船を買う金があるなら、家の前の道路を直せ、的な。
如果有买几千亿日元的船的钱的话,可以修一下家门前的道路。
まぁ、ナンセンスだよな。比べるに値しない。
嘛,没什么意义吧。不值一顾。
必要に応じて大きな金は動かしつつ、可能な範囲では節約する。
根据需要大的钱一边移动,一边在可能的范围内节约。
やはりそれなりに有能なのだろう、ネーナス子爵は。
果然还是相当有能力的吧,纳纳斯子爵。
「あまり時間は無いのですが、引き受けて頂けますか?」
“我没什么时间,可以接受吗?”
「えぇ。ディオラさんにはお世話になってるし。でも、貴族同士でも食べ物を贈ったりするのね? 毒殺なんかを警戒して、そういうのは避けるのかと思ってたけど」
“诶。也受到了迪奥拉先生的照顾。但是,贵族之间也会赠送食物吧?我想是不是要警惕毒杀什么的,避免那样的事情呢”
「あははは、この国の貴族はそんなに殺伐としてませんよ~。毒物を検知する魔道具もありますし、そもそもそんな事をしたら、犯人、バレバレじゃないですか」
“哈哈哈,这个国家的贵族可没那么杀气腾腾啊~。既有检测毒物的魔道道具,而且如果做了那样的事情,犯人不就暴露了吗?”
ディオラさんが笑いながらパタパタと手を振る。
迪奥拉一边笑一边吧嗒吧嗒地挥手。
その通りと言えばその通り。
说得对就是。
だが、バレても殺せればオッケー、仮にそれで紛争になっても構わないと考えれば、あり得ないとは言えないわけで。
但是,即使被发现了,只要能杀了就好,如果认为这样就算发生纠纷也没关系的话,也不能说不可能。
それが無いのであれば、この国の貴族は互いにそこまで険悪な仲ではないのだろう。
如果没有这样的话,这个国家的贵族就不会有那么危险的关系了吧。
「しかし、貴族同士の確執が無いのならありがたいな。この国に住んでいる庶民としては」
“但是,如果贵族之间没有争执的话那就太好了。作为住在这个国家的平民”
「争いに巻き込まれたくないですからね。平和が一番です」
“因为不想被卷入纷争中。和平是最好的”
俺たちに関わらないのであれば好きにしてくれ、という感じだが、統治者がおかしな事をすれば、庶民に影響が出ないわけがない。
如果和我们没有关系的话就请喜欢我们,虽然有这样的感觉,但是如果统治者做了奇怪的事情,也不会对平民产生影响。
昔、このネーナス子爵領であったあれこれだって、一般庶民への理不尽な取り締まりという形で影響が出ているのだから。
因为以前,作为纳纳斯子爵领的各种各样的事情,以对一般平民不讲理的取缔的形式产生了影响。
「う~ん、残念ながら、争いが皆無、と言うわけでは無いですよ? この周辺ではあまりありませんが、小さな紛争はたまにありますから」
“嗯,很遗憾,并不是说完全没有战争?虽然这附近不太有,但是偶尔也会有小纠纷”
「外国との戦争は?」
“和外国的战争是?”
「戦争中の国や明確な敵国は無いですが、仮想敵国はあります。そこまで緊張状態は高くないですけど」
“虽然没有战争中的国家和明确的敌国,但是有假想敌国。虽然紧张状态不是很高”
さすがアドヴァストリス様。
不愧是阿德瓦斯特里斯先生。
安全な地域だけじゃなく、国も選んで飛ばしてくれたらしい。
不仅仅是安全的地区,国家也会选择并放飞。
地味に仕事ができる神様である。
他是一位能够朴素工作的神。
暢気に生きてきた俺たちなんて、あの状態で戦乱の国に飛ばされたら、普通に死んでいた可能性、高いし。
无忧无虑地生活着的我们,如果在那种状态下被吹到了战乱的国家,很有可能会普通地死去。
ここで少しこの国の地理関係について説明すると、まず俺たちのいるこの国が『レーニアム王国』という名前で、この周辺では比較的大きめの国である。
在这里稍微说明一下这个国家的地理关系,首先我们所在的这个国家是“列尼姆王国”,在这附近是比较大的国家。
政情も安定している方で、極端な貧困や種族による差別も殆ど無く、比較的生活しやすい国である。
政局稳定,几乎没有极端贫困和种族歧视,是一个比较容易生活的国家。
レーニアム王国の東にあるのが『オースティアニム公国』で、この国はレーニアム王国とは同盟関係にあり、婚姻関係もあるため、それなりに結びつきが強い。
位于列尼安王国东边的是“奥斯汀公国”,这个国家和列尼姆王国有同盟关系,也有婚姻关系,所以有很强的联系。
国の情勢もレーニアム王国に似ているが、レーニアム王国に比べると、少しだけ宗教関係の力が強いらしい。
虽然国家的形势也与列尼安王国相似,但与列尼安王国相比,宗教关系的力量似乎稍强一些。
とは言っても、宗教国家というわけではないので、仮に俺たちがこの国に行ったとしても、窮屈に感じるほどではないだろう。
话虽如此,因为并不是宗教国家,即使我们去了这个国家,也不会感到拘束吧。
それなりに立派な神殿もあるらしいので、もし俺たちが観光旅行に行くのであれば、この国が第一候補となる。
因为似乎也有相当气派的神殿,如果我们去观光旅行的话,这个国家是第一候补。
南から南西にかけてあるやや大きめの国が『ユピクリスア帝国』。
从南到西南的稍大的国家是“尤比利斯帝国”。
この国がレーニアム王国の仮想敵国である。
这个国家是列尼安王国的假想敌国。
貿易もしているし、武力で以て直接的に睨み合っているわけでは無いのだが、油断はできない相手。
虽然也有贸易,也不是用武力直接对视,但是不能疏忽大意的对手。
何らかの対立があった場合、一応はいきなり武力行使には突っ走らず、最初は少し話し合いをしようか、というぐらいの仲である。
如果有什么对立的话,不要一下子就采取武力行动,而是一开始稍微商量一下的关系。
ただし、この国には亜人に対する差別がある様なので、エルフの俺としてはあまり関わり合いになりたくない国である。
但是,这个国家好像有对亚人的歧视,是个不想和精灵的我有太大关系的国家。
いきなりとっ捕まって奴隷にされる、みたいなことは無いようだが、楽しく観光できるような国ではなさそうだ。
虽然没有突然被抓来做奴隶的事情,但是好像不是能愉快地观光的国家。
南東にあるのが『フェグレイ王国』で政情はやや不安定。
位于东南部的是“费格雷王国”,政局稍有不稳定。
レーニアム王国とは一応友好関係だが、どちらかと言えば争っていないだけ、という関係の方が近い。
虽然和列尼安王国还算是友好关系,但总的来说只是没有争而已,这样的关系比较接近。
この国、内戦にまでは至っていないものの、内輪もめが酷くて貴族同士の紛争は日常茶飯事。
这个国家虽然还没到内战的地步,但是内部纠纷很严重,贵族之间的纷争是家常便饭。
下手に関わっても面倒しかないので、レーニアム王国としては、儀礼的に使者を送り合う程度の関係にとどめているのだとか。貿易も殆ど行われていないらしい。
即使关系不好也只会很麻烦,所以作为里尼姆王国,只不过是礼仪上的互派使者而已。贸易好像也几乎没有进行。
普通ならこんな国、他国から侵略を受けて滅びそうだが、幸か不幸か国土に魅力が無く、国民性が厄介なので、侵略するコストメリットが釣り合わず、放置されているのだ。
一般情况下,这样的国家会因为受到其他国家的侵略而灭亡,但无论是幸运还是不幸,国土都没有魅力,国民性很麻烦,所以侵略的成本优势无法平衡,就这样放任不管了。
この国の国民、他国から見れば何の根拠も無い選民思想を持っていて、亜人や他国人に対する差別が酷く、自国民の間でも階級思想があって、とかく扱いづらい。
这个国家的国民,在其他国家看来有着毫无根据的选民思想,对亚人和其他国家人的歧视很严重,本国国民之间也有阶级思想,很难处理。
ユピクリスア帝国は一度攻め込んで、ある程度の地域を占領下に置き、資本を投下して開発を進めようとしたことがあったようだが、住民の民度の低さ故に資本だけが消費されて大失敗、その土地を放棄して引き上げるに至っている。
尤比里亚帝国曾经攻打过一次,占领下一定程度的地区,投下资本进行开发,但是由于居民的素质低,只消耗了资本,导致了大失败,放弃了那块土地而提高。
曰く『フェグレイ王国の奴隷の最も良い使い道は、放逐することだ。存在するだけで悪影響があり、全く使い道が無い。もし奴隷に与える食料があるのなら、それを売り払って10分の1の人数でも帝国人を雇うべきである』らしい。
曰:“费格雷王国的奴隶最好的用途是放逐。只是存在就有坏影响,完全没有使用方法。如果有给奴隶的食物的话,即使是卖掉它的十分之一的人数也应该雇佣帝国人”。
そんな国なので、国民の生活レベルも低く、ユピクリスア帝国とは別の意味で、観光には向いていない。
因为是那样的国家,国民的生活水平也很低,和尤比里亚帝国不同,不适合观光。
で、残り。レーニアム王国の西から北に掛けての領域だが、このあたりは謂わば空白地帯。
然后,剩下。虽然是列尼安王国从西到北的区域,但这一带就是空白地带。
国交を樹立するような国が存在していないのだ。
建立邦交的国家不存在。
ずっと探索を進めていけばどこかの国に到達する可能性はあるが、魔物が存在する以上、それは簡単なことでは無いし、コストも掛かる。
如果一直进行探索的话,有可能到达某个国家,但既然有魔物存在,那就不是简单的事情,而且也需要成本。
そんな事をするよりも先に、国内に開発すべき場所は多くあるのだから、する理由も無い。
比起做那种事,国内应该开发的地方有很多,所以也没有理由去做。
俺たちの拠点としているラファンの町は、そんなレーニアム王国の北西の端、空白地帯に面して存在している。
作为我们的据点的拉风镇,在列尼安王国的西北端,是面向空白地带而存在的。
ちなみに、俺はレーニアム王国の名前こそ知っていたが、それ以外のことはディオラさんに訊いて初めて知ったことばかりである。
顺便说一下,我只知道列尼安王国的名字,除此之外的事情只有问了迪奥拉才知道。
興味が無いわけではないのだが、そう簡単に知ることのできる情報じゃないんだよな、こういう事って。
并不是没有兴趣,但也不是那么简单就能知道的信息。
庶民には習う機会も無いので、下手をすれば自国の名前すら知らなかったりするのだ。
老百姓没有机会学,弄不好的话连自己国家的名字都不知道。
実際、メアリたちも他国の名前はもちろん、レーニアム王国の名前すらあやふやだったぐらいである。
事实上,玛丽等国的名字自不必说,连列尼安王国的名字都不清楚。
それをしっかりと説明できるあたり、さすがは冒険者ギルドの副支部長である。
能够很好地说明这一点,不愧是冒险者行会的副支部长。