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333 岩山の中へ (4)

333岩山中(4)

翌日の朝食は、ロック・シェルの入ったスープだった。

第二天的早饭是加了摇滚贝壳的汤。

焼いても美味かったが、スープにしてもロック・シェルは十分に美味しく、自然と俺たちのモチベーションはアップ。

虽然烤起来也很好吃,但是就算是汤,摇滚贝壳也很好吃,自然地提高了我们的动力。

美味い食材の確保という方面で力の入った俺たちは、ロック・シェルが見つかる度にしっかりと確保しながら、坂道を下っていった。

在确保美味食材这方面下了很大力气的我们,每次发现摇滚贝壳的时候都会好好地确保,然后沿着坡道走下去。

当然、ロック・ゴーレムも出現はするのだが、何の価値もないそれは、今ではただの障害物である。

当然,摇滚·格雷姆也会出现,但是毫无价值的,现在只是个障碍物。

そう、文字通りの意味で、障害物。バリケード。

没错,字面意思就是障碍物。路障。

昨日、懸案となっていた、坂を転がってくるかもしれないゴーレムに対応できるよう、数体分の残骸を使って、車が突っ込んでも止められそうな物をドンと設置してみたのだが……本当に効果があるかは謎である。

昨天,为了应对悬而未决的、可能会从坡上滚过来的格雷姆,我试着用几具残骸,咚地设置了即使车子撞进去也能挡住的东西……真的有效果吗?这是个谜。

ダンジョンの罠にありがちな、単純に転がるだけの丸い岩と違って、ゴーレムって脚があるからなぁ。普通に乗り越えられそうで怖い。

和地牢陷阱里常见的单纯滚动的圆岩不同,高勒姆有脚。我害怕能普通地跨越。

そんなことをやりつつも、順調に奥へと進む俺たちだったが、その日の昼頃、ついに変化が現れた。

我们一边做着那样的事情,一边顺利地向深处前进,但是在那一天的中午,终于出现了变化。

いつも通りに現れ、いつも通りにインパクト・ハンマーを叩きつけられたゴーレム。

和往常一样出现,和往常一样受到冲击·锤子敲打的格雷姆。

その時の音が、これまでと明らかに違っていた。

那时的声音和以前明显不同。

これまでの『ガコンッ!』という音に対して、『ガキンッ!』という、やや硬質な音。

至今为止的《加油!》对于这样的声音,“咯吱咯吱!”有点硬的声音。

それと同時に、ハンマーを持つメアリの口からも声が上がった。

与此同时,拿着锤子的玛丽也发出了声音。

「硬いです!」

“太硬了!”

だが、結果は変わらず、やはり一撃で崩れ落ちたのだが、その残骸をよく見れば、なんか色が違う。

但是,结果没有改变,还是一下子就崩溃了,仔细看那残骸,总觉得颜色不一样。

「トーヤ?」

“火炬?”

「……うん、ストーン・ゴーレムだな」

“……嗯,是斯通•格雷姆啊。”

「微妙な違い!? 石が大きくなったら、岩じゃないの? 大きさ、変わらなかったんだけど」

“微妙的差异!?石头长大了不是石头吗?大小没变”

やや困惑気味なユキを見て、ナツキがストーン・ゴーレムの残骸の傍に屈み込み、それを調べ始めた。

看着有点困惑的雪,枣弯进了斯通・格雷姆的残骸旁,开始调查。

「ハルカ、少し『光ライト』を明るくしてもらえますか」

“Haruka,能稍微把‘光照’调亮一点吗?”

「了解」

“了解”

明暗差が大きくなりすぎないよう、普段は抑え気味になっている『光ライト』の光量をハルカが強めると、ロック・ゴーレムとストーン・ゴーレムの違いは明確だった。

为了不让明暗差变大,Haruka加强了平时控制的“光照”的光量,锁定·Golem和斯通·Golem的区别很明确。

はっきりと判るのは、その色。

能清楚判断的是那个颜色。

茶色っぽい岩で構成されていたロック・ゴーレムに対し、ストーン・ゴーレムの方はもっと白っぽい。

与由茶色岩石构成的摇滚·格雷姆相比,斯通·格雷姆更白。

所謂、御影石みたいな素材でできていて、ナツキがピックで叩いてみても、岩よりもやや硬質な音がする。

用所谓的御影石那样的素材做成的,即使用拨子敲枣,也会发出比岩石稍硬的声音。

「メアリちゃんはどう思いました?」

“你觉得玛丽怎么样?”

「硬かったのはもちろんですが、ちょっとだけ、速かったような気がします」

“硬是当然的,但是感觉有点快。”

「つまり、殴られたら痛い、と。嬉しくないな」

“也就是说,被打了会很痛。真不开心啊”

「いや、待て、ナオ。この残骸、ロック・ゴーレムとは違って売れるみたいだぞ?」

「不,等一下,娜奥。这个残骸和洛克・格雷姆不同,好像很畅销哦?”

「売れるって……何が?」

“卖得好……什么?”

「“石材”が。まぁ、重すぎるから、回収する冒険者は少ないみたいだけどな」

“‘石材’。嘛,因为太重了,所以回收的冒险者好像很少”

一応、売れる素材が残る分だけ、ロック・ゴーレムよりもちょっとマシ、なのか。

暂且,只剩下能卖出去的素材的量,比摇滚·格雷姆稍微好一点,是吗。

意味があるのかは微妙だが。

有没有意义很微妙。

マジックバッグが余っているならともかく、普通なら労力に見合わない。

如果有多余的魔术包那就另当别论了,如果是普通的话就不算费力了。

「しかも普通に戦ったら、石材としては利用できないサイズにならないか?」

“而且如果和普通人战斗的话,不是不能作为石材使用的尺寸吗?”

「魔石を砕けないとなぁ……。試してみるか?」

“必须要打碎魔石啊……。要不要试试?”

「……そうね。インパクト・ハンマーは一つしかないわけだし、複数出てきたときも想定すべきよね」

“……是啊。冲击锤只有一个,出现多个的时候也应该设想一下”

「ガーゴイル戦に向けての予行演習になるかもしれませんしね」

“可能会成为针对少女战士的预行演习。”

ハルカとナツキのその提案で、俺たちはガーゴイル対策に用意した普通の戦槌やフレイル的な武器を以て、次に出てきたストーン・ゴーレムと戦ってみたわけなのだが……結果は粉々になった石材。

在Haruka和夏树的提议下,我们用为格哥尔对策准备的普通战锤和Friel式武器,试着和下一个出来的斯通·戈莱姆作战……结果是粉碎的石材。

かなりの時間が掛かった上に、これでは売れないし、魔石も壊れているので、完全に草臥れ儲け。成果ゼロである。

花了相当长的时间,而且这样卖不出去,魔石也坏了,完全是草率从事的赚钱。成果为零。

それに加え――

再加上——

「お耳がとても痛いの……」

“耳朵很痛……”

「あぁ、普通に戦うなら、耳栓が欲しいな、マジで」

“啊,要是普通地战斗的话,我真的想要耳塞。”

自分の耳をぺたんと両手で押さえ、ちょっと涙目のミーティアや、違和感があるのか、ピクピクと耳を震わせているトーヤたち獣人ほどではないにしろ、俺やハルカもそれなりに耳が良い。

用双手捂住自己的耳朵,稍微有点泪眼的米蒂亚和不协调的感觉,虽然不像哆啦A梦和震耳欲聋的Toya他们兽人那样,我和Haruka也有相应的耳朵。

間近で石に叩きつけられるハンマーの音は、なかなかにダメージが大きかった。

被石头近距离敲打的锤子的声音,损坏非常大。

「それに、安物のせいか、武器もすでに鈍っていますしね」

“而且,不知道是不是因为便宜货,武器也已经变迟钝了。”

「うん。ちょっと節約しすぎたかもな」

“嗯。可能是节约过头了”

普段使いする予定のない武器だけに、俺たちが使っていたのは、ガンツさんの所で入手したお手頃価格の既製品。

正因为是平时没有使用预定的武器,所以我们使用的是GANTZ先生那里得到的价格适中的成品。

いつもの武器とはお値段の桁が違うだけに、その品質は値段相応である。

正因为价格上的位数和平时的武器不一样,所以品质和价格相应。

俺が使っていた戦槌など、何度もストーン・ゴーレムに叩きつけたせいで、それなりに鋭く尖っていた片方の先端がすでに潰れてしまっている。

我使用的战锤等,因为多次敲击斯通·戈莱姆,相应尖锐的一方的尖端已经被击溃了。

平らになるほどではないにしろ、最初と比べれば差は歴然。

即使还没有达到平坦的程度,和最初相比差距也是明显的。

与えるダメージもかなり低下しているだろう。

给予的伤害也会大幅下降吧。

「耳栓はないけど、ミーティアとメアリ、頬被りでもする? 少しは軽減されるかも」

“虽然没有耳塞,但是要用米蒂亚和玛丽来盖住你的脸吗?可能会减轻一点”

「そう、ですね。その方が良いかもしれません」

“是啊,是啊。也许那样比较好”

一応、自分で耳を伏せることもできるようだが、むしろ戦闘中などの興奮状態だと、耳がピンと立ってしまい、意識を割いて伏せるのは少し大変らしい。

虽然也可以自己趴在耳朵上,但如果是战斗中的兴奋状态的话,耳朵会突然竖起,分开意识伏下似乎有点困难。

ハルカが取りだした布をメアリとミーティア、そしてついでにトーヤも被って、顎で結ぶ。

把Haruka取出来的布玛丽和米蒂亚,然后顺便戴上托亚,用下巴扎起来。

……うん、それはイマイチ。

……嗯,那还不太好。

農家のお婆ちゃんみたいだぞ。

像农民的奶奶一样。

「ちょっと貸して」

“借我一下。”

ハルカも俺と同じ意見だったのか、トーヤをしゃがませると頬被りを取り去り、額側から後ろに布を回して結ぶと、耳を丁寧に畳んで中に収める。

也许是Haruka和我的意见相同吧,他蹲下托雅,就把脸取下,从额头到后面绕着布系上的话,耳朵会认真地叠好收进里面。

今度はあれだな、イメージ的にはラーメン屋の兄ちゃん。もしくは大工。

这次是那个,印象中是拉面店的哥哥。或者是木匠。

「うん、こっちの方が良いわ」

“嗯,这个比较好。”

「お、そうか? オレも動きやすくて良い感じだが」

“哦,是吗?我也很容易行动,感觉很好”

メアリとミーティアの方も、ナツキとユキが同じように結んでやっている。

玛丽和米蒂亚的人也用同样的方法把枣和雪系在一起。

あれはあれで可愛いと言えなくもなかったが、こっちの方が普通に可愛い。

那个也不是不能说可爱,但是这个更普通地可爱。

――というか、先を越された。

——也就是说,已经过了头。

俺がやりたかった。せっかく耳を触る機会だったのに。

我想做。明明是难得碰耳朵的机会。

いや、頼めば触らせてくれるとは思うんだが、相手、女の子だしな。

不,我觉得拜托的话会让我碰的,对方是女孩子啊。

普通に考えて『手触りが良さそうだから、髪を触らせて』と言うようなもの。

普通的想法是“手感好像很好,让我碰头发吧”。

よほど親しい間柄でもなければ、ただの変態である。

如果不是相当亲密的关系,也只是变态而已。

故に俺も自重しているのだ。

所以我也很自重。

その代わりに、トーヤのはたまに触っている。

相反,火炬偶尔会碰。

トーヤも獣耳好き故に、理解してくれるのがありがたい。

因为Toya也喜欢兽耳,所以很难理解。

もっとも、『男に触られるのは嬉しくねぇ!』と、本当にたまにしか触らせてくれないのだが。

不过,“被男人碰了可不开心!”真的只是偶尔碰一下。

「ミーティアちゃん、耳が痛かったりはしませんか?」

“米蒂亚,你有没有耳朵疼?”

「大丈夫なの。ナツキお姉ちゃん、ありがとうなの!」

“没关系的。夏奇姐姐,谢谢你!”

「音の方はどんな感じ? 少しは軽減されそう?」

“声音是什么感觉?能稍微减轻一点吗?”

「耳に意識を割かなくていいのは、ありがたいです」

“不用在耳朵上打破意识,真是太好了。”

「その代わり、索敵には多少影響が出そうだけどなぁ。……ナオ、頼んだぞ?」

“相对的,对索敌多少有点影响啊。……娜奥,拜托你了?”

「了解……って、言ってる間にも近づいているな」

“明白……说着说着就接近了。”

「お、早速効果を確かめられるか!」

“哦,能马上确认效果吗!”

大きな音を立てて戦闘をしている影響か、ゴーレムは定期的にお代わりがやってくる。

也许是受到了发出巨大声音进行战斗的影响,格雷姆会定期再来。

トーヤを中心にそれらを排除しつつ先に進むと、三日目には通路に分岐も出現した。

以火炬为中心,一边排除它们一边前进,第三天道路上出现了分歧。

上る方向と下る方向。

上下方向。

確率的には下る方向が、ガーゴイルのいるボス部屋に繋がると思うのだが、ゴーレムが後ろから転がってくる危険性を考えると、上る方向を無視するのも難しい。

我想概率性地降低的方向,与有gagole的boss房间相连,不过,考虑到golem从后面滚来的危险性的话,无视上升的方向也很难。

ダンジョン故に、魔物を虱潰しに排除したところで、しばらくすれば復活するのだが、だからといって放置するのも怖い。

因为是地牢,即使家丑地将魔物一一清除,过了一会儿就会复活,但即便如此,放任不管也很可怕。

それらのリスクを勘案し、全員で暫し相談した結果、『ダンジョンの外は寒くなってきているし、食料もたっぷり。急ぐ必要もないので、のんびり調べよう』と決まり、マップを埋める方向で行くことになった。

考虑到这些风险,全体人员商量了一下,结果“地牢外面变冷了,食物也很多。没必要着急,悠闲地查一下吧”,于是就朝着填地图的方向走去。

幸い、判りやすく傾斜が付いているので、上り方向から順に調べてマッピング、ゴーレムやロック・シェルを排除しながら埋めていく。

幸运的是,因为倾斜很容易辨认,所以从上行方向开始按顺序调查映射,一边排除格雷姆和锁壳一边填埋。

インパクト・ハンマーがあるおかげで戦闘は楽なのだが、ずっと坂の上り下りというのが地味に辛く、斃しても金にならない魔物ばかりというのが、モチベーションの低下に繋がっている。

因为有冲击锤,所以战斗很轻松,但是一直上下坡很辛苦,死了也不会变成钱的魔物,导致了动力低下。

唯一の救いはロック・シェルだが、あれ、ゴーレムよりも出現頻度が低いんだよなぁ。

唯一的救星是摇滚贝壳,那个,出现频率比格雷姆低。

だが、そんな俺たちに救いの手を差し伸べるかのように、五日目、久方ぶりの宝箱が、俺たちの目の前に出現した。

但是,第五天,久方的宝箱出现在了我们的眼前,好像是要向我们伸出援助之手似的。