291 パーティー当日 (1)
291派对当天(1)
一周年記念パーティーの当日。
一周年纪念派对的当天。
最初にやって来たのは、アエラさんとルーチェさんだった。
最先来的是阿伊拉和鲁切。
ハルカたちは料理の準備をしているので、出迎えは俺とトーヤの役目。
因为Haruka他们在准备料理,所以迎接我和Toya的任务。
「本日は、お招きありがとうございます」
“今天谢谢您的邀请。”
「ありがとうございます。こちら、お祝いです」
“谢谢。这是祝贺”
「こちらこそ、来てくれてありがとうございます。お店、忙しいだろうに」
“我才是,谢谢你来。店里很忙吧”
差し出された小さな樽を受け取りつつ、俺もお礼を返す。
我一边接受着递过来的小樽,一边回礼。
これは、お酒、かな?
这是酒吗?
俺たちはほとんど飲まないが、飲む人も来るので、ありがたい。
我们几乎不喝,但是喝的人也来,真是太感谢了。
「何か、お手伝いできることはありますか?」
“有什么可以帮忙的吗?”
「えーっと、たぶん大丈夫だとは思うが、ハルカたちの方へ行ってみてくれるか? 台所にいるから」
“嗯,我想应该没问题,你能去Haruka他们那边看看吗?因为我在厨房”
俺、それにトーヤがやっているのは、庭にテーブルなどを並べる作業。
我,而且Toya做的是在院子里摆桌子等的工作。
こちらを手伝ってもらうのも何なので、ハルカたちのいる台所を指さす。
请你帮忙也没什么,所以指的是Haruka他们所在的厨房。
二人は料理のプロと配膳のプロだし?
两个人是料理专家和配膳专家?
「解りました。それではまた後ほど」
“我明白了。那么稍后见”
「失礼します」
“失礼了。”
二人が家の中に入ってしばらく、次にやって来たのは、トミー、ガンツさん、シモンさんの職人組。
两人进入家中不久,接着来到的是汤米、GANTZ、西蒙的工匠组。
こちらもお酒の入った樽を一つ持参。
我也带了一个装酒的木桶。
アエラさんたちが持ってきた物よりも二回りは大きく、トミーが担ぐようにして持っている。
比阿伊拉他们带来的东西大两圈,像汤米一样扛着。
三人で一緒に購入した物らしい。
好像是三个人一起买的东西。
この三人にはやってもらうことも無いので、適当に座って待っていてもらい、設営の続行。
因为这三个人也没有做过,所以请随便坐着等着,继续设营。
料理が並び始めたところで、メアリとミーティアに孤児院へと走ってもらった。
刚开始上菜,玛丽和米蒂亚就跑去了孤儿院。
孤児院の子供たちは二〇人以上。
孤儿院的孩子超过二十人。
その人数の子供たちが、おとなしく待てるかというと……ちょっと疑問だったので、準備ができてから呼ぶことにしていたのだ。
那个人数的孩子们,要老实地等着吗……因为有点疑问,所以准备好了再叫。
メアリたちが戻ってくる前に到着したのは、ディオラさん。
在玛丽他们回来之前到达的是迪奥拉。
これで孤児院組がやってくれば、招待客は全員である。
如果孤儿院组织这样做的话,所有的客人都会来。
「ディオラさん、今日はわざわざありがとうございます」
“迪奥拉先生,今天谢谢您特意前来。”
「いえ、私の方こそ、お招きありがとうございます。一周年でパーティーをすると聞いた時は少し驚きましたが……余裕があるのは良い事です」
“不,我才是,谢谢您的邀请。听说要开一周年派对的时候有点吃惊……但是有余裕是件好事”
「やはり珍しいですか」
“果然很少见吗?”
「パーティーメンバーだけで、酒場で祝杯を挙げたりはするでしょうが、こんな風に人を呼んだりはしないでしょうね。……そもそも、一年で人を呼べるような家を手に入れている事自体、普通の冒険者では無理ですから」
“只有派对的成员会在酒馆里举杯庆祝,但是不会这样叫人吧。……说起来,拥有一年就可以叫人来的房子这件事本身,对于普通的冒险者来说是不可能的”
ディオラさんはそう言って苦笑を浮かべる。
迪奥拉说着露出苦笑。
まぁ、それは理解できる。
嗯,我能理解那个。
俺たちが可能なのは、冒険者になった時点で十分なスキルを持っていたからだし。
我们之所以有可能,是因为在成为冒险者的时候就已经有足够的技能了。
「お仕事の方は大丈夫ですか? ディオラさん、副支部長なんですよね?」
“工作方面没问题吗?迪奥拉,你是副支部长吧?”
「大丈夫ですよ。私もたまには休まないと。それに、ナオさんたちには無理をお願いしましたし、お祝いには出させて頂きますとも」
“没关系。我偶尔也要休息。而且,也拜托了娜奥先生他们无理要求,请让我参加祝贺活动”
「あれは……まぁ、俺たちの成長にも繋がりましたから」
“那是……嘛,这也关系到我们的成长。”
少し申し訳なさそうな表情を浮かべるディオラさんに、俺は首を振る。
面对面露抱歉表情的迪奥拉,我摇了摇头。
ネーナス子爵に関わるあれこれ。
和妮纳斯子爵有关的各种各样的事情。
面倒と言えば面倒だったが、少なくない収穫もあった。
要说麻烦倒是麻烦,但也有不少收获。
ダンジョンがもらえた事はもちろん、米を入手することができたし、貴族に関するあれやこれやは、俺たちもいつか向き合う必要があったのだ。
地牢得到的东西自不必说,还可以得到大米,关于贵族的各种各样的东西,我们也有必要去面对。
それを考えれば今回の事は、多少でも有利な立場で交渉が可能だったという面で、渡りに船とも言える。
考虑到这一点,这次的事情,在多少有点有利的立场上可以进行交涉的方面,也可以说是一艘船。
「そう言って頂けると……。それから、これが届きましたのでお渡ししておきますね。ダンジョン、及びその周辺の所有を認める正式な書類です。そしてこちらは、私からのお祝いです」
“这么说的话……。然后,这个送到了,我把它交给您。地牢,以及承认其周边所有的正式文件。然后,这是我的祝福”
少し高級そうな紙に書かれた書類と、ついでのように渡される一本の瓶。
写在稍微高级一点的纸上的文件和随手递过来的一瓶瓶。
瓶の方は、この流れから言って、たぶんお酒。
瓶子从这个流程来说,可能是酒。
……ん? 瓶入りの酒ってかなり珍しいよな?
……嗯?装在瓶子里的酒很少见吧?
考えるまでも無く、高級品では?
不用考虑,不是高级品吗?
「あ、ありがとうございます」
“啊,谢谢。”
「いえいえ~、今後ともよろしくお願いします、ということで。高ランクの皆さんには、お世話になることも多いでしょうし?」
“不不不不,今后也请多多关照。对于高等级的各位,也有很多需要关照的地方吧?”
ニッコリと良い笑顔を浮かべるディオラさんに、少々怖い物を感じる。
迪奥拉微笑着,脸上浮现出好笑容,稍微有点恐怖。
冒険者ギルドの副支部長は伊達ではなく、したたかな所もあるディオラさんだけに。
冒险者行会的副支部长不仅仅是伊达,而是有着强大的地方的迪奥拉。
「ディオラさん、お手柔らかに頼むわね?」
“迪奥拉先生,请手下留情吧?”
「ハルカ……」
“Haruka……”
背後を振り返ると、そこにいたのは苦笑を浮かべたハルカだった。
回头一看,在那里的是浮现苦笑的春香。
「もちろんですとも。共存共栄、それが冒険者と冒険者ギルドの関係です」
“当然。共存共荣,这就是冒险者和冒险者行会的关系”
「そうありたいわね」
“真想这样啊。”
ちょっと肩をすくめるハルカに、ディオラさんから受け取った書類を渡すと、ハルカはそれを開いて確認し、小さく頷く。
把从迪奥拉那里收到的文件交给稍微耸耸耸肩膀的Haruka后,Haruka打开确认,微微点了点头。
そしてその書類は、興味深そうに集まってきていたナツキたちの方へパスされた。
然后那个文件被传给了兴致勃勃地聚集在一起的夏树们。
「間違いないわね」
“没错。”
「はい。国王が正式に認めた所有権ですからね。その土地の内部であれば、かなりの範囲で特権が認められますよ」
“是的。因为是国王正式承认的所有权。在那片土地的内部,在相当大的范围内可以享有特权”
「特権ですか?」
“是特权吗?”
「勝手に侵入してきた平民なら、殺してもまったく問題にならないぐらいですね」
“如果是擅自入侵的平民的话,杀了也完全没问题。”
聞き返したナツキに、ディオラさんは平然と、怖いことを言う。
面对着反问的枣,迪奥拉坦然地说出了可怕的话。
「……そこまで?」
“……到此为止?”
「えぇ。貴族相手ではさすがに無条件に殺すのはダメですが、状況次第では許容されます。相手が下級貴族で、盗掘などしている証拠があれば大丈夫ですね。森での狩り程度ならグレーですが、勝手にダンジョンに入った時点で黒と判断して構いません」
“诶。与贵族对手无条件杀人是不行的,但根据情况也可以接受。如果对方是下级贵族,有盗掘的证据就没问题了。如果只是在森林里狩猎的程度的话就是灰色,但是随意进入地下城的时候就可以判断为黑色了”
下級貴族とは、男爵以下の貴族。
下级贵族是男爵以下的贵族。
平民相手でも“切り捨て御免”が許されるというのも凄いが、条件付きとは言え、それが貴族相手でも適用されるとは、想像以上にこの“所有権”は凄かったらしい。
即使是平民对象,也能允许“舍弃御免”也很厉害,虽说有条件,但贵族对象也能适用,这一“所有权”比想象中还要厉害。
「まぁ、一応“許される”だけですから、お奨めはできませんけどね」
“嘛,只是暂时‘被原谅’而已,所以不能推荐。”
「それはそうでしょうね」
“那是吧。”
当たり前だが、相手がよほど問題がある人物でも無ければ、そんな事をすれば恨みを買う。
当然,如果对方不是相当有问题的人,做那样的事会招来怨恨。
特に貴族から恨みを買えば、どうなるか、考えるまでも無いだろう。
特别是如果从贵族那里得到了怨恨,那会变成什么样呢。
まさか、ダンジョン内で一生過ごすわけにはいかないのだから。
难道,我不能在地牢里度过一生吗。
「ナオさんたちに“理”と“利”があれば、ネーナス子爵は守る方向で動くと思いますが、“子爵”ですからね。そこまで期待はできません」
“如果娜奥他们有‘理’和‘利’的话,娜娜娜斯子爵会朝着保护的方向移动,因为是‘子爵’。我不能那么期待”
「いや、そんな事、する予定は無いぞ? オレたち」
“不,我没有做那种事的计划?我们”
うん、うん。
嗯,嗯。
貴族はもちろん、平民だって、ダンジョンに侵入されたぐらいで殺すつもりは無い。
贵族自不必说,平民也不打算被地牢入侵就杀掉。
肉エリアぐらいなら、多少狩られたところで大して問題は無いし。
如果只是肉区域的话,就算多少被狩猎也没什么问题。
果物などを勝手に採られたら嫌だが、その際も拘束して没収、放逐。
如果水果等被随便采摘的话会很讨厌,但那时也会被拘束没收、放逐。
場合によっては、冒険者ギルドに報告。
根据情况,向冒险者行会报告。
その程度だろう。
只是那个程度吧。
だが、ディオラさんは、曖昧な笑みを浮かべ俺たちの顔を見回すと、ゆっくりと首を振った。
但是,迪奥拉露出了暧昧的笑容,环视着我们的脸,慢慢地摇了摇头。
「トーヤさん、大抵のトラブルは、予定されていないんですよ?」
“Toya先生,大部分的纠纷都没有预定好吧?”
「ディオラさん、不吉なことを言わないで欲しいかな? あたしたちの、“今年一年、平穏に過ごせて良かったね”パーティーで」
“迪奥拉先生,希望你不要说不吉利的话吗?在我们的“今年一年,能平安度过真是太好了”派对上”
ユキの抗議に、ディオラさんは一瞬沈黙、そしてニッコリと笑う。
面对yuki的抗议,迪奥拉一瞬间沉默了下来,然后微笑着。
「……この一年を、平穏と言える皆さんなら、問題ないですよ」
“……如果大家能把这一年说得平平稳稳的话,那就没问题了。”
うん、平穏と言うのはちょっと苦しいな。
嗯,说平静有点痛苦。
こちらに来たという、一大イベントは措くとしても、色々あったから。
来到这里,一大活动暂且不提,因为有很多。
まさか俺とハルカが、貴族のパーティーに参加させられる事になるなんて、一年前には思いもしなかったし……。
没想到一年前我和Haruka竟然被邀请参加贵族的派对……。
でも、何とか無事に乗り切っているわけで。
但是,总算是平安度过了难关。
“平穏”という贅沢は望まないが、次の一年も無事に乗り切れることを願うだけである。
虽然不希望过上“平稳”的奢侈生活,但也只是希望下一年也能平安度过。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
「本日は、俺たちの一周年記念パーティーに集まってくれてありがとうございます。皆さんのご支援・ご鞭撻のおかげで、無事にこの日を迎えることができています。今後ともご迷惑をおかけする事があるかと思いますが、よろしくお願いします。今日は、存分に食べて、飲んでいってください」
“感谢大家今天来参加我们的一周年纪念派对。多亏了大家的支持和鞭策,我才能平安地迎来这一天。我想今后还会给您添麻烦,请多关照。今天请尽情地吃,喝吧”
メアリたちが孤児院組を連れて戻ってきたところで、パーティーは開始された。
玛丽他们带着孤儿院组回来,派对开始了。
今日の挨拶も何故か俺。
不知为何今天的问候也是我。
まぁ、知り合いばかりだから、気負うこともないんだけど。
嘛,因为都是认识的人,所以也没什么好担心的。
俺の手短な挨拶が終わると同時に動き出したのは子供たち。
我简短的问候结束的同时,开始行动的是孩子们。
向かう先は料理が大量に並べられたテーブル。
目的地是摆着大量料理的桌子。
ウチに到着するやいなや、それらに目を奪われていたので、仕方のないところだろう。
一到我家就被那些吸引住了,这也是没办法的事吧。
ハルカたちもそれを見越して、そして子供たちが遠慮せずに食べやすいよう、大人組とはテーブルを分けているので問題は無い。
Haruka他们也预见到了这一点,而且为了让孩子们不客气地吃起来方便,和大人们分开了桌子,所以没问题。
さて、俺も食べるか。
那么,我也吃吗。
何が良いか……俺やトーヤがリクエストしていた料理もしっかりと並んでいるから、目移りしてしまうな。
什么好呢……我和TOYA点的菜也好好地摆在一起了,不要移开视线。