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養蜂家の青年は、自宅にて目覚める
2 years ago
养蜂家的青年在家里醒来
2 years ago
にゃんにゃんと、猫の鳴き声が聞こえる。
2 years ago
喵喵地听到猫的叫声。
2 years ago
いつもだったら気にしないのに、どうしてか鳴き声が聞こえるほうへと誘われる。
2 years ago
如果是平常的话就不介意了,不知为什么被邀请去能听到叫声的地方。
2 years ago
家族の誰かが「イヴァン!」と呼んでいる気がしたが、後回しにした。
我觉得家里有人叫我“伊凡!”,但我把它往后推了。
猫の鳴き声はだんだん遠ざかっていく。
猫的叫声渐渐远去。
走って追いかけないと、姿を見ることはできないだろう。
不跑去追的话,是看不到你的身影的吧。
なんだか走りにくい気がして、兄のおさがりの帽子や外套を脱ぐ。ロマナが贈ってくれた靴や手作りの靴下も脱いだ。
总觉得很难跑,脱下哥哥的帽子和外套。她还脱下了罗曼娜送给她的鞋子和手工制作的袜子。
唯一自分で買ったシャツと、ズボンだけになると、ずいぶん走りやすくなった。
如果只是自己买的衬衫和裤子的话,就很容易跑了。
ここでようやく、猫の姿が見える。
在这里终于看到了猫的身影。
金色の毛並みに、青い瞳を持つ美しい猫だった。まるで、こっちへついてこいと誘っているような鳴き声をあげていた。
是一只金色的毛色,有着蓝色眼睛的美丽的猫。简直就像是在邀请他跟我来一样的叫声。
花畑を走り抜け、草原を通り過ぎ、走って、走って、走り抜けると、生まれ育ったブレッド湖を取り囲む景色は見えなくなる。
穿过花圃,穿过草原,跑过去,跑过去,跑过去,就看不到围绕着土生土长的布莱德湖的景色了。
たどり着いたのは、深い、深い、エメラルドグリーンの美しい湖。果てなく広がる湖は、ブレッド湖よりも大きく感じた。
到达的是深、深、翡翠绿的美丽湖泊。我感觉无边无际的湖泊比布莱德湖还要大。
そして、天を衝くようにそびえる雄大な山々。見たこともない光景が、これでもかと広がっていた。
而且,耸立着冲天的雄伟群山。从未见过的光景,就这样蔓延开来。
あまりにも美しく、自然と涙が零れる。
太美了,自然会流泪。
「ここは!?」
2 years ago
“这里是!?”
2 years ago
猫の姿は消え、一人の少女の姿になった。姿はおぼろげで見えないけれど、どうしてか強く惹かれるものがある。
猫的身影消失了,变成了一个少女的身影。虽然样子很模糊看不见,但不知为什么却有被强烈吸引的东西。
差し出された手を掴もうとしたら、景色がぐにゃりと歪んだ。
想要抓住伸出的手,景色却扭曲了。
「にゃんにゃん、にゃんにゃん」
2 years ago
“喵喵,喵喵”
2 years ago
低い、中年親父の声が聞こえた。先ほどの、鈴の音が鳴るような猫の声とは真逆である。
听到了低沉的中年父亲的声音。和刚才那铃铛般的猫的声音完全相反。
あまりにもにゃんにゃん言うので、叫んでしまった。
因为太喵喵地说了,所以喊了起来。
「うるさいな!!」
2 years ago
“真烦人!!”
瞼を開くと、俺を覗き込む中年親父の姿があった。
睁开眼睛,看到了窥视我的中年父亲的身影。
「にゃんにゃんおじさん……じゃなくて、マクシミリニャン?」
2 years ago
“喵喵叔叔……不是,是马克西米莉娜?”
「そうである」
2 years ago
“是的。”
どうやら、今まで夢を見ていたようだ。何か印象的な内容だった気がするが、よく思い出せない。それよりも、顔面がズキズキ痛み、夢どころではなかった。
看来,到现在为止都在做梦。我觉得是什么印象深刻的内容,但是想不起来。与此相比,脸上的疼痛并不是梦。
「痛った……!」
2 years ago
“好痛……!”
2 years ago
ここでようやく、サシャに殴られたときの記憶が甦ってきた。
在这里,终于恢复了被萨沙殴打时的记忆。
まずは、マクシミリニャンに感謝の気持ちを伝える。彼がいなかったら、俺はサシャに殺されていただろう。
首先,向马克西米利尼亚表达感谢之情。如果他不在的话,我会被萨沙杀死的。
「おじさん……ありがとう、ございました」
2 years ago
“叔叔……谢谢,谢谢。”
「気にするでない。それよりも、灯りも持たずに我に助けを求めてきた、少年に感謝するといい」
2 years ago
「我不介意。与其这样,还不如感谢没有点灯就向我求助的少年。」
ツィリルが、マクシミリニャンを呼んできてくれたようだ。
好像是齐里尔把马克西米利尼亚叫来了。
もともと、小屋に向かっていたようだが、それでも走って五分くらいの距離は離れていたという。
原本好像是去了小屋,但据说即使这样也离跑了五分钟左右的距离。
ツィリルのおかげで、俺は助かったのだ。
多亏了齐里尔,我得救了。
2 years ago
マクシミリニャンは「しばし休め」と言って出て行った。
2 years ago
马克西米利尼亚说着“暂时休息”就出去了。
2 years ago
入れ替わるように、母が部屋に入ってくる。
母亲像换一样走进房间。
ここでようやく、この場所が母の寝室であることに気付いた。さすがに、屋根裏部屋に俺を運べなかったのだろう。
在这里,我终于注意到这个地方是母亲的卧室。真不愧是没能把我搬到阁楼里吧。
「全治、一週間ですって。幸いにも、骨は折れていないそうよ」
2 years ago
“痊愈一周,幸好骨头没有骨折。”
呆れたように、言われてしまった。
像是被吓了一跳似的,被说了。
2 years ago
顔全体が死ぬほど痛いのに、骨は折れていないなんて。意外と、頑丈なのだなとしみじみ思う。
2 years ago
整张脸都痛死了,骨头居然没有折断。意外地觉得很结实。
2 years ago
顔は包帯だらけのようだ。傷口が痒いような気がして、気持ち悪い。
脸上好像全是绷带。我感觉伤口很痒,很恶心。
口の中も、切っているのかじくじく痛む。
嘴里也在切吗。
それよりも、気になっている件を質問してみた。
比起那个,我试着问了一下在意的事情。
「サシャは?」
2 years ago
“萨沙呢?”
「あの子は、酷く取り乱していたから、ブレッド湖の教会に連れて行ったわ。神父様が、しばらく預かってくれるそうよ」
2 years ago
“那孩子太慌乱了,所以带他去了布莱德湖的教堂。听说神父会暂时保管的。”
「そうなんだ。大丈夫かな」
2 years ago
“是啊,没事吧。”
「あなたは、そんな状態になっても、サシャの心配をするのね」
2 years ago
“你即使到了那种状态,也会担心萨沙的。”
「だって、サシャは、双子の兄、だし」
2 years ago
“因为萨沙是双胞胎哥哥。”
2 years ago
自分も一歩間違えば、サシャのようになっていた可能性はある。だから、他人事のようには思えなかった。
如果自己也走错一步的话,有可能会像萨沙一样。所以,我不认为这是别人的事。
俺とサシャは、元は一つだったものが、二つになった存在だから。
我和萨沙本来是一个,但却是两个。
「ロマナは?」
2 years ago
“罗曼娜呢?”
「修道院に行くと言って、出て行ったわ」
2 years ago
“他说要去修道院,然后就出去啦。”
義姉達が引き留めたようだが、修道女になると言って聞かなかったと。母も説得に行ったらしいが、取り合ってもらえなかったらしい。
大嫂们好像挽留了他,但他说要成为修女却没问。母亲好像也去劝说了,但好像没有被理睬。
「まさか、サシャとロマナが上手くいっていなかったなんて、思いもしなかったわ」
2 years ago
“没想到萨沙和罗曼娜没能顺利进行。”
「まあ、元は他人だから、本当の家族になるのは、難しいよ」
2 years ago
“哎呀,原来是别人,要成为真正的家人是很难的。”
「結婚していないあなたが、どうしてわかったふうな口をきくのよ。でも、その通りなのよね」
2 years ago
“没有结婚的你,为什么会说出明白的话呢?但是,你说得对。”
家族とは、なんなのか。改めて、考える。
家人是什么。重新考虑。
俺達人が定義する家族とは、決して蜜蜂のように割り切った関係ではない。
我们人类定义的家族,绝对不是像蜜蜂一样割舍的关系。
手と手を取り合って助け合い、愛を与え、また愛を返す存在なのだろう。
是手和手互相帮助,给予爱,又返还爱的存在吧。
それができないと、関係は破綻してしまう。
如果做不到这一点,关系就会破裂。
2 years ago
結婚を経て結ばれた存在であれ、血を分け合った存在であれ、特定の家族に頼り切るというのは、もはや家族ではない。
2 years ago
无论是经过婚姻结合的存在,还是分享着鲜血的存在,依靠特定的家人已经不是家人了。
2 years ago
言葉を選ばないで言うと、蜜蜂に寄生する害虫のようになってしまうのだ。
2 years ago
如果不选择语言的话,就会变成寄生在蜜蜂上的害虫。
2 years ago
寄生されたら、本人も、家も、何もかもがダメになってしまう。
如果被寄生的话,本人、家、一切都会变得不行。
ロマナもそれに、気付いてしまったのかもしれない。
也许罗曼娜也注意到了这一点。
俺も、そうなりたくない。
我也不想变成那样。
いい機会だと思い、母に決意を告げる。
我觉得这是个好机会,告诉母亲我的决心。
「母さん、俺、この家を出る」
2 years ago
“妈妈,我要离开这个家。”
「なんですって!?」
2 years ago
“你说什么!?”
「独立したいんだ」
2 years ago
“我想独立。”
2 years ago
母は、怒りとも悲しみともとれない表情で、じっと俺を見つめていた。
2 years ago
母亲带着愤怒和悲伤都无法消除的表情,目不转睛地看着我。