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# 212 アイスが食べたい 想吃冰淇淋
「わーぉ、見事。死んだ?」
“哇,太棒了。死了吗?”
ピクリとも動かないストライク・オックスを、トーヤが剣の腹でパシパシと叩く。
托雅用剑腹啪嚓啪嚓地敲打着连皮利都动不了的好球·奥克斯。
「あぁ、死んだな……」
“啊,死了啊……”
最初の『ゴキッ』の時点で、ストライク・オックスは索敵反応から消えていた。
在最初的《哥奇》的时候,好球·奥克斯从索敌反应中消失了。
予想以上にあっさりと。
比预想的还要清淡。
「ふっふっふ、ミスをそのままにしない。それが紫藤夕紀」
“呼呼呼呼呼,不要把错误就那样放着。那就是紫藤夕纪”
久しぶりにフルネームを聞いた――じゃなくて。
好久没听到全名了——不是。
向上心は素晴らしいし、効果も素晴らしいが……なんだろう、この気持ち? 妙な虚むなしさを感じる。方法としては間違ってないはずなんだが。
上进心很好,效果也很好……这是什么心情?感到奇怪的空虚。作为方法应该没有错。
「それにしては、随分久しぶりじゃね?」
“那么,好久不见了吧?”
「だって、馬鹿正直に真っ直ぐ突っ込んでくる敵なんてあまりいないし、森の中だと足下が見えにくいからねー」
“因为,几乎没有什么敌人会直挺挺地闯入你的世界,在森林里很难看到你的脚下。”
不思議そうなトーヤに、ユキは肩をすくめる。
面对不可思议的火炬,雪缩肩。
確かにこの魔法、タイミングが重要で、乱戦になるようだと下手に使えない。
确实这个魔法,时机很重要,如果是乱战的话就不能很好地使用。
俺たちの方が、くぼみに足を取られる危険性もあるわけだから。
因为我们有被凹坑绊住脚的危险性。
「土魔法には、『落とし穴ピットフォール』もあるんだろ? あっちはどうなんだ?」
“土魔法中也有‘陷阱陷阱陷阱Four’吧?那边怎么样?”
「あれは基本的に、人一人が落ちるぐらいの穴だからね。足を引っかける程度なら、『土操作グランド・コントロール』の方が向いてるよ? 練習しないと、変化速度が遅いけど」
“那基本上是一个一个人掉下来的洞。如果只是绊住脚的程度的话,“土操作地面控制”比较合适哦?不练习的话,变化速度就慢了”
基本的に『土操作グランド・コントロール』で土を操作する場合、ズズズッ、という感じに土が動く。
基本上,用“土操作接地控制”操作土的时候,土会一下子移动。
それに対し、『落とし穴ピットフォール』は、スポンッ、と穴が空く。
与之相对的,『陷阱陷阱陷阱陷阱Four』则是快速的、空洞的。
消費魔力は後者の方が圧倒的に多いので、転かす程度であれば前者を使うのは間違っていない。
因为后者的消费魔力压倒性地多,如果只是转换程度的话使用前者是没错的。
但し、高速で走ってくる敵の足下に、タイミング良く段差を作るには、かなりの練習が必要だろうが。
但是,要想在高速行驶的敌人脚下制造良好的台阶,需要相当多的练习。
「ま、楽に斃せたんだから良いじゃない」
“嘛,因为是轻易地就死了,不是很好吗?”
「そうですね。この大きさとあの速さ、受け止めるには厳しいでしょう?」
“是啊。这个大小和那个速度,接受起来很困难吧?”
「だよな。トーヤでも体重差で吹っ飛ばされそうだし」
“是啊。就算是火炬也会因为体重差而被吹跑”
避けながら戦うか、魔法で対処するか。
是一边避开一边战斗,还是用魔法来应对。
ダールズ・ベアーの時もトーヤは吹っ飛ばされてしまったわけだし、重量と慣性はバカにできない。
戴尔兹·贝勒的时候托雅也被吹跑了,重量和惯性也不能小看。
「トーヤ、この魔物の詳細は?」
“Toya,这个魔物的详情是?”
「えっと……売れるのは角と毛皮、肉……おっ? なんか『上手くすれば、乳が搾れる』って書いてあるんだが、オックスって、雄牛のことじゃなかったか?」
“呃……卖得好的是角和毛皮、肉……啊?总觉得上面写着‘做得好的话,就能挤奶’,Oks不是指公牛吗?”
「そちらの意味で使われることが多いけど、元々は雄牛とは限定されてなかったはずよ」
“虽然多用于表示那个意思,但原本应该不局限于公牛。”
本来の意味では、水牛なども含め、大きめのウシ科全般を指してオックスと言うらしい。
本来的意思是指包括水牛在内的大牛科全部都叫做牛克斯。
まぁ、名前はどうでも良いとして、今の問題は――。
嘛,名字无所谓,现在的问题是——。
「牛乳か……これは、雄牛だな」
“牛奶啊……这是公牛啊。”
ラファンの市場で牛乳は見かけないので、少し期待を込めてストライク・オックスの死体を転がしてみたのだが、残念ながらナニが付いていた。
因为在拉风的市场上看不到牛奶,所以怀着少许期待试着滚动了强袭・奥克斯的尸体,但是很遗憾有娜尼。
「いや、そもそも死んでたらダメみたいだぞ? 『死んだ後では不味くて飲めなくなるため、上手く生け捕りにして搾ることが肝要』って書いてある」
“不,说起来死了就不行了?”因为死后味道不好不能喝,所以要好好活捉榨取”
「それは……かなり無茶じゃないか?」
“那……是不是太乱来了?”
牧場にいる牛ならともかく、普通の野牛だって素直に搾らせてもらえるとは思えないのに、魔物相手であれば、『それなんて無理ゲー?』ってものだろう。
牧场里的牛就不必说了,就连普通的野牛也不可能乖乖地榨取,如果对方是魔物的话,就说“这怎么可能啊?”就是这样吧。
「斃すのは簡単でも、生け捕りはさすがに……ねぇ」
“虽然杀人很简单,但活捉的确是……”
呆れたように言うハルカに、トーヤは肩をすくめる。
面对目瞪口呆的遥,托亚缩了耸肩膀。
「だから、『高く売れる』んだと」
“所以说‘卖得好’。”
そりゃそうだ。
那是当然的。
今回はあっさり死んだが、これでも強さは(たぶん)オークレベル。
虽然这次死得很干脆,但是坚强程度(大概)还是欧克级别。
ラファンの町には、オークを単独で斃せる冒険者がほぼいないことを考えれば、それを生け捕りにして、のんびりと乳を搾る事がどれだけ困難か判ろう物である。
在拉斐的小镇上,如果考虑到几乎没有独自杀死奥克的冒险者的话,就很难判断生擒、悠闲地挤牛奶有多困难。
「でも、売るかどうかは別にして、牛乳は欲しいですね。チーズやバターは手に入りますが、生乳は手に入りませんから」
“但是,先不说卖不卖,我想要牛奶。芝士和黄油是可以买到的,但是生奶是买不到的”
「生乳が手に入ったら、料理の幅も広がるし、お菓子も作れるね! 生クリーム、欲しい! 生菓子! 生菓子!!」
“如果生奶到手的话,不仅可以扩大料理的范围,还能做点心呢!想要鲜奶油!生点心!生果子!”
「確かに、生菓子には心惹かれるわね。牛乳が無かったから、他のお菓子にも制限があったし」
“确实,生点心很吸引人呢。因为没有牛奶,其他的点心也有限制”
「あの、一応、お饅頭なんかも生菓子なんですよ……?」
“那个,馒头也算是生点心吧……?”
控えめにそう指摘したナツキの言葉は、ユキによって言下に否定された。
毫不客气地指出这一点的枣的话,被雪所否定。
「ナツキ、お婆ちゃんっぽいよ! 女子高生の生菓子って言ったら、生クリームでしょ!」
“夏树,很像奶奶呢!说到女高中生的生点心,应该是鲜奶油吧!”
ユキの言い分は、ちょっと偏見が入っている気はするが、生菓子のイメージが生クリームというのは、俺も否定できない。
虽然yuki的说法有点偏见,但我也不能否定生奶油给人的印象是生奶油。
ちなみに、ナツキ曰く、干菓子に対する生菓子なので、俺たちが普段口にするような『和菓子』は殆どが生菓子にあたるらしい。
顺便一提,枣说,因为是针对干点心的生点心,所以我们平时吃的“和果子”几乎都是生点心。
干菓子は落雁や煎餅などになるらしいが、落雁は食べる機会なんてほぼ無いし、煎餅を和菓子と言われても、俺の感覚から言えば『和菓子?』という感じで、ちょっとイメージと違う。
干点心好像变成了落雁和煎饼,但是落雁几乎没有吃的机会,就算把煎饼叫做和式点心,从我的感觉来说也是“和式点心?”这样的感觉,和印象有点不同。
「煎餅が和菓子……間違っちゃいねぇけど、オレもなんか違和感があるなぁ。なんか安いイメージだし」
“煎饼是日式点心……没错,但是我也有种不协调的感觉。感觉很便宜”
「高いお煎餅は、結構高いんですよ? 1枚数百円しますし」
“贵的煎饼很贵哦?一张要几百日元”
「マジで? 手間が掛かるのは解るけどよ……その値段を出すなら、ケーキやドーナツを買いたくなるなぁ、オレは」
“真的吗?我知道会花很多时间……如果出那个价格的话,我会想买蛋糕和甜甜圈的。”
ナツキが苦笑しながら言った言葉に、如何にも若者らしいことを言うトーヤ。
面对夏树苦笑着说的话,Toya说的完全像年轻人。
そしてそれは俺も同感。
然后我也有同感。
バリバリ、で終わる煎餅よりも、お腹に溜まるドーナツが食いたいし、たまにはケーキも良い。
比起脆脆饼干,我更想吃肚子里存着的甜甜圈,偶尔蛋糕也不错。
それに、今の時期ならアイスクリームとかあると嬉しい。
而且,现在这个时期有冰淇淋的话会很开心。
「ちなみに、生乳が手に入ったら、アイスクリームとか作れそうか?」
“顺便说一下,如果有生奶的话,可以做冰淇淋吗?”
「アイス……良いわね。バニラは見つけてないけど、抹茶味とかなら問題ないと思うわ」
“冰淇淋……真好啊。虽然没有发现香草,但是抹茶味的话应该没问题”
「良いな、それ! かき氷は飽きた!」
“真好啊,那个!刨冰吃腻了!”
氷は自由に作れるので、トミーに頼んでかき氷器は作ってもらったのだが、残念ながら適当な果物が手に入らなかったので、シロップは砂糖で作った黒蜜的な物だけ。
因为冰是可以自由制作的,所以拜托汤米做了刨冰器,但是很遗憾没有买到合适的水果,所以糖浆只有砂糖做的像黑糖一样的东西。
トーヤの言うとおり、飽きが来ているのは否定できない。
正如Toya所说,不能否定已经厌倦了。
「あと、生乳が手に入れば、アエラさんに生菓子を教えてあげられるね!」
“还有,如果有生奶的话,就可以教阿伊拉生点心了!”
「ですね。以前話したときは、イマイチ理解してもらえませんでしたから。やはり、実物が無いと」
“是啊。因为以前说的时候,不太能理解。果然没有实物的话”
「ホイップクリームを説明しろって言われても、難しいものね」
“就算让我说明一下鲜奶油,也很难啊。”
ホイップクリームの説明か。
是说鲜奶油吗。
白くて、柔らかくて、甘く、とろける。
又白又软,又甜,融化。
間違ってはいないが、それでホイップクリームが想像できるとは思えない。
虽然没有错,但是我不认为这样就可以想象得到鲜奶油。
ナツキの言う様な、お饅頭などの生菓子を教えてお茶を濁す方法もないではないが、やっぱりそれはなんか違う気がする。
虽然也不是没有像枣说的那样,教馒头等生点心来糊弄人的方法,但我觉得还是有点不一样。
「そういえばさ、前々から思ってたんだけど、スーパーで売ってる『ホイップ』って、あれ、別にホイップしてないよね?」
“这么说来,我以前就在想,超市卖的‘回车’,那个,没有什么回车吧?”
「ですね。どう見てもホイップ前ですよね」
“是啊。怎么看都是在回车前吧”
「ん? どういうことだ?」
“嗯?这是怎么回事?”
俺はハルカがケーキを作るのを見たことあるので、ユキの言っていることにすぐに思い至ったのだが、トーヤの方はイマイチ解らなかったらしい。
我看过Haruka做蛋糕,所以很快就想到了yuki说的话,但是Toya好像不太明白。
「いや、生クリームの代替品として、少し安く、植物性油脂を使った物が売ってるんだけどさ、それの商品名は大抵『ホイップ』って書いてあるの。ホイップ――つまり、泡立てる前の液体なのに」
“不,作为鲜奶油的替代品,有卖稍微便宜一点,使用植物性油脂的东西,那个商品的名字一般都写着‘回收’。气泡——也就是说,明明是起泡前的液体”
「……つまり、原料に製品名を付ける感じか? 挽肉を『ハンバーグ』と名前を付けて売る的な?」
“……也就是说,给原料加上产品名称的感觉吗?肉末是加上“汉堡牛肉饼”来卖的吗?”
「ふふっ、まぁ、砂糖を入れてホイップすればホイップクリームになるから、ハンバーグよりは近いけど、そんな感じよね」
“呵呵,嘛,放糖后搅拌的话会变成奶油,虽然比汉堡更接近,但是有这种感觉。”
トーヤの微妙な例え話に、ハルカは笑いながらも頷く。
对于TOYA微妙的比喻,Haruka笑着点点头。
挽肉にハンバーグと書いたら確実に苦情が出ると思うが、ホイップなら許されるのは不思議と言えば不思議である。
如果在肉末上写上汉堡牛肉饼的话,确实会有人提出抱怨,但是如果是果肉的话,就可以被原谅,这一点很不可思议。
「日本の商品名は、案外そういうのってありますよね。外国だとどんな名前なんでしょうね? まさかそのままって事は無いと思いますが」
“日本的商品名,意外地有这样的东西呢。在外国是什么名字呢?我想不会是那样的”
「商品名が『泡立て』とか『撹拌』? 斬新ね」
“商品名是‘起泡’或者‘搅拌’?真新颖啊”
斬新で面白いかも知れないが、売れるかどうかは疑問である。
也许新颖有趣,但能否畅销还是个疑问。
「しかし、これで上手く牛乳が搾れるようになれば、生クリーム、使い放題かぁ……ムフフッ。夢が広がるよー。生クリームって、買ったら高かったから」
“但是,如果牛奶能很好地挤出来的话,生奶油就可以随便用了吧……哼哼。梦想会扩大哦。鲜奶油买了很贵”
口元に手を当て、目尻を下げて笑うユキ。
手贴在嘴边,低着眼角笑着的小雪。
俺もアイスクリームとか食べたいから、協力するにやぶさかではないが、実際に絞るとなると、簡単ではないだろう。
我也想吃冰淇淋,所以很愿意合作,但实际上要榨取的话,就不简单了。
「だからこそ、『ホイップ』が売ってるわけだけどね。でも、問題は、どうやって生け捕りにするか、よね」
“正因为如此,才会有‘回车’在卖。但是,问题是,怎么生擒呢?”
「ああ。まず、性別確認しないといけないから、今みたいに、出会い頭に殺すわけにはいかないぞ?」
「啊。首先,因为必须要确认性别,所以不能像现在这样,在头上杀人哦?”
「うっ! せっかく使える機会が来たと思ったのに、いきなりお役御免? あたしの魔法」
“唔!好不容易有了使用的机会,却突然来了,真是对不起?我的魔法”
「牛乳、欲しいんだろ?」
“你想要牛奶吧?”
「そりゃそうだけど~~。ナオ、近づかれる前に性別判定、できない?」
“那倒是。娜奥,在接近之前不能判定性别吗?”
「なかなかに難しいことを言うなぁ? 雌雄の判断なんて」
“说了相当难的话啊?雌雄的判断什么的”
ライオンとかなら、遠くからでも雌雄が判りやすいが、牛の雌雄は遠くから見分けるのは……難しい。
如果是狮子的话,从远处也很容易分辨出雌雄,但是要从远处分辨出雌雄的话……很难。
ホルスタインぐらいに乳房が大きければ遠くからでもよく判るが、ストライク・オックスの場合はどうなんだ?
如果在霍尔斯坦因左右乳房大的话,从很远的地方也能很好地判断,但是好球·奥克斯的情况怎么样?
それに、正面からだとそのあたりがよく見えないし。
而且,从正面看不清楚那附近。
「う~ん、それは大丈夫じゃね? 突進前に確認できなければ、一度避ければ良いだけだし。それに、ストライク・オックスって結構イイモノをお持ちですよ?」
“嗯,那应该没问题吧?”?突进前如果不能确认的话,就避开一次就好了。而且,好球和好球有着非常好的东西哦?”
「……まぁ、そうだな?」
“……嘛,是吗?”
トーヤが指さしたのは、俺が雄牛と判断したナニ。
托亚指的是,判断我是公牛的娜尼。
横から見れば、遠目でも判る程度に目立っている。
从侧面看的话,突出到远处也能看出来的程度。
……元気になったら、どれくらいのサイズなんだろう?
……身体好了的话,是多大尺寸的呢?
「なにを――、っ! セクハラだよっ!」
“什么?——!这是性骚扰!”
俺たちの後ろから覗き込んだユキが抗議の声を上げるが、トーヤは平然と応える。
从我们背后偷窥的雪发出了抗议的声音,但是托亚平静地回应了。
「いや、でも、他に判別方法、ないだろ? これの有無か、乳房の有無以外」
“不,但是,没有其他判别方法吧?有无这个,有无乳房以外”
プロなら他の方法でも見分けられるのかも知れないが、少なくとも俺は知らない。
如果是专业的话,也许用其他方法也能分辨出来,但至少我不知道。
角の有無で雌雄が判定できる動物もいるが、牛は両方に生えているし、多分このストライク・オックスも同じだろう。
虽然也有动物可以根据有无角来判断雌雄,但是牛都长在两边,大概这个好球·牛克斯也一样吧。
「第一、オークのヤツとか、平然と切り落としてるじゃねぇか、解体するときとか」
“第一,橡树的家伙什么的,不是很自然的就砍下来了吗,解体的时候什么的。”
「あいつら、ブルンブルンさせながら襲いかかってくるからなぁ。真っ正面に立つと、丸見え」
“那些家伙们,一边打着灯笼一边袭击过来。站在正前方的话,会看到整个”
魔物相手に言っても仕方ないだろうが、ちょっと遠慮してくれと。
跟魔物对方说也没办法,但还是要稍微客气一下。
「それはそうだけどぉ~。ナツキ~、ナオたちがひどい」
“那就这么多。夏树~娜奥他们太过分了」
「はいはい。気にしないことですよ、ユキ。それは仕舞っちゃいましょうね」
“是的是的。不要在意,小雪。那就收拾一下吧”
ナツキは泣きついてきたユキを軽く受け流し、転がっていたストライク・オックスの死体を「よいせ!」とマジックバッグに放り込んだ。
夏树轻轻地接受了哭着的雪,对摔倒的好球·牛克斯的尸体说:“给我好!”于是就扔进了魔术包。
500キロぐらいはありそうなのに、ナツキの筋力も随分と上がったものである。
虽然好像有500公斤左右,但是枣的筋力却有了很大的提高。

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213.md

@ -0,0 +1,509 @@
# 213 牛乳を分けてもらう(準備) 分牛奶(准备)
「雌雄判断はそれで良いとして、どうやって生け捕りにするべきでしょうか? スリープとか、使えませんよね?」
“雌雄判断那样就好了,应该怎么生擒呢?不能用睡眠之类的吧?”
「『誘眠スリープ』って魔法はあるけど、闇系統の魔法ね」
“‘催眠休眠’虽然有魔法,但却是黑暗系统的魔法。”
「闇は取らなかったんだよな。もしかするとヤバいかな、と思って」
“你没有黑暗吧。我觉得或许很糟糕”
イメージ的に、闇魔法を使えると迫害の危険性とか、無いとは言えないからなぁ。
印象中,使用暗魔法的话,迫害的危险性之类的,不能说没有啊。
特にアドヴァストリス様、最初は邪神とか言ってたし。
特别是阿德瓦斯特里斯大人,一开始还说是邪神。
実際には闇魔法を使えても殆どの国では問題無いようだが、光魔法以上に使い手が希少なので、目立つことは避けられない。
实际上,使用暗魔法在几乎所有国家都没有问题,但是因为使用光魔法的人很少,所以不能避免引人注目。
「他に使えそうな魔法は……『停滞領域スタグネント・フィールド』が個人を対象に使えたら良かったんだが、空間指定だからなぁ」
“其他好像能使用的魔法……‘停滞领域’如果能以个人为对象使用就好了,因为是空间指定啊。”
「動きを止めて、足を土魔法で固定する、とか?」
“停止动作,用土魔法固定脚之类的?”
「う~ん」
“嗯~”
足が全く動かなければがっちりと固めることは可能だろうが、その途中で動かれると、『土操作』で固めるのは結構難しい。
如果脚完全不动的话,就可以牢牢地固定住,但是中途移动的话,用“土操作”来固定是相当困难的。
イメージ的には、セメントで固めるような感じだろうか?
印象上是用水泥凝固的感觉吗?
一度硬化してしまえば動けなくなるだろうが、その前であれば普通に抜け出せるし、動いていては固められないのだ。
一旦硬化了就无法动弹,但在那之前就可以正常地拔出来,动了就无法固定。
「なかなかに難しそうね。普通はどうやって採取してるのかしら? トーヤ、書いてなかったの?」
“好像很难呢。一般是怎么采集的呢?托亚,你没有写吗?”
「少なくとも、【鑑定】には書いてないな。よく判らないが、普通に力尽く、じゃね?」
“至少,【鉴定】上没有写。虽然不太清楚,但还是普通地尽力吧?”
「ストライク・オックスを受け止めて、その状態で頭を押さえ、前足を押さえ、後ろ足を押さえ……後は乳搾りの要員? 少なくとも怪力が3人必要って事になるけど……それ、あたしたちだと無理だよね?」
“接住好球·牛克斯,在这种状态下按住头,按住前脚,按住后腿……之后是挤牛奶的要员?至少需要3个人的怪力……那是我们做不到的吧?”
一番非力なハルカでも一般人よりは力があるが、オーク並みの怪力に対抗できるほどではない。
即使是最无力的Haruka,也比普通人更有力量,但还没到能与奥克一般的怪力对抗的程度。
全員で協力すれば押さえ込めない事は無いかもしれないが、怪我をする危険性があるし、いくら何でもそこまでして牛乳を手に入れるべきかと考えると……。
如果大家一起合作的话,也许没有什么压不住的,但是有受伤的危险,不管怎么想都应该做到那种程度才买牛奶的……。
アイスクリームは惜しいが、ここは諦めるべきだろうか?
冰淇淋很可惜,但是这里应该放弃吗?
俺がそう思ったとき、ユキが手を上げて提案した。
我这么想的时候,雪举手提议了。
「えっと、以前、牛の爪を切るための機械を見たことをあるんだけど、それって牛の胴体をバンドで持ち上げて、踏ん張れない状態にしてたんだ。これができたら、結構安全じゃない?」
“嗯,以前我见过剪牛爪的机器,那是用带子把牛的躯体抬起来,使它无法站稳的状态。如果能做到这个的话,不是很安全吗?”
その言葉にハルカは少し考え込んだが、すぐに首を振った。
对于这句话,Haruka稍微思考了一下,但马上摇了摇头。
「それなら突進することはできなくなるけど……トーヤが動きを止めて、その隙にバンドを通して持ち上げる……無理ね。そんな機械をセットするような余裕は無いわ」
“这样的话就不能突进了……火炬停止了动作,在那个间隙通过乐队举起……不行。我没有余力安装那样的机器”
「そこは魔法で対処できないでしょうか? 『土壁アース・ウォール』2枚でなんとかなりませんか?」
“那里不能用魔法处理吗?”土墙地墙2张能想办法解决吗?”
『土壁』か……上手く使えばなんとかなるか?
是“土墙”吗……好好使用的话总会有办法的吧?
練習は必要そうだが……。
练习好像是必要的……。
「トーヤ、ちょっと実験台になってくれ。そこに四つん這いになって」
“Toya,请做个实验台。趴在那里”
「オレ!? ……まぁ、仕方ないか」
“我的想法是……”……嘛,没办法啊”
トーヤは不満そうな声を上げつつも、少し沈黙して、諦めたように四つん這いになる。
托亚一边发出不满的声音,一边沉默着,像放弃了一样趴着。
さすがに女性陣に「四つん這いになれ」とは言えないし、俺は魔法を使う必要があるのだから、選択肢が無いのだ。
毕竟不能对女性阵营说“爬起来吧”,我有必要使用魔法,所以没有选择。
その状態のトーヤを見ながら、ユキと相談。
一边看那个状态的toya,一边和yuki商量。
「大体、脇の下当たりと下腹のあたりに壁を立てたら、身体が持ち上がりそうだな」
“大体上,如果在腋下和下腹附近竖起墙壁的话,身体就会抬起来。”
「うん。持ち上げる高さは普通で良いのかな?」
“嗯。抬起的高度一般可以吗?”
「カスタマイズするより、速度優先で」
“与其定制,不如以速度优先。”
何も考えずに使った場合で、土壁の高さは大体2メートル、厚みが20センチほど。
什么都不考虑就使用的情况下,土墙的高度大约2米,厚度大约20厘米。
それが乳搾りに向いているかは別にして、カスタマイズしたときよりも、発動にかかる時間は短くできる。
先不说那个是不是适合挤牛奶,比起定制的时候,发动的时间可以短一些。
「だね。トーヤ、良い?」
“是啊。火炬,好吗?”
「おう、いつでも来い!」
“喂,随时来!”
「それじゃやるぞ?」
“那就做吧?”
ユキと顔を見合わせ、頷く。
和小雪面面相觑,点了点头。
「「『土壁アース・ウォール』」」
“‘土墙接地墙’”
「げふぅぅ!」
“嗯!”
「――ヤバっ、ちょい速かったか?」
“——糟糕,稍微快了点吗?”
ズバッと立ち上がった土の壁がトーヤの胸と下腹にめり込み、トーヤが苦しそうな声を上げる。
一下子站起来的土墙钻进了火炬的胸和小腹,火炬发出了痛苦的声音。
だが、基本的に『土壁アース・ウォール』は素早く立ち上がる物だし、あまりのんびりと作り上げていては、ストライク・オックスを抑えておく時間も長くなる。
但是,基本上“土墙地球墙”是快速站立的东西,如果做得过于悠闲的话,压制好球·奥克斯的时间也会变长。
「ぐぬぬぬぅぅ……いや、大丈夫だ。ちょっと苦しかっただけで。確かにこれなら、動きづらい」
“嗯……不,没关系。只是有点痛苦。确实这样的话,很难行动”
目的通り、両手両足がぶらーんとぶら下がった状態になっている。
正如目的那样,两手两脚悬空着。
トーヤは人間なので、この状態からでもゴロリと仰向けに転がったり、両手を曲げて壁の上に手を突いたりすることができるだろうが、手足が蹄のストライク・オックスの場合、それは難しい。
因为Toya是人类,所以即使是在这种状态下,也可以仰面朝天地滚动,或者双手弯曲,用手抵着墙壁,但是手脚是蹄子的好球·奥克斯的话,那就很难了。
できる事は壁を叩き壊すことぐらいだろうが、後ろ足を蹴り上げても壁には当たらないし、前足には後ろ足ほどの威力はないだろう。たぶん。
虽然能做的只有把墙壁打碎,但踢上去后脚也不会碰到墙壁,前脚也没有后脚那么大的威力。大概。
「後は縄を掛ければ良いかしら? ナオ、このへんに縄を掛ける突起を」
“之后挂上绳子就好了吗?娜奥,在这附近挂上绳子的突起”
「おう」
“哦”
「あ、おい!」
“啊,喂!”
ハルカがトーヤの背中に縄を掛け、それを俺が土壁に作った突起へと結ぶ。
Haruka在Toya的背上系上绳子,系上我在土墙上做的突起。
これでトーヤは身体が起こせなくなるし、縄を結んだ突起はトーヤの手がある側とは別の方にあるので、解くこともできない。
这样的话,托亚的身体就不能起来了,绑着绳子的突起和托亚的手在别的地方,所以也解不开。
「ついでに、足の方も結んだ方が安全ですね」
“顺便说一下,把脚系上比较安全。”
「え、それ必要? 今必要なこと?」
“啊,那个必要吗?现在需要吗?”
トーヤの抗議は聞き流し、ナツキがトーヤの両足をロープで縛り、これまたユキが作った突起に結びつける。
松鼠的抗议置若罔闻,夏树用绳子绑住松鼠的双腿,并将其与雪树做的突起结合起来。
「うん。これなら、比較的安全に乳搾りができそうだね」
“嗯。这样的话,应该能比较安全地进行乳汁生产”
「くっ、マジで動けねぇ。ちょっと強く縛りすぎじゃね? しかもオレ、縛る必要ある?」
“啊,真的动不了。是不是绑得太用力了?而且我有必要束缚你吗?”
トーヤがジタバタするが、すでに俎板の鯉、抵抗は不可能である。
虽然Toya手忙脚乱,但是已经不能抵抗砧板上的鲤鱼了。
「いやいや、ちゃんと実験しておかないと。乳搾りしているときに、足が頭に当たったりしたら、危険だろ?」
“不不不不不,得好好试验一下。在挤牛奶的时候,脚碰到头的话,很危险吧?”
「そりゃそうだけど、両足は左右の壁の外側にあるんだ。内側で作業してる人に当たることは無いだろ」
“虽然是这样,但是双脚在左右墙壁的外侧。不会碰到在里面工作的人吧”
「そうだな。ちょっと搾る位置が高すぎるが……。自動搾乳機でもあった方が良いか? ハルカ、作れると思うか?」
“是啊。稍微压榨的位置太高了……。还是有自动挤奶机比较好吗?你觉得Haruka能做吗?”
『土壁アース・ウォール』の高さは2メートル。
《土墙接地墙》的高度为2米。
必然的に、トーヤの腹があるのもその位置。ストライク・オックスであればもう少し垂れ下がっているかも知れないが、土台でもないと乳搾りにはちょっと高すぎる。
当然,火炬的腹部也是其位置。如果是好球、牛克斯的话,可能会稍微下垂一些,但如果不是基础的话,对于挤牛奶来说就太贵了。
だが、ストライク・オックスの大きさと足の長さを考えると、高めの方が安心ではあるんだよなぁ。
但是,考虑到好球·牛克斯的大小和脚的长度,还是高一点比较放心。
地面に足が付いた状態では、ちょっと不安がある。
脚踏在地上的状态,有点不安。
「一度搾ってみて、本当に美味しければ搾乳器の作製を考えても良いかもね。短時間で作業が終われば楽だし」
“试着榨取一次,如果真的好吃的话,也许可以考虑制作挤奶器。短时间内完成工作的话会很轻松”
「それじゃ、この方法で一度、やってみるか?」
“那么,用这个方法试试看吗?”
「でも、この方法の難点は、短時間でもストライク・オックスの動きを止められることが前提なのよね。トーヤの力に懸かっていると言っても過言じゃない」
“但是,这个方法的难点是,即使是短时间也能停止好球·牛克斯的运动是前提。说是和火炬的力量有关也不过分”
「ですね。テキサスゲートに追い込む方法もあると思いますが……骨折しそうですね」
“是啊。我觉得也有方法逼入德克萨斯大门……看来要骨折了”
「テキサスゲートって?」
“德克萨斯登机口?”
「牛のような偶蹄目に対するトラップです。簡単に言えば、隙間の大きなスノコ……溝の蓋に使ってあるグレーチングみたいな物ですね」
“这是针对像牛一样的偶蹄目的陷阱。简单来说,间隙很大的须子……就像是槽盖上用的灰色示教一样”
基本的には鹿などの侵入・脱走防止に使われるようだが、テキサスゲートに追い込んで動けなくするという使い方もできるらしい。
基本上是用来防止鹿等的侵入、逃脱的,但好像也可以用来赶进德克萨斯门使其无法动弹。
ただ、ストライク・オックスの様な速度で突進してくれば、ほぼ確実に足は骨折、下手をすればそのまま死にかねない。
只是,如果以好球·牛克斯那样的速度突进,大体上确实脚骨折,弄不好的话就那样死了。
俺たちの安全性は高いが、今回の趣旨とは少し離れてしまう。
我们的安全性很高,但是和这次的宗旨稍有不同。
それに、できれば雌のストライク・オックスは搾乳の後、無傷で逃がしたい。
而且,如果可能的话,母体的好球·牛克斯想在挤牛奶后,无伤地放走。
次回の搾る牛乳を生産してもらうために。
为了生产下次榨的牛奶。
「『誘眠スリープ』の代わりに、何らかの薬品で眠らせる方法は……難しいかしら?」
“代替‘催眠’,用某种药品让人入睡的方法……很难吗?”
「即効性の薬ですか? 材料があれば【薬学】で睡眠薬は作れますが、飲み薬ですよ? すぐに眠るような物は、ちょっと……それに、薬を使うと問題がありませんか? 牛乳を搾るのに」
“是速效药吗?有材料的话可以用【药学】做安眠药,但是是内服药哦?马上就睡的东西,有点……而且,用药的话没有问题吗?明明要挤牛奶”
「……薬が混ざりかねないか」
“……药有可能混在一起吗?”
魔物相手に普通に考えて良いのかは謎だが、薬の効果が発揮される状態というのは、薬効が身体に吸収されている状態である。
对魔物对象普通地考虑好是个谜,但是药物的效果被发挥的状态是药效被身体吸收的状态。
つまり、血液中にその薬が含まれるという事で、その血液からできている乳を集めるのはちょっとマズいだろう。
也就是说,血液中含有这种药物,收集血液中产生的乳汁有点不好吧。
「むむむ……簡単にはいかないものだな」
“嗯嗯……不是那么简单的事情啊。”
「おーい、議論する前に、オレを下ろしてもらっても良いか?」
“喂,在讨论之前,可以让我下车吗?”
俺たちが話し合っている横で、土壁の上に打ち上げられた状態のトーヤから抗議が入る。
在我们讨论的时候,从土墙上发射的状态的火炬那里收到了抗议。
「おっと、すまん」
“哦,对不起。”
軽く謝って俺とユキが同時に土壁を解除すると、トーヤは四つん這いのまま、しゅたっと地面に降り立ち、自分で縄を解いた。
轻轻道歉后我和雪同时解除了土墙,托亚就这样四肢爬着,静静地降落在地上,自己解开了绳子。
「ふぅ。ちょい疲れた。それより、取りあえず実験してみたら良いんじゃね? 仮に失敗してストライク・オックスが全滅しても、しばらく放置してればまた復活するんだし」
“呼。有点累了。比起那个,先试验一下不是更好吗?就算失败了,好球·奥克斯也会全灭,暂时搁置不管的话,又会复活的”
気軽に言うトーヤに、ハルカたちは顔を見合わせて心配そうな表情を浮かべる。
面对轻松交谈的TOYA,Haruka等人面面相觑,脸上浮现出担心的表情。
時にぞんざいな扱いをしているように見えて、結構トーヤの安全も気にしているのだ。
有时看起来很粗鲁,也很在意TOYA的安全。
「でもトーヤ、ストライク・オックスを受け止めるのはトーヤなのよ? 良いの? 失敗したら結構痛いと思うけど」
“但是托雅,接受好球和牛克斯的是托雅哦?好吗?失败的话会很痛”
「そうです。痛いで済めば良いですけど……」
“是的。痛着点就好了……”
「『痛い』じゃなくて、『遺体』になるかもしれないよね、ふふふっ」
“也许不是‘痛’,而是‘遗体’吧,呵呵”
……ユキ、心配してるよな?
……小雪,你很担心吧?
「んー、そんでも、ダールズ・ベアーの一撃に比べればマシだろ? それにストライク・オックスなら、ヤバければ即殺せるし?」
“嗯,即使这样,和戴尔兹·贝勒的一击相比也不错吧?而且如果是好球·奥克斯的话,如果不好的话马上就能杀了?”
「確かに、その点は安心だな。追い打ちの心配は無い」
“确实,这一点很放心。不用担心会被赶走”
あの時、ダールズ・ベアーはトーヤへの追い打ちをするよりも、俺とナツキの方へ意識を向けてくれたが、もし俺たちが無視され、ダールズ・ベアーがトーヤへの攻撃を優先していたら?
那时候,比起追赶托雅,戴尔兹·贝勒更注重我和夏琪,如果我们被无视,戴尔兹·贝勒优先攻击托雅的话?
彼が殺された可能性は、決して低くないだろう。
他被杀的可能性并不低。
その点、ストライク・オックスがオークレベルという俺の感覚に間違いが無ければ、トーヤが手一杯で、俺とユキの魔法が無かったとしても、ハルカとナツキで即殺できる。
在这一点上,如果我的感觉是好球・奥克斯是欧克等级的话,那就算托亚满手,没有我和雪的魔法,也可以用Haruka和夏奇立刻杀死。
「……なら、1回試してみるか」
“……那就试试看吧。”
「おう。ま、もしも怪我したら、そん時はよろしく!」
“哦。嘛,如果受伤的话,那时就拜托你了!”
――本当に大丈夫なんだろうな?
——真的没问题吗?
気軽にそんな事を言うトーヤに、俺とハルカは顔を見合わせてため息をつく。
面对轻松说出这种话的TOYA,我和Haruka相视而笑地叹气。
そんな俺たちの気分を変えるように、明るい声を上げたのはユキだった。
为了改变我们的心情,雪发出了明亮的声音。
「よしっ! それじゃ、方針も決まったところで。牛乳確保作戦、発動だよっ!」
“好!那么,方针也决定了。牛奶确保作战开始了!”
「「「おーー!」」」
“哦——!”
「と、その前に。ここに転移ポイント、埋めておくか」
“在那之前。转移点要埋在这里吗?”
「そうね」
“是啊。”
「あららっ。せっかく気合い入れたのに~」
“哎呀。好不容易鼓足干劲了~”
流れをぶった切るように話を変えた俺とハルカに、ユキが、がくりと肩を落とす。
我和遥改变了话题,像是要打破流程一样,雪一下子肩膀落了下来。
「でも、転移ポイントは大事だろ?」
“但是,转移点很重要吧?”
「それは解ってるけど……」
“我知道……”
「埋めるのなんてすぐだから。ほら、文句言う暇があれば、ユキも手伝え」
“填埋什么的很快。你看,有时间抱怨的话,小雪也来帮忙”
「はい、はい」
“是的,是的。”
14階から降りた階段の下、草原の部分に穴を掘り、転移ポイントを埋めてから、しっかりと固める。
从14楼下来的楼梯下面,在草原部分挖洞,填埋转移点后,好好地凝固。
これの有無は今後の活動効率に影響するため、蔑ろにできないし、これまでの場所に比べると簡単に穴が掘れて、ずっと楽である。
这个有无会影响今后的活动效率,所以不能小看,和以前的地方相比,挖个简单的洞,要轻松得多。
ちなみに、この『(仮称)果物エリア』は、地図上では上下に重なるように配置されている。
顺便说一下,这个“(暂称)水果区”在地图上是上下重叠配置的。
つまり、11層、13層、15層の入口と12層14層の出口は、下から上までほぼ1直線に並んでいるのだ。
也就是说,11层、13层、15层的入口和12层14层的出口从下到上大致呈一条直线排列。
なので、転移ポイントを奇数階の入口に埋めておけば、どの階層へ移動するのもかなり楽になるわけだ。
因此,如果把转移点埋入奇数层的入口,那么移动到哪个阶层都会变得相当轻松。
しかし、ここでちょっと不思議なことが1点。
但是,这里有一点不可思议的事情。
ここから11層の転移ポイントの位置を感知すると、直線距離で100メートルほどしか離れていない様に感じられるのだ。
从这里感知到11层转移点的位置的话,感觉直线距离只有100米左右。
間に挟まっているのは4層分。つまり、1層の天井高と地面の厚みを合わせてわずか25メートルしか無い事になる。
中间夹着4层。也就是说,1层的天花板高度和地面的厚度加起来只有25米。
13層で調べたときには11層まで50メートルだったことを考えても、1層分がおよそ25メートルというのは、あまり誤差が無いだろう。
在13层进行调查的时候,即使考虑到11层是50米,1层是25米左右,也不会有太大的误差吧。
この高さ自体は10層までの階層とあまり違いが無いのだが、実際の感覚では比較するまでもなく、11層以降の天井の方が高い。と言うか、天井が見えないし。
这个高度本身和10层以下的阶层没有太大的区别,但是实际的感觉不用比较,11层以后的天花板更高。或者说,看不见天花板。
これ自体は転移には都合が良いので、ありがたくもあるのだが、やはり不思議である。
这本身对转移很方便,虽然很感谢,但还是很不可思议。
果物エリアは階層の空間が歪んでいるのだろうか?
水果区的层次空间是扭曲的吗?
空間を歪めること自体は俺自身、マジックバッグで行っているわけで、不可能と言うつもりは無いが、ここまでの規模となると……さすがはダンジョンである。
歪曲空间本身是我自己用魔术包去的,并不是说不可能,但是规模达到了这个程度……不愧是地牢。

605
214.md

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# 214 牛乳を分けてもらう(強引に) 分牛奶(强行)
「それじゃ、最終確認。相手が雌めすなら、突撃を一度避けて、通り過ぎたストライク・オックスをトーヤが追いかける。ストライク・オックスが方向転換したタイミングでトーヤが角を掴んで動きを止め、ユキとナオが『土壁アース・ウォール』で持ち上げる」
“那么,最后确认一下。如果对方是雌的话,TOYA会避开一次突击,追赶过去的好球·Ox。好球·牛克斯转换方向的时机,托亚抓住角停止动作,由基和那奥用《土墙接地墙》举起”
「その後、私とハルカが縄を掛ける。足を結ぶのは危ないので、胴体を縛って動けなくする、ですね」
“那之后,我和Haruka系上绳子。因为系脚很危险,所以会绑着身体动弹不得。”
最初は両足を結ぼうか、と話していたのだが、バタバタと暴れ回るであろう足を捕まえるのは危険だし、逃がすのであれば紐を解く必要もあり、その時もまた危ない。
虽然一开始说是不是系双腿,但是抓住乱跳乱跳的脚是很危险的,如果逃跑的话也有必要解开绳子,那个时候也很危险。
その点、胴体を土壁に結びつける方法であれば、危険性は低く、逃がすときにも簡単である。
在这一点上,如果是将躯体连接在土墙上的方法,危险性很低,逃跑时也很简单。
「もし無理だと思ったら、すぐに声を上げること。私かナツキが処理するわ。安全第一で」
“如果觉得不行的话,请马上叫出来。由我来处理。安全第一”
「「了解!」」
“明白了!”
そんな感じでストライク・オックスを探し始めた俺たちだったが、縄張りと言うべきなのだろうか。
以这种感觉开始寻找好球·奥克斯的我们,应该说是势力范围吧。
何十匹もが同じ範囲に生息していたグラス・コヨーテに対し、索敵で確認した感じ、ストライク・オックスはおおよそ500メートル四方に1頭程度で、同じエリアに複数存在していたりはしない。
对于数十只生活在同一范围的格拉斯·科约特,索敌确认的感觉,好球·奥克斯大概500米见方只有1头左右,不会在同一区域存在多头。
これまで同様、この階層の広さが1辺10キロの、100平方キロメートルであるならば、生息数は最大でも400頭。
和以前一样,如果这个阶层的面积是1边10公里,100平方公里的话,生息数量最多也就是400头。
但し、これまでの階層のように、森の中には恐らく別の魔物がいて、ストライク・オックスは生息していないだろう。
但是,像以前的阶层一样,森林中恐怕有其他的魔物,没有强袭·奥克斯生活吧。
森のエリアが4分の1程度を占めるとするならば、ストライク・オックスの数は300頭ほど。その半数が雌とすれば、150頭。
如果森林区域占四分之一左右的话,好球·牛克斯的数量是300头左右。如果其中一半是雌性的话,那么就是150头。
雌のストライク・オックスからは、基本的に時期に関係なく乳が搾れるようなので、俺たちが消費する程度であれば十分すぎる量が得られると思われる。
从雌性的好球·牛克斯来看,基本上和时期无关,都会挤牛奶,所以只要是我们消费的程度就可以得到足够的量。
普通の牛なら、子供がいなければ乳は出ないと思うのだが、そのあたりは魔物故、なのだろう。
如果是普通的牛的话,如果没有孩子的话是不会生奶的,但是那是因为魔物吧。
とは言え、いくら魔物でも無尽蔵には乳が出ないため、頑張って捕まえてみても、他の冒険者が搾った後でさっぱり採れなかった、ということもある様だ。
话虽如此,但就算是魔物也无法取奶,即使努力去抓,在其他的冒险者榨取之后也完全没有收获。
もちろん、俺たちに関して言えば、その心配は無い。
当然,关于我们来说,没有那个担心。
今のところ、このダンジョンに入る冒険者はいないのだから。
因为现在没有进入这个迷宫的冒险者。
「――発見。そっと回り込むぞ」
“——发现。悄悄溜进来”
「了解」
“了解”
索敵反応を元に、遠方にストライク・オックスの姿を確認。
以索敌反应为基础,在远方确认好球·奥克斯的身姿。
横から観察するために、気付かれないように身を潜め、側面方向へ移動する……が、相手もじっとしているわけではないので、なかなかに面倒である。
为了从侧面观察,为了不被发现而隐藏身体,向侧面移动……但是,对方也不是一动不动的,所以很麻烦。
向こうはちょっと動くだけでも身体の角度が変わるが、こちらは100メートル以上移動しないと、側面に回り込むことができないのだから。
因为对面只要稍微动一下身体的角度就会改变,但是这边不移动100米以上的话,就无法进入侧面。
むしろ動かずに待っている方が、まだマシかもしれない。
倒不如不动地等着更好。
「ちっ。付いてる」
“呃。”
「そう。じゃ、処理しましょう」
“是的。那就处理吧”
ハルカは「何が」とは聞き返さず、あっさりと言って普通に立ち上がり、ストライク・オックスへと近づいていく。
Haruka没有反问“什么”,简单地说了起来,向好球·奥克斯靠近。
そして、やがて俺たちの姿に気がついたストライク・オックスは、そのまま真っ直ぐに突っ込んできて――「ボギッ、ドガン、ゴキッ、ゴロゴロ!」。
然后,终于注意到了我们的身姿的好球·牛克斯,就那样笔直地向前冲了过来——“砰,咚,咯吱,轰隆隆!”。
ユキの魔法であっさり斃される。
被雪的魔法轻易地杀掉。
この状況を「魔法で」と言ってしまうには、ちょっと語弊があるような気もするが、とてもスムーズである事は間違いないし、皮に穴も空かず、得られる素材もとても綺麗なので、反対する理由も無い。
要把这种情况说成是“魔法”,我觉得有点语病,但是一定会很顺利,而且皮上没有洞,能得到的素材也很漂亮,所以也没有反对的理由。
更にもう1匹、同様に処理して、都合4匹目。
再处理一只,同样处理,共计第四只。
「無し。やるか」
“没有。要做吗?”
「よし。オレの出番だな!」
「好的。轮到我出场了!”
やっと見つけた対象に、俺たちはトーヤを先頭に近づいていく。
我们终于找到了一个对象,开始接近火炬。
ある程度の距離まで来ると、これまで同様、ストライク・オックスが反応して、こちらへ向かって突進してきた。
到了一定的距离,和以前一样,好球·牛克斯做出反应,向这边突进。
これに関しては、雄、雌関係ないらしい。
关于这一点,好像和雄性、雌性没有关系。
トーヤがやや突出気味に前に出て挑発すると、ターゲットはトーヤに絞られる。
火炬稍微有点突兀地向前挑衅的话,目标就会被火炬勒紧。
それを確認し、俺たちはトーヤのやや後方で左右に分かれ待ち受けた。
确认了这一点,我们在火炬的后方左右分开等待着。
「赤い布でも欲しいところだなっ――っと!」
“连红布都想要——呃!”
布の代わりなのか、ヒラヒラと怪しげな動きをしていたトーヤがサッと身を躱すと、ストライク・オックスはその横を駆け抜けて行く。
是不是换了布呢,摇摇晃晃地做着奇怪动作的托雅突然躲开了身体,好球·奥克斯从旁边跑过去。
すぐさま、その後ろを追いかけるトーヤ。
赶忙追在后面的火炬。
だんだんと速度を緩め、方向転換したストライク・オックスだったが、トーヤが追いかけていることには気付いていなかったのか、振り返ってすぐ正面にいたトーヤに驚き、一瞬動きが止まる。
慢慢减速,转向了方向的好球·牛克斯,不过,是没有注意到托雅在追吗,回头看马上在正面的toya很吃惊,一瞬间停止了动作。
トーヤはそれを見逃さなかった。
火炬没有放过那个。
素早くその角を掴み、ぐっと足を踏ん張る。
很快抓住那个角,用力踩住脚。
「よしっ! やれ!」
“好!干吧!”
「おう!」
“哦!”
「了解!」
“明白了!”
俺とユキがすぐさま『土壁アース・ウォール』を発動、ストライク・オックスの身体をぐんぐん持ち上げる。
我和小雪马上发动了《土墙接地墙》,将好球·奥克斯的身体使劲举起。
「うわっ、高っ! 手が届かねぇ!」
“哇,好高!够不着!”
考えてみれば当たり前。
想想看是当然的。
ストライク・オックスを持ち上げた壁の高さは2メートル。その上に乗っているストライク・オックスの頭の位置は3メートルを超えるだろう。
举起好球·牛克斯的墙高2米。坐在上面的好球·奥克斯的头的位置超过3米吧。
当然だが、トーヤの手が届くような高さではなく、手を離さざるを得なくなる。
当然,并不是能够到火炬手的高度,而是不得不放手。
それと同時にストライク・オックスが首を振り回して暴れ出すが、胴体は2枚の壁の間にきっちりと嵌まり、更に横幅もある壁の上から逃れるのは容易なことではない。
与此同时,好球·牛克斯挥舞着头开始乱跳,不过,躯体好好地套在2张墙壁之间,再从有宽度的墙上逃跑不是容易的事。
「トーヤ、手伝って」
“托亚,帮帮我。”
「解った!」
“我明白了!”
ハルカとトーヤがロープを掛けて上半身を縛り付け、下半身はナツキと俺、ユキの3人で対処する。
Haruka和Toya用绳子绑住上半身,下半身由夏树和我、雪三人来处理。
かなりきっちりと縛ったので、ストライク・オックスはほぼ胴体を動かすことができなくなり、空しくヘドバンするのみ。
因为相当紧紧地绑住了,所以好球·牛克斯几乎不能动弹身体,只能空着hedban。
すでに俎板の鯉である。あの時のトーヤの如く。
已经是砧板上的鲤鱼了。像那时的火炬一样。
「ふぅ~~。なんとかなったな」
「呼~~。总算有办法了啊」
「そうね。概ね想定通り――手が届かなくなったのはミスだったけど、対処しようも無い、かしら?」
“是啊。大概和预想的一样——手够不到是错误,但是也无法处理吗?”
土壁で持ち上げている途中でトーヤが手を離すことになったため、少々暴れられたが、その時点でストライク・オックスの足は宙に浮いていたので、大きな問題では無かった。
在用土墙抬起来的途中,托亚放开了手,所以被稍微闹了一下,但是在那个时候,好球·奥克斯的脚悬空着,所以不是大问题。
今も空しく足をガツガツと土壁にぶつけているが、その程度で俺たちの土壁は壊れたりしない。
现在也空着脚使劲地撞在土墙上,不过,那样的程度我们的土墙不坏。
「足自体はそこまで長くないし、土壁の高さは1メートルほどでも十分だな。ただ、その高さでもトーヤが踏ん張れるかどうかは……」
“脚本身并没有那么长,土墙的高度1米左右也足够了。只是,即使高度也能支撑住火炬……”
「その高さなら手は届くけどよ、胴が伸びきった状態じゃ力は入らねぇよ?」
“如果是那个高度的话,我可以够得着,但是如果身体一直伸长的话,就没力气了吧?”
ストライク・オックスが突進してくるときには頭を下げているので、地面からの高さは1メートル前後。
因为好球·牛克斯突进的时候会低头,所以离地面的高度在1米左右。
その状態であれば、トーヤも腰を落としてガッシリと受け止められる。
如果是这种状态的话,托亚也会弯腰接住。
そこから2メートルほどの土壁で持ち上げた現在、ヘドバンしているストライク・オックスの頭は、2.5メートルから3メートルほどの位置にある。
从那里开始用2米左右的土墙抬起来的现在,头昏的好球·牛克斯的头,位于2.5米到3米左右的位置。
これが1.5メートルほどになれば、トーヤの身長でも角を掴んでいられそうだが、頭が動かないように抑えておけるかと言えば……ちょっと厳しいか。
如果这个达到1.5米左右的话,托亚的身高似乎也能抓住角,但要说能不能抑制住头呢……有点严格。
「まあ、問題ないでしょ。暴れるから縄を掛けるのに少し苦労したけど、逆にトーヤが手伝ってくれたから、2人で対処できたし」
“啊,没问题吧。因为会闹,所以挂绳子有点辛苦,但是反过来托雅帮了我,所以两个人也能应付”
「ですね。私たちも3人でやったら簡単でした」
“是啊。我们三个人做的话也很简单”
「頭を抑えた感じはどうだった?」
“压抑住头的感觉怎么样?”
「助走区間……勢いを付けていなければ、問題なく抑えられるな。複数で同時に突っ込んでこられたらヤバいが、1頭ずつで襲ってくる限り、大して怖くない敵だな」
“助跑区间……如果没有加劲的话,就没问题了。如果多人同时闯入的话就糟糕了,但只要一只一只地袭击过来,就不是什么可怕的敌人了”
「簡単に避けられるしなぁ」
“很容易就能避开啊”
速度は速いが、小回りが利かない分、適度に引きつけてやれば避けるのは難しくない。
虽然速度很快,但是如果不灵活的话,适当地吸引的话就不难避开了。
避けるスペースの無い通路で出てくれば、それなりの脅威にはなりそうだが、幸いここは草原である。
如果从没有可避空间的通道出来的话,可能会成为相应的威胁,但幸运的是这里是草原。
縄張りがあって単独行動するのであれば、群れになる事も無さそうだし……ダンジョンの階層的には順当な強さなのかもしれないが、ちょっと残念な魔物である。
如果有领地单独行动的话,就不会成群结队了……虽然可能是地牢的等级性的正常强度,但还是有点遗憾的魔物。
「ねぇ、検証も大事だけど、先に牛乳を搾らない? あたしの土壁もずっと保つわけじゃないんだし」
“啊,验证也很重要,不先挤牛奶吗?我的土墙也不能一直保持下去”
「そうね。――とは言っても、高いわね」
“是啊。——虽然这么说,但是很贵啊”
「土台が必要ですね。ナオくん、お願いします」
“需要基础啊。娜奥,拜托了”
「了解。『土操作グランド・コントロール』」
“明白。”土操作接地控制”
2メートル――ちょっと垂れ下がっているので、それよりは少し低いので手は届くが、その状態で乳搾りができるはずもない。
2米——因为有点下垂,所以比那个稍微低一点,所以能够得着,但是在这种状态下不可能进行乳榨。
俺は魔法を使って簡単な階段状の土台を作り、ついでに牛乳を入れるための壷も作り上げた。
我用魔法做了简单的阶梯状的基础,顺便也做了装牛奶的壶。
「ありがとうございます。ついでにコップもお願いできますか?」
“谢谢。顺便帮我拿个杯子好吗?”
「おう」
“哦”
俺がマグカップを作って渡すと、ナツキはそれらすべてとストライク・オックスの乳房に『浄化』を掛けて、手際よくマグカップに牛乳を搾り出した。
我做了马克杯交给她,她就把所有的一切都给了强袭牛克斯的乳房上,用“净化”的手法把牛奶挤到了马克杯里。
見るからに濃厚そうな、どろり、とでも表現したくなるような牛乳。
一看就想用浓厚、粘稠的牛奶来表现。
魔物の乳と考えると少し躊躇する物があるが、ナツキは特に尻込みする様子も無く、それを一口。
一想到魔物的乳汁就会有些犹豫,但是枣并没有特别退缩的样子,只吃了一口。
「――っ!? そ、想像以上に美味しいです! ナオくんも飲んでみてください!」
「――――――烽火33!?是的,比想象的还要好吃!请你也喝一杯吧!”
手をパタパタと振りつつ、俺にカップを差し出すナツキ。
一边吧嗒吧嗒地挥着手,一边把杯子递给我的枣。
そんなちょっとレアなナツキの様子に和みつつ、カップを受け取って俺も一口。
一边和着稍微有点稀有的枣的样子,一边接过杯子我也吃了一口。
「うわっ、ウマ! え、ナニコレ? 牛乳?」
「哇,马!嗯,尼古力?牛奶?”
無言で手を差し出したハルカにカップを渡しつつ、俺は想像以上に美味かったストライク・オックスのミルクに驚く。
一边将杯子交给默默伸出手的春佳,我对比想象中更美味的好球·牛克斯的牛奶感到惊讶。
生温かい牛乳には慣れないが、そんな事が関係ないほどに美味い。搾りたての牛乳は美味いとは聞くが、多分これはそんなレベルの物では無い。
虽然不习惯生热牛奶,但是美味到和那种事没有关系。听说刚榨好的牛奶很好喝,大概这并不是那种程度的东西。
「これは、搾乳器の作製が必要ね。集めるべきだわ」
“这个需要制作挤奶器。应该收集啊」
「生クリームみたい……。頻繁に飲むなら、水で薄めた方が良いかも」
“好像鲜奶油……。频繁饮用的话,也许用水稀释比较好”
「牛乳とは思えねぇな……。ここで一句。『たらちねの、ははを思いて、ちちをのむ』」
“我不觉得是牛奶……。这里是一句”
順番にコップが回され、全員が驚きに目を丸くしたのだが、そんな中、トーヤがボソリと妙なことを口にした。
杯子按顺序转动,大家都吓得瞪圆了眼睛,就在这时,火炬咕咚咕咚地说了些奇怪的话。
「……突然どうした? ギャグ?」
“……突然怎么了?噱头?”
「いや、あれを見て何となく思った」
“不,看到那个总觉得。”
指さすのは垂れ下がったストライク・オックスの乳房。
指的是下垂的好球·牛克斯的乳房。
確かに『垂乳根』ではある。
确实是“垂乳根”。
「メアリたちを引き取ってちょっと思ったわけだ。母さんたちには悪いことをしたな、と。普通なら、賽の河原で石積み的な罪だぜ?」
“我是领回了玛丽他们后有点想的。对妈妈们做了坏事。一般来说,这是在赛河原上堆积如山的罪过吧?”
「………」
「………」
下らないギャグかと思ったら、ちょっとマジメだった。
本以为是无聊的噱头,结果有点认真。
もちろん俺も、それを考えたことが無いとは言わない。
当然我也不说没有考虑过那个。
最初の頃こそ、生き残ることに一所懸命だったが、ある程度余裕ができたら親のことを思い出さないわけがない。
刚开始的时候,为了生存而拼命努力,但是如果有一定的余裕的话,就不可能不想起父母。
それはトーヤたちだって同じだっただろうが、あえてそれを口に出したりはしなかった。
那是Toya他们也一样的吧,但并没有说出来。
言ったところでどうしようも無い事だから。
即使说了也是没办法的事。
「『すでに骨とて、帰れざるなり』。ま、あれだ。明確に死んで良かったとも言えるよな。中途半端な行方不明じゃなくて」
“‘已经是骨头了,回不去了’。嘛,就是那个。可以明确地说死了真好啊。并不是半途而废的下落不明”
死んだ上に種族まで違う俺たちは、当然帰れるはずもない。
我们不仅死了而且种族不同,当然是不可能回去的。
だが、はっきりと死んだと判っている分、召喚とか、転移とか、そんな感じの行方不明よりはマシなはずである。
但是,清楚地知道死了的份儿,召唤啦,转移啦,应该比那样的感觉的去向不明要好。
帰還の術すべが無いのであれば、無駄な期待を持たせるような『行方不明』は、子供を失った親に対してかなり残酷なことで、区切りを付ける障害にもなることだろう。
如果没有回归的方法的话,让孩子抱有无用的期待的“行踪不明”,对失去孩子的父母来说是相当残酷的事情,也会成为划分阶段的障碍吧。
俺たちの場合はきっちり死んでいるので、ある意味こっちは死後の世界。
我们的情况正好是死的,某种意义上是死后的世界。
両親は悲しむとは思うが、交通事故は理解できる範疇の出来事であり、いつかは立ち直ってくれると思いたい。
我想父母会很伤心,但交通事故是可以理解的范畴,总有一天会恢复过来的。
「それに、交通事故は俺たちの責任じゃないしなぁ」
“而且,交通事故不是我们的责任。”
バスに乗っていただけなので、過失割合はゼロである。別にトラックに飛び込んだわけじゃ無いのだ。
只是乘坐了巴士,所以过失比例为零。并不是跳进了卡车。
「『死して念おもうは、親の平穏』。そのへんは割り切るしかないわよ。私たちは運悪く交通事故で死んだ。ただ、不幸中の幸い、こちらの世界で第2の人生を貰えた。それだけ」
“‘死去的念头是父母的平安’。那一点只能作罢了。我们运气不好,死于交通事故。只是,不幸中的万幸,我在这个世界里获得了第二个人生。仅此而已”
「え、あたしもなんか詠む流れ? え~~と、……『今願うのは、新たな弟妹』? 私たち、全員一人っ子だったから……。お母さんたち、もう1人ぐらい頑張れるかな? きっと保険金も入ると思うし、子育て資金的にはなんとかなると思うけど」
「啊,我也是在吟诵什么呢?嗯~……“现在想要的是新的兄弟姐妹”?因为我们都是独生子……。妈妈们,还能再努力一个人吗?我想一定会有保险金的,我觉得对于育儿资金来说总会有办法的”
俺たちの会話を聞いていたようで、ハルカとユキも話に入ってくる。律儀に下の句を考えて。
好像在听我们的对话,Haruka和yuki也加入了谈话。规规矩矩地想下句。
ハルカの言は、ちょっとドライなようにも聞こえるが、死んでしまった後の事なんて、どうしようも無いというのは真理である。
Haruka的话,听起来有点冷漠,但是死后的事情什么的,毫无办法是真理。
単に俺たちに記憶があると言うだけで、死んだことに間違いは無いのだから。
只是说我们有记忆,死了的事没错。
「『なりて浮かぶは、感謝の憶おもい』。私としては、お礼とお別れを言えなかったことが残念ではありますが。ナオくん、壷をもう1つお願いします」
“‘成为浮起的是感谢的回忆’。对于我来说,没能说谢谢和告别很遗憾。娜奥,请再给我一个壶”
「ほい。――確かに俺も、お礼ぐらいは言いたかったかな」
“呼。——确实我也很想道谢吧”
俺は先ほどと同じサイズの壷を作り上げ、ナツキに渡す。
我做了和刚才一样大小的壶,交给了海枣。
ちなみにナツキが1人で搾っているのは、彼女だけが牛の乳搾りの経験があったから。ちょっと話している間に壷1つを一杯にしているのだから、なかなかに手際が良いと言える。
顺便说一下,一个人榨枣子是因为只有她有挤牛奶的经验。因为说话的时候会把一个壶装在一个杯子里,所以可以说很有技巧。
「普段生活していると、お礼を言う機会なんてねぇからなぁ。感謝はしてても」
“平时生活的话,没有机会道谢啊。尽管感谢”
「だねぇ。あたしも、できれば手紙の1つぐらいは送りたいけど、仮にできても、受け取った方も困るよね」
“是啊。我也想尽量寄一封信,就算可以,收到的人也会很困扰的”
ユキはそう言いながら、困ったような笑みを浮かべる。
雪一边这样说着,一边浮现出为难的笑容。
「悪質な悪戯としか思われないでしょうね。さて、終わりましたよ、乳搾り。10リットルには満たない程度ですね」
“只会被认为是性质恶劣的恶作剧吧。那么,结束了哦,挤牛奶。不到10升的程度”
「お疲れ様。冷やして仕舞っておくわね」
“辛苦了。让它冷却吧”
「ついでに『殺菌ディスインファクト』かけておいたら?」
“顺便放上‘杀菌Diswin factor’怎么样?”
「あぁ、そうね。そっちの方が安心ね」
“啊,是啊。那边比较放心”
ナツキが差し出した壷をハルカが受け取り、魔法で殺菌、冷却してからマジックバッグの中へ。
Haruka收下了夏树递出的壶,用魔法杀菌,冷却后放入魔术包中。
加熱殺菌、密閉していない生乳なんて、普通なら腐る心配をしないといけないところだが、マジックバッグと魔法様々である。
加热杀菌,没有密闭的生奶,如果是普通的话就必须担心会腐烂,不过,魔术包和魔法各种各样。
「それじゃ、縄を解いて逃がしましょうか。また牛乳を生産してもらわないと困るし」
「那么,解开绳子放跑吧。如果不生产牛奶就麻烦了”
「その前に、遠くからでも雌と判るようなマーキングをしたいところだが……」
“在这之前,我想做一个从远处也能分辨出是雌性的标记……”
「真っ黒だから、ペイントは難しいわね。それは次回以降の課題としましょ」
“因为是黑色的,所以油漆很难。那就作为下次以后的课题吧”
日本の牧場だと、鼻輪や耳にタグとか付いているが、この世界でもそういうのがあるのだろうか?
在日本的牧场里,鼻子和耳朵上都有标记,这个世界上也有这样的东西吗?
現状でもやろうと思えば、焼き印とかは可能だろうが、いくら魔物相手とは言え、強引に乳を奪って更に焼き印を押すとか、心が痛む。
即使是现在也要做的话,烙印之类的是可能的,但是就算是魔物对象,也会强行夺走乳,再加上烙印,让人心痛。
「白い塗料でもあれば、オレが牛柄にしてやるのに」
“如果是白色涂料的话,我会把它做成牛的图案。”
「ホルスタイン的に? 確かに乳牛っぽいけど、塗料が無駄だよ、それは」
“保持住?确实很像乳牛,但是涂料是无用的,那是”
ユキが苦笑しながら縄を解き、俺たちはその場から移動する。
雪苦笑着解开绳子,我们从那里移动。
ちょっと可哀想だが、土壁はそのまま。
虽然有点可怜,但是土墙就这样。
魔物故、解除したら襲ってくるだろうし、襲ってこないところまで離れては解除もできない。
因为是魔物,所以解除后会袭击过来,如果离开了不会袭击的地方就无法解除。
土壁は破壊されなくても30分ほどで自動解除されるので、まぁ、問題は無いだろう。
就算土墙不被破坏,30分钟左右就会自动解除,所以没问题吧。
そして、そのストライク・オックスから十分に離れて観察することしばらく。
然后,从那个好球·奥克斯充分地离开观察的事暂时。
土壁が崩れて地面に降り立ったストライク・オックスは、やや苛立たしげに地面に八つ当たりしていたが、しばらくするとそれも止め、以前と同じように辺りを徘徊し始めた。
土墙坍塌后降落在地面上的好球·牛克斯,稍稍有些焦躁地向地面乱发脾气,但不久之后又停了下来,开始像以前一样在周围徘徊。
「……問題ないみたいだな」
“……好像没问题。”
「よし! これで継続的に牛乳が得られるようになったね」
“好!这样就能持续得到牛奶了呢”
「ですが、手作業での搾乳には限界がありますよ? 結構疲れますし」
“但是,手工挤奶是有界限的?很累”
「ナツキにだけ任せるわけにもいかないし、慣れないながら手分けをするか?」
“不能只交给海枣,不习惯的时候要分开吗?”
「もしくは一度帰るか、よね。搾乳器、本に載ってるかしら?」
“或者是回去一次吧。挤奶器,书上有吗?”
さて、どうするべきだろうな……?
那么,该怎么办呢……?

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215.md

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# 215 牛乳を効率よく (1) 高效牛奶(1)
話し合いの結果、俺たちは一度帰還することにした。
商量的结果,我们决定回去一次。
理由は3つ。
理由有三个。
搾乳器が無いと大量に搾るのはキツいという事、牛乳を入れるのに適した容器を作るべきという事、そして、『アイス食べたい』。
没有挤奶器的话大量榨牛奶会很难受,所以应该制作适合放入牛奶的容器,然后,“想吃冰淇淋”。
一番の要因はもちろん搾乳器だが、この牛乳で作ったアイスが食べたいという意見も、かなり大きなウェイトを占めていた。むしろ俺が声を大にした。
最主要的原因当然是挤奶器,想吃用这个牛奶做的冰淇淋的意见也占了相当大的重量。倒不如说我把声音放大了。
そんなわけで、11階の転移ポイントまで魔法で転移、階段を上って、10階の魔法陣でダンジョン入口へサクッと跳び、そのまま自宅へと帰還したのだった。
因此,他用魔法转移到了11楼的转移点,登上楼梯,用10楼的魔法阵快速跳到地下城入口,然后就这样回到了家里。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
俺たちが家へ帰ると、メアリとミーティアは2人して、庭で鍬を振るっていた。
我们回家后,玛丽和米蒂亚两个人在院子里挥舞着锄头。
トーヤが作った三つ叉の鍬、それで土に埋まった菜の花の根っこを掘り起こし、隅に集めている。
他挖出了由火炬制作的三叉铁锹,用它埋在土里的油菜花的根,并聚集在角落里。
油を搾る際、地上部に関しては綺麗に刈り取り、不要な部分はコンポストで堆肥に変えたのだが、根っこ部分はそのまま放置していたのだ。
在榨油的时候,关于地上部分进行了漂亮的收割,无用的部分用集装箱变成了堆肥,但是根部分就那样放置着。
そのままでは次の種が播けないため、処理を行っているのだろう。
因为这样下去下一种不能播下去,所以才会进行处理吧。
「暑いのに精が出ますね」
“明明很热,却很精神呢。”
「あれ? お帰りなさい。みなさん」
“咦?欢迎回来。大家”
「お帰りなさいなの!!」
“欢迎回来!”
ナツキが近づき声を掛けると、メアリたちは予定よりも早く戻ってきた俺たちに、少し驚いたような表情を見せたが、すぐに笑顔を浮かべて出迎えてくれた。
夏树靠近我们,向他们打招呼,玛丽他们对比预定的时间还早回来的我们露出了有些吃惊的表情,但是立刻露出了笑容迎接了我们。
「ただいま。メアリたちもお疲れ様」
“我回来了。玛丽们辛苦了”
「このくらい問題ないの! ミーは大丈夫なの!」
“这么点问题都没有!我没事!”
その言葉通り、ミーティアはとても元気に、ザクザクと鍬を振るう。
正如这句话所说,米蒂亚精神饱满地挥舞着锄头。
見た目は幼女だが、その力強さは下手な大人顔負けかもしれない。
虽然外表是一个幼女,但其强大的力量也许会输给不擅长应付的大人。
「次の種も播かないといけないですから」
“因为必须要播下一个种子。”
「そこまで急ぐ必要は無いけど……無理しない範囲で頑張ってね?」
“没必要那么急……在不勉强的范围内加油吧?”
「はい!」
“是的!”
きちんとした仕事ができるのが嬉しいのか、メアリは笑顔で頷く。
或许是因为能好好工作而感到开心,玛丽笑着点了点头。
子供なのに、と思わなくもないが、これがこちらの世界の常識的な反応で、働かざる者食うべからず。
虽说是孩子,但这是我们这个世界的常识性反应,不工作的人是不能吃的。
逆に言えば、働いていないと何時食わしてもらえなくなるか解らないし、文句も言えないのが普通なのだ。
反过来说,不工作的话,不知道什么时候就不能吃了,也不能抱怨是很正常的。
つまり、働いている方が安心。
也就是说,工作着更安心。
働かずに食うメシが美味い、などと言っている余裕は、この世界の庶民には無い。
世界上的平民没有闲情说不工作就吃的饭好吃。
それが自分の子供であっても、普通に放り出される。
即使那是自己的孩子,也会被普通地抛弃。
俺たちとしても、天ぷらに使える菜種油が増えるのはありがたいし、メアリたちも天ぷらは喜んでいたので、それもまたモチベーションになっているのかもしれない。
对于我们来说,能用在天妇罗上的菜油增加是很难得的,玛丽们也很喜欢天妇罗,也许这也是一种动力吧。
「取りあえず今日は、お土産があるから、中に入りましょう?」
“总之今天有特产,先进去吧?”
「おみやげ! 食べ物なの?」
“特产!是食物吗?”
「えぇ。果物を採ってきました」
“诶。我去采了水果”
「「くだもの!」」
“水果!”
ナツキの言葉に、目を輝かせた2人の声がハモる。
夏树的话语中,两人的目光闪烁着光辉。
ディンドルほどの高嶺の花ではなくとも、普通の果物ですら庶民はなかなか手が出ない。
即使不是像丁美元那样可望不到的高岭之花,普通的水果平民也很难买到。
特にやや貧乏な暮らしをしていたらしい2人にとっては、果物はかなりのご馳走なのだろう。
特别是对于过着稍微贫困生活的两人来说,水果是相当丰盛的美食吧。
「それじゃ、中に入って食べましょうか」
“那我们进去吃吧。”
「はい!」
“是的!”
メアリたちはパタパタと走り出し、鍬を片付ける。
玛丽们啪嗒啪嗒地跑出去,收拾锄头。
そんな2人にハルカたちが『浄化』をかけて、家の中へ。
这样的两个人,春香他们带着“净化”来到了家中。
壁面を漆喰で処理した屋内は案外涼しいが、それでもさすがに夏の気温。歩きながら『冷房クールズ』を唱え、家の中を冷やしていく。
用漆喰处理了墙面的室内意外地凉快,不过,尽管如此还是夏天的气温。一边走一边喊着“冷气机”,让家里冷却下来。
「わぁ~、涼しいの! ナオお兄ちゃん、ありがと!」
「哇~好凉快啊!娜奥哥哥,谢谢你!”
「俺たちもちょっと暑いからな」
“我们也有点热啊。”
問題ないとは言っても、さすがに夏の日差しの中での畑仕事は暑かったのだろう。ミーティアは涼しい風に気持ちよさそうに目を細めた。
虽说没什么问题,但在夏天的阳光下的农田工作果然还是很热的吧。米蒂亚在凉风中眯起了眼睛,看起来很舒服。
この地域の気候は日本に比べて湿度が低く、夏も多少過ごしやすいのだが、それでもエアコンに慣れた俺たちからすれば、少々暑い。
这个地区的气候和日本相比湿度低,夏天也好过一些,但是对于习惯了空调的我们来说,还是有点热。
だが、あばら屋的な家に住んでいたメアリたちからすれば、この家の中は十分に涼しいらしい。
但是,对于住在破房子里的玛丽们来说,这所房子里似乎十分凉爽。
更に、俺たちが家にいる間は、俺とユキ、それにハルカの3人で適当に『冷房クールズ』を乱発して歩いているので、屋内の気温はあまり上がらない。
而且,我们在家的时候,我和小雪,还有Haruka三个人适当地乱走着“空调库尔斯”,所以室内的气温不怎么上升。
故に2人とも「今年の夏はすっごく快適!」と口を揃えている。
所以两个人都说“今年的夏天非常舒适!”异口同声。
まぁ、俺たちが過ごしやすいように調整しているわけで、自然のままに生活していた2人からすればかなりの贅沢なのだろう。
嘛,为了我们的生活方便而进行调整,对于自然地生活着的两个人来说是相当奢侈的吧。
「お土産はいくつかありますが、今日は梨を剥きましょうか」
“我们有几个特产,今天要把梨剥下来吗?”
居間へと移動した俺たちが、適当に好きな場所に座ると、ナツキがマジックバッグから梨を7つほど取り出した。
来到起居室的我们,随便坐在自己喜欢的地方,枣从魔术包里拿出了七个梨。
手分けしてそれの皮を剥くと、ハルカがまとめて冷やしてくれる。
分开剥掉那个皮的话,Haruka会一起冷却。
日本のスーパーで売っているような梨であれば、1人1個はちょっと多いが、今回の梨はやや小ぶり。間食にはちょうど良いサイズだ。
如果是在日本超市卖的梨,一个人一个稍微多了点,但是这次的梨有点小。正好是零食的尺寸。
「しゃくしゃくして、じゅわってして、甘いの!」
“喝了,喝了,甜的!”
「はわぁ~~、冷たくて甘い~」
“哇~好冷好甜~”
頬を緩め、ゆっくりと噛み締めるように食べるメアリたちの様子に、俺たちもまた頬を緩め、梨を食べる。
我们也再次放松了脸颊,吃着梨。
うん。なかなか。
嗯。很不错。
日本で買える梨とどちらが美味いかと言われれば、少々劣ることは否定できないが、こちらは自然に実った物を採取しただけで、栽培しているわけではない。比較すること自体が不適切だろう。
要说在日本能买到的梨哪个更好吃的话,不能否认稍逊色,但这并不是只采摘自然果实就栽培的。比较本身就不合适吧。
って、あれ? 確かお土産の果物って、トーヤのための好感度アップアイテムだったんじゃ?
咦?确实,作为特产的水果,是为了烤面包而提升好感度的单品吧?
――まぁ、トーヤも気にしていない様子だし、別に良いか。
——嘛,好像也没有在意TOYA的样子,没关系吗。
「はふぅ~。美味しかったです~。……あ、そういえば、今回は帰ってくるの、何で早かったんですか?」
「哈哈~。很好吃~。……啊,这么说来,这次回来,为什么这么早呢?”
俺たちに比べて2倍ぐらいの時間を掛けて、梨を満喫していたメアリが大きく息を吐き、思い出したようにそんな事を訊ねる。
比我们花了2倍左右的时间,享受着梨的玛丽大喘气,像想起来一样问那样的事。
「ストライク・オックスのミルクが手に入ったから、それをたくさん搾れるよう準備するために戻ってきたの。とても美味しいミルクだったけど、2人も飲んでみる?」
“因为我拿到了强袭牛克斯的牛奶,所以为了准备榨很多而回来的。虽然是非常美味的牛奶,但是两个人也要喝吗?”
ハルカが取りだした壷を見て、ミーティアは不思議そうに首をかしげ、メアリは少し嫌そうに顔をしかめた。
看到Haruka取出的壶,米蒂亚不可思议地歪着头,玛丽略带厌恶地皱起眉头。
「ミルク、です?」
“牛奶?”
「そう。なかなかに美味しかったわよ? 飲む?」
“是的。相当好吃哟?喝吗?”
「飲みたいの!」
“我想喝!”
「メアリは?」
“玛丽呢?”
嬉しそうに応えたミーティアにミルクを注ぎつつ、ハルカが訊ねると、メアリは少し困ったように首を振る。
春香高兴地回应了米蒂亚,一边给她倒牛奶,一边问她,玛丽好像有点为难似的摇了摇头。
「私はあまり……ミルクは少し苦手で……」
“我不太……有点不喜欢牛奶……”
言葉を濁すメアリに対し、ハルカから牛乳の入ったコップを受け取ったミーティアは白い液体に少し不思議そうな表情を浮かべつつも、臆すること無くコップを傾けた。
面对含糊其辞的玛丽,米蒂亚从Haruka那里收到了一个装着牛奶的杯子,虽然她在白色液体里露出了一点不可思议的表情,但她却毫不畏惧地将杯子倾斜。
「……すっごく美味しいの!」
“……非常好吃!”
ミーティアは一口飲んですぐに笑顔になり、更にゴクゴクと牛乳を飲んでいく。
米蒂亚喝了一口马上露出笑容,然后咕噜咕噜地喝牛奶。
そんなミーティアの様子に、メアリは驚いたような表情を浮かべる。
看到米蒂亚的样子,玛丽脸上露出吃惊的表情。
「ミーティア、大丈夫なの? 昔はあんなに嫌がったのに……」
“米蒂亚,没事吧?以前明明那么讨厌的……”
「? よく解らないけど、これはとっても美味しいの! はい、お姉ちゃんも!」
「? 虽然不太明白,但是这个非常好吃!是的,姐姐也一样!”
妹から笑顔で差し出されたコップは無視できなかったのか、メアリは受け取った牛乳を恐る恐る口に含む。
可能是妹妹微笑着递过来的杯子没能无视吧,玛丽战战兢兢地把收到的牛奶含在嘴里。
と同時に、「あれ?」とでも言うように、不思議そうに首を捻り、更に一口、二口。
同时,“咦?”像这样,不可思议地扭头,再咬一口两口。
「うわぁ……すごい……」
“哇……好厉害……”
信じられない物を見たかのようにコップの中を覗き込み、再びコップを口に運ぼうとしたメアリの袖を、ミーティアが少し不満そうに引っ張った。
米蒂亚好像看到了难以置信的东西一样,朝着杯子里看,米蒂亚稍稍不满地拉着打算再次把杯子送到嘴里的玛丽的袖子。
「お姉ちゃん、ミーのミルク!」
“姐姐,我的牛奶!”
「あ、あぁ、ごめんね? はい」
“啊,啊,对不起啊?是的”
「――んく。あ、無くなっちゃいました……」
“——嗯。啊,丢了……”
メアリから返ってきたコップを嬉しそうに傾けたミーティアだったが、すでに殆ど残っていなかったようで、一口ほどでコップは空になる。
米蒂亚很高兴地把从玛丽那里拿回来的杯子倒过来,但是好像已经几乎没有剩下了,一口左右杯子就空了。
ミーティアは悲しそうにコップの中を見て、ハルカの方に視線を向けた。
米蒂亚悲伤地看着杯子里,向Haruka看去。
「ハルカお姉ちゃん、お替わりもらって良いです?」
“Haruka姐姐,可以再来一杯吗?”
「えーっと、そうね。あと一杯だけね?」
“嗯,是啊。只剩一杯了吧?”
残りの牛乳でアイスを作るわけで、あまり余裕は無いのだが、ミーティアの表情に負けたのか、ハルカはミーティアのコップにお替わりを注ぐ。
因为是用剩下的牛奶做冰淇淋,所以没什么富余的,但是可能是输给了米蒂亚的表情吧,Haruka倒进了米蒂亚的杯子里。
「ありがとうなの!」
“谢谢你!”
ミーティアは満面の笑顔でお礼を言い、半分ほど飲むと、「お姉ちゃんも飲んで良いの!」とコップを差し出した。
米蒂亚满脸笑容地道谢,喝了一半左右,“姐姐也可以喝!”递出了杯子。
そんな風に姉妹で分けるのはいつものことなのか、メアリもお礼を言って受け取り、先ほどよりも良く味わうようにしてミルクを飲む。
像这样以姐妹分开是平常的事吗,玛丽也道谢收下,比刚才更好地品尝牛奶。
「このミルク、前に飲んだことのあるミルクとは全然違います」
“这个牛奶和之前喝过的牛奶完全不同。”
「前に飲んだ? 何のミルクを飲んだの?」
“之前喝过吗?喝了什么牛奶?”
「私が飲んだのは山羊です。ミーティアを育てるときに……」
“我喝的是山羊。养育米蒂亚的时候……”
訊いてみると、メアリたちの母親はミーティアを産んだ後、産後の肥立ちが悪く、すぐに亡くなってしまったようで、ミーティアは何とか工面した山羊のミルクで育てられたんだとか。
问了一下,玛丽她们的母亲在生了米蒂亚之后,因为产后的肥胖状况不好,很快就去世了,米蒂亚总算是用精心制作的山羊牛奶养大的。
メアリが飲んだのは、その時のおこぼれと言うべきか、余り物と言うべきか。
玛丽喝的应该说是当时的酒糟,还是应该说是多余的东西。
しかしその味は決して美味しいと言える物ではなく、ミーティアに飲ませるのにも苦労したらしい。
但是那个味道绝对不是好吃的东西,让Media喝也很辛苦。
そんな経験もあり、これまでメアリは、ミルクにあまり良い思いを持っていなかったようだ。
也有这样的经验,到现在为止玛丽好像对牛奶没有什么好的想法。
それだけに、ストライク・オックスのミルクの味は衝撃的だったのだろう。
正因为如此,好球·牛克斯的牛奶的味道很冲击吧。
「かなり美味いもんな、この牛乳」
“这牛奶真好吃啊。”
「普通の牛乳を飲んでいた俺たちでも、かなり驚いたからな」
“就算是喝普通牛奶的我们,也很吃惊啊。”
逆にミーティアが山羊のミルクを飲んでいたのは物心がつく前。
相反,米蒂亚喝山羊牛奶是在懂事之前。
ミルクを飲んだこと自体を覚えていなかったため、抵抗なく牛乳が飲めたようだ。
因为不记得自己喝过牛奶,所以没有抵抗力地喝了牛奶。
「山羊かぁ。マズいのか?」
“原来是山羊啊。不?”
「私は飲んだことないですが、育成環境で随分と味が変わる、と聞いたことはあります」
“我没喝过,听说在培养环境中味道会有很大变化。”
「そうなんですか? 私たちが買えたのは安い物だったから、でしょうか?」
“是吗?我们买的是便宜的东西,对吗?”
「かもしれないわね。山羊に関してはあまり詳しくは無いけど……」
“也许吧。虽然我对山羊不太熟悉……”
「ミルクは良く知りませんが、シェーブルチーズ――山羊のチーズは結構良いお値段がしますよ? クセがありますけど」
“我不太清楚牛奶,但是浓淡芝士——山羊的芝士价格很好哦?我有个癖好”
「あたし、食べたことない。美味しいの、ナツキ?」
“我没吃过。好吃的是枣?”
「う~ん……私はさほど……。好きな人は好きみたいです」
“嗯……我没那么……。喜欢的人好像喜欢”
ナツキが困ったような表情で、曖昧な笑みを浮かべる。
夏树露出为难的表情,脸上浮现出暧昧的笑容。
まぁ、チーズなんてそんな物だよな。
嘛,奶酪就是这样的东西吧。
俺も普段食べるチーズなんて、万人受けするように作られたプロセスチーズぐらいだったし。
我平时也吃的奶酪,不过是能让人接受的精制芝士而已。
「値段と言えば、このミルクはそれなりに高いのよね? トーヤ、いくらぐらいだっけ?」
“要说价格的话,这个牛奶应该很贵吧?火炬,多少钱来着?”
「コップ1杯の相場で、おおよそ大銀貨2枚から4枚ってとこだな」
“一杯杯子的行情,大概是2到4枚大金币吧。”
「――んぐっ! ごく。ゲホッ、ゲホッ。ほ、本当ですか!? そんなに!」
“——好烫!非常。geho,geho。真的吗!?没什么!”
お値段的には、ちょっと高価な栄養ドリンクぐらいか。
从价格上来说,大概是比较贵的营养饮料吧。
買えない価格ではないが、ただの飲み物に支払うと考えると、かなり躊躇するレベル。
虽然不是买不到的价格,但考虑到只支付给饮料的话,还是相当犹豫的程度。
値段に見合うぐらいの味ではあるので、一度味わうと購入に対するハードルは幾分下がるだろうが、どちらにしても庶民には厳しい値段だろう。
因为味道和价格差不多,所以尝一次的话,购买的门槛会有所下降,但无论哪一种价格对平民来说都是很苛刻的。
「でも、そんなにするなら、帰ってきたのも解ります。冒険者なら、お宝は見逃せませんよね!」
“但是,如果那样做的话,我也知道你回来了。冒险者的话,不能放过宝物哦!”
「あー、うん。そうだな?」
“啊,嗯。是吗?”
両手をギュッと胸の前で握り、目を輝かせるメアリに、俺は少し曖昧な返事。
面对双手紧紧握在胸前、眼睛闪闪发光的玛丽,我回答得有点暧昧。
見逃せないのは間違いないが、俺たちからすると、『高く売れる』事よりも、『美味い物が採れる』という事の方が優先順位が高いわけで。
绝对不能错过,但是在我们看来,比起“卖得好”,“能采到好吃的东西”的优先顺序更高。
もしストライク・オックスから得られる素材が、高いだけで食べられない物であったなら、適当に処理して、わざわざ戻って来なかった可能性は高い。
如果从好球·牛克斯得到的素材只是高(贵)不能吃的东西,适当地处理,特意不返回的可能性高(贵)。
「ま、そんなわけで準備に帰っただけだから、順調にいけば2、3日でまた出かけるわ」
“嘛,只是因为这个原因才准备回来的,如果一切顺利的话,两三天再出门。”
「次回はもっとたくさんミルクが回収できると思うから、お土産、期待しててね?」
“我想下次可以回收更多牛奶,所以请期待特产吧?”
「「はい(なの)!」」
“是的!”
嬉しそうに返事をする2人に和みつつ、俺たちはそれぞれ『たくさんのミルク』を実現するために、作業を開始したのだった。
我们一边安慰着开心地回信的两个人,一边开始了各自为了实现“很多牛奶”的工作。

427
216.md

@ -0,0 +1,427 @@
216 牛乳を効率よく (2)
216有效利用牛奶(2)
搾乳器の作製はユキが担当し、アイスクリーム作りはナツキがメイン。
挤奶器的制作由雪树负责,冰淇淋的制作主要是以枣为主。
ハルカはその2人の補佐で、俺は牛乳を入れる瓶作りの予定。
Haruka是那两个人的辅佐,我预定做一个装牛奶的瓶子。
やることのないトーヤは、メアリとミーティアの訓練を見たり、庭の農作業に参加したりして時間を潰していた。
没有事情做的Toya,看了玛丽和米蒂亚的训练,参加了院子里的农活,消磨了时间。
そして帰宅してから3日目。
然后是回家后的第三天。
全員の作業が終わり、俺たちはそれぞれの成果物を持って食堂へと集合していた。
全体工作结束后,我们带着各自的成果物去食堂集合。
最初の発表者はユキ。
最初的发表者是小雪。
マジックバッグから『じゃん!!』とばかりに取り出し、テーブルの上に乗せる。
从魔术包里传来“不是吗!!”像这样取出,放在桌子上。
「あたしが作ったのはこれ。全自動搾乳器!」
“我做的是这个。全自动挤奶器!”
見た目はコップの先っぽに吸盤が付いたような形で、その底からホースが伸びているだけ。かなりシンプルな形状である。
看起来就像杯子的前端有吸盘一样,软管只是从底部延伸出来而已。形状相当简单。
「この吸盤を乳首に引っ付けて、スイッチオン。ホースの先を容器に突っ込んでおけば、後は自動で搾乳してくれるよ。全自動とは言っても、停止だけは手動なんだけどね。注意すべきはそこだけかな?」
“把这个吸盘贴在乳头上,打开开关。把软管的前端塞进容器里的话,之后会自动挤牛奶哦。虽说是全自动的,但只有停止是手动的。应该注意的只有那里吗?”
つまりは、乳の出が悪くなったらオフになる、という機能までは付けていないらしいが、実用上は全く問題は無いだろう。
也就是说,如果乳汁不好的话就会断奶,虽然没有这个功能,但是在实际应用上完全没有问题。
相手は魔物、そのまま放置できるような物じゃないし。
对方是魔物,不是可以直接放置的东西。
「あら? 最初、注射器みたいな形で作ってなかった?」
“啊?最初,你没有用类似注射器的形状做吗?”
「うん。試作はしたけど、あれで何十頭も搾るのは大変だと思ったから、自動化してみた。結構苦労したけど」
“嗯。虽然试作了,但是觉得那样榨几十头很难,所以试着自动化了。虽然相当辛苦”
そう言いながら追加で取りだしたのは、正にでっかい注射器。
一边这么说一边又追加了新的注射器,真的是很大的注射器。
仕組みは非常に単純で、ピストンを引くことで吸引するだけの代物みたいだが、何十頭、下手をすれば100頭以上もこれで搾るとなると、なかなかに大変そうである。
结构非常简单,虽然只是通过拉活塞来吸引,但几十头,弄不好的话就要榨100头以上的话,好像很难。
ユキ、グッジョブ。
雪,好工作。
続いては容器担当の俺。
接下来是负责容器的我。
「俺の作った容器はこれ。今回搾った牛乳が7リットルあまりだったから、2.5リットルの瓶にしておいた。1頭3~4瓶使うイメージだな。蓋付きだ」
“我做的容器是这个。这次榨的牛奶有7公升多,所以我就用2.5升的瓶子。给人一种1头使用3~4瓶的印象。带盖的”
ガラス製――正確には、珪砂を固めた擬似的な物だが――で、形はワインボトルの胴体を太くして、首は短くしたような感じ。
玻璃制——正确地说,是用硅砂凝固的模拟物——但是,形状是酒瓶的躯体变粗,脖子变短的感觉。
注ぎ口は栓がしやすく注ぎやすいように、ワインボトルと同じサイズにしてある。
为了便于倒酒口的塞子,倒酒口和葡萄酒瓶的大小相同。
入れる時には漏斗でも使えば良いかと思っていたのだが、ユキの作った搾乳器にはホースが付いているので、そのまま注げそうである。
我以为放进去的时候用漏斗也可以,但是yuki做的挤奶器上有软管,所以可以直接倒进去。
最初は10リットルサイズの瓶を作ってみたのだが、デカすぎて扱いづらい上に、強度的にも心配だったので、4分割した2.5リットルサイズになったのだ。
最初试着做了10升大小的瓶子,因为太大了不好处理,而且强度也很担心,所以变成了4分割后的2.5升大小。
また注ぎ口も、スクリュータイプの物を考えていたのだが、こちらもすぐに断念した。
虽然注入口也在考虑螺杆型的东西,但我也很快放弃了。
作ること自体は不可能ではないのだが、手間を考えれば普通に木栓を使う方が楽だし、基本的にマジックバッグで保存するのだから、密閉性とかはあまり考える必要も無い。
制作本身并不是不可能的,但是考虑到时间问题的话,一般使用木栓会比较轻松,基本上都是用魔术包保存,所以不需要太考虑密封性。
実際にどのくらいの数、雌のストライク・オックスがいるのかは不明だが、150頭と考えても500本程度の瓶は必要。正直、あんまり手間を掛けてられない。
虽然不知道实际上有多少母的好球和牛克斯,但是考虑到150头的话也需要500瓶左右的瓶子。说实话,我没怎么费工夫。
洗浄の手間を考えると、本来はあまり口の狭い瓶はよろしくないのだが、その点は『浄化』で解消できるので、問題なしである。
考虑到清洗的工夫,本来嘴巴太小的瓶子就不好了,但是这一点可以通过“净化”来消除,所以没有问题。
「う~ん、可も無く、不可も無く? 面白味が無いね」
“嗯,没有可,也没有不可?”?真没意思啊”
「いや、実用品に面白味はいらんだろ」
“不,对实用品没意思吧。”
アホなことを言うユキにツッコミを入れつつ、改めて瓶を見るが……まぁ、確かに面白みは無いな。
一边吐槽着说傻话的yuki,一边重新看瓶子……嘛,确实没什么意思啊。
一応実用性重視なんだが、難点としてはちょっと胴体が太すぎて、片手では少し持ちにくいという欠点も。俺たち成人なら問題ないと思うのだが、メアリだと両手が必要だろう。
虽然重视实用性,但是难点是身体太粗了,单手拿着有点难拿。我们成人的话应该没问题,但是玛丽需要双手吧。
かといって、1リットルサイズにすると瓶の数が増えすぎて面倒だし、このへんは妥協の産物である。
虽说如此,一升大小的话瓶子的数量增加太多了,很麻烦,这也是妥协的产物。
「オレとしては、金属製のデカいヤツでも作れば良いかと思ったんだがな。馬車でゴトゴトと運ぶようなイメージの。アルプス的な」
“对我来说,我觉得做金属制的大的东西也可以。给人一种用马车咕咚咕咚地搬运的印象。像阿尔卑斯山一样的”
「だからそれは、使い勝手が悪いって」
“所以说那个使用起来不方便。”
俺も最初はそれを考えた。牛乳と言えば思い浮かぶ、あの金属製の缶を。
我一开始也考虑了那个。说起牛奶就会想到那个金属罐。
だが、色々考えた上で、トーヤの提案は却下したのだ。
但是,经过多方考虑,火炬的提案被驳回了。
「まぁ、そうよね。移し替えないとコップには注ぎにくいし、移し替えるなら、最初から小さい瓶に入れた方が良いわよね」
“嘛,是啊。不换的话很难倒进杯子里,换的话,一开始就放进小瓶子里比较好”
「そうそう。俺たちの場合、輸送や洗浄に問題が無いからな」
“对了对了。我们的话,运输和清洗没有问题”
金属製の缶を使う一番のメリットは、恐らく割れない事なんだと思う。
我觉得使用金属罐最大的好处恐怕是不会碎。
自動車で舗装された道路を走るのならともかく、馬車でゴトゴトと運搬するのであれば、ガラス製の容器はあまりに脆弱すぎるだろう。
如果是在汽车铺修的道路上行驶的话那就另当别论了,如果是用马车咕咚地搬运的话,玻璃制的容器恐怕太脆弱了吧。
革製の水袋を使う方法もあるが、あれはどうしても臭いが気になるので、俺たちもマジックバッグを手に入れて以降は全く使っていない。
虽然也有使用皮革制的水袋的方法,但是那个无论如何都会在意臭味,所以我们拿到了魔术包以后就完全不用了。
「いやまぁ、オレは別に良いんだけどな。単にナオが面倒くさそうだったから提案しただけだし」
“不,我倒是没什么关系。只是娜奥看起来很麻烦,所以才提出了这个提案”
「まぁ、面倒くさいのは否定できないな」
“嘛,麻烦的事情不能否定啊。”
ストライク・オックスの牛乳の美味さに負けて、丸2日掛けて100本以上作ったわけだが、今後も必要になるなら、何か省力化を模索したいところ。
输给了好球牛克斯牛奶的美味,花了整整两天时间制作了100多瓶,如果今后还需要的话,还想尝试什么节省力量。
自家消費だけなら、飲めば空き瓶ができるわけで、瓶の増産はあまり必要なさそうだが、売却も考えると……。
如果只是自家消费的话,喝了就能空瓶,虽然不太需要增加瓶的产量,但考虑到出售……。
誰に売るか次第だが、牛乳瓶の回収システムとかあっても良いかもしれない。
要看是卖给谁,也许有牛奶瓶的回收系统也不错。
「最後は私たちのアイスですね。まずは食べてもらいましょうか」
“最后是我们的冰淇淋。先吃吧”
そう言いながら俺たちに配られたのは、2種類のアイスクリーム。
这样说着,我们分发的是两种冰淇淋。
片方は薄茶色で、もう片方は濃緑色。
一边是淡茶色,另一边是深绿色。
「食べて良いの!?」
“吃了也没关系吗?”
「ええ、どうぞ」
“好的,请。”
ナツキに勧められるまま、メアリとミーティアはアイスクリームを恐る恐るスプーンですくい取り、口に運ぶ。と同時に目を見開いて声を上げた。
在大枣的推荐下,玛丽和米蒂亚用战战兢兢的勺子舀出冰淇淋,运到嘴里。同时睁大眼睛提高了声音。
「はわぁぁ、冷たくて、甘くて、とろけて……美味しいの!」
“哇啊,很冷,很甜,融化了……很好吃!”
「何ですか、これ! スゴイ、スゴイです!」
“这是什么!好厉害,好厉害!”
スプーンの動きも速くアイスを消費していくメアリたちに倣うように、俺もまた目の前にあるアイスを口に運ぶ。
就像模仿那些快速消耗冰激凌的玛丽们一样,我也会把眼前的冰淇淋运到嘴里。
「……うん、バニラの香りは無いが、正にアイスクリーム。黒糖アイスって感じだな。緑の方は……抹茶味か」
“……嗯,虽然没有香草的香味,但确实是冰淇淋。黑糖眼珠的感觉。绿色的……是抹茶味吗?”
美味しいは美味しいが、普通に美味しいって感じ。
好吃是好吃,但一般来说很好吃。
ハーゲ○ダッツよりは美味しくとも、ストライク・オックスのミルクを初めて飲んだ時のような感動は無い。
虽然比哈格○达斯更好吃,但也没有像第一次喝强袭・奥克斯牛奶时那样的感动。
「そう。問題点はそこなのよね。砂糖の風味が強すぎて、プレーンなアイスが作れないのよ。どうしても雑味が出ちゃうし」
“是的。问题点就在那里。砂糖的味道太浓了,做不出普通的冰淇淋。怎么都会有杂味”
「ん? 問題? ……あぁ、黒糖味? 確かに抹茶も黒糖の風味が少し強いな」
“嗯?问题……啊,黑糖味?确实抹茶的黑糖风味也有点强”
黒糖アイスはそういう物と思って食べれば普通に美味いのだが、少なくともバニラアイス――いや、ミルクアイスと言うべきか――ではない。
黑糖冰淇淋如果当作那样的东西来吃的话,一般都会很好吃,但至少香草冰淇淋——不,应该说是牛奶冰淇淋吗。
イチゴアイスとか、ブルーベリーアイスとか、他の果物を使ったアイスを作るのであれば、黒糖の風味はちょっと邪魔になるだろう。
如果做草莓冰淇淋、蓝莓冰淇淋等使用其他水果制作的冰淇淋的话,黑糖的风味会有点碍事吧。
その点、抹茶であれば、黒糖の風味をある程度マスクできると思っての選択なのだろうが、それでもやはり隠し切れてはいない。
在这一点上,如果是抹茶的话,一定程度上可以戴上黑糖风味的口罩,这是一种选择吧,但即使如此,还是没有完全隐藏起来。
「え、別にこれで良くないか? 十分美味いぞ?」
「啊,这样不好吗?很好吃哦?”
「あたしは他のも食べたいから、精糖には賛成かな」
“我还想吃其他的,你赞成吃糖精吗?”
トーヤはまぁ、そんな感じだよな。
Toya嘛,就是这种感觉吧。
ユキはちょっと物足りないという風だが――。
雪好像有点不够。
「精糖?」
“糖精?”
「うん。ハルカたちから相談があったんだけど――」
“嗯。我和Haruka他们有商量——”
このあたりで入手できる砂糖はいわゆる黒砂糖で、基本的にはサトウキビの絞り汁から不純物を取り除き、水分を減らして固めただけの物。
在这附近能得到的砂糖就是所谓的黑砂糖,基本上只是从甘蔗的榨汁中除去杂质,减少水分后凝固而成的东西。
良く言えば味わい深く、一般的には雑味が多くて使いづらい。
好好说的话味道很重,一般来说味道很杂很难使用。
通常はこの黒砂糖から粗糖を作り、更にそれを遠心分離機などで分離したりして、上白糖やグラニュー糖などが作られる。
通常是用黑砂糖制作粗糖,然后用离心分离机等分离出来,制作上白糖和砂糖等。
つまり、ハルカたちが欲しいのはこれ。
也就是说,Haruka他们想要的是这个。
クセが無いので、アイスクリーム以外に、ホイップクリームなどを作る時にも必須らしい。
因为没有怪癖,所以除了冰淇淋以外,制作鲜奶油等的时候也是必须的。
「アイスだけならともかく、ケーキ類の生菓子も、か……」
“如果只是冰淇淋的话就另当别论了,蛋糕类的生点心也……”
「無くても生きていけるが、ちょっと勿体ねぇ気はするよな」
“虽然没有也能活下去,但是我觉得有点可惜啊。”
精糖の技術的難点を棚に上げたとすれば、あとの問題はコスト。
如果把精糖技术上的难点放到架子上的话,剩下的问题就是成本。
黒糖を元に精糖を行った場合、得られる白砂糖はかなり少なく、大半は蜜として排出されることになる。
如果以黑糖为基础进行精糖的话,得到的白糖相当少,大部分会作为蜜被排出。
つまり、元々高価な砂糖が、更に少なくなる。
也就是说,原本昂贵的砂糖会更少。
残った蜜に使い道が無いでもないが、やはり上白糖に比べると使いづらい。
剩下的蜜也不是没有使用方法,但与上白糖相比还是很难使用。
「……ま、そのへんはハルカたちに任せる。食費として問題ない範囲に収まるのなら、やってくれ」
「……嘛,这件事就交给Haruka他们了。如果餐费能在没有问题的范围内的话,就给我做吧」
「だな。オレたちも菓子類は嫌いじゃないしな」
“是啊。我们也不讨厌点心类”
そう、嫌いじゃない、というレベル。
是的,不讨厌的程度。
夏場はアイスが食べたいとは思うが、このアイスでも十分美味いし、他のケーキ類もあれば食べたいというだけで、無ければ無いで我慢はできる。
夏天想吃冰淇淋,但是这个冰淇淋也很好吃,如果有其他的蛋糕类的话就只想吃,没有的话就可以忍耐。
どちらかと言えば、それらを強く欲しているのは女性陣だろう。日本にいた時も、それらのフェアやら、何やらに付き合わされることがあったし。
硬要说的话,强烈想要这些的是女性阵营吧。在日本的时候,也有过被他们的展销会和什么交往的经历。
「解ったわ。コスト的にたくさんは無理だと思うけど、少し頑張ってみる」
“我明白了。虽然成本上很多是不行的,但我会稍微努力一下的”
「だね。まぁ、砂糖が高いと言っても、使う量はそこまで多くないし、ストライク・オックスのミルクの価値を考えると、似たような物だからね」
“是啊。嘛,虽说糖很贵,但使用量并不是那么多,考虑到好球·牛克斯的牛奶价值,是相似的东西”
ストライク・オックスのミルクがコップ1杯で大銀貨2~4枚。使う砂糖の量は大さじ1、2杯ぐらいか?
好球·牛克斯的牛奶一杯2~4枚大银币。使用的砂糖的量大概是1、2大勺左右吗?
精糖することで量が半分以下になったとしても、確かにミルクの方がまだ高いだろう。
即使糖精的量降到了一半以下,牛奶确实还是很贵的吧。
ただし、砂糖は買うのに対して、ストライク・オックスのミルクは自前で調達できるという違いはあるが。
但是,和买砂糖相比,好球・牛克斯的牛奶可以自己购买,这是不同的。
……まぁ、ミルクを売れば済む話なのだが。
……嘛,说是卖牛奶就行了。
「ミーティアたちも、これよりも美味しい物を作れるよう頑張りますから、楽しみにしててくださいね」
“我们也会为了做出比这个更好吃的东西而努力的,请期待吧。”
「これより!? スゴイ、スゴイの!!」
“从这件事开始,我的愿望是……”!?好厉害,好厉害!”
「ここに来て良かったです~~」
“能来这里真是太好了~”
名残惜しそうにスプーンを舐めていた2人に、ナツキがそっと自分のアイスを差し出しながら、そんな事を言う。
对于恋恋不舍地舔着勺子的两人,夏树悄悄地拿出自己的冰淇淋,说了这样的话。
ナツキ的にはアイスの出来に納得がいっていないようだが、メアリたちからすれば十分に美味しかったようで、笑顔でお礼を言いながら、そのアイスを2人で分けて、ペロリと平らげた。
就拿大枣来说,虽然不太能接受冰淇淋的制作,但在玛丽们看来似乎十分美味,笑着道谢的同时,两个人分着吃了那个冰淇淋。
何というか、もし好感度グラフとかあったら、ミーティアたちの好感度は、トーヤじゃなくてナツキがトップなんじゃないだろうか?
怎么说呢,如果有好感度图表的话,Media们的好感度不是Toya而是nake的首位吗?
親しい相手以外には少し冷たく感じることもあるナツキの応対も、子供相手だからか、最初から柔らかかったし、美味しい物も良く作ってくれている。
除了亲密的对象以外,也有稍微冷淡的感觉的枣的应对,也许是因为是孩子,一开始就很柔软,美味的东西也做得很好。
火傷痕の治療を行ったのもナツキとハルカなのだから、懐かない理由が無い。
因为进行了烧伤痕迹的治疗的也是夏树和Haruka,没有不亲近的理由。
次点で同じように料理を作るハルカとユキか。
接下来是同样做料理的春香和雪吗。
ハルカはナツキと共に治療を行っているし、ユキの方は持ち前のコミュ力の高さで姉妹との関わりが多い。
Haruka和夏树一起进行治疗,雪树天生的沟通能力很高,和姐妹的关系也很多。
その次に来るのがトーヤで、関わりがやや少ない俺は、残念ながら最下位だろう。
接下来要来的是TOYA,关系比较少的我,很遗憾是最后一名了吧。
それでも普通に懐かれているから、別に不満は無い。
尽管如此,因为被普通人所亲近,所以没有什么不满的。
トーヤは獣人同士というシンパシーの他、使用武器などの関係で訓練をよく見ているというアドバンテージがあるが、それだけと言えばそれだけ。
托雅除了兽人之间的共鸣外,还有因为使用武器等的关系而经常看训练这样的优势,但仅此而已。
そう考えれば、今回のお土産は調理不要でそのまま手渡せるし、上手くアピールすれば好感度アップになったと思うんだが……。
这样想的话,这次的特产不需要烹饪就可以直接交给对方,好好宣传的话,好感度会上升……。
トーヤ、もうちょっと頑張らないと、ナツキにとられる――事は無いにしても、『獣耳のお嫁さん』までの道のりが遠くなるぞ?
火炬,再不努力一点的话,就会被海枣吃掉——就算没有,到《兽耳的新娘》的路也会变远哦?

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217.md

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217 牛乳を効率よく (3)
217高效牛奶(3)
前回のあらすじ ----------------------------------
上一次的梗概
自動搾乳器と容器が完成。
自动挤奶器和容器完成。
アイスクリームも出来るが、黒糖を使ったため、ナツキたちはやや不満。
冰淇淋也可以做,但是因为使用了黑糖,所以枣们有点不满。
乳搾りの準備を終えた俺たちは、再び15層を訪れていた。
我们做好了挤牛奶的准备,再次来到了15层。
自動搾乳器に容器、それにストライク・オックスをマーキングするための白い塗料。
在自动挤奶器上标记容器和强袭性牛克斯的白色涂料。
それを持って最初に狙ったのは、前回搾乳したストライク・オックスである。
拿着这个最先瞄准的是上次挤牛奶的好球·奥克斯。
目的はどれくらいで乳が回復するのか調べること。
目的是调查乳在多久后会恢复。
数日ほどで同じだけの量が得られるのなら、これはかなり有力な牧場と言える。
如果能在几天内获得同样数量的话,这可以说是相当有力的牧场。
――牧童に並外れた膂力か、高位の冒険者並みの戦闘力が必要となるけどな。
——也许是牧童非凡的臂力吧,需要和高位的冒险者一样的战斗力。
「ストライク・オックス自体は……復活していないみたいだな」
“好球·奥克斯本身……好像还没复活呢。”
「うん。確かに見当たらないね」
“嗯。确实找不到啊」
階段を降りてすぐの場所。
下了楼梯就到了。
前回はこの周辺に徘徊しているストライク・オックスがいたのだが、今のところ索敵に引っかかる対象はいない。
上次有在这附近徘徊的好球·牛克斯,但现在没有落敌的对象。
そこから、前回搾乳を行ったストライク・オックスがいたエリアに移動すると……うん、いるな。
从那里,移动到上次进行了挤奶的好球·牛克斯在的区域的话……嗯,在。
本当に前回と同じ個体かどうかは不明だが、場所自体はマップで確認しているので、間違いはない。
虽然不知道是不是真的和上次一样的个体,但是场所本身是通过地图确认的,所以没有错误。
「取りあえず捕まえてみましょ。トーヤ、よろしくね」
“总之先抓住看看吧。托亚,请多关照”
「任せろ!」
“交给我吧!”
幸いなことに、ストライク・オックスに学習能力は存在しないらしい。
幸运的是,好球·奥克斯似乎没有学习能力。
少し前に出たトーヤに馬鹿正直に突進、サラリと避けられ、振り返ったところを角を掴まれて押さえ込まれる。
稍微往前走的TOYA非常正直地突进,爽快地避开了,回头的时候被抓住了角而被按住。
すぐさま俺とユキの『土壁アース・ウォール』が発動し、シュパッと縄が掛けられて身動きが封じられた。
马上我和雪的《土墙接地墙》发动了,用绳子绑住了身体。
あえて違いを挙げるなら、土壁の高さが1メートルに半減したところか。
如果硬要举出不同的例子的话,大概就是土墙的高度减少了一半到1米吧。
これ、俺とユキで一緒に練習して、同じ高さに合わせられるよう努力したのだ。搾乳の手間などを考えると、やっぱり2メートルは高すぎるから。
这是我和小雪一起练习,为了能达到同样的高度而努力的。考虑到挤牛奶的工夫,果然2米太高了。
「捕まえやすくて良いけど、ちょっと馬鹿だよね、ストライク・オックス。……ま、楽だから良いけど。早速、あたしの作った搾乳器の出番だよ」
“虽然很容易抓住,但是有点傻呢,好球・奥克斯。……嘛,因为很轻松所以很好。马上轮到我做的挤奶器出场了”
少し嬉しそうにユキが搾乳器を取り出し、ストライク・オックスに取り付けてスイッチを入れると、小さな動作音を響かせて、瓶の中へ牛乳が溜まり始める。
小优看起来有点高兴地拿出了压榨的奶器,装到好球・牛克斯上打开开关后,小动作声响起,牛奶开始堆积到瓶子里。
その速度はなかなかに速く、30秒ほどで1本目は一杯になり、2本目、3本目――最終的に搾れたミルクの総量は、2.8本ほどだった。
那个速度相当快,30秒左右第一瓶就满了,第二瓶、第三瓶——最后被挤的牛奶的总量大约是2.8瓶。
つまり、およそ7リットルで、前回搾った量とほぼ同じ。
也就是说,大约7升,和上次榨的量几乎相同。
このストライク・オックスが前回の物と同じ個体であれば、数日もあれば蓄えられた乳の量は完全回復するという事になる。
如果这个好球·牛克斯和上次的一样是个体的话,如果有几天的话,积蓄的奶的量就会完全恢复。
「おぉ、回復、早いな?」
“哇,恢复得好快啊?”
驚き半分、嬉しさ半分で笑みを浮かべるトーヤに、ナツキは首を振った。
夏树摇了摇头,对着半开玩笑半开玩笑的TOYA。
「いえ、乳牛と考えれば普通ですよ? 野生の牛がどうなのかは知りませんが、乳牛は毎日搾らないとダメですから、むしろストライク・オックスは大丈夫なのか、と考えてしまうぐらいですね。子牛の姿はありませんし」
“不,从乳牛的角度考虑是很普通的?我不知道野生的牛怎么样,但是奶牛每天不挤是不行的,所以我甚至会想,好球·牛克斯没问题吗。没有小牛的身影”
当たり前だが、動物が乳を出すのは子供を育てるため。
当然,动物喂奶是为了养育孩子。
乳牛だっていつも乳を出しているわけではなく、子供を産んで乳離れをする時までの期間に限って牛乳が搾れるに過ぎない。
奶牛也不是总是出奶,只是在生孩子离乳前的期间挤牛奶而已。
つまり子供がいなければ乳は出ないし、逆に乳が出るのにそれを飲む子供がいなければ、病気になる可能性もあるので、乳搾りは欠かせなかったりする。
也就是说,如果没有孩子的话就不能生奶,相反如果没有孩子喝牛奶的话,就有可能生病,所以挤牛奶是不可缺少的。
だが、この周辺にストライク・オックスの子供はいないし、当然ながら乳を搾って世話をするような酪農家もいない。
但是,这附近没有好球·牛克斯的孩子,当然也没有挤牛奶来照顾的奶农。
「……やはり魔物か」
“……果然是魔物吗?”
「ダンジョンだから、と言う可能性もありますけどね」
“也有可能是因为是地下城。”
「生態系、ガン無視だもんな」
“生态系,完全无视癌症。”
「だよな」
“是啊。”
トーヤの言うとおり、ダンジョン内での魔物に生態を云々するのは無意味とも言える。
正如Toya所说,在地牢里对魔物说三道四的生态可以说是毫无意义的。
生物が生存するための大前提としての、食料や水すら必要としていないのだから。
因为作为生物生存的大前提,连食物和水都不需要。
「さて、後はマーキングしてから解放だね~」
“那么,之后标记一下就解放了吧~”
持ってきた白い塗料を取り出し、ユキが楽しそうにストライク・オックスの毛を牛柄――ホルスタインっぽい柄に染める。
取出拿来的白色涂料,由基看起来很开心地将好球·牛克斯的毛染成牛的图案——很有福尔摩斯风格的图案。
と言っても、適当に塗っているのでホルスタインには見えないのだが、これなら遠くからでも十分に判別ができる。
话虽如此,因为涂得很适当,所以看不出是什么样子,但是这样的话,即使从很远的地方也能很好的判别出来。
「ペタペタ、と。それじゃ、撤収~」
“彼得。那就撤了~
土壁の上でジタバタしているストライク・オックスを放置して、次のエリアへ向かう。
放置在土墙上叽叽喳喳的好球·牛克斯,前往下一个区域。
それからは、ストライク・オックスを見つけては性別判断、駆除したり、搾乳&マーキングしたり。
然后,发现好球、牛克斯就进行性别判断、驱除、挤牛奶和标记。
結構な時間を掛けて15層をしらみつぶしに歩き、最終的に俺たちがすべてのエリアを回り終えたのは3日後のことだった。
花了相当长的时间在15层的路上扫兴,3天后我们终于在所有的区域都转完了。
「結局何頭いたのかな? 100頭以上は間違いないけど」
“到底有几头呢?不过100头以上是没错的”
「面倒だから数えてねぇよ。けど、悪くは無いよな、稼ぎとしては」
“太麻烦了,没数。但是,也不坏啊,作为一个赚钱的人”
牛乳だけでも、売れば金貨100枚ほどにはなるだろう。
光牛奶畅销的话,就有100枚左右的金币吧。
それに加えて駆除対象となった雄のストライク・オックスの肉や魔石などの素材、14層までのように森から得られる果物も馬鹿にならない。
而且,作为驱除对象的雄性强袭·牛克斯的肉和魔石等的素材,像14层一样从森林里得到的水果也不可小看。
ちなみに、15層の果物はウメとモモだった。
顺便说一下,15层的水果是梅花和桃子。
ウメはあまり人気が無い――と言うより、普通に食べるには酸っぱすぎて、一部地域以外では売れないようだが、逆にモモはその運搬の困難さから、かなり高く売れる。
与其说梅不怎么受欢迎,不如说普通的吃太酸了,一部分地区以外的地方都卖不出去,相反桃子因为搬运困难,卖得很高。
但し、それもある一定量まで。
但是,那个也要达到一定量。
運搬が難しいという事は、他所の町に売りに行くことが難しいという事なので、持ち込んだ地域の消費量を上回る供給を行っても買い取ってもらえない。
搬运困难的话,因为很难去其他地方的城镇卖,所以即使进行超过所带地区消费量的供给也不能得到购买。
ただ、幸いと言うべきか、ラファン周辺では果物の供給が不足しているので、俺たちが持ち込む量ぐらいは問題ないだろうが、どちらにしても、この階層で得られる果物は、少し扱いが難しい物ではあった。
不过,应该说幸运的是,拉斐尔周围水果供应不足,所以我们带的量应该没问题,但是不管怎么说,在这个阶层能得到的水果,是有点难处理的。
「でも、よく考えたら初めてだよね、採れるのに採らなかったのって」
“但是,仔细想想还是第一次呢,说是能采却没取。”
ウメは食べ頃の範囲が広く、まだ緑で固い物から、黄色くて柔らかくなった物まで、いずれも梅干しの材料になるのだが、今回採取したのは、精々バケツ3つ分程度。
梅的食用时间范围很广,从绿色坚硬的到黄色柔软的,都是梅干的材料,这次采集的是精炼的3个水桶左右。
その気になれば、まだまだ多く採れる実があったのだが、ユキの言うとおり、今回は残したままになっている。
如果在意的话,虽然还有很多可以采到的果实,但是正如雪说的那样,这次就剩下了。
なぜなら――
为什么呢——
「さすがにウメは、自家消費にも限界があるしなぁ」
“果然梅在自家消费上也有界限啊。”
「梅干しは食べ過ぎたら身体に悪いし、梅酒も飲まないからね、私たちは」
“梅干吃多了对身体不好,也不喝梅酒,我们呢。”
他の果物なら好きなだけ食べれば良いし、処理に困るようなら売っても良い。
如果是其他水果的话,想吃多少就吃多少,如果处理不好的话可以卖。
だがウメの場合、このあたりでは消費されない上に、俺たちだってそのまま食べることはできず、基本的には梅干しにするぐらいしか方法が無い。
但是,梅的话,不仅在这一带没有被消费,而且我们也不能直接吃,基本上只能做成梅干。
梅干しなんて食べても一食に1個程度。
吃梅干一顿也就一个左右。
俺なんかだと、毎食……いや、毎日食べる物でもないし、消費量も限られている。
我这种人,每顿饭……不,不是每天吃的东西,消费量也有限。
「砂糖漬けにしてジュースも作るつもりですが、さすがに何十キロもは使いませんからね。残念ながら」
“虽然打算用砂糖腌制果汁,但毕竟不使用几十公斤。很遗憾”
そんなわけで、このエリアに入ってから初めて、採り頃の果実がなっているのに無視するという、微妙に悔しさを感じてしまう行為をするハメになったのだ。
因此,进入这个区域后,才第一次做出了无视刚摘下的果实,微妙地感到后悔的行为。
何となく損しているような気がしてしまうのは、仕方ないよな?
总觉得好像吃亏了,没办法吧?
「残念と言えば、ストライク・オックスの肉は少し期待外れだったよな」
“要说遗憾的话,好球·牛克斯的肉稍微有点期待落空了。”
前回家に戻ったとき、ストライク・オックスの肉も味見してみたのだが、ミルクの上質さに比べると、その肉はごく普通。
上次回家的时候,我尝了一下全熟的牛克斯肉,和牛奶的优质相比,那肉很普通。
別に不味くは無いのだが、あまり軟らかい肉ではなく、グラム数百円ぐらいの輸入牛肉と言った感じ。
虽然没什么不好吃的,但不是很软的肉,而是几百日元一克左右的进口牛肉。
部位によってはステーキにしても美味しいだろうが、全体の印象としては、普段使いのお肉、だろうか。
根据部位的不同,牛排也很好吃,但是整体的印象是平时使用的肉吧。
「え、そうか? 美味かったじゃん?」
「啊,是吗?不是很好吃吗?”
「トーヤはガッツリとしたお肉が好きだもんね。あたしも赤身肉としてはそれなりに美味しいと思ったかな? 熟成させたら美味しいかも。やり方は解らないけど」
“Toya很喜欢硬邦邦的肉呢。我也觉得作为瘦肉应该很好吃吧?成熟了的话可能会很好吃。虽然不知道怎么做”
「むしろ、霜降り肉よりは使い勝手が良いわよね。毎日脂っこいのを食べるのはきついから」
“倒不如说,比起雪花肉,使用起来更方便。每天吃油腻的东西很难受”
「はい。ビーフ・ジャーキーなどにするのにも向いてる肉ですよね」
“是的。适合做牛肉干等的肉”
俺以外には案外好評らしい。
除了我以外,意外的很受好评。
いや、俺も別に悪いというわけじゃないんだが。単に期待してたのとは違ったと言うだけで――
不,我也没什么不好的。只是说与单纯期待的不同——
「って、ビーフ・ジャーキー!? 作れる? 作れるのか?」
“我想,牛肉干口感好吗?”!?能做吗?能做吗?”
「え、えぇ。作ることはできますが、上手く味付けできるかどうかは……日本で売っているような物を想像しているのであれば、試行錯誤は必要だと思います。どうしたんですか?」
「啊,呃。虽然可以做,但是能否很好地调味……如果想象一下在日本卖的东西的话,我觉得试行错误是必要的。怎么了?”
「いや、ビーフ・ジャーキー好きなんだが、なかなか食えないだろ、あれって。高いから」
“不,我喜欢牛肉干,可是怎么也吃不下,那个。因为很贵”
ナツキはこのあたりで食肉保存用に作られている干し肉をイメージしてビーフ・ジャーキーと言ったのだろうが、干し肉とビーフ・ジャーキーは似て非なる物。
海枣是以这一带用来保存食肉的干肉为印象的牛肉干,不过,干肉和牛肉干是相似而非的东西。
以前自分たちで作ったタスク・ボアーを原料とした干し肉は別としても、このあたりで購入できる干し肉は基本的に塩辛くて固いだけ。
先不说以前自己做的以塔斯库·博尔为原料的干肉,在这附近可以买到的干肉基本上都是咸硬的。
そのままでは食べるのも辛いし、決して美味しいと言えるような物ではない。
就这样吃也很辣,绝对不是好吃的东西。
もちろん俺が食べたいのは、日本で売っているようなビーフ・ジャーキー。
当然我想吃的是在日本卖的牛肉干。
甘辛くてほどよい硬さの干し肉。
又甜又辣又硬的干肉。
……干し肉? なんだよな?
……干肉?什么啊?
こっちで買った干し肉を知っていると、本当に同じ干し肉なのか疑問なのだが。
知道在这里买的干肉的话,真的是同样的干肉吗。
「そうだったの? まぁ、確かに、お小遣いで買うにはちょっと高いわよね」
“是吗?嘛,确实,用零花钱买的话有点贵呢”
安くても100グラム千円ぐらいはするし、そのぐらいの量、高校生男子からすればすぐに無くなってしまう。
即使便宜也要100克1000日元左右,这样的量,在高中男生看来马上就没有了。
原料が牛肉で、それを乾燥させていると考えれば値段に納得もできるのだが、納得できる事と買える事は別問題。
考虑到原料是牛肉,使之干燥的话价格也能接受,不过,能接受和能买是另一个问题。
俺の小遣いでお菓子代わりに買うには、ちょっとハードルが高かった。
用我的零用钱代替点心买,难度有点高。
「ナオが食べたいなら作っても良いけど。活用頻度の低い燻製小屋もあるし」
“想吃茄子的话可以做。也有使用频率低的熏制小屋”
「マジで? 是非、是非頼む!」
“真的吗?一定要拜托你!”
何度腹一杯食べたいと思ったことか!
几次想吃个饱!
――実際に食ったら、身体に悪そうだが。
——实际吃的话,对身体好像不好。
ちなみに我が家にある燻製小屋、ハルカの言ったとおり、立派なわりに利用頻度はあまり高くない。
顺便说一下,正如我们家的熏制小屋Haruka所说的那样,虽然很漂亮,但是使用频率却不怎么高。
理由は俺たちが家を空けることが多い事と、燻製にしなくても保存期間を気にする必要が無いマジックバッグを持っている事。
理由是我们经常不在家,即使不熏制也不需要在意保存期间,而是拿着魔术包。
保存のためではなく調理のために使うだけなので、よほど大量に作る時以外は、トーヤが作ったコンパクトな燻製道具――日本だと通販なんかで買えるような、簡単な箱――で済んでしまう。
因为不是为了保存,只是为了烹饪而使用,所以除了大量制作的时候以外,只需要薄荷脑制作的小型熏制道具——在日本邮购之类的简单的箱子就可以了。
まぁ、普段は小屋の中に生ハムとかぶら下げて熟成しているので、決して無駄にはなってないんだが。
嘛,平时在小屋里吊着生火腿什么的,已经成熟了,所以绝对不会浪费。
ほんのりと燻製の香りがついた生ハム、なかなかに美味なのです。
带着微微熏制香味的生火腿,非常好吃。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
「さて。それじゃ、そろそろ入るか?」
「那么。那么,差不多该进去了吗?”
15層の探索を終え、俺たちが一休みしていたのは、今までと同じパターンなら、16層へと続く階段があるべき場所の前であった。
完成15层的探索后,我们休息了一下,如果是和以前一样的模式的话,就在应该有通往16层的楼梯的地方前。
しかしここにあったのは、久しぶりに見かけるボス部屋への扉。
但是,这里有久违的老板房间的门。
つまり俺たちは、ボス戦前に万全を期して、少しゆっくりと体力の回復を図っていたのだ。
也就是说,我们在BOSS战前就已经做好万全的准备,慢慢地恢复了体力。
何故なら、この階層にいたのは、俺判定でオークレベルのストライク・オックス。
要说为什么的话,在这个等级里的是,我判定是Ok等级的好球Ox。
ピッカウとタイラント・ピッカウの強さを比較すれば、ここのボスは決して侮れないだろう。
如果比较皮可欧和泰兰特·皮可欧的强度,这里的老板绝对不容小觑。
最低でもオークリーダー、下手をすればオークキャプテンぐらいの強さがあるかもしれない。
最低也要有奥克利达,如果做得不好的话,也许会有奥克队长那样的强大。
幸い、この世界のダンジョンは『ボスからは逃げられない!』みたいなことがないので、【看破】してヤバそうなら、一目散に逃げる予定である。
幸运的是,这个世界的地牢“不能从老板那里逃走!”因为没有类似的事情,所以如果觉得“看破”很危险的话,就打算一溜烟地逃跑。
「そうね。みんな、良い?」
“是啊。大家好吗?”
全員が頷くのを確認して、トーヤが慎重に扉を開ける。
确认全体人员点头后,火炬慎重地打开了门。
その奥に広がるのはいつものボス部屋。
在那里面展开的是往常的BOSS房间。
そして、そこにいたのは、ストライク・オックスよりも二回り以上大きい魔物だった。
而且,在那里的是比好球·奥克斯大两圈以上的魔物。

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218.md

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# 218 Not ミノタウロス Not米诺托
その中にいたのはストライク・オックスよりもかなり大きな魔物だった。
在那之中的是比好球·奥克斯还大的魔物。
それは巨大な2足歩行する牛。
那是一头巨大的两脚行走的牛。
それだけだとミノタウロスの様にも思えるが、あれは半人半牛。こちらは100%ビーフ――もとい、100%雄牛である。
如果只是这样的话,就像米诺托一样,那是半人半牛。这是100%的牛肉——基础,100%的公牛。
オークが二足歩行の猪といった様相なのと同様に、こちらも二足歩行の牛であり、人っぽさを感じないのは、全身に毛が生えていて体勢もやや前屈み、更に顔が完全に牛な為だろうか。
和橡树是两足步行的猪一样,这也是两足步行的牛,没有人的感觉,是因为全身长着毛,身体稍稍向前屈,脸完全是牛吧。
オーク同様、前足が蹄ではなく、物を掴めるようになっているところが、牛との大きな違いか。
和橡树一样,前脚不是蹄子,能抓东西的地方和牛有很大的区别吗。
ちなみに、なぜ雄牛と判ったのかと言えば……言うまでも無いよな?
顺便一提,要说为什么会知道是公牛的话……那就不用说了吧?
ある程度収納されているとはいえ、位置的に顔の前あたりにあるのでちょっと気になる。
虽然有一定程度的收纳,但是位置在脸的前面,所以有点在意。
二足歩行の魔物はちょっと謙虚になって欲しい。
希望二足步行的魔物稍微谦虚一点。
「ナオ! どう?」
“娜奥!怎么样?”
「多分、いける」
“大概可以。”
脅威は脅威。だが、斃せないほどでは無い、はず。
威胁是威胁。但是,应该没有死的程度。
ヘルプで判った名前は『マードタウロス』。
通过帮助明白了的名字是『马德托劳斯』。
強さ的にはオークリーダーよりも少し強いぐらいか。
从强度上来说,大概比奥克里特还要强一些吧。
両手でトーヤの身長ほどもある斧を持ち、鼻息も荒く侵入してきた俺たちを睨み付けている。
双手拿着一把长得像TOYA一样高的斧头,怒目而视着鼻息狂暴入侵的我们。
【看破】で気になるのは――。
【看穿】中最在意的是——。
「【咆哮】を使うかもしれない。気を付けろ!」
“可能会用【咆哮】。小心点!”
「了解!! すぅぅ――、『がぁぁぁぁ』」
“明白了!!嗯——,《啊啊啊》
先手必勝と言うべきか、トーヤが咆哮を上げてマードタウロスに突っ込む。
应该说是先发制人必胜吧,托亚发出咆哮冲进了马多罗伊斯。
その咆哮はマードタウロスの動きを一瞬止めたに過ぎなかったが、効果は決して低くなかった。
这种咆哮只不过是瞬间停止了马多鲁斯的动作,但效果并不低。
トーヤの攻撃への対応が僅かに遅れ、マードタウロスはやや不安定な体勢で剣を受け止めることになる。
对托亚的攻击的对应稍微晚了一点,马多托劳斯以稍微不稳定的姿势接住了剑。
だが、そんな体勢でも、マードタウロスの膂力は侮れない物があった。
但是,即使是这样的姿势,马多鲁斯的臂力也不容小觑。
拮抗したのは一瞬。
对抗是一瞬间。
マードタウロスはすぐに斧を振り上げるようにして剣を弾き、トーヤを後退させる。
马多托劳斯立刻举起斧头来弹剑,让火炬后退。
「チッ。力では負けるか」
「切。力量会输吗?”
当たり前である。
理所当然。
身体を伸ばせば、恐らく身長はトーヤの2倍ほどはあり、胴体に対する腕や足の比率も、普通の牛に比べて比べものにならないほどに太い。
如果身体伸长的话,恐怕身高是火炬的2倍左右,对于躯体的手臂和脚的比例也比普通的牛要粗得多。
二の腕の部分など、確実に俺の胴回りより太いし、そこから繰り出される攻撃の重さも推して知るべし。魔力による強化が無ければ、トーヤに対抗などできないだろう。
上臂的部分确实比我的腰身粗,而且应该也可以推测出从那里被反复攻击的重量。如果没有魔力强化的话,就无法与火炬对抗了吧。
「トーヤ、援護は?」
“托亚,掩护呢?”
「問題ない。やらせてくれ!」
“没问题。让我来做!”
強いは強いが所詮1匹。
强是强,但终归是一只。
ダールズ・ベアーほどの脅威は感じないので、魔法使い3人が攻撃を行えば問題なく斃せるレベルだろう。
因为感觉不到像戴尔兹·贝利那样的威胁,所以如果三个魔法使进行攻击的话,就可以毫无问题地杀掉。
トーヤの希望に、ナツキが確認するようにこちらを振り向き、俺が頷くと、薙刀を構えたままで俺たちの方へと下がってきた。
面对着火炬的希望,夏树确认般地回头看了看,我点了点头,就这样拿着剃刀朝我们这边落了下来。
マードタウロスも後退するナツキに追撃するよりも、正面に立って剣を構えているトーヤの方が気になるらしい。
比起追击马多托劳斯后退的枣,站在正面手持剑的托雅更让人在意。
デカい斧をトーヤに対してブンブンと振っているが、やや大ぶりな攻撃は避けるだけなら問題は無いようで、トーヤはその攻撃を正面から受け止めることはせず、少しずつダメージを与えている。
对toya挥动着巨大的斧头,不过,如果只是避开稍微大的攻击好像没有问题,toya从正面不接受那个攻击,一点点给予着损坏。
一撃のダメージはオーガーよりも大きそうだが、オーガーに比べると攻撃速度も、動きも遅い。
一击的伤害比欧格都大,不过,与欧格相比攻击速度和动作都慢。
ダールズ・ベアーを除けば、過去最大規模の巨体ではあるが、正に『当たらなければどうということも無い』である。
除了戴尔兹·贝勒之外,虽然是过去最大规模的巨大体型,但确实是“不碰的话就什么都没有”。
トーヤもそれを認識してか、焦ることも無くじわじわと足を削っているので、ますます動きは緩慢になってきている。
也许是托亚也认识到了这一点,没有着急地一点一点地在削脚,所以动作越来越缓慢。
「う~~ん」
“嗯~嗯”
「ユキ、何か気になる事でも?」
“小雪,有什么在意的事吗?”
「いや、大したことじゃ無いんだけど……あの腕の肉を使えば、マンガ肉が実現できるかなって」
“不,虽然不是什么大不了的事……如果用那个手腕上的肉的话,漫画肉能实现吗?”
「……をい」
“……”
いや、確かにできそうだけれども!
不,好像确实可以!
「そうね、あの太さなら可能……いえ、ダメね。腕は骨が2本あるから。使うならモモ肉ね。腕より太いし」
“是啊,那个粗细的话是可能的……不,不行。因为手臂有两根骨头。要用的话是桃子肉。比手臂还粗”
あぁ、そうだね、下膊部には2本の骨があるよね。でも上膊部なら――って、真面目に検討することか?
啊,是啊,下臂部有两根骨头。但是上臂部的话——要认真研究吗?
確かにちょっと憧れはあるけど!
确实有点憧憬!
「日本でも希まれに作られていましたけど、随分小ぶりでしたし、成型肉を使ったまがい物でしたね」
“虽然在日本也是罕见的做法,但是非常小,而且是用成型肉做的仿制品。”
「それは仕方ないよ。仮に売っていても、家庭だと調理できないし、食べきれないもん」
“那也没办法。就算有卖,在家里也做不完,也吃不完”
「核家族化が進んでますからね。最近では普通サイズのスイカが売れないって話ですし」
“因为小家庭化在发展。最近一般大小的西瓜卖不出去”
うん、そだねー。大きいスイカだと普通の冷蔵庫では冷やすのも大変。残れば夏場なのに冷蔵庫を圧迫する。大家族でないとなかなか消費しきれない。
嗯,是啊。大西瓜在普通冰箱里很难冷藏。如果剩下的话明明是夏天却压迫着冰箱。不是大家庭的话很难消费完。
以前ウチでは、冷蔵庫を新しく購入した時に、おまけとして特大のスイカをもらったことがあるが、それこそそんな時で無ければ、特大のスイカが入るようなスペースは空いていないことだろう。って――。
以前我们刚买冰箱的时候,收到过作为赠品的特大西瓜,但是如果不是那个时候的话,应该没有能放特大西瓜的空间吧。嗯——。
「いやいや、スイカと同列に語るなよ、ナツキ」
“不不不不不不,不要和西瓜并排说,枣”
「似たような物じゃないですか? さすがのトーヤくんでも、マンガ肉サイズのお肉を1人では食べきれないでしょう」
“不是相似的东西吗?就算是toya君,一个人也吃不完漫画肉大小的肉吧”
「だよねぇ。『上手に焼けました!』サイズだと、10キロぐらいありそうじゃない?」
“是啊。‘烤得很好!”尺寸的话,大概有10公斤左右吧?”
「あぁ、アレね。確かに」
“啊,那个啊。确实”
とあるゲームに出てくるマンガ肉……っぽい物。それ以外でもマンガ肉と言えばその程度の量はありそうである。
某游戏里出现的漫画肉……很像的东西。除此之外,说到漫画肉的话,其量也是有的。
1ポンドステーキ20枚分。
一磅牛排二十块。
うん、無理。
嗯,不行。
今のウチの家族7人全員で、そのうちトーヤ、メアリ、ミーティアの獣人組が大量に消費すると考えれば何とか? というレベルだろう。
现在我们家7口人全员,其中Toya、meari、Media的兽人组大量消费的话,有什么办法吗?这样的水平吧。
しかしそうなると、マンガ肉に齧りつくという夢が果たせないわけで。
但是那样的话,就不能实现咬漫画肉的梦想了。
やるせない。
瘦ˉ不下来。
――いや、マジックバッグがあるから、1人で何日も掛けて食べることも不可能では無いのだが。
——不,因为有魔术包,一个人花上好几天吃也不是不可能的。
スイカを丸々一個食べてみたいとか、そのレベルの『やってはみたいけど、やってみたらすぐに挫折する夢』というヤツだろう。
想一个一个地吃一个西瓜,或者是那种程度的“虽然想做,但是做了之后马上就会失败的梦”吧。
そんな事を話していると、マードタウロスとガッツガッツとやっていたトーヤから抗議が飛んできた。
说了那样的话的话,从马多托劳斯和gatsugatsu gatsu做的toya抗议飞了过来。
「おーい、オレが苦労してるのに、暢気な話してるなぁ!」
“喂,我明明很辛苦,你却在畅谈啊!”
「ん? 苦労してるのか?」
“嗯?你辛苦了吗?”
「……いや、そんなでもないけどよぉ~」
“……不,也不是那样的啦~”
ちょっと釈然としない様子のトーヤではあるが、もちろん俺たちは、トーヤの戦いからは全く目を逸らしたりはしていないし、いつでも魔法で介入できるよう、集中力を途切れさせたりもしていない。
虽然是稍微有些无法释然的TOYA,但是我们当然不会从TOYA的战斗中移开视线,也不会因为任何时候都能用魔法介入而使集中力中断。
のんびりと雑談をしているのは、それぐらいトーヤの戦いに余裕がありそうだからである。
之所以悠闲地闲谈,是因为在TOYA的战斗中似乎还有余裕。
簡単に斃せるほどには弱くないが、一瞬のミスが命取り、と言うほどには強くもない。
虽然不弱到可以轻易死掉的程度,但也没有一瞬间的失误是致命的。
総じて言うなら、『訓練相手には最適』だろうか。
总的来说,应该是“最适合训练对手”吧。
トーヤもそれが解っているのか、変に無理したりせず、少しずつダメージを与える方に集中している印象。
给人的印象是,TOYA也明白这一点,也不奇怪地勉强自己,而是一点点地集中于给予对方伤害的一方。
素材の回収を考えるなら、魔法での一撃必殺の方が良いのだろうが、そればっかりではスキルアップにならないし、たまにはこんな戦闘も必要だろう。
考虑到素材的回收,用魔法一击必杀比较好,但是光这样的话不能提高技能,偶尔也需要这样的战斗吧。
――そういえば、転移で跳んできたから、5層のボスが復活したか確認してなかったなぁ。
——这么说来,因为转移跳了过来,所以没有确认5层BOSS是否复活。
復活しているようなら、俺もあそこで槍の実戦訓練をやるべきかもしれない。
如果复活的话,我也许也应该在那里进行枪的实战训练。
「てええぇぃ!」
“好棒!”
そんなことを思っている間に、トーヤの攻撃がマードタウロスの足を大きく切り裂き、その巨体が大きな音を立てて地面へと倒れ込む。
在思考着这些事情的时候,托亚的攻击将马多托劳斯的脚狠狠地切开,巨大的身躯发出巨大的声音倒向地面。
それと同時にトーヤが追撃をして、右の手首を砕く。
与此同时,托亚追击,将右手手腕打碎。
そして、がらんと地面に転がる巨大な斧。
然后,一把巨大的斧头扑通一声倒在地上。
「そろそろ決着か」
“差不多该结束了吧。”
無事に終わりそうと息を吐いた俺に対し、ユキの方は困ったような声を上げた。
面对呼吸着要顺利结束的我,雪发出了困扰的声音。
「あぁ……モモ肉に傷が……」
“啊……大腿上有伤口……”
「そっちの心配かよ! 本気で作るつもりなのか?」
“你担心吗?”!你真的打算做吗?”
「うん。ま、片足は無事だし良いか。1回作れば満足だし?」
“嗯。嘛,一只脚没事吧。做一次就满足了?”
まぁ、冷静に考えて、モモ肉の丸焼きなんて、そこまで美味くはないよな?
嘛,冷静地想一想,烤桃子肉什么的,没那么好吃吧?
見た目のインパクトはあるとしても。
即使外观有冲击性。
メアリたちの歓迎会で、タスク・ボアーの丸焼きを作った時も、結局丸かじりなんてせず、削り取ってタレを付けて食べることになったし。
在玛丽们的欢迎会上,做烤鳝鱼的时候,结果也没咬成一团,而是削下来蘸佐料汁吃。
「おーい、無事に勝ったオレに対する賞賛は?」
“喂,对顺利获胜的我有什么赞赏吗?”
マードタウロスが斧を手放した後は簡単だった。
马多托劳斯放开斧头后很简单。
頭を地面に着けていれば、正に攻撃してくれと言っているような物。
如果头碰到地面的话,就像是在说要攻击我一样。
トーヤは首筋に剣を叩き込み、マードタウロスに止めを刺していた。
托雅把剑敲进了脖颈,在马多托劳斯扎着止痛药。
「おめおめ。パチパチ」
“恭喜。啪啪啪”
「はいはい。よく頑張ったね。『浄化』」
“是的是的。你很努力啊净化”
俺がてきとーに手を叩いてやると、ハルカもやや投げやりな感じに賞賛、返り血に汚れていたトーヤを綺麗にしてやる。
当我来敲门的时候,Haruka也称赞她有点随便,把沾满鲜血的Toya弄干净。
「怪我が無くて良かったです」
“没有受伤真是太好了。”
「でも、1人で戦わせてあげたんだから、むしろお礼を言われるべき?」
“但是,我让他一个人战斗,还不如说应该道谢?”
「ナツキ以外の対応がヒドイ! ……まぁ、1人で戦ったのは、オレのワガママだけどさ」
“除了夏树以外的对策很过分……嘛,一个人战斗是我的任性”
「斃すだけなら問題ない敵だったしな。とは言え、次のボスか、その次ぐらいからは注意が必要そうな気はするな」
“如果只是死的话就没问题了。话虽这么说,但我觉得接下来的BOSS啊,从下次开始就需要注意了”
「そうね。そう考えれば、実戦訓練も必要よね。雑魚だけ相手にしていても、レベルアップは図れないと思うし」
“是啊。这样考虑的话,实战训练也是必要的。就算只和杂鱼做对手,也没办法提高水平”
「だろ? オレたちの間だけでの模擬戦じゃ、限界あるし」
“是吧?只在我们之间进行模拟战的话,是有界限的”
「戦い方、結構バラバラだもんね、あたしたちって」
“战斗方式,真是七零八落啊,我们啊。”
トーヤの剣は当然として、俺の槍とナツキの薙刀でも扱い方は異なる。
当然,我的枪和夏琪的剃刀使用方法也不一样。
小太刀に関してはトーヤ以外の全員が使っているが、ユキ以外は補助的な武器に留まるし、そもそもの問題として、人間相手と魔物相手では戦い方が異なるわけで。
关于小太刀,除了TOYA以外的所有人都会使用,但是除了雪以外都只是辅助性的武器。
「ボス相手の訓練……悪くないと思うけど、なかなか復活しないよね、このダンジョン」
“老板对手的训练……我觉得不错,但是怎么也不复活呢,这个迷宫”
「ですね。平均的にどうなのか判りませんが、10日以上……下手をすると1ヶ月ほど必要みたいですし、残念ながらあまり頻繁には戦えませんね」
“是啊。虽然不知道平均情况如何,但是10天以上……弄得不好的话好像需要1个月左右,很遗憾不能频繁战斗”
スキルアップのために1人ずつ戦ってみるにしても、それなりの時間が必要になる。
为了提高技能,即使一个人一个人战斗,也需要相应的时间。
もちろん相性があるので、例えばマードタウロス相手に戦うのは、トーヤ以外にはナツキと俺ぐらいにはなるだろうが、それでも1ヶ月から2ヶ月ぐらいは必要になる。
当然,因为相性很强,比如和马多鲁斯的对手战斗,除了托亚以外还有夏树和我这样的人,即使这样也需要1个月到2个月左右。
「その間、先に進むにしても……2つ先のボスに辿り着く頃には、夏は終わりそうだな」
“在这期间,即使要向前走……在到达前面两个BOSS的时候,夏天也会结束吧。”
「確かに最近、少し涼しくなってきましたよね」
“确实,最近天气有点凉了呢。”
「となると、来年の夏?」
“那么,明年夏天?”
「このままダンジョン探索を続ける方法もあるとは思うが、未だにダンジョン入口周辺の方が、魔物が強いんだよなぁ」
“虽然也有继续探索地下城的方法,但还是在地下城入口周边魔物比较强。”
つまり、そちらで戦う方がレベルも上がりやすいだろうし、稼ぎも良いという事。
也就是说,在那边战斗的话,水平也容易提高,赚钱也很好。
11層以降では宝箱も見つかっていないし、これまでの宝箱にしても、ボスの初回討伐報酬(俺予測)以外は大した物が入っていなかった。
11层以后既没有发现宝箱,即使是以前的宝箱,除了BOSS的初次讨伐报酬(我预测)以外也没有什么大不了的东西。
ボスを斃す毎にあの宝箱があるのならやりがいもあるのだが、ボスが復活しても宝箱は復活していなかったことを考えれば、あれが初回討伐報酬的な何かだというのは、そう間違ってもいないだろう。
如果每一次杀死BOSS都有那个宝箱的话,那是很有价值的,但是考虑到即使BOSS复活了宝箱也没有复活的话,那就是第一次讨伐报酬之类的东西,也没有错吧。
「ま、そのへんのことは、涼しくなった時のダンジョンの状況で考えれば良いじゃねぇか。それよりお宝。取りに行こうぜ?」
“嘛,这一点,从变凉时的地牢的情况来考虑不就好了吗?”。比起那个更重要的是宝物。去拿吧?”
「まぁ、そうだな」
“嘛,是啊。”
トーヤの言うとおり、確かに今考えても仕方が無い。
正如Toya所说的那样,现在想想也没办法。
俺たちはひとまずその問題を棚上げにして、マードタウロスの死体と無駄にデカい斧を回収し、新たに出現していた扉を開いて奥へと進んだ。
我们暂且搁置了那个问题,回收了马多托劳斯的尸体和大斧头,打开了新出现的门向里面走去。

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# 219 ナッツだ、ワッショイ! (1) 坚果,哇(1)
そろそろ見慣れてきた部屋には例の如く、宝箱と転移魔法陣、そして下へと続く階段があった。
渐渐看惯了的房间如例所示,有宝箱和转移魔法阵,还有向下延伸的楼梯。
そんな宝箱の中に、今回入っていたのは両手剣。
在这样的宝箱里,这次放的是双手剑。
普段トーヤが使っているような、片手でも両手でも使えるようなサイズではなく、普通の人間なら両手でなければ絶対に扱えないようなサイズである。
不是平时Toya使用的那种单手或双手都能使用的尺寸,而是普通人必须用双手才能使用的尺寸。
刃渡りだけで俺の腰のあたりまであり、それに柄が付いているのだから、両手剣としてもかなり大きい部類に入るだろう。
仅仅是刀刃就在我的腰附近,而且还带有花纹,所以就算是双手剑也算是相当大的一类吧。
これを片手で振ろうとするなら、それこそ先ほど斃したマードタウロスぐらいの体格が必要になりそうだ。
如果想用一只手挥舞这个的话,就必须要有刚刚去世的马多鲁斯那样的体格。
「これはまた……扱いに困る武器ね」
“这又是……难以使用的武器呢。”
「トーヤ、ちょっと持ってみ?」
“托亚,要不要拿一下?”
「どぅれ……重っ! 両手なら振れねぇことはないが、使いにくいぞ、これ」
“怎么了……好重!如果是双手的话,也不会摇晃,但是很难使用哦,这个”
一応、両手で持ってブンブンと振ってはいるが、その速度はあまり速くない。
首先,用双手轻轻地摇动着,但是速度不太快。
当たれば威力はありそうだが、当たるかどうかが問題。
如果中了的话好像有威力,但是否中是个问题。
そんな武器である。
就是那样的武器。
「あー、でもこれ、白鉄製だな。もし買ったら高いぞ?」
“啊,但是这个是白铁制的啊。如果买的话很贵哦?”
トーヤの言葉によく見てみると、確かに錆も浮いていないし、それっぽい。
仔细看了一下Toya的话,确实生锈了也没有,很像那个。
青鉄や黄鉄なんかと比べ、白鉄は良く磨かれた鉄との違いが分かりにくいんだよな。
和青铁、黄铁相比,白铁和经过良好磨炼的铁的区别很难分辨。
トーヤは【鑑定】で区別が付くらしいが。
据说TOYA用【鉴定】可以区分。
「でも、問題は買えば高くても売れるとは限らない、事ですよね」
“但是,问题是,买的话即使贵也不一定能卖,是这样吧。”
「うん。使える人がいなければ、武器なんて価値がないもんねぇ」
“嗯。如果没有能使用的人,武器就没有价值了”
「素材としてガンツさんに引き取ってもらいましょうか。白鉄なら、インゴットと考えても、それなりの値段で売れるでしょ」
“作为素材,请GANTZ先生收下吧。如果是白铁的话,就算是铸币,也能以相应的价格卖出吧”
「え、それはなんか勿体なくね?」
“啊,那太可惜了吧?”
ハルカの真っ当な意見にトーヤが異議を唱える。
对于Haruka的认真意见,Toya提出了异议。
せっかくの初回討伐報酬だけに気持ちは解らなくもないが、使える人がいなければ予備の武器としても意味が無い。
好不容易得到的初次讨伐报酬,心情也不是不能理解,但是没有人能使用的话作为预备武器也没有意义。
「使わない武器なんか邪魔なだけだろ。それとも何かあるか、使い道?」
“不用的武器只是碍事吧。还是有什么用?”
「使い道は……トレーニング用品?」
“用途是……训练用品?”
「高価なトレーニング用品だなぁ、おい」
“好贵的训练用品啊,喂。”
トーヤが少し考えて出した答えに、思わず失笑する。
对于TOYA稍微思考后得出的答案,不由得失笑。
確かにこれで素振りをすれば筋力は付くかもしれないが、それならばただの鉄の棒を使う方がコスパがいい。白鉄製でこのサイズ、普通に考えて金貨100枚以上するぞ?
确实,如果这样做的话,可能会有肌肉力量,但是如果那样的话,使用普通的铁棒更划算。用白铁制这个尺寸,普通地考虑金币100枚以上哟?
「ダメか?」
“不行吗?”
「ダメ、じゃないけど……本当に必要?」
“虽然不是不行,但是……真的需要吗?”
「必要か、と訊かれると、必要じゃ無いんだが……」
“被问到有必要吗,我就不需要了……”
改めてハルカに訊かれ、トーヤは言葉を濁す。
再次被Haruka问到,Toya含糊其辞。
少なくとも俺たちにとって、実用性は皆無。
至少对于我们来说,完全没有实用性。
あえて言うなら、戦槌を武器にしているトミーなら使えるかもしれないが、アイツと一緒に戦闘をする機会なんて、魚釣りの時ぐらい。
硬要说的话,以战槌为武器的汤米也许可以使用,但是和那家伙一起战斗的机会,只有在钓鱼的时候。
出てくるのはゴブリン程度なので、この武器は明らかにオーバースペックである。
因为出来的只有妖精程度,所以这个武器明显是超速的。
「他の用途だと、飾る? あたしからすれば、美術品と言うにはちょっと無骨に思えるけど……趣味は人それぞれだしね」
“如果是其他用途的话,要装饰吗?在我看来,美术品好像有点没骨气……兴趣因人而异”
「えぇ。実用品よね、これは」
“诶。这是实用品吧”
武器・防具を飾るという趣味は洋の東西を問わないのか、日本なら大鎧や日本刀、西洋ならフルプレートの甲冑やサーベルなど、金持ちの家ならありがちと言えばありがち。
装饰武器、防具的兴趣不分东西,在日本,大铠甲、日本刀,在西方则是全金属板的盔甲、佩刀等,如果说有钱人的家里很容易有。
俺の勝手な印象では。
在我随意的印象中。
だが実際、ナツキの家には飾ってあったし、観光地化されている洋館などにも飾られていたのだから、そう間違ってはいないだろう。
但是实际上,在夏树的家里装饰着,在观光地化的洋房等地方也装饰着,所以没有错吧。
とは言え、俺たちの家には似合わないと思うので、飾るなら自分の部屋だけにして欲しいところではある。
虽然这么说,但是我觉得不适合我们家,所以如果要装饰的话,就只想要自己的房间。
「……まぁ、良いんじゃないですか、トーヤくんが欲しいというなら。別にお金に困ってないんですから。日本刀ならうちでも飾ってましたし」
“……嘛,不是挺好的吗,如果想要TOYA君的话。我没什么钱的问题。日本刀的话我们家也装饰过”
「おっと、ナツキが賛同するとは予想外」
“哎呀,没想到枣树会同意。”
趣味や装飾品、衣服などならともかく、武器のような実用品は無駄に持っていても邪魔になるだけ、というタイプだと思っていたんだが。
兴趣、装饰品、衣服等暂且不谈,我觉得武器之类的实用物品即使是浪费也只会妨碍别人,我是这种类型的。
こちらでは当然として、日本にいたときも無駄な物をあまり部屋に置いていなかったし。
当然,在日本的时候也没怎么把没用的东西放在房间里。
「それに、お金が必要になれば、その時に取り上げれば良いだけですし」
“而且,如果需要钱的话,那时候拿走就可以了。”
「それでこそナツキ、容赦ない!」
“那才是大枣,不可饶恕!”
「合理的と言ってください。もちろん、トーヤくんのポケットマネーで補填するなら、それはそれで自由ですが」
“请说是合理的。当然,如果用Toya君的零用钱来填补的话,那也是自由的”
容赦は無いが、ナツキの言うとおり、合理的ではある。
虽然没有宽恕,但正如枣所说的那样,是合理的。
俺たちのパーティーでは、基本的に武器や防具、それに冒険に必要となる物品の費用に関しては共通費から出している。
在我们的派对上,基本上武器、防具以及冒险所需物品的费用都是从共同费用中支出的。
それに倣えば、宝箱から得た物を使う場合もそれに準じることになるわけだが、使わない武器となるとそれはもう趣味である。
如果效仿的话,使用从宝箱里得到的东西的时候也应该以此为基准,但如果是不使用的武器的话,那就已经是兴趣了。
趣味の範疇となれば、当然、個人資金からお金を出すことになるので、この武器もトーヤが飾っておきたいのであれば、彼が買い取る事になるが……。
如果是兴趣范畴的话,当然会从个人资金中拿出钱来,如果这个武器也是TOYA想要装饰的话,那就由他来买……。
「いや、オレ、飾るとは言ってねぇよ? 単にいつか、こういうタイプの武器でごり押しが必要な敵が出てくるかも、と思っただけだし。ほら、オレたちって、硬い敵にはあまり向いてないだろ? 鈍器っぽい武器って、オレの剣だけだし」
“不,我没有说要装饰吗?我只是想,也许有一天,这种类型的武器会出现需要强加于人的敌人。你看,我们不太适合硬的敌人吧?像钝器一样的武器只有我的剑”
「なるほど……」
“原来如此……”
やや心外という風に、トーヤが口にした意見には一理あった。
稍微有些出乎意料的是,火炬所说的意见有一定的道理。
今のところ遭遇していないが、例えばゴーレムのような敵が出てきた場合、俺たちの持つ武器では少し心許ない。
虽然现在还没有遭遇到,但是如果出现像高莱姆那样的敌人的话,用我们所拥有的武器就有点不放心了。
ハルカの矢は勿論として、切れ味の良い小太刀も、岩を断ち切れるほどには非常識ではない。
Haruka的箭自不必说,锋利的小刀也不至于被岩石切断。
俺とナツキの長物、その石突きであれば多少はマシかも知れないが、やはり効果的とは言い難い。
我和枣的长物,如果是那种石刺的话,也许多少会好一些,但还是很难说有效。
最適なのは、それこそトミーの持つハンマーなどの鈍器だろう。
最合适的,正是托米拿着的锤子等钝器吧。
俺たちには魔法があるにしても、その時に前衛を支えるトーヤに、攻撃手段が無いというのは、確かに困る。
即使我们有魔法,但是那个时候支持先锋的Toya却没有攻击手段,确实很困扰。
「それなら売らずに持っておく理由になるわね。最初からそう言えば良いのに」
“这样的话,就成了不卖的理由了。一开始就这么说就好了”
よく判らないという風にハルカが言うが、トーヤは少し気まずそうに頬を掻く。
虽然Haruka说不太清楚,但是Toya还是有点不舒服地挠着脸颊。
「いや、使えるかどうか解らねぇし? やってみて無理だったとか、ちょっと言いづらいじゃん」
“不,不知道能不能用?试着做了一下觉得不行之类的,有点难说出口”
「気にする必要は無いと思いますけど。私たちも結構、武器を変えてますし。ねぇ?」
“我觉得没必要在意。我们也经常换武器。喂?”
「だな。無駄に買って使わないってなら、そりゃダメだろうが、試すことに意味はあるだろ? しかも今回は、買うわけじゃないんだし」
“是啊。如果说不用买来浪费的话,那是不行的,但是试一下是有意义的吧?而且这次又不是买”
引退した武器はあれど、これまで購入した武器はいずれもそれなりに活躍している。
虽然有引退的武器,但至今为止购买的武器都是相当活跃的。
使えるかどうか判らない武器――例えば、ハルバートを試しに買ってみる、とか言うなら金の無駄になる可能性はあるが、手に入った武器を売らずに試してみるぐらいは大した問題でも無い。
不知道能不能使用的武器——例如,试着买赫尔巴特之类的话,有可能会浪费钱,但是不卖到手的武器试试也没什么大问题。
武器なんて、新品未開封じゃないと大幅に価値が落ちるってな物じゃないし、宝箱から出た時点ですでに中古扱いなのだから。
武器之类的东西,如果不是新的未开封的话,价值就会大幅度下降,从宝箱出来的时候就已经是二手货了。
「トーヤの武器スキルは、【剣術】と【棒術】よね? それに加えて【剣の才能】と。そう考えると、両手剣を試してみるのはありだと思うわよ」
“Toya的武器技能是【剑术】和【棒术】吧?再加上【剑的才能】。这么一想的话,我觉得试着用双手剑是有可能的”
「うん。少なくとも、あたしたちの中では一番可能性があるわけだし。トーヤ、ガンバ」
“嗯。至少,在我们之中是最有可能性的。火炬,加油”
「大剣使いとか、如何にもタンクっぽいよな。頑張ってマゾになれ」
“使用大剑什么的,完全像坦克一样。加油成为恶魔吧」
「いや、マゾにはならねぇよ!? ……まぁ、程々に頑張るわ」
“不,不会变成恶魔的……嘛,我会适当努力的”
俺の激励に、トーヤは少し疲れたようにため息をついたのだった。
对我的鼓励,火炬好像有点累了似的叹了一口气。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
16層に入っても、景色にあまり変化は無かった。
进入16层后,景色也没有太大变化。
メインの魔物はストライク・オックスで、森が点在する事は15層と同じ。
主要的魔物是好球·牛克斯,森林散布的事与15层同样。
但し、森で採取できるのは栗の1種類のみ。
但是,在森林里能采集到的只有一种栗子。
俺的にはちょっと残念だったのだが、ユキなどは「マロンだ~~!」と狂喜していたので、不満は無かったようだ。
虽然对我来说有点遗憾,但雪等还是会说“是栗子~!”因为他非常高兴,所以似乎没有什么不满。
それに、面積当たりの収穫量が少なめだったので、たくさんの栗を欲していた女性陣には、1種類の方が都合が良かったとも言える。毬栗いがぐりから栗の実を取り出す手間もあるし。
而且,因为面积的产量比较少,对于想要很多栗子的女性来说,一种栗子比较合适。也有从栗子栗子里取出栗子的工夫。
森で遭遇する魔物はやはり昆虫タイプでさほど強くないのだが、栗の木の側での戦闘はちょっと厄介だった。
在森林里遇到的魔物果然是昆虫类型,并没有那么强,但是在栗子树旁边的战斗有点麻烦。
魔物が木の枝を使って飛び跳ねる物だから、毬栗がボトボトと落ちてくるのだ。
因为魔物是用树枝跳跃的东西,皮球栗会从底部掉下来。
幸い、今の身体では毬栗が突き刺さったりはしないし、トゲがダールズ・ベアーの革で作ったブーツや防具、グローブを突き抜けてくる事も無いのだが、顔に当たればそれなりには痛い。
幸运的是,现在的身体里没有毬栗刺到,刺也不会穿过用黑熊的皮革做的靴子、防具、手套,但是碰到脸的话会相应的痛。
あと、足下に落ちている毬栗やそこからこぼれた栗の実が、地味に移動を邪魔する上に、下手に踏み砕いたりすると、ユキたちが怒る。
还有,掉在脚下的毬栗和从那里洒出来的栗子的果实,在朴素地妨碍移动的基础上,不小心踩碎的话,雪他们会生气。
なので、ここでの戦闘では、移動の必要が無いハルカの弓が一番活躍した。
因此,在这里的战斗中,不需要移动的Haruka的弓是最活跃的。
後は、節約気味に使っている攻撃魔法。森の中なので、一応は火魔法以外をメインに。
之后是节约使用的攻击魔法。因为是在森林中,所以姑且以火魔法以外为主。
しかし、一番の問題は――。
但是,最大的问题是——。
「瓶、無くなっちゃったね」
“瓶子丢了。”
そう、牛乳を入れる瓶の問題。
是的,装牛奶的瓶子的问题。
ストライク・オックスがいるという事は、牝牛もいるという事で、牛乳の回収対象がいるという事。
有好球・牛克斯的话,因为也有母牛,所以有牛奶的回收对象。
ある程度の余裕を持って作っていた牛乳瓶だが、16層でも同じように回収をしていたら、エリアの半分ほど回ったところで瓶が無くなってしまったのだ。
虽然是在一定程度上富余的牛奶瓶,但是16层也一样回收的话,转了区域的一半左右瓶子就没有了。
「回収は中断して先に進むか、飽くまでも回収を優先して一度帰るか、どちらが良いと思う?」
“回收是中断后继续进行,还是彻底优先回收后再回去,你觉得哪个好?”
ハルカの言葉に、俺は暫し考え込むが、比較的すぐに答えが出た。
对于Haruka的话,我想了一会,但是比较快就得出了答案。
「回収しないのは勿体ない気はするが、一度戻って瓶を増産したところで、結局、15層のストライク・オックスからもまた搾乳できるようになってるだろ? あんま、意味が無いような?」
“我觉得不回收是很可惜的,但是就算再回来增产一次瓶子,结果15层的好球·牛克斯也能再挤奶了吧?嗯,好像没什么意义?”
「それに飲めねぇよな、これだけあっても。1年分以上だろ、普通に考えて」
“我不能喝那个,就算只有这个。1年多了吧,普通地考虑一下吧”
2リットル以上入る瓶が300本以上。
能装2升以上的瓶子有300瓶以上。
7人で毎日コップ1杯飲んだとしても、まだ余る。
即使7个人每天喝一杯,也还剩下。
「料理やお菓子に使うとしても、牛乳だけを飲むわけじゃないですからね。やはり、売りましょうか?」
“即使在料理和点心上使用,也不是只喝牛奶。还是卖吧?”
「うーん、それも良いけど……ナオが大変だよね? 瓶を作るの。あと、ついでにあたしも」
“嗯,那个也不错……娜奥很辛苦吧?做瓶子。还有,顺便我也是”
「それ自体は、トーヤに型を作ってもらえばなんとかなるが……」
“那个本身,如果能让火炬做个模子的话就没问题了……”
「型?」
“型?”
「ほら、ガラス工房で使っているようなヤツ」
“看,是在玻璃工作室用的东西。”
内側が瓶の形になっていて、パカッと2つに開く金属の型。
内侧是瓶子的形状,咔嚓一声打开成两个的金属型。
あれがあれば、同じ形で量産することも随分と楽になるだろう。
如果有,以同样的形式批量生产也会变得相当轻松吧。
「あれか。おけ。作っても良いぞ」
“那个啊。木桶。可以做哦”
「あぁ、いや、それがあっても、どちらかと言えば問題は、土魔法でこの瓶が作れることを知られる方なんだよ」
“啊,不,就算有那个,要说起来问题是,知道用土魔法可以制作这个瓶子的人。”
俺たちが瓶を作る時に使っている魔法は、『土作成クリエイト・アース』+『土操作グランド・コントロール』の組み合わせなのだが、本来前者はごく普通の土を作るための魔法であるし、後者もそれと同様に土を動かすだけの魔法である。
我们制作瓶子时使用的魔法是“制作土壤的创造者·地球”+“土操作大地·控制”的组合,原本前者是制作极为普通的土的魔法,而后者也是与之同样只会移动土壤的魔法。
基本的な『土操作』の使い道は、地面の整備や戦争時の陣地作製、頑張ったところで土器を作れる程度、というのが一般的な認識なのだ。
一般认为,基本的“土操作”的用途是:地面的整备和战争时的阵地制作,即使努力了也能制作陶器。
そんな状況なのに、『ガラス(っぽい)容器が作れます』とか言ってしまうと、色々面倒くさいことになりかねない、気がする。
在这种情况下,如果说“可以制作玻璃容器”的话,可能会造成各种麻烦。
ヴェネツィアとかそのへんの歴史を見るに、ガラスの製造なんて、利権やら、何やらが、色々と絡みそうだし。
从威尼斯等地的历史来看,玻璃的制造,利权,什么的,各种各样的缠绕在一起。
問題にならない可能性もあるが、危険性は低い方が良い。
虽然有可能不会成为问题,但是危险性还是低一点比较好。
「となると、素直にガラス工房に注文する方が安全かな?」
“这样的话,直接向玻璃工作室订购比较安全吗?”
「組合を敵に回すのは厄介そうだからなぁ」
“把工会变成敌人好像很麻烦啊。”
既得権益と言う物はなかなかに厄介な代物で、下手に喧嘩を売ればあっさりと人死にが出る。
所谓既得权益是相当麻烦的东西,如果不高明地挑衅的话,会轻易地造成人死。
ラファンで力を持っているのは木材組合だが、ガラス関係だってきっと似たような物はあるだろう。
在拉风机里有力量的是木材组合,玻璃关系也一定有相似的东西吧。
「ガラスじゃなくて、陶器や金属でも良いとは思うけど……毎度のことだけど、そのへんのことはディオラさんに相談しましょ。冒険者ギルドに売るのなら、協力してくれるでしょ」
“我觉得不是玻璃,陶器和金属也可以……虽然是经常发生的事情,但那一点还是和迪奥拉商量一下吧。如果要卖给冒险者行会的话,会协助的吧”
「だね。ディオラさんなら安心だから」
“是啊。因为迪奥拉先生的话就放心了”
困ったときのディオラさん。
困惑的时候的迪奥拉先生。
相談したら良い感じの答えをくれるお助けキャラ。
帮助角色可以给人一种商量后的好感觉。
もちろん、ある程度の利益供与(冒険者ギルドとして、ではあるが)をしているので、決しておんぶに抱っこというわけではない。
当然,因为提供了一定程度的利益(虽然是冒险者行会),所以绝对不是抱在背上。
とは言え、時候の挨拶は必要だろう。
虽说如此,季节性的问候还是必要的吧。
そう、例えばディンドルのような。
是的,比如像丁元一样。
うん、今年もまた、採取に向かうことは確定だな。
嗯,今年也确定要去采集。

703
220.md

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220 ナッツだ、ワッショイ! (2)
220坚果,哇2)
ストライク・オックスのミルクに関しては一時棚上げし、俺たちは探索を続けていた。
关于好球·牛克斯的牛奶暂时搁置,我们继续探索。
無駄に戦闘になるのも面倒なので、【忍び足】や【隠形】の訓練も兼ねて、極力ストライク・オックスとの戦闘を避けて先へと進む。
因为徒劳地变成战斗也很麻烦,所以也兼做【忍足】和【隐形】的训练,极力避开与好球·奥克斯的战斗,继续前进。
次の17層の森で手に入ったのは、クットの実。
在下一个17层的森林里得到的是库特的果实。
そう、秋になるとうちの庭で大量に拾えるアレである。
是的,一到秋天就可以在我家院子里大量地捡起来。
美味しいことは美味しいのだが、正直期待外れ。
好吃是好吃,但老实说期待落空。
いくら頑張って集めても売値は子供の小遣い程度にしかならないので、冒険者としては全く割が合わない。
无论怎么努力收集,卖价也只不过是孩子的零用钱,所以作为冒险者完全不划算。
自分たちで食べるにしても、マジックバッグの中には去年集めたクットがまだ残っている。
即使是自己吃,魔术包里还留有去年收集的酷酷。
なので、森の確認だけして採取は行わず次の階層へ。
因此,只确认森林就不进行采集,进入下一个阶层。
18層の森は、胡桃。
18层森林是胡桃。
これは頑張って集めた。
我努力收集了这个。
去年集めた物はすでに食べてしまっていたし、ナツキが「胡桃パンを作りたい」と言ったので。
去年收集的东西已经吃完了,因为枣说想做核桃面包。
但し、クットほどじゃなくとも、胡桃も、そして栗もあまり高くは売れない。
但是,即使不像酷酷那样,核桃、栗子也不怎么贵。
理由はやはり保存性。
理由果然是保存性。
胡桃は特に、そして栗もそれなりに保存が利くため、それなりに流通があるのだ。
特别是核桃,而且栗子也能相应保存,所以有相应的流通。
決して安い食べ物では無いのだが、庶民でも買えないほどの値段ではないし、間違っても、それなりの腕の冒険者が、ダンジョンで集めてきて割が合うような値段ではない。
虽然绝对不是便宜的食物,但价格也不到普通百姓也买不到的程度,就算弄错了,一个有本事的冒险者,在地下城收集来的价格也不划算。
それでも美味しいことは間違いないので、目の前に転がっていれば当然拾うのだが。
即使那样也肯定很好吃,所以如果放在眼前当然会捡起来。
「う~ん、もしかしてこのエリアって、ナッツエリア?」
“嗯~莫非这个区域是坚果区域?”
「その可能性はあるわね。11層から15層までを考えると」
“有那个可能性呢。从11层到15层考虑的话”
「個人的にはちょっと嬉しいですが、利益の面では少し劣りますね」
“我个人觉得有点高兴,但在利益方面稍有逊色。”
「オレとしては、イマイチ戦いに歯ごたえが無いというか……単調なのがちょっと不満だな。ナッツに不満は無いが」
“对我来说,不太能应付战斗……单调的话有点不满。我对坚果没有不满”
「同意。俺としてはカシューナッツが欲しいな。一度、カシューアップルも食べてみたいし」
“同意。我想要腰果。我也想尝一次黑加仑苹果”
ナッツ部分は売っていても、果肉部分(正確には違うみたいだが)は実物を見たことも食べたことも無い。
虽然有卖坚果的部分,但是果肉部分(正确来说好像不一样)既没有看到过实物也没有吃过。
興味本位だが、一度食べてみたいという俺の希望に、ナツキが少し困ったような表情を浮かべる。
虽然是出于兴趣,但是对于想吃一次的我的希望,我脸上浮现出了枣有点为难的表情。
「カシューナッツは私も好きですが……大変みたいですよ? ナッツ部分を食べるのは」
“我也喜欢腰果……好像很辛苦呢?吃坚果的是”
「そうなのか? 形が変わってるのは知ってるが」
“是吗?我知道形状变了”
ナッツの多くは種の仁の部分なので、色々と面倒な物が多いことは知っている。
因为坚果大多是种子仁的部分,所以知道有很多麻烦的东西。
例えば胡桃。
比如核桃。
これも周りの果肉を取り除かないといけないので、それなりに面倒なんだが、道具を使えばそこまで難しくはない。
因为这个也必须要除去周围的果肉,所以相应地很麻烦,但是使用道具的话就没那么难了。
普通に道具屋に注文したら、それ専用の道具が購入できるのだ。
一般向道具店订购的话,就能买到专用的道具。
見た目は小型の洗濯機みたいな物で、中に胡桃を放り込み、ハンドルを使ってグルグルと回転させると、ゴリゴリと果肉を削り取ってくれる。
看起来就像是小型洗衣机,把核桃放进去,用方向盘咕噜咕噜地旋转,可以把果肉削下来。
果肉さえ取り除いてしまえば、後に残るのは普通の殻付きの胡桃なので、洗って乾燥させればそれでオッケー。
只要去除果肉,剩下的是普通带壳的核桃,洗后干燥就可以了。
今の腕力なら、道具を使わずとも中身が取り出せる。
如果是现在的腕力的话,不用道具也可以取出里面的东西。
昔見た、カンフー映画の主人公の如く。
就像以前看过的功夫电影的主人公一样。
但し、それをやると中身が粉々になってしまうことが多いので、女性陣には不評。
但是,这样做的话很多内容都会变得粉碎,所以在女性阵营中评价不好。
嬉しくなって砕いていた俺とトーヤは怒られ、「素直に道具を使え」と薄っぺらい板みたいな物を手渡された。
我和Toya因为太高兴而碎碎了,被他骂了一顿,“坦率地使用道具”,然后交给了我一块薄板似的东西。
確かにそれでこじ開けると綺麗に実が取り出せるし、砕けてしまうと焙煎がしにくいので、カンフーの達人になれたのは、一瞬のことだった。
确实,这样拆开的话就能漂亮地取出果实,碎了的话就很难焙煎,所以成为功夫达人是一瞬间的事情。
まぁ、胡桃自体は殻付きでも売っていたりするわけで、あの特徴的な形状は有名である。
嘛,核桃本身也是带壳卖的,其特征形状很有名。
それこそ、映画にでも出てくるし?
那才是电影里出现的?
そんな胡桃に対してカシューナッツは、赤いピーマンを逆さにしたような先っちょにカシューナッツが付いていることぐらいしか知らない。
对于这样的胡桃,腰果只知道倒过来的红柿子椒前端有腰果。
胡桃と同じナッツと考えれば、果肉を取り除いて、種を割るんだろうが……。
和核桃一样,如果考虑到坚果的话,应该会把果肉去掉,把种子打碎吧……。
「そうですね。そこが種子である事は同じですし、仁の部分を食べるというのも同じです。問題点は2つ。カシューナッツがウルシ科の植物である事と、仁を取り出すのがかなり難しい事です」
“是啊。这和种子是一样的,吃仁的部分也是一样的。有两个问题。腰果是乌尔西科的植物,要取出仁是相当困难的事情”
「げっ、ウルシかぁ……」
“呃,是乌鲁西啊……”
この身体はどうか判らないが、日本に居たときには、かぶれとかにあまり強い体質ではなかったので、少々不安がある。
虽然不知道这个身体怎么样,但是在日本的时候,因为不是很能抵抗歌舞的体质,所以有点不安。
【頑強】があるから大丈夫だと思いたいが……。
因为有【顽固】所以想认为没问题……。
「かなり固い殻がありますからね。それを綺麗に割って、中身を取り出して、更に薄皮を剥いて。私も実際にやったことはありませんが、良くできると感心しますね」
“因为有相当硬的外壳呢。把它打碎,取出里面的东西,再把薄皮剥下来。虽然我也没有实际做过,但是我很佩服能做得很好”
薄皮……胡桃はそれが付いたまま売っているが、カシューナッツは剥いてあるよな。
薄皮……核桃是带着那个卖的,但是腰果是剥下来的。
たまにちょこっと残ってたりするけど。
偶尔会留一点点。
「それってやっぱり手作業?」
“这果然是手工作业?”
「らしいです。売っているカシューナッツを見れば判りますが、形もバラバラですからね」
“好像是。看了卖的腰果就知道了,但是形状也很分散呢”
機械化できないのか。
不能机械化吗。
そう考えれば、カシューナッツが高いのも理解できる。
这样想的话,也能理解腰果贵。
そのうちAIの機械学習で、『カシューナッツを剥けるロボット』とか出てきて、カシューナッツの値段が安くなったのかもしれないが、今の俺には何の恩恵も無い話である。
在AI的机器学习中,出现了“能剥腰果的机器人”之类的东西,也许腰果的价格变便宜了,但是对现在的我来说没有任何好处。
「じゃあ、仮に見つかっても、カシューナッツを思う存分食べるのは無理か」
“那么,就算被发现了,也不能尽情地吃腰果吗?”
「多分、食べる時間の数十倍は、殻剥きに時間が取られるんじゃないでしょうか」
“大概,吃的时间的数十倍,剥皮的时候会花很多时间吧。”
「うげ。――あっ、ハルカ、錬金術でゴーレムとか無いのか?」
“嗯。——啊,Haruka,炼金术里没有苦莱姆吗?”
ちょっと期待してハルカに訊ねてみるが、対してハルカは苦笑して肩をすくめる。
稍微抱着期待向Haruka询问,Haruka苦笑着耸肩。
「ゴーレムはあるけど、単純作業だけね。細かい作業をやらせるぐらいなら、普通に人を雇った方が安いわよ、絶対」
“虽然有黄金周,但只是单纯的工作。与其让他做细致的工作,不如雇佣普通的人比较便宜,绝对”
「あぁ、そうか、人件費、安いもんなぁ」
“啊,是吗,人事费真便宜啊。”
まるで先進国のロボット化と途上国の手工業。
简直就像发达国家的机器人化和发展中国家的手工业。
さしずめ高度なゴーレムは、最新鋭のロボットか。
目前高度的格雷姆是最先进的机器人吗。
「ちなみに、マンゴーもウルシ科なんですよ?」
“顺便说一下,芒果也是乌尔西科的吧?”
「え、じゃあ、マンゴーも食べると?」
“嗯,那你也吃芒果?”
「はい。痒くなる人もいるみたいですね。普通の人なら、たくさん食べなければ問題ないみたいですが」
“是的。好像有人会痒。普通人的话,不多吃好像没问题”
「油断できないな、南国フルーツ」
“不能大意,南国水果”
俺はパイナップルのイガイガも苦手だが、マンゴーなんてちょこっとしか食べる機会がなかったから知らなかった。
我不喜欢吃凤梨,但是没有机会吃到一点芒果,所以不知道。
良かったのか、悪かったのか……。
是好是坏……。
「そういえば、銀杏もかぶれるわね。たくさん食べると中毒を起こすみたいだし」
“这么说来,银杏也会戴的。吃多了会引起中毒”
「ですね。梅も仁の部分には毒がありますし、種子に毒のある植物って案外多いですよね。そう考えると、仁の部分を食べるナッツって……」
“是啊。梅花在仁的部分也有毒,种子里有毒的植物意外的多。这样想来,吃仁的部分的坚果……”
「うん、知らない物は口にしないに限るな!」
“嗯,不知道的东西最好不要吃!”
食い物にはそれなりに満足している。
对食物也相当满意。
無理をして食べる必要は無い。
没有必要勉强吃。
などと思った次の19層。
等下一个19层。
そこで得られたのは『ビレル』というナッツだった。
在那里得到了叫做“啤酒”的坚果。
それは例えるなら、藤の種に似ていた。
如果比喻的话,那就像紫藤的种子。
幅3センチ、長さ25センチほどの鞘がぶら下がり、その中に種が入っている。
宽3厘米,长25厘米左右的鞘垂下,种子进入其中。
ナツキは「ナタマメみたいです」と言っていたが、俺は見たこと無いのでよく解らない。
虽然枣说“像鸡蛋一样”,但是我没见过所以不太明白。
鞘はかなり強固で、こじ開けるのには胡桃の殻を割るぐらいの力が必要なのだが、開けてしまえば1度に10粒ほどの種が採れる。
鞘相当坚固,撬开的话需要打破核桃壳的力量,但是打开的话一次能采到10粒左右的种子。
大きさは空豆ほど、形は少しアーモンドに似ていて、煎って食べると味もアーモンドに近い。
大小和蚕豆差不多,形状有点像杏仁,煎着吃的话味道也和杏仁差不多。
種には薄皮が付いているが、煎った時点で剥がれてしまうので、むしろ薄皮の付いているアーモンドよりも食べやすい。
种子上有薄皮,但是在煎的时候会剥落,所以比起带薄皮的杏仁更容易吃。
収穫も楽だし、俺以外にも好評で、かなり良い感じのナッツである。
收获也很轻松,除我以外也受到好评,是感觉很好的坚果。
……いきなり知らない物を口にしている気もするが、これは【ヘルプ】でも名前が表示されたし、ハルカたちの『常識』でもすぐに解ったので、『知っている』で問題は無いのだ。うん。
……虽然突然说了不知道的东西,但这在【帮助】中也显示了名字,而且在Haruka他们的【常识】中也很快就明白了,所以‘知道’就没问题了。嗯。
そんな感じのエリアに変化があったのは、20層に入ったときだった。
进入20层的时候,那种感觉的区域发生了变化。
「なんか……微妙に違うな、反応が」
“总觉得……有点微妙的不同呢,有反应。”
【索敵】で感じられる反応。
【索敌】的反应。
それはストライク・オックスの様に思えるのだが、感じられる脅威度が少々高い。
我觉得那就像是好球・奥克斯,但感觉到的威胁度有点高。
同じ魔物でも微妙に強さが異なるため、全く同じ反応だったりはしないのだが、今回の違いは、個体差と言うには少々差が大きすぎる。
同样是魔物,由于其强度也有着微妙的差异,所以不会有完全相同的反应,但是这次的差异,说是个体差异的话稍微有点太大了。
「ん~、でも見た感じ、ストライク・オックスだよ?」
“嗯~但是看了的感觉,是好球还是好球?”
「そこなんだよな……」
“就是那里吧……”
一番近いストライク・オックスなら、【鷹の目】持ちのユキも見ることができる。
如果是最近的好球·奥克斯的话,可以看到拥有“鹰眼”的雪。
もちろん俺の方がレベルが高いわけで、より詳細に見えるし、【ヘルプ】も使える。
当然我的水平比较高,看上去更详细,也能使用【帮助】。
であるならば、使わない理由も無い。
如果是这样的话,也没有不使用的理由。
「んんん? 『レッド・ストライク・オックス』?」
“嗯?‘红球、好球、牛克斯?”
「レッド? 普通に黒く見えるけど?」
“红色?虽然看起来很普通的黑色?”
俺の漏らした言葉に、ハルカたちもまた首を捻る。
对我说的话,Haruka他们也再次绞尽脑汁。
ハルカたちでは詳細には見えないだろうが、体毛ぐらいなら、ここからでも十分に確認できる。
虽然在Haruka他们身上看不到详细内容,但是体毛的话,从这里也可以充分确认。
そしてその体毛は、言うまでも無く黒。
而且那个体毛,不用说就是黑色。
これまでのストライク・オックスと違いは無い。
和至今为止的好球·奥克斯没有区别。
だからこそ俺も不思議に思ったわけで――。
所以我也觉得不可思议——。
「……あ、微妙に角が赤い?」
“……啊,角有点红吗?”
本来は黒いストライク・オックスの角。それが微妙に赤く――いや、赤黒くなっている気がする。
本来是黑色好球·牛角。那个微妙地红——不,感觉变成了红黑色。
かなり注意して見なければ気付かない程度の違いだが、他に赤いところも無いし、名前の由来はこれだろう。
如果不相当注意的话就不会注意到的程度不同,但是其他的地方也没有,名字的由来就是这个吧。
「お、速度3倍? 角付きだし」
“哦,速度是3倍?带角装置”
「3倍かどうかは知らないが、注意は必要そうだぞ。【看破】の反応では」
“我不知道是不是3倍,但是需要注意根据看穿的反应”
危険性を感じるような強さではないが、ストライク・オックスと同じと思って対応すると、下手をすれば不覚を取る可能性は否定できない。
虽然不是那种能感觉到危险性的强度,但是如果认为和好球・奥克斯一样来应对的话,如果做得不好的话就不能否定会有失意的可能性。
そのぐらいの違いはある。
有那么点区别。
「ま、やってみれば判るだろ。ここはオレに任せろ!」
“嘛,试试就知道了吧。这里交给我吧!”
そう言いながら前に出るトーヤ。
一边这样说着,一边走到了前面。
その位置取りはストライク・オックスの時と同じなのだが……。
那个位置的争夺和好球·奥克斯的时候是一样的……。
「トーヤはフラグを立てるのが好きなの? バカなの? 死ぬの?」
“火炬喜欢竖起旗子吗?你是笨蛋吗?死了吗?”
「オレは死なないさ。誰かに守ってもらうから!!」
“我不会死的。谁来保护我!”
ドヤ顔で振り返り、サムズアップするトーヤ。
用得意的表情回头看,武士向上的火炬。
いや、違うだろ!
不,不是吧!
「前衛が言う台詞か! 守るのはむしろお前の仕事だ! このバカ!」
“是先锋说的台词吗!保护倒不如说是你的工作!这个笨蛋!”
「うん、言ってみたかっただけ」
“嗯,我只是想说说而已。”
「だろうなっ!」
“是吧!”
トーヤが本気で誰かに守ってもらおう、とか思っていたら後ろから蹴ってやるところだ。
如果TOYA真的想让谁来保护他,那就从后面踢他。
「……2人とも、バカなことやっている間に向こうが気付いたわよ。ほら、トーヤ、もっと前に出て」
“……两个人都在做傻事的时候,对方注意到了。瞧,托亚,再往前走一点”
「おう……って、速いな! おい!!」
“哇……真快啊!喂!”
少し呆れたようなハルカの言葉に、トーヤが更に前に進むと、遠くの方にいたレッド・ストライク・オックスが見る見るうちに近づいてくる。
面对小春有些吃惊的话,托亚再往前走,就在远处的雷德・好球・奥克斯眼看着接近了。
正確に比較することはなかなかに難しいが、3倍とは言わずとも、2倍以上の速度が出ているんじゃないだろうか。
虽然很难准确地进行比较,但是即使不能说是3倍,也能达到2倍以上的速度吧。
俺たちが左右に分かれる時間もあればこそ、トーヤがサッと身を躱したレッド・ストライク・オックスが、俺たちの間をかなりの速度で駆け抜ける。
正因为我们有时间左右分开,托雅一下子躲开了身体的红·好球·牛克斯,在我们之间以相当的速度跑过去。
その後をトーヤが急いで追うが、ストライク・オックスの様に、ピッタリと背後に付けていないあたり、明確な速度差があると言えるだろう。
之后托雅急忙追了上去,但是像好球・奥克斯那样,没有完全贴在背后,可以说有明确的速度差。
だがそれでも、相手が方向転換のために速度を落とせば追いつける。
但是即便如此,如果对方为了转换方向而减速的话,也能追上。
これまで同様、振り返った瞬間にトーヤがその角を掴み、ぐっと押しとどめるが――。
到现在为止同样,回顾了的瞬间toya抓住那个角,一下子阻止——。
「お、おぉぉ!?」
“喂,喂,喂!”
何ら助走を付けていないのに、トーヤがズリズリと後退させられる。
明明没有助跑,托亚却被拖拖拉拉地后退了。
「ヤベッ。コイツ、かなり力がある! スパイクでも履かないと無理!」
“YABE。这家伙很有力气!不穿钉子鞋也不行!”
トーヤは焦ったように声を上げながら、ブーツをガツガツと地面に叩き込んで、何とかこらえる。
托亚焦急地一边提高声音,一边使劲地把靴子拍到地上,想办法忍住。
力の差と言うより、単純なグリップ力の差。
与其说是力量的差距,不如说是单纯的握力的差。
何かしらの踏ん張れる段差があれば別なのだろうが、足下は平らな草地である。
如果有什么可以脚踏的高低差的话另当别论,但脚下是平坦的草地。
4本足のレッド・ストライク・オックスと2本足のトーヤ、どちらがよりしっかりと地面を捉えられるかと言えば、もちろん言うまでも無いことだろう。
要说4只脚的红·好球·牛克斯和2只脚的toya,哪一个能更好地抓住地面,当然是不用说的。
「けど、ま、抑えられないことも――」
“但是,嘛,也有无法抑制的事情——”
次の瞬間、トーヤは炎に包まれた。
下一个瞬间,火炬被火焰包围了。
「ぬわぁっ!!」
“哇!”
トーヤが叫び声を上げ、飛び跳ねるようにレッド・ストライク・オックスから離れて、地面を転がる。
托雅发出喊声,像跳跃一样地离开了红·好球·牛克斯,在地面上滚动。
すぐさま反応したのはハルカ。
马上反应的是春佳。
「『消火』!」
“‘灭火’!”
トーヤの炎はすぐに収まるが、レッド・ストライク・オックスはトーヤが手を離した直後には動き出していた。
火炬的火焰很快就熄灭了,但是雷电・好球・奥克斯在托雅放开手后就开始动了。
だが、俺たちものんびりとトーヤとレッド・ストライク・オックスの対峙を見ていたわけではない。
但是,我们也并不是悠闲地看着TOYA和红·好球·Ox的对峙。
「「『土壁アース・ウォール』!」」
“‘土墙接地墙’!”
レッド・ストライク・オックスの少し前に現れた土壁。
出现在红好球·牛克斯面前的土墙。
これは俺。
这是我。
そこに頭から突っ込んだレッド・ストライク・オックスは「ガコッ!」と鈍い音を立てて動きを止める。
从头部撞进去的红・好球・牛克斯说:“加油!”发出微弱的声音停止了动作。
それとほぼ同時、ユキの土壁によって足が跳ね上げられたレッド・ストライク・オックスは、逆立ちするような形になり、後ろ足が空を掻く。
几乎同时,由雪的土墙将脚弹起的红、好球、牛克斯变成倒立的形状,后脚抓空。
その状態でしばらく身をよじっていたレッド・ストライク・オックスだったが、やがて2枚の壁の間から何とか抜けだし、そのまま横倒しになった。
在这种状态下,红・好球・奥克斯暂时扭动了身体,但不久之后总算从两堵墙之间脱出,然后就那样横倒了。
「むっ、ユキ、牝だ。やるぞ?」
「嗯,是雪,是母。要做吗?”
「ほいほい」
“保护”
「「『土壁アース・ウォール』」」
“‘土墙接地墙’”
再びタイミングを合わせて発動される『土壁』。
再次配合时机发动的“土墙”。
後はいつも通り。
之后和往常一样。
ハルカたちによってちゃっちゃとロープで固定される、レッド・ストライク・オックス。
被Haruka他们用绳子固定住的红・好球・奥克斯。
違いと言えば、いつもより拘束に力が必要だったことと、使っているロープがギシギシと少し気になる音を立てていること、そしてレッド・ストライク・オックスが首を振り回して炎を撒き散らしていることだけである。
要说不同的话,那就是比起平时,拘捕时需要更多的力量,使用的绳子发出吱吱的声音,还有红色的好球·牛克斯挥舞着头散发着火焰。
……うん、ブレス、吐けたんだね、レッド・ストライク・オックスって。
……嗯,手镯,吐出来了呢,红・好球・奥克斯。
【看破】ではそんなスキルが見えなかったので、ちょっと油断していた。
【看穿】因为看不到那样的技能,所以有点大意了。
別の意味で油断できないな、【看破】スキル。
在别的意义上不能疏忽大意,【看穿】技能。
「うぅ~、オレのステキ尻尾がちょっと焦げたじゃねぇか……」
“呜~我的漂亮尾巴不是有点焦了吗……”
ちょっと涙目で、自分の尻尾を抱えているトーヤをよく見れば、『焦げた』と言うほどでは無いものの、確かに毛先がちょっとチリチリしている。
稍微有点泪眼,仔细看一下抱着自己尾巴的火炬,虽然还没到说“烧焦了”的程度,但是确实发梢有点干巴巴的。
ついでに言えば耳や髪の毛も。トーヤは見えていないだろうが。
顺便说一下,耳朵和头发也是。虽然看不到火炬。
「ハルカに感謝しなよ? 素早く消してくれたからその程度で済んでるんだから」
“去感谢Haruka吧?因为很快就消除了,所以那样就可以了”
「……おう、そうだな。サンキュ、ハルカ」
“……啊,是啊。水星、Haruka”
「いいえ。間に合って良かったわ。丸坊主になった尻尾や耳なんて、私も見たくないし」
“没有。能赶上真是太好了。我也不想看到光头的尾巴和耳朵”
「スキンヘッドならまだしも、耳や尻尾はなぁ。マジ助かった」
“如果是光头的话还好,但是耳朵和尾巴呢。真的得救了”
それは俺も同感。
我也有同感。
毛の無い犬種も見たことはあるが……やっぱ毛がある方がモフモフだし?
我也见过没有毛的狗种……果然还是有毛的比较好?
「しかしハルカ、対応が早かったな?」
“但是Haruka,对应得很快吧?”
俺たちはある程度『土壁』を使う心準備があったので、比較的すぐに対応できたが、ハルカの反応はそれよりも早く、しかも想定外の『消火エクスティンギッシュ・ファイア』。
我们在某种程度上已经做好了使用“土墙”的心理准备,所以比较快就能应对,但是Haruka的反应却比这个还要快,而且是预想之外的“消防火警”。
いくらハルカの頭の回転が速くとも、ちょっと的確すぎる気がする。
不管Haruka脑子转得多快,我都觉得有点太准确了。
「これ、一応、魔物事典に載っている魔物だからね。何となくだけど、ブレスに関する記述があったような気がしてたから」
“这个,姑且算是记载在魔物事典上的魔物吧。总觉得好像有关于呼吸的记述”
「えぇーー! それなら事前に――」
“哎——!那就事先——”
「事前に【鑑定】すべきよね、トーヤ?」
“应该事先进行【鉴定】吧,TOYA?”
「――はい、仰るとおりです」
“——是的,您说得对。”
トーヤは文句を言おうとした瞬間、ハルカにニッコリと微笑まれ、口を閉ざして頷く。
托雅正要抱怨的瞬间,被Haruka微笑着,闭上嘴点了点头。
そう、確かに【鑑定】が可能になった段階で実行していれば、魔物事典に載っていた情報であれば、トーヤも知ることができたはずなのだ。
没错,如果确实在“鉴定”成为可能的阶段进行的话,只要是记载在魔物事典上的信息,应该就能知道TOYA了。
であるならば、当然ブレスには注意しただろう。
如果是这样的话,当然会注意呼吸吧。
残念、自業自得である。
遗憾,这是自作自受。

467
221.md

@ -0,0 +1,467 @@
221 コイツ、赤いぞ!
221这家伙是红色的!
「しかし、ブレスを吐くとなると、これまでのように正面から抑えることは難しいな」
“但是,如果要吐手镯的话,像以前那样从正面抑制是很难的。”
「あぁ。もう嫌だぞ、オレ。地味に手入れしてるんだからな?」
“啊。我已经讨厌了。因为是很朴素的保养吧?”
うん、知ってる。
嗯,我知道。
モフモフは自分の尻尾でも良いらしく、ブラシを買って梳とかしたり、ワサワサしたりしているの。
猫头鹰好像自己的尾巴也不错,买了刷子梳开,沙沙作响。
そんな事をしながら、時々メアリとミーティアの尻尾や耳に目が行っていることも。
一边做着这样的事,一边时不时地关注着玛丽和米蒂亚的尾巴和耳朵。
何やらブラシはプレゼントしたみたいだが、さすがに「オレが梳かしてやる」とか「触らせてくれ」とかは言っていないようだ。
虽然好像送了什么刷子作为礼物,但是好像没有说“我给你梳一下”或者“让我碰一下”之类的话。
まぁ、普通に考えて、ハードル高いよな。
嘛,一般来说,难度很高。
人間の女性相手でも、男が「髪を触らせて」とか「髪を梳かしてあげる」とか言ったら変態扱いは免れない。
即使是和人类女性交往的对象,如果男性说“让我碰头发”或者“给你梳头发”的话,也难免会被当成变态。
それこそ恋人や、家族でもない限り。
只要不是恋人或家人。
トーヤがメアリたちとそこまでの距離に近づけるには、もう少し時間が必要だろう。
要想让托亚和玛利他们接近那么远的距离,还需要一些时间吧。
なお、ハルカたちは普通に触ったり、髪を梳すいてあげたりしている。ちょっと羨ましい。
另外,Haruka他们通常会摸,或者梳头发给她。有点羡慕。
「うーん、牛乳は諦めて、サックリと斃す? 速度とパワーは増したけど、行動原理が変わってないから、魔法ならそう難しくはないよね?」
“嗯,放弃牛奶,一下子就死了?虽然速度和力量增加了,但是行动原理没有改变,魔法的话就不会那么难了吧?”
「正面からの突進だからなぁ」
“因为是从正面突进的啊”
最近、ストライク・オックスを斃すために使っているのは『石弾ストーン・ミサイル』。
最近,为了杀死好球·牛克斯而使用的是“石弹斯通导弹”。
真っ正面に立って真っ直ぐに頭に向かって飛ばせば、ストライク・オックスは避けることもできず、むしろ自分の速度も加算された状態で『石弾』に激突することになる。
如果站在正前方笔直地朝着头飞的话,就无法避免好球和牛克斯,甚至在自己的速度加算后的状态下与“石弹”激烈冲突。
かなり省エネで、しかも1撃で倒す事ができるので、かなり簡単なのだ。
因为相当节约能源,而且1击能打倒,相当简单。
もしかするとレッドの方は、ストライク・オックスよりも頭蓋骨が固い可能性もあるが……多分なんとかなるだろう。
或许红的头盖骨比好球、牛克斯更坚硬……大概会有办法的吧。
「あ、でも、ミルクがストライク・オックスよりも高く売れる、って書いてあるぞ?」
“啊,但是你写着牛奶比好球、牛克斯卖的还贵?”
今更ながら【鑑定】を使ったのか、トーヤが虚空を指さして言うが、残念ながらその文面は俺たちには見えない。
事到如今还用了【鉴定】吗,虽然Toya指着虚空说,但是遗憾的是我们看不到那个字面。
しかし高いという事は、あれより美味い牛乳が取れるという事なのだろうか?
但是贵的话,能喝到比那个更美味的牛奶吗?
「……搾ってみるしかないよね?」
“……只能试着榨取了吧?”
「ですね。空き瓶は1本しかありませんが……鍋に移しておきましょう」
“是啊。空瓶只有一瓶……放到锅里吧”
空になった瓶を1本(これは、休憩時間などに俺たちが消費した分)とまだ中身の入っている2本を取り出し、その中身を他の鍋に移して、『浄化』で綺麗にする。
取出1瓶空瓶子(这是休息时间等我们消费的部分)和2瓶里面还有东西的瓶子,然后把里面的东西转移到其他锅里,用“净化”把瓶子弄干净。
その瓶を使って早速搾乳を開始したところ……。
用那个瓶子马上开始挤奶的时候……。
「なんだか、微妙に赤くない?」
“总觉得,有点红吗?”
ユキが言うとおり、瓶の中に溜まっていくミルクは微妙に赤い……いや、ピンク色をしていた。
正如雪说的那样,瓶子里积存的牛奶有点红……不,是粉红色的。
例えるならば、いちごミルク的な?
如果比喻的话,草莓牛奶的?
しかしいくら魔物とはいえ、さすがにいちごミルクが搾れる事は無いだろう。
但是就算再怎么是魔物,也不会榨草莓牛奶吧。
って事は、もしかすると血の色なのだろうか?
也就是说,难道是血的颜色吗?
そう考えると、微妙に飲みにくいが……ユキたちは普通に味見してるな?
这样想的话,微妙地难喝……雪他们在普通地品尝着吗?
「味の方は……うん、普通に美味しいけど、ストライク・オックスとあまり違いが無いように感じるのは、あたしだけ?」
“味道方面……嗯,虽然很普通很好吃,但是感觉和好球·牛克斯没什么区别的只有我吗?”
「私としては、普通のストライク・オックスの方が美味しいように感じるのですが……こちらの方が高いんですよね?」
“对我来说,普通的好球・牛克斯更好吃……这个更贵吧?”
「そう書いてある。どれくらい高いのかは判らねぇけど」
“这样写着。虽然不知道有多贵”
「私からすれば、味の面ではあえてこちらを買う理由は無いわね。貴族なんかは稀少性が嬉しい部分もあるし、そのせいかしら?」
“在我看来,在味道方面没理由买这个。贵族也有因为稀少性而高兴的部分,是因为这个吗?”
俺以外が普通に口にしたとなると、俺も飲まざるを得ない。
如果除了我以外的人都说的话,我也不得不喝。
恐る恐る口に含み、しっかりと味わってみるが、はっきり言って俺の感想もユキと同じ。違いが分からない。
提心吊胆地含在嘴里,好好品尝,清楚地说,我的感想和雪一样。不知道区别。
「手間を考えると――」
“考虑到时间的话——”
ピシッ!
必死!
俺が口を開いたその時、土壁から嫌な音が聞こえた。
我开口的时候,从土墙里听到了讨厌的声音。
直後、俺たちの行動は素早かった。
紧接着,我们的行动很敏捷。
ユキが搾乳器と瓶を持って退避するのと、ユキ以外が武器を構えたのはほぼ同時。
雪拿着榨奶器和瓶子退避,雪以外的武器基本上同时使用。
それと間を置かず、レッド・ストライク・オックスの前方の土壁が崩れる。
与此同时,红·好球·牛克斯前方的土墙倒塌。
だが、それを俺たちがのんびりと見ているはずもない。
但是,我们不可能悠闲地看着那个。
レッド・ストライク・オックスの前足が地面に付くか付かないか、その時にはすでにトーヤの剣がその頭に叩き込まれていた。
红·好球·牛克斯的前脚是不是接触地面,那个时候已经Toya的剑被那个头敲进。
グシャリという音と共にその身体からは力が抜け、後方の土壁に半ばぶら下がるような形で地面に崩れ落ちた。
伴随着咯噔咯噔的声音,身体无力,半悬在后方的土墙上,倒在了地上。
それを見て俺たちは息を吐く。
看到那个我们会吐出一口气。
「……すまん。想定よりも力があった」
“……不好意思。比想象中更有力量”
崩れたのは俺が担当した前側の土壁。
倒塌的是我负责的前侧的土墙。
後ろ側と違い、前足でガンガンと蹴られるのでそれなりに頑丈に作っているのだが、レッド・ストライク・オックスの力は俺が思っていた以上だったようだ。
和后侧不同,前脚被使劲踢,所以做得比较结实,但是红球、好球、牛克斯的力量比我想象的还要强大。
一応、ストライク・オックスの時よりも多く魔力を注ぎ込んでいたのだが、搾乳途中で――3本目だったので、ほぼ終わりかけだったが――土壁が崩れるとは想定外である。
一次,比好球·牛克斯的时候注入了更多的魔力,但是在挤牛奶途中——因为是第3支,所以几乎快结束了——土墙倒塌是预料之外的。
「初めての敵だから仕方ないわよ。だからこそ、全員警戒してたわけだし」
“因为是第一次的敌人,所以没办法。正因为如此,所以大家都很警惕”
のんびりと話しているように思えても、相手は魔物。
即使觉得对方在悠闲地聊天,对方也是魔物。
当然の事として、万が一の場合にどのように対応するかは話し合っていた。
作为理所当然的事情,我们讨论了在万一的情况下如何应对。
それがまぁ、今の対応だったわけだが、問題なく対応できたと言っても過言では無いだろう。
虽然这是现在的应对措施,但是说是没有问题的对应也不过分吧。
「ま、無駄に魔力を消費しすぎるのも勿体ないしね?」
“嘛,浪费掉魔力也太可惜了吧?”
ユキは両手に持っていた牛乳瓶と搾乳器を片付け、自分が作った方の土壁を解除する。
雪收拾双手拿着的牛奶瓶和挤奶器,解除自己制作的土墙。
確かにユキの言うとおり、最適な魔力量――搾乳とペイント、そしてある程度の距離待避するだけの時間が確保できる強度で、土壁を作るのが最適なのだが、今回は少々短すぎた。
确实如yuki所说的那样,以确保最适合的魔力量——挤奶和油漆,以及某种程度的距离躲避的时间的强度,制作土墙是最合适的,不过,这次稍微太短了。
つまりは俺がレッド・ストライク・オックスの力量を見誤っていたという事なので、ミスはミスである。
也就是说我看错了红、好球、牛克斯的能力,所以失误就是失误。
思えば、トーヤを押し返すぐらいの力があるのだから、その脚力はかなり高いと想定しておくべきだったのだ。
细细想来,因为有推回火炬的力量,所以应该预先设想其脚力相当高。
「ま、オレも失敗して焼かれたしな~。お、5,000レアか」
“嘛,我也失败了,被烧掉了吧。哦,5000珍稀吗”
地面に転がったレッド・ストライク・オックスの死体から、トーヤが魔石を取りだし、一応価値を確認。そのまま死体と共にマジックバッグの中へ。
从倒在地上的红·好球·牛克斯的尸体中,托雅取得了魔石,姑且确认了其价值。就这样和尸体一起进了魔术包里。
「ストライク・オックスの3,200レアとは、思ったより差があったなぁ」
“和好球、牛克斯的3200珍稀相比,真是相差太大了。”
「そのぐらい差があったら、土壁が破壊されるのも当然か……」
“如果有这么大的差距,土墙当然会被破坏……”
「対応はできるんだろ?」
“应该可以应对吧?”
「あぁ、問題ない。魔力を使えばな」
“啊,没问题。如果使用魔力的话”
魔力消費は大きくなるが、対応することは可能。
魔力消费变大,但可以对应。
問題は、それだけの価値があるかどうかだけである。
问题是是否有那么多价值。
「実際にやるかどうかは普通の牛乳との差額次第だよな」
“实际做不做要看和普通牛奶的差额。”
魔力を多く消費するとなれば、休息を取る必要もあり、コンスタントに作業を進めることは難しくなるかもしれない。
如果大量消耗魔力的话,有必要休息,很难很好地进行工作。
それに必要な時間と、魔石の価格差。
而且必要的时间和魔石的价格差。
肉の売価は判らないが、搾乳をせずに斃してしまうという選択肢もある。
虽然不知道肉的售价,但也有不挤牛奶就死掉的选择。
俺たちがレッド・ストライク・オックスのミルクを必要としないのであれば、後はミルクの価格差次第だろう。
如果我们不需要红·好球·牛克斯的牛奶,那之后就看牛奶的价格差了吧。
「もしレッド・ストライク・オックスからも搾乳するとしたら……ブレスを吐かれる前に拘束できるかどうか、だよな」
“如果从红・好球・奥克斯也榨取牛奶的话……在被吐出手镯之前,是不是能被拘留呢?”
「えーーっ、それって、やるの、オレだよな? リスク高ぇよ! やりたくねぇ!」
“诶,那个,是我做的吧?”?风险高啊!我不想做!”
トーヤが動きを止め、俺たちが『土壁』で持ち上げ、トーヤが離脱する。
火炬停止了动作,我们用“土墙”举起,火炬脱离。
その間にレッド・ストライク・オックスがブレスを使わない確率は……どのぐらいだろう?
在此期间,红·好球·牛克斯不使用手镯的概率是……多少呢?
ノータイムで吐けるとは思いたくないが、何度もやっていたらトーヤのキューティクルはピンチかもしれない。
虽然不想想不定时吐出来,但是如果做了很多次的话,托亚的丘比特可能会陷入危机。
「ねぇ、ナオ。あなた『炎耐性フレイム・ターミング』が使えるんじゃないの?」
“喂,娜奥。你不是可以使用《炎耐性火焰修正》吗?”
「……おぉ!」
“……哇!”
ハルカに指摘され、俺はポンと手を叩く。
被Haruka指出后,我扑通一声拍着手。
「そういえばそんな魔法、あったよ。これまで使い道が無かったから、すっかり忘れてた」
“这么说来,有这种魔法。因为至今为止都没有使用方法,所以完全忘记了”
「それを使えば、ブレスに耐えられる?」
“用那个的话,能忍耐呼吸吗?”
「多分な」
“大概吧。”
この魔法、その名の通り炎でのダメージを受けなくする魔法。
这个魔法,顾名思义是不受火焰伤害的魔法。
もちろん『どんな炎でも』というわけではなく、『込めた魔力に比例して』なのだが、レッド・ストライク・オックスのブレス1回分程度なら、大して難しくはないだろう。
当然,并不是说“无论怎样的火焰”,而是“与注入的魔力成比例”,不过,如果只是红·好球·牛克斯的一次手链的话,应该没什么难的吧。
すぐに消火されたとはいえ、一度は炎に包まれたトーヤが、軽く毛先が焦げたぐらいで済むレベルのブレスなのだから。
虽说很快就被扑灭了,但一次被火焰包围的火炬,只是轻轻地将发梢烧焦就可以了。
逆にドラゴンのブレスとかになると、頑張って魔力を込めていても、きっと一瞬で効果が切れることになる。
相反,如果变成了龙的呼吸,即使努力注入魔力,也一定会在一瞬间失去效果。
「むぅ……ならやっても良い。でも、次に焦げたら止めるからな!」
「呜呜……那么做也可以。但是,下次烧焦了就停止!”
「おっけー、おっけー。が、まずはディオラさんに相談してからだな。それこそ苦労して集めて大して価値がないんじゃ、トーヤだって冴えないだろ?」
“喂,来了。不过,先和迪奥拉商量一下吧。这才是辛辛苦苦收集起来并没有多大价值的话,Toya也不会那么冷淡吧?”
「当然。オレの毛並みを賭けるんだから」
“当然。因为我会赌我的毛”
うん、予想以上に毛並みを重視しているらしい。
嗯,好像比预想的还要重视毛色。
そんなわけで。
就是那样。
俺たちはレッド・ストライク・オックスからの搾乳は一時保留とし、20層の探索を優先することになった。
我们暂时保留来自红·好球·奥克斯的挤奶,优先20层的探索。
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
レッド・ストライク・オックスを避けて20層の森を回ることは、予想以上に難しかった。
避开红·好球·牛克斯转20层的森林的事,比预想难。
魔石の価格差は伊達では無いのか、明らかに感知範囲がストライク・オックスを上回っているのだ。
魔石的价格差不是伊达吗,明显感知范围超过了好球·奥克斯。
これまでの訓練・実践の甲斐もあり、全員が【忍び足】と【隠形】スキルを得ているのだが、それでもレッド・ストライク・オックスは気付く。
至今为止的训练和实践都很有效果,虽然全体成员都得到了【忍足】和【隐形】的技能,但是红・好球・奥克斯还是察觉到了。
この階層の大半が草原で、身を隠す場所が無い事もその原因なのだろうが、おかげでかなりの数、倒す事になってしまった。
这个阶层的大半是草原,没有藏身的地方也是原因吧,不过,多亏了这个,相当的数量,被打倒了。
恐らく次回来るときには、ある程度復活していると思うので、大した問題でも無いのだが、格下と思われる魔物相手に簡単に見つかってしまうのは、少々業腹である。
恐怕下次来的时候,我觉得一定程度上已经复活了,也不是什么大问题,但是被认为是等级低的魔物对方轻易发现的话,还是有点气恼的。
5人が固まって行動している以上、ある程度は仕方ないのだろうが、そのうちなんとかしたいところである。
既然有5个人在一起行动,某种程度上也是没办法的,但总有一天会想办法解决的。
なお、この階層の森で得られたのは、グリフォアというナッツ。
另外,在这个阶层的森林里获得的是叫做格里福亚的坚果。
俺が知る中で近いのは椿の実、だろうか。
我所知道的最接近的应该是山茶的果实吧。
果肉の部分がやや薄いところと、椿よりも少し大きめなところは違うが、パカリと実が開いて、種がぽろぽろと落ちる所は同じ。
果肉的部分稍微薄一点和比山茶稍大一点的地方不同,但是果实裂开后,种子啪嗒啪嗒掉下来的地方是一样的。
種の色は俺の知っている椿よりも、少し茶色が薄い。
比起我所知道的山茶,种的颜色稍微浅一点。
食べ方は簡単で、種を良く煎ってから歯で軽く噛むと、殻が2つに割れるので、その中身を取り出して食べる。
吃法很简单,把种子煎好后用牙齿轻轻咬,壳会裂成两个,所以要把里面的东西拿出来吃。
味の近いナッツをあえて挙げるのであれば、マカダミアナッツ……いや、カシューナッツ?
如果硬要举出味道相近的坚果的话,就是马卡达米亚坚果……不,是腰果?
歯ごたえが少しあって、しっとり感というか、油っぽさというか、カシューナッツのそう言った特徴はやや控えめながら、ほんのりとした甘みがある。
稍微有嚼劲,有点湿润感,有点油腻,腰果这样说的特征虽然有点保守,但有点甜。
ナッツエリアで見つけた中ではビレルに次ぐ食べやすさだが、味の方はこちらが上。
在坚果区发现的是仅次于啤酒的容易入口,但味道方面这边更好。
採取もしやすく、胡桃などに比べて後処理も容易。
采集也很容易,和核桃相比后处理也更容易。
美味しくて食べるのも簡単となれば、注意していないと食べ過ぎてしまいそうな気がする。
如果吃起来又好吃又简单的话,如果不注意的话就会觉得吃多了。
適量なら身体に良いナッツでも、食べ過ぎればカロリー、その他の面であまりよろしくないだろうから、節制が必要だろう。
适量的话对身体好的坚果,吃多了的话卡路里,其他方面也不太好,所以需要节制。
なお、例の如くあまり高く売れる物ではないようだが、味自体はみんなの嗜好に合ったようで、全員で頑張って集めてしまった。
另外,虽然不能像以前那样卖得很高,但是味道本身似乎符合大家的嗜好,大家都努力收集了。
時給的には全く見合わないのだが……ま、そんなの気にしても仕方ないよな。
虽然按时薪来说完全不合适……不过,这样的想法也没办法啊。
単価の安いナッツだとしても、ラファンで売っていなければ、買うこともできないのだから、結局は自分たちで集めるしかないのだ。食べたいならば。
就算是单价便宜的坚果,如果不是粉丝卖的话,也不能买,所以只能自己收集。想吃的话。
そんな感じで20層の森でナッツを回収した俺たちは今、20層の終点に立っていた。
以那样的感觉在20层的森林回收了坚果的我们现在,站在20层的终点。
そう、ボス部屋の扉の前に。
没错,就在老板房间的门前。

679
222.md

@ -0,0 +1,679 @@
222 教育方針?
222教育方针?
「ふーー、今回も無事、帰って来られたな」
“呼,这次也平安无事地回来了啊。”
「そうね。収益的にどうかはまだ判らないけど……美味しいナッツがいくつも得られたし、私としてはそれなりに満足ね」
“是啊。虽然还不知道收益有没有……但是得到了很多好吃的坚果,我也相应地满足了”
しばらくぶりに自宅に戻った俺たちは、装備を解き、居間で冷たい物を飲みながら一息ついていた。
时隔一段时间回到家里的我们解开了装备,在起居室一边喝着冷饮一边喘了口气。
え? 20層のボスはどうしたかって?
啊?20层的老板怎么了?
もちろんスルーして帰って来たさ。
当然是无视之后回来的。
扉の前から15層へ転移して、そこから魔法陣で入り口に飛んで。
从门前转移到15层,然后用魔法阵飞到入口。
レッド・ストライク・オックスのミルクの価格調査やら、ストライク・オックスのミルクの売却検討など、20層までの間にもやることは色々ある。
红·好球·牛克斯的牛奶的价格调查,好球·牛克斯的牛奶的出售讨论等,到20层之间也有各种各样的事情要做。
すぐに先に進む予定が無いのに、ボスに挑む理由があるはずが無い。
明明没有马上前进的计划,却不可能有挑战老板的理由。
その間、ちょっとでもレベルが上がれば、それだけ安全にボスが斃せるのだから。
在这期间,只要稍微提高一点水平,就可以安全地让BOSS死。
もしもボスが雑魚確定であれば、サックリと斃してから、20層の転移魔法陣で戻る方法もあっただろうが、レッド・ストライク・オックスの事を考えれば、侮るのは愚かだろう。
如果老板确定是杂鱼的话,那么在与萨克利死后,用20层转移魔法阵回去的方法也是有的,但是考虑到雷德・好球・奥克斯的话,侮辱是愚蠢的吧。
どんなボスか気にならなかったと言えば嘘になるが、ちょっとだけ扉を開けて、中を覗くという選択肢は俺たちにはあり得ない。
如果说不在意是什么样的BOSS的话那是骗人的,但是稍微打开一点门,窥视里面这样的选择对我们来说是不可能的。
この世界のダンジョン、ボスから逃げられるのと同様、ボスだってボス部屋に縛られないのだから。
和这个世界的地牢、BOSS逃走一样,BOSS也不会被BOSS房间所束缚。
まぁ、ボスが巨体の場合は、物理的に扉から出られないみたいだけどな。
嘛,boss是巨大的身体的话,物理上好像不能从门出来。
「食生活の面では有益だよね、ナッツエリア。収益的には微妙でも」
“在饮食生活方面是有益的,坚果区域。即使收益很微妙”
「ですね。ナッツ、美味しいですから」
“是啊。因为坚果很好吃”
今回のお土産、各種ナッツもメアリたちには好評だった。
这次的特产,各种坚果也受到了玛丽们的好评。
俺たちもそれをお茶請けに、一休み。
我们也把那个作为茶点,休息一下。
ハルカたちが注意深く焙煎したこともあり、ダンジョンで食べたときよりも数段美味い。
因为Haruka们小心地烘焙过,比在地下城吃的时候好吃几段。
「こんな木の実、初めて食べるの」
“第一次吃这样的果实。”
「こっちはコリコリ、こっちはホクホク。いろんな木の実があるんですね!」
“这边是科利酒,这边是灰尘。有各种各样的果实呢!”
このあたりでは良く出回っているクット。
这附近经常出现的酷酷。
これは子供が小遣い稼ぎに集めるような木の実なので、当然ながらメアリやミーティアも食べたことがあった。
这是孩子为了挣零用钱而收集起来的果实,当然也吃过玛丽和米蒂亚。
だが、冒険者が集めてくるような栗や胡桃に関しては、このあたりの店でも普通に売ってはいるものの、少々高価なため、口にする機会は無かったようだ。
但是,冒险者收集到的栗子和核桃,这附近的店虽然也很普通地卖,但是因为价格稍贵,所以没有机会吃。
そして、ビレルとグリフォア。
还有,啤酒和格里福亚。
これらは俺たちも、ラファンで売っているのを見たことが無い。
我们也没见过拉风卖这些东西。
当然のようにメアリたちも初めてだったようで、ちょっと食べすぎかな? というぐらいポリポリと食べている。
当然,玛丽们也是第一次吃,是不是吃得太多了?吃得这么多。
ポリポリ。
聚乙烯。
パリパリ。
巴黎。
カリコリ。
米酒。
「……あの、メアリ、ミーティア。もうそのくらいで」
“……那个,玛丽,米蒂亚。就那样”
そう思っていたのは俺だけでは無かったようで、ナツキが少し困ったような表情を浮かべて、2人を止めた。
这样想的似乎不仅仅是我一个人,夏树露出有点为难的表情,阻止了两个人。
「え? ……はっ! す、すみません、食べ過ぎました!」
“诶……啊!对不起,我吃多了!”
ナツキに言われ、ちょっと首を捻ったメアリだったが、ハルカが苦笑しながら2人の前、テーブルの上にこんもりと積み重なったナッツの殻を指さすと、慌てて手を止めて頭を下げた。
被夏树这么一说,玛丽稍微扭了一下脖子,春香苦笑着在两人面前,指着桌子上堆着的坚果壳,慌慌张张停下手低头。
「うっ。食べ過ぎたの……でも、もうちょっと……」
“嗯。吃多了……但是,还有点……”
「こらっ!」
“喂!”
ちょっと気まずそうな表情を浮かべつつ、それでもコッソリと手を伸ばしたミーティアの手を、メアリがペシリと叩く。
梅莉一边浮现出有些尴尬的表情,一边又用手拍了美蒂的手。
「あう……」
“啊……”
「あんまり食べ過ぎたら、身体に悪いからね。気持ちは解るけど」
“吃太多的话,对身体不好。我能理解你的心情”
「解る。目の前にあったら、つい手が伸びるよな。ナッツって」
「明白。在眼前的话,不知不觉就会伸出手。坚果”
引っ込めた手を押さえて涙目になるミーティアに、ハルカが苦笑を浮かべ、トーヤもまた、うんうんと深く頷く。
梅蒂亚按住拉下的手眼泪汪汪,Haruka苦笑着,Toya也深深点头。
これは、俺たちの方が悪いかもなぁ。
这可能是我们的错吧。
収穫してきたナッツを全部まとめて焙煎し、それを大皿でテーブルに置いていたから。
把收获的坚果全部放在一起烘焙,然后用大盘子放在桌子上。
トーヤの言うとおり、ミーティアたちよりは大人で、ある程度は自制心があるつもりの俺たちだって、目の前にあったらついつい手が伸びてしまうから。
正如TOYA所说的那样,比起Media他们更成熟,本以为有一定程度的自制心的我们,在眼前的话也会不知不觉伸出手。
「大半のナッツって半分以上脂質だからねぇ。あんまり食べ過ぎたら、ぷくぷくのおデブちゃんになっちゃうよ?」
“大部分的坚果有一半以上是脂质呢。吃太多的话,会变成胖子的哦?”
ユキが笑いながら、ミーティアのほっぺたとツンツンとしてそんな事を言うと、ミーティアは自分のほっぺに両手を当てて声を上げる。
雪笑着说了这样的话,米蒂亚用双手贴着自己的脸颊大声地说。
「それは困るの! ミーは強い冒険者になるの!!」
“那可不行啊!我要成为强大的冒险者!”
が、その視線はまだナッツの大皿に向いたまま。
但是,那个视线还是朝向了坚果的大盘子。
俺たちはそんなミーティア、そしてメアリの様子に顔を見合わせて苦笑し、ちょっと名残惜しそうな2人の視線を感じながら、ナッツを保存庫の中へと片付ける。
我们面对着米蒂亚和玛丽的样子苦笑着,一边感受着两个人有些依依不舍的视线,一边将坚果收拾到保存库里。
「適量――そうですね、1日分で、片手に軽く載るくらいの量であれば、自由に食べても構いませんから、今日は我慢しましょうね?」
“适量——是啊,一天的量,一只手轻放的量的话,随便吃也没关系,今天就忍耐一下吧?”
「片手……」
“一只手……”
ナツキの言葉に、ミーティアが自分の手をじっと見る。
夏树的话里,米蒂亚一直盯着自己的手。
そして、視線をふらふらとメアリの手、そして俺たちの手と彷徨さまよわせ、再び自分の手に。
然后,视线摇晃着玛丽的手,然后和我们的手彷徨着,再次回到自己的手上。
「……ミー、無理に積み上げよう、とか思っちゃダメだからね?」
“……米,你不可以想着要硬堆起来吗?”
「お、お姉ちゃん、ひどいの! そ、そんな事、思ってないの!」
“姐姐,太过分了!那、你没这么想!”
ジト目で告げられた言葉に、必死に反論するミーティアの姿は少々信憑性に欠ける物だった。
面对吉特眼睛所说的话,拼命反驳的米蒂亚的样子有点缺乏可信度。
「メアリ、あなたとミーティアの分、あなたが同じ量を小皿に盛って、それを食べなさい。大皿から直接食べないこと」
「玛丽,你和米蒂亚的份,你把同样的量装在小盘里,吃那个。不要直接从大盘里吃”
「はい、解りました」
“好的,我明白了。”
「ぶーー! ひどいの。信じて欲しいの!」
“哇!太过分了。希望你相信我!”
不満そうなミーティアに、ハルカは苦笑を浮かべる。
面对不满的美蒂亚,Haruka露出苦笑。
「つい食べ過ぎるのは私も理解できるからね。でも、少量なら問題なくても、食べ過ぎたら毒になる物とかあるんだから、本当に注意しないとダメ」
“不经意吃多了,我也能理解。但是,少量的话没问题,吃多了会有毒,所以真的要注意”
「ですね。銀杏ぎんなんなんて、10粒に満たなくても、中毒を起こす可能性があるみたいですから」
“是啊。银杏银杏即使不满10粒,也有可能会中毒”
「そ、そんな食べ物があるのです?」
“对,有那样的食物吗?”
頷きながら付け加えたナツキの言葉に、ミーティアの表情が不安そうに変わる。
一边点头一边补充的枣的话,米蒂亚的表情变得不安。
「結構あるわよ? だから、いくら美味しくても、こういった物をお腹いっぱい食べるのは避けた方が良いわね」
“有很多呢?所以,就算再好吃,也不要吃得太饱”
「キノコなんかも危ないですよね、地味に。少ししか食べませんから、問題ないだけで」
“蘑菇什么的也很危险呢,朴素点。我只吃一点点,没问题”
「それって、毒キノコじゃ無くてもか?」
“那不是毒蘑菇吗?”
「はい。例えば松茸なんかも、それだけでお腹いっぱいになるほど食べたら、危ないみたいですよ?」
“是的。比如松茸之类的,光吃就饱了的话,好像很危险呢?”
少し驚いた表情を浮かべるトーヤに、ナツキは頷き、予想外の事例を挙げた。
夏树点点头,列举了一些意想不到的事例。
「マジで? 意外……でも、問題が起こる可能性が全く見えねぇ!」
“真的吗?很意外……但是,完全看不到发生问题的可能性!”
「あぁ、庶民には関係ない話だな」
“啊,这和平民没关系啊。”
そもそも大量に食べるような物ではないが、金銭的にも1本食べることすら難しい。
本来并不是大量食用的东西,但是从金钱上来说,连吃一根都很难。
日本に居たときであれば。
如果是在日本的时候。
もしもこちらの世界で見つけたとしたら……ま、そんなに食べることも無いか。
如果在这个世界上发现的话……嘛,没必要吃那么多吗。
冷静に考えれば、何本も食べたいようなキノコでも無いし。
冷静思考的话,也不是想吃几根的蘑菇。
「何を食べるにしても、程々にということね」
“吃什么都要适可而止。”
「注意するの……」
“要注意……”
「はい、注意してください。私たちも別に意地悪で言っているわけじゃないですから」
“好的,请注意。我们也不是故意使坏地说的”
なんだか、「お菓子買って!」と言う子供に、「我慢しなさい」と言い聞かせる親の気分。
总觉得,“买点心!”父母对孩子说“忍耐一下”的心情。
ミーティアは別に泣きわめくわけじゃなし、言えばきちんと聞いてくれるので、かなり楽なんだとは思うけど……親って大変だね。
米蒂亚并不是哭着叫的,说起来会好好听,我觉得是挺轻松的……父母真的很辛苦呢。
「あの、話は少し変わりますが、ナッツを集めるぐらいなら、私たちも手伝えませんか?」
“那个,话题稍微有点变,如果要收集坚果的话,我们也能帮忙吗?”
「あ、ミーも手伝いたいの!」
“啊,我也想帮忙!”
たくさん食べてしまったことを気にしたのか、そんな提案をしてきた2人に、俺たちは顔を見合わせる。
也许是在意吃了很多,我们面对提出这个建议的两个人。
気持ちは嬉しいが、実際に出来るかとなると……。
虽然心情很开心,但是如果真的能做到的话……。
「いや、手伝うって言っても、ナッツを集めたのはダンジョンの中だしなぁ」
“不,就算说要帮忙,收集坚果的还是地牢里啊。”
「うん。決して安全とは言えない場所だから」
“嗯。绝对不能说是安全的地方”
確かにナッツの回収作業は人手があった方が楽なのだが、森の中に出てくる魔物でも、メアリたちには少し危ない気がする。
确实,回收坚果的工作如果有人手的话会比较轻松,但是就算是森林里出现的魔物,也会对玛丽们有点危险。
本来後衛であるハルカでも、小太刀でサクサク斃しているので、雑魚は雑魚なのだが、冒険者未満である2人が斃せるかどうかは別問題である。
本来作为后卫的Haruka,也因为用小太刀很快地死了,所以杂鱼是杂鱼,不过,不到冒险者的2人是不是死是另一个问题。
一応、訓練は付けているが、どれくらい戦えるのか……。
大体上,虽然有训练,但是能战斗多久呢……。
「私としては、そろそろ実戦を経験させても良いかな、とは思っていたけど……」
“对我来说,我觉得差不多该让他体验一下实战了吧……”
「いや、それにしても、いきなりダンジョンはどうなんだ?」
“不,即使那样,突然间地牢怎么样?”
「むしろ、ダンジョンの敵の方が弱いでしょ。そこまで行ければ、だけど」
“倒不如说,地牢的敌人比较弱。如果能走到那里,但是”
ハルカの意見に俺は思わず反論したのだが、よく考えれば間違ってはいない。
我不由得反驳了Haruka的意见,不过,好好地考虑没有错。
ただ、メアリとミーティアの容姿、年齢を見ると戦わせて良いのか、という意識の方が強くなる。
只是,看了玛丽和米蒂亚的容貌和年龄,是否可以让她战斗,这样的意识会更强。
こちらの常識とはマッチしないのかもしれないが、どう見ても子供だし。
也许这和我们的常识不符,但怎么看都是孩子。
「トーヤ、どう思う?」
“Toya,你觉得怎么样?”
「ん~~、ゴブリンは問題ない、と思う。筋は良いと思うぞ?」
“嗯~我觉得妖精没问题。我觉得情节很好哦?”
「ナツキは?」
“枣呢?”
「そうですね。さすがに獣人というべきでしょうか。年齢から考える以上に、身体能力はありますね。私もゴブリン程度であれば問題なく倒せると思います」
“是啊。不愧是兽人吗。比从年龄上考虑,身体能力还强呢。我也觉得如果只是戈布林的程度的话就可以轻而易举地打倒”
基本的な訓練は全員で行っているが、個別の武器の扱いに関しては、メアリはトーヤから剣を、ミーティアはナツキから小太刀の扱いを学んでいる。
虽然基本的训练是全员一起进行的,但是关于个别武器的使用,玛丽从托亚那里学剑,米蒂亚从枣那里学着使用小太刀。
その2人が問題ないというのであれば、本当に問題は無いのだろう。
如果那两个人没有问题的话,就真的没有问题了吧。
3人が賛成に回るともう決まりみたいな物だが、一応ユキに視線を向ける。
3人赞成的话好像已经决定好了,但还是暂且把目光投向雪。
「ん~~、2人は戦いたいんだよね? ならやらせてみれば良いんじゃない? あたしたちがいれば致命的な事にはならないと思うし」
“嗯~两个人想战斗吧?那么让他做一下不就好了吗?如果有我们在的话就不会成为致命的事情”
「やりたいです!」
“我想做!”
「やるの! ミーは凄い冒険者になるの!」
“要做!我要成为非常厉害的冒险者!”
やる気満々ですね。はい。
干劲十足啊。是的。
親の心子知らず、ですか?
是父母不懂事吗?
――いや、日本の常識に俺が縛られているだけか。
——不,只是我被日本的常识所束缚吗。
「そこまで言うなら反対はしないが、装備はどうする? まだ何も無いだろ?」
“说到这里我不反对,但是装备怎么办?还什么都没有吧?”
訓練の時は、基本的には木刀か俺たちのお古の武器――青鉄などで作った武器を使っている。
训练的时候,基本上是使用木刀或者我们的旧武器——青铁等制作的武器。
当然、物自体は良いのだが、2人の身体に合っているかと言われると、当然否である。
当然,东西本身是很好的,但是如果被问到是否适合两个人的身体的话,当然是不同意的。
メアリの武器はトーヤの物だし、ミーティアの武器はユキの物。
玛丽的武器是托亚的,米蒂亚的武器是雪的。
どちらも体格の違いがそれなりにある。
两个都有各自的体格差异。
それでもそれなりに扱えているのは、獣人の身体能力の高さ故なのだろうが。
尽管如此,兽人的身体能力还是很高的。
「あの、今借りている物でも……」
“那个,现在借的东西也……”
遠慮がちにそう言うメアリだが、武器の使い勝手は結構戦いに影響する。
虽然玛丽很客气地这么说,但是武器的使用方便性会对战斗产生很大影响。
軍隊に所属しているとか、戦争のように余裕が無いとかであれば、規格品を使うべきなのだろうが、そうで無いのなら、可能な限り使いやすい武器を使う方が安全、かつ効果も高い。
如果属于军队或者像战争那样没有富余的话,应该使用标准品,如果不是那样的话,尽可能使用方便的武器比较安全,而且效果也高。
お金に余裕ができて以降は俺たちも、使っている武器はすべてオーダーメイドである。
在金钱充裕之后,我们使用的武器都是定制的。
……ん? よく考えるとかなりの贅沢?
……嗯?仔细想想是不是相当奢侈?
普通の冒険者は、武器屋に並んでいる武器を買うのが一般的。
普通的冒险者一般会买武器店里摆放的武器。
それどころか、駆け出しの冒険者であれば、捨て値で樽に突っ込んである剣からマシな物を探して買うとか。
不仅如此,如果是初出茅庐的冒险者的话,可以从舍去价值冲入木桶的剑中寻找好东西来购买。
それに比べれば、多少体格があわないとは言え、俺たちの使っていた剣はかなり品質が良いわけで。
与此相比,虽然身体多少有些不合适,但我们使用的剑品质相当好。
「どう思う、ハルカ?」
“你怎么想,Haruka?”
「それはむしろ、トーヤとナツキに聞くべきね」
“那倒不如问问松糕和海枣。”
「無理をしなければ問題ないだろ」
“不勉强的话没问题吧。”
「はい。ギリギリの戦いでなければ十分かと」
“是的。如果不是极限的战斗就足够了”
ハルカに視線を向けられた2人は、問題ないと頷いた。
两人被Haruka盯着看,点头说没问题。
まぁ、普通の駆け出しに比べれば十分に恵まれているわけだし……あとは――。
嘛,和普通的初出茅庐相比应该是十分幸运的……还有就是——。
「それなら武器は問題ないとして、防具はどうする?」
“那样的话武器就没问题了,防具怎么办?”
「防具は良い物を用意したいわよね、命に関わるから」
“防具想准备好好好东西,因为关系到生命。”
「出来ればオレたちと同レベルの物が良いよな」
“如果可以的话,和我们一样水平的东西比较好。”
「はい。ですが、私たちと同レベルの物となると、かなりのお金が掛かりますね。この2人は成長期ですし、買ってもすぐ着られなくなる可能性も高いです」
“是的。但是,和我们一样的东西的话,要花很多钱呢。这两个人是成长期,买了也很有可能不能马上穿”
怪我はさせたくないが、使える期間が短い物に大金を投じるべきなのか。
虽然不想让他受伤,但是应该对使用时间短的东西投入巨额资金吗。
そして、駆け出しに過ぎないメアリたちに高価な防具を買い与えるのは、少々甘やかしすぎじゃないか。
而且,给只不过是初出茅庐的玛丽们买高价的防具,不是有点太娇惯了吗。
色々な要素が絡むため、5人揃って頭を付き合わせる俺たちに、遠慮がちに声を掛けたのはメアリたちだった。
为了牵涉到各种各样的要素,五个人聚在一起头上交往的我们,玛丽们很客气地打了招呼。
「あの、どれくらいなんですか? 私たちのお小遣いじゃ……?」
“那个,有多久了?这不是我们的零花钱吗……?”
「ミー、頑張って貯めてるの! 全然使ってないの!」
“我在努力存钱!完全没用!”
ふんふん、と鼻息も荒いミーティアに、ユキはちょっと困った顔で現実を突きつける。
面对扑哧一声气喘吁吁的米蒂亚,雪带着稍微有点为难的表情向现实挑战。
「う~ん、無理かなぁ。金貨千枚以上になるし」
“嗯,不行吧。有一千多枚金币”
「「せんっ!?」」
“真的,我的愿望是……”
メアリとミーティアは家族扱いという事で、俺たちから多少のお小遣いをあげている。
玛丽和米蒂亚把它当做家人看待,给了我们一些零花钱。
この世界だと家の手伝いは当たり前、お小遣いなんて貰えないし、ご飯をお腹いっぱい食べられるだけでかなり恵まれている、という状況なので、渡しているお金はメアリたちからすれば十分に大金なのだろうが――まぁ、俺たちの感覚から言えば、子供のお小遣いレベルである。
在这个世界上,帮家里的忙是理所当然的,既不能拿到零花钱,光是能吃饱饭就已经很受惠了,所以从玛丽们的角度来说,交给他们的钱就足够多了吧——嘛,就我们的感觉来说是孩子的零花钱水平。
実際、家事を手伝ってくれている2人に対する、子供のお小遣いだし。
实际上,对于帮忙做家务的两个人来说,这是孩子的零花钱。
小学生としては少し多めでも、子供のお小遣いで、並みの自動車よりも高価な物を買えるわけが無い。
作为小学生,即使多一点,也不可能用孩子的零用钱买到比普通的汽车还贵的东西。
「うぅ……ちょっとお小遣いの前借りぐらいじゃ、全然足りません」
“嗯……稍微预支点零用钱的话,完全不够。”
「ぼ、冒険者って、そんなにお金、掛かるのです?」
“呃,冒险者要花那么多钱吗?”
「ちょっと良い物だと、どうしても、ね」
“如果是稍微好一点的东西,无论如何都要买。”
ショックを受ける2人だったが、現実は現実である。
虽然两人受到了打击,但现实是现实。
良い物はやはり高いのだ。
好东西还是贵的。
「ここは素直に、普通の駆け出し冒険者が使うような防具を与えれば良くないか? 俺たちの場合、負けたら即死亡、怪我したら路頭に迷うって状態だったから、無理しても良い防具を買ったが、メアリたちの場合、そうじゃないだろ?」
“在这里坦率地给予普通的新手冒险者使用的防具不好吗?我们的情况是,输了就死,受伤了就迷上街头,所以勉强买了可以的防具,但是玛丽他们的情况不是这样的吗?”
「……それもそうね? 多少の怪我なら私たちが治せるし、負けそうになれば手助けもできる。それに路頭に迷うこともない」
“……那也是吧?如果是一点点的伤我们可以治好,如果快要输了的话也可以帮忙。而且也不会迷路”
「うん、そっか。メアリたちなら、普通に療養ができるんだよね」
「嗯,这样啊。如果是玛丽们的话,就能普通地进行疗养了吧”
俺の提案に、ハルカとユキも納得したように頷く。
对于我的提案,Haruka和yuki也表示赞同。
忘れがちだが、俺たちとの一番の違いがここ。
虽然很容易忘记,但是和我们最大的区别就是这里。
稼げなくなった時点で宿を追い出され、一度のミスが命を奪う状況だった俺たちとは根本的に違う。
和在赚不到钱的时候被赶出旅馆,一次失误夺去了生命的情况下的我们根本不一样。
まぁ、その分、俺たちには初期スキルというアドバンテージもあったわけだが。
嘛,相应的,我们也有初期技能的优势。
「メアリたちもそれで良い?」
“玛丽们也这样可以吗?”
「も、もちろんです。あ、いえ、買ってもらっても良いのですか?」
“当然了。啊,不,可以帮我买吗?”
「うん、それぐらいはね。私たちは大銀貨10枚からのスタートだったけど、結局冒険者がなかなか成功できないのって、初期資金の乏しさと、指導者がいないことにあると思うから」
“嗯,那一点。我们是从10枚大银币开始的,但是最终冒险者怎么也不能成功,是因为缺乏初期资金和没有指导者。”
この世界に来て、ルーキーの冒険者を見て思うのは、想像以上に技術が無いということ。
来到这个世界,看到新手的冒险者的想法是,没有比想象中更好的技术。
その理由は色々あるとは思うが、簡単に一言でまとめるならば、『余裕が無い』。
虽然理由有很多,但是简单的用一句话总结的话,就是“没有富余”。
戦闘スキルなどは1つの財産であり、それを学ぶためにはそれなりの対価が必要となる。
战斗技能等是一种财产,为了学习它需要相应的代价。
そして冒険者になるのは、一部の例外を除き、三男や四男など、継ぐべき農地も家業も無いような、いわゆる『余り者』である。
而成为冒险者的,除了一部分例外,还有三男、四男等,既没有可以继承的耕地也没有家业的人,就是所谓的“多余的人”。
そんな余り者に親が教育費を掛けてくれるかと言えば、これまた一部の例外を除けばあり得ないだろう。
如果说父母会给这样的外人支付教育费的话,除了一部分例外,这也是不可能的吧。
そもそも、ある程度戦う技術を持っているのなら、わざわざ冒険者にならずとも、兵士などの安定した職業は他にもある。
说起来,如果拥有一定程度的战斗技术的话,即使不特意成为冒险者,也有其他稳定的职业如士兵。
つまり、最初から技術を持つ冒険者というのは、俺たちのように身元不確かなどの特殊事情を持っていたり、あえて冒険者を選んだやや変わった人、そしてメアリたちのように幸運にも指導者を得られた人ぐらいなのだ。
也就是说,一开始就拥有技术的冒险者,像我们这样拥有身份不确定等特殊情况,或者是选择冒险者的有些奇怪的人,还有像玛丽他们那样幸运地得到指导者的人。
ちなみに、冒険者の子供が冒険者になる、というのは案外少ないらしい。
顺便说一下,冒险者的孩子成为冒险者的意外地少。
まず冒険者が家庭を持てることは殆ど無い、という世知辛い事情に加え、上手く家庭を持てた冒険者は、逆に冒険者の実情を良く知っているため、子供が冒険者になるのを必死で止めるという。
首先,冒险者几乎没有家庭,再加上这种世间辛酸的事情,成功拥有家庭的冒险者反而更了解冒险者的真实情况,所以会拼命阻止孩子成为冒险者。
そう考えれば、俺たちもメアリとミーティアを止めるべきなのかもしれないが、残念ながら俺たちには、冒険者以外の仕事を斡旋してやることもできない。
这样想来,也许我们也应该阻止玛丽和米蒂亚,但是遗憾的是,我们也不能为冒险者以外的人介绍工作。
尤も、『トーヤと結婚すればなんとかなるんじゃね?』と思わなくも無いのだが、そのへんは自由意志に任せたいところである。
不过,“和TOYA结婚的话总会有办法的吧?”我也不是不这么想,但这一点还是想交给自由意志。
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